吉野家常務の「人権・ジェンダー問題発言」を追及できなかった赤旗



 令和4(2021)年4月20日

吉野家常務の発言「生娘をシャブ漬け戦略」


 昨日(4/19)の赤旗を読んでいてびっくりした。それは吉野家常務の 社会人講座での「女性蔑視発言」になんら対応できていない記事を書いている。
 私は毎朝、毎日新聞と赤旗を読んでいる。まず毎日新聞を読み、その後に赤旗を読むのが習慣になっている。その際いつも毎日新聞に比べて赤旗は記事に深みが無いなと思ってみているが、今日の吉野家常務の社会人講座での発言に対する赤旗の記事は、問題の本質を見逃したベタ記事なっている。毎日新聞との差にはがっかりした、
 どこが違うのか見てみたい。

 まず見出しは、毎日新聞(以下「毎日」という)は「吉野家常務社会人講座で女性蔑視発言」、赤旗は「吉野家常務 女性蔑視発言 社会人向け講座 処分検討へ」とほぼ同じであるが、中味は全く違う。毎日はこの常務の発言を正確に捉え、同時に何が問題かを適切に指摘している。
 毎日は、この常務の発言を常務は若い女性向けのマーケティング戦略について「生娘をシャブ漬け戦略」と表現。「田舎から出てきたばかりの若い女の子を生娘なうちに牛丼中毒にする。男に高い飯をおごってもらうようになれば絶対に食べない」と発言した。
 赤旗は、常務は、「豪華な食事を男性におごってもらったことのない若い女性に牛丼を売り込めば、その後も継続して食べる」ほぼ同じ発言に見えるが、蔑視の深みが違う。(キーワードは、「生娘のシャブ漬け戦略」に始まり、田舎者、若い女性、生娘、高い飯をおごってもらう、絶対に食べない)
 さらにこの発言のどこが問題かで
 毎日は、謝罪文では「用いた言葉・表現の選択は極めて不適切であり、人権・ジェンダー問題の観点からも到底許容できるものではありません。」とし、厳重に対処するという。
 赤旗は、吉野家によると「常務は発言を認め反省していると言い、常務の処分を検討します。」と書いています。
 この表現は、「常務は反省しているし、自社で処分も行いますから穏便に」と言っているように捉えられる。
不思議なことに赤旗は、「講座はマーケティングに関する内容で16日に早稲田大学で開かれました。吉野家は常務の発言が「極めて不適切であり、到底許容できるもので無い」とし「多大な迷惑と不快な思いをさせたことに対し、深くお詫びする」と陳謝しました。(二重に誤っている。この後半は早稲田大学に対する謝罪か?)
 これに対して毎日は、講座を主催した早稲田大によると、不適切発言について、同大社会人教育事業室の責任者が終了時に受講者にその場で謝罪したという。(署名入りの記事)

共産党の参議院選の公約の大きな柱は「ジェンダー平等」


 私が何を問題にしているかは、共産党はジェンダー平等と気候変動をメインに据え今回の参議院選挙を戦おうとしています。(高槻市の富田地区の事務所の写真を見ればわかります。文末に資料掲載)そのジェンダーの問題が起こっているのに毎日と違い問題の本質がとらえきれていない。
 吉野家がどういう態度を取ったかで、毎日は「人権・ジェンダー問題の観点からも到底許容できるものでは無い」と書いているが、赤旗も同じ「到底許容できるものでは無い」という言葉が一致しているのから見て、同じ発言(人権・ジェンダー問題)を聞いたはずだが「極めて不適切なであり」という言葉でお茶を濁している。
 この視点ではジェエンダー平等を選挙戦の争点の第一番に掲げても実践ができないようであれば、選挙で勝利することはできない。

 ここまでこの記事を昨日書いたが、本日付け両新聞は結末を報道している。ここでも共産党の及び腰が明確に見える。


 毎日は、女性蔑視発言の吉野家常務解任「到底容認できない」という見出しで、解任理由を「女性を蔑視し、人権を無視する発言をした牛丼チェーン吉野家の常務を18日付で解任したと発表した。」と書いている。
 赤旗は、女性蔑視の常務解任「吉野家 社長は報酬減額」という見出しで、解任理由は「人権に対する意識や倫理観の欠如をうかがわせる発言に批判が集まり、吉野家HDは「到底許容するこのできない職務上著しく不適切な言動で深くお詫びする」と謝罪。と書いている。
 毎日は、この常務の発言を「女性を蔑視し、人権を無視した発言」と断定しているのに、赤旗は、「人権に対する意識や倫理観の欠如をうかがわせる発言と全く腰が抜けた報道をしている。
 この記事から見て参議院選挙でジェンダー平等を前面に立てて戦う共産党の主張に国民は賛同するであろうか?なぜこのような重要な課題に官僚のような言葉「うかがわせる発言」というような曖昧な言葉を使い、共産党としての主張・判断ができないのかあきれ返る事例である。

以下は今回の吉野家から離れて、共産党の選挙戦で戦う看板政策は何かを書いている


 参議院選挙との関連で、共産党が国民に訴える政策は何か、(揺れ動いている)。ジェンダー・気候変動を看板政策にするのか、それとも戦争反対を前面に出すのか、その整理が出来ていない。
 高槻市の富田地区の事務所のポスターは、人権・ジェンダーは張り出しが遅かったが、今はこの2枚がメインになっている。最近の赤旗では、戦争と平和問題が一番メインになっている。高槻市の事務所も最近ウクライナ問題のポスターを張り出したが、ジェンダー・気候変動が堂々としており、ロシアは侵略戦争やめよというポスターは目立たない。(平和をいかにして勝ち取るかを前面に出すべき) 文末に資料掲載

共産党の主張は何か、ジェンダーフリーと気候危機打開を入れた事によって共産党の立ち位置が分からなくなった。


 共産党は先の衆議院選挙の前後から、党の基本的選挙公約に迷いが現れ、何を基本として戦っているのか分からなくなってきている。私はこの間共産党の屋台骨は何なのかがはっきり描き切れていないと私のホームページに10回ぐらい書いてきた。衆議院選挙の敗北もこれが原因だと一貫して指摘してきたが、マスコミの論調は、野党共闘の失敗から敗北したと書いている。これは意識的に野党連合が出来なくなるようにすることが、与党の勝利につながるためマスコミ全体が、与党側にすり寄り、自らの延命を図っている。

 このHP(10月30日)に総選挙 国民は何を求めたのか? 視点がない共産党の選挙総括記事を書いたが、その記事の中で前新潟県知事で先の衆議院議員で無所属として見事に当選した米山議員のツイター内容が私と同じ立ち位置で批判していることを紹介した。
 ところが米山議員のこのツイッターに批判が集中しているという記事を現代ビジネスで書いた人がいることを知った。注1
 
注1:米山氏は、ジェンダー平等や気候変動も出し続けていいと思います。但し出す順番としては、@経済A福祉
   Bジェンダー・気候変動だと思います。Bを1番に打ち出すと、「余裕のある人の趣味」に見られてしまうの
   で。又@Aについても「人に優しい経済、人に優しい福祉に改革する」という打ち出しだと思います。
    12月28日の『ABEMA Prime』に出演した米山氏は「あれは言葉の選択を誤ったと思う。そもそも演説で新し
    いネタを話す場合には、小さな会場で反応を見ることがある。ただ、今回の選挙戦でジェンダー問題に触れ
    たが、全然ダメだった。集まった人がシーンとしてしまった。しょうがないと思って、みんなの給料を上げましょ
    う正規雇用にしましょうと経済の話をしたら、ワッと反応が来るのが分かった。段違いたった。だから言葉は
       悪かったけれど、そういうことをちゃんとキャッチしなければ、政治にならないじゃないか」と真意を説明。
注2:米山氏の発言に対して以下のような意見もある
    ジェンダーや気候変動といった問題は、マジョリティである一般大衆に訴求するものではなく、ごく少数の(し
       かしSNSではやたらと声が大きく見える)ラディカル・レフトな人びとが高い関心を示すテーマにすぎない。選
       挙はより多くの人びとの心を掴んだものが勝利する。ジェンダー平等や環境問題がとるに足らない問題だ
     からということではなく、民主主義政治のシステムがそういうものなのだ。

 私はこの「注2」の人の発言に近い。選挙戦での戦い方というものもあるが、共産党がジェンダーや気候危機打開に取り組むことは正しいが、選挙戦の看板政策には向かない側面がある。米山氏が指摘したのも、掲げる政策の順番としてジェンダー・気候変動が最初ではなく、@経済A福祉Bジェンダー・気候危機だろうと述べたに過ぎない。

 話がそれてしまったが、私は米山氏と同じで、赤旗がジェンダーフリーや・気候変動を選挙戦の争点に掲げ、赤旗の記事が気候変動一色に占められ、他の記事がお粗末になったことに危機感を感じた。共産党はここまで堕落した(主要な政策に揺れがある)のかというのが私の感想であった。

参考:高槻市の共産党の事務所のポスター

このポスターから何が読み取れるのか
1.志位委員長の顔出し
2.参議院選挙の候補者の顔出し
3.共産党の政策(ポスターの大きさ、見やすさから見ると)
 @気候危機(やはりこの課題が一番)
 Aジェンダー平等(やはりこの課題が二番)
 Bロシヤは侵略戦争やめよ(このポスターは最近掲示された)
これらのポスターの問題点(何も考えずに貼られている)   
 〇国民の生活や福祉問題には全く触れていない。
    コロナや消費税、格差の拡大等
 〇戦争と平和問題に触れられていない。(侵略戦争やめよだけでは弱い)
  平和憲法を守り、核兵器の廃止等に触れられていない。