しんぶん赤旗の賞味期限切れの記事と政治的感性のなさに落胆する。


令和2(2020)年4月29日


 しんぶん赤旗の4月29日の記事、10面【社会・総合】欄の「レーダー」の記事で「アベノマスク」の検証をという記事は、既に新しい論点が出ているのに全く古い観点から批判している。
 また5面【国際】欄では、中国関連の記事が3点載っており、その政治的視点が綱領改定の立場とズレが生じている。

アベノマスクの検証の論点の推移をしんぶん赤旗は、追い切れていない。

 本日付けの赤旗は、「レーダー」という欄で署名付きの「アベノマスク検証を」という記事を載せている。その論点は、@不良品が続出し回収に乗り出す。A「布マスクのお金を全部使っていたら、PCRセンターができたわけです」志位発言。B「全国民に布マスクを配れば不安はパッと消えます」官邸官僚の進言。C布マスクの納入業者の政治資金の献金などを指摘しています。
 これらの論点は既に語りつくされた議論であり、このマスクの検証論議は、4月21日厚生労働省が福島瑞穂氏の問い合わせに回答した時から新たな争点が生まれた。回答のポイントは受注業者3社を明らかにし、さらにはそれぞれの受注額を明らかにしました。しかしこの回答から新たな疑問が発生した。それは@受注業者は4社と今までに言われており、1社の名前を隠している。A受注金額の総額が約90.9億円であり、予算額466億円と大きな差額がある。(最初は200億ぐらいと発表し、後に466億円に増額した経過がある。)
 この批判に論点は変わった。赤旗は、布マスク全戸配布の予算は466億円。うち、マスク購入費は169億円で、現在、契約は額がわかっているのは90.9億円。と書いていますが、受注業者が4件と公表しながら3件しか発表されていないことは、予算額と受注額との大きな開きについて淡々と書いているだけでここが問題だという指摘はしていません。しかもこの記事は福島瑞穂氏への回答を見てから書かれたものです。福島市への回答で初めてマスクの購入代金の総額が分かったからです。
 福島瑞穂氏は、政府の回答を見て、「この回答には問題がある予算と受注金額に差がありすぎる。さらに問い合わす」と主張しています。(4月21日)
 赤旗はこの記事を書く際に、福島瑞穂氏が厚生労働省からこの回答を引き出したことを書いていません。この辺も「アンフェヤー」だと思います。
 事態はさらに進化し、27日に厚生労働省は新たに福島瑞穂氏に回答をよこし、4社目の受給業とその金額を発表した。その残り1社は、福島市「ユースビオ」樋山茂社長という福島市にある無名の会社であった。この会社は、ホームページもなく、NTTの番号案内にも登録されていない。グーグルマップで見る限り、社屋は平屋のプレハブのような簡素な建物である。ペーパーカンパニーではという疑惑が浮上した。(注1)
 現場を見たマスコミ報道によると、社名の看板も何もなく、郵便受けには白いビニールテープ貼られ、うっすらと別の社名が二つ透けて見えたとの記事がある。さらに、会社の表には公明党のポスターが貼られ、会社内でマスクの生産等をしている雰囲気はない状態であった。この時点で騒動が大きくなったのは、マスコミが法人登記を写しを取りに法務局に行ったところ、同じ住所、同じ代表名で複数の会社の登記されていることがわかった。さらに登記簿の写しを請求したが、現在登記の変更申請中だから閲覧はできないとの回答がなされた。(注2)

注2:ユースビオ社の登記・変更完了、「輸入業」などが追記される。

 登記簿の写しの請求が拒否された段階で、桜を見る会で共産党の宮本議員が、参加者名簿の開示請求をした2019年5月9日に、その資料は同日シュレッターで葬り去れた事と同じ手口に見えた。政府はいち早く手をまわして事実の隠ぺいを行ったという情報が駆け巡ったが、この件は定款に書いていない仕事の受注をしたため、単に記載を追加したものと分かった。(ただ定款にも書いていない業者がなぜ受注できたのかは疑問だが)
 もう一つの疑問は、事務所の入り口には公明党のポスターが張られており、さらにはこの公明党の若松謙維衆議院議員の政治資金報告書には、ユースビオの樋山茂社長と樋山尚子(氏が同じというだけで関係があるかは不明)名義で12万円ずつ政治献金が行われていたことも発覚し、公明党の案件かとも疑われ、この会社をトンネルにして多額の公金が安倍首相側や公明党にも流れたのではという議論が巻き起こった。

注1:「ユースビオ」樋山茂社長という人物は、2018年に3200万円の脱税懲役1年6ヶ月、執行猶予3年で
  現在、執行猶予中脱税で有罪判決を受けており、また自宅が #アベノマスク の受注直後の4月9日
  に競売物件として公示され、5月に入札される予定になっていた。(この件については、4月24日付
  けで債権者から競売を取り下げられている)

 4月28日14:58に週刊朝日「#新型コロナウイルスという記事」が出て、問題の本質が相当整理して出されている。


 この記事見出しは「本誌入手のアベノマスク『仕様書』でわかった"欠陥"と国内生産の謎『命取りになる』と自民党幹部
 ここには、まず受注企業は4社でなく5社、最初の3社+ユースピオ(4.7億)+横井定(契約金額不明)と書かれている。さらに配送を請け負う日本郵政の受注額は26億円でマスク代と合わせて必要経費は121億円と算出されている。(この件についても、マスク代が約200億、郵送代が約200億という情報が流れた時期もあり、郵政の大株主トップは麻生財務大臣(発行株数の63.29%を保有)なので丸儲けだという批判もあった。)
 さらに、この記事では、「4月8日、発注先5社のうちの一つであるA社の従業員N氏から、繊維業のさかんな東海地方のアパレル関係会社に送信されたメールがある」そこには<加工賃ですが、政府向けの仕事なので、正直申し上げますが¥80円/枚以下です>と書かれています。これが事実だとすれば、安倍首相は1枚200円だと主張し、予算も200億取っていたのだから、発注金額も、200億円であったと思われる。(厚労省の福島瑞穂氏への回答は95億円・・2回目の回答)それぞれの業者が政府のために安い発注を行い政府の予算削減に協力したとは思われない。莫大な利益を上げるつもりであったのか不思議である。
 さらには、外注した場合発注先は、日本国内か(国内で作らせた場合はどの企業か)外国かが明らかにされず、うわさされているミャンマー当たりの在庫を買って納入した業者がおれば、1枚10円ぐらいのマスクで大儲けしたはずである。
 不思議なことに最後に名前が公表された「ユースビオ」だけが、どこで調達(ベトナム)したか、1枚当たりの単価(135円)で350万枚納入したと答えている。(これは計算も合う:4.7億円)さらに社長は「自分の会社が納入した分には返品がない」と主張している。一番怪しいと思われた企業が、一番まともだったのかもしれない
 赤旗の「レーダー」の争点は相当古く、この5社の納品枚数と仕入先などの追及と最後の1社は、ペーパーカンパニーの疑惑が残り、このような業者が受注することが考えられるのか、競争入札ではなく随意契約なのに、会社の実績があるか等の確認は行わなかったのか、疑問は残る。(この会社は定款にマスクの輸入など記載されておらず、4月10日に定款の修正を行っている。)
 赤旗が指摘しているAの志位委員長の指摘も、あまり的を射てない。韓国等に比べ日本のPGR検査が進まなかったのは、お金の問題ではなく、もともと厚生労働省の中でPCR検査を行えば、多くの陽性者が摘発され、医療現場が混乱するという発想があり、PCR検査を広げることを嫌がってきた流れがある。テレビ等にも医者が出てきて、日本の方法が正しい、韓国やドイツの方法は誤っていると、大きな声で叫んでいる医者がいた。ドイツと韓国が陽性者の数を減らしてきた実績を見て、日本でもPCRが重要だとの意見が出たが、未だに路線変更ができていない。
 さらに蛇足ではあるが、テレビによく出る、日本医師会常任理事釜萢 敏氏は最近になって医師会は、「37.5度の熱が4〜5日出るまで病院に来るな」と主張していたのも関わらず、「そんなことは一切言ったことがない。通常37.5度ぐらいなら4日間ぐらい病院に行くことをためらって自宅療養していた人も、今回は4日も待たず、すぐに病院で受診してくれと申し上げた」と平気でうそをついた。安倍首相が平気でうそをつくため、医者迄平気でうそをつく社会になった。
 問題は「てんこ盛り」であって、共産党(赤旗)の追及は時代遅れである。


5面【国際】欄では、中国関連の記事が3点載っているが、綱領の改訂との関係は?

 赤旗5面は、中国の記事3篇で埋まっている。一つは「王全璋氏家族の元へ」という記事である。二つ目は「北京の学校が一部再開」、三つ目は、北朝鮮に検査キットと中国の記事を三つも載せている。これらの記事が綱領改定の立場から書かれているか点検してみたい。
 一番の「王全璋氏 家族の元へ」はサブタイトル「中国の人権派弁護士逮捕から約5年」という記事である。この記事は全体的に美談と受け取れるように書かれている。写真も親子三人が喜ぶ姿が映し出されている。
 毎日新聞も同じ記事を載せているが、赤旗とは基調が違う。基本は中国の人権侵害は許さないという思想で貫かれている。
 赤旗は、当局は新型コロナウイルスの感染予防を理由に王さんを戸籍地の山東省済南市で監視し、隔離期間の14日を過ぎても当地から離れることを認めていませんでした。と書いていますが、
 毎日新聞は、現地当局は王さんの隔離終了後も「北京は(思想)改造に好ましくない」などと帰宅を認めなかった。26日李さんが虫垂炎で病院に救急搬送され、王さんが北京へ向かおうとした際、警察当局は地元派出所の車で移動することを条件に帰宅を認めたという。
 さらに赤旗の締めは「王さんは香港紙『リンゴ日報』に『今日ようやく妻子を抱きしめることができた。逮捕された時はまだ3歳だった息子も今は7歳で随分重たくなった』と語り、妻の李さんについて「ただただ申し訳なく思う。彼女一人に負担をかけるべきではなかった。」と述べました。」で終えています。(何か美談風にまとめています。)
 毎日新聞は「王さんは、中国当局がカルトとして取り締まる気功集団「法輪功」の弁護活動を続け、19年に国家政権転覆罪で実刑判決を受けた。長期拘束について米議会やメルケル独首相が懸念を示していた。」で締めている。(中国の人権抑圧批判と欧米の圧力の重要性に触れている。)
 赤旗が中国は社会主義国とは無縁な国だと認定したのであれば、これぐらいの批判的主張でまとめるべきである。この両方の記事を切り取って、どちらが毎日新聞でどちらが赤旗かを選んでもらった場合、果たして識別が付くであろうか?

 第二番目の記事は「北京の学校が一部再開」という記事を載せています。サブタイトルは「高校3年生 3か月ぶり授業」という記事です。これも爽やかな記事です。高校生たちがニコニコして登校している写真が中心です。中国は最初の感染源ですが、今ではそんなことは忘れたように、最初にコロナウイルスに勝利した国として宣伝し、世界の国々に援助の手を差し伸べています。しかし武漢は確かに克服したかもしれませんが、国内には未だ深刻な状況が残っているという噂も聞きます。私が友達に「中国はすごいな!武漢はコロナウイルス撲滅に成功したもようだ」と話した場合、必ず「中国の言うことなど信用できない」と言葉が返ってきます。それぐらい日本国内では中国に対する不信感があります。北京の特派員の記事ですからその辺を見極め、他紙や他党派と違う正確な情報を流してほしいと思います。私も中国の主張の半分は信用していません。これだけ明るいニュースを配信するのが正しいのか?少し疑問があります。

 第三目の記事は、見出しは「北朝鮮に検査キット」「中国が提供『緊急時に備え』」ですが、中の記事は「中国が北朝鮮に新型コロナウイルス検査キットを提供したことを明らかにし、『緊急時の必要に備えるためだ』と述べました。北朝鮮は新型コロナ感染症の国内発生を否定しています。」「北朝鮮に防疫用物資を援助したと指摘し、『中国は可能な範囲で必要な国を支援する』と強調しまた。」という記事を載せている。中国政府に対する提灯記事見たいな記事になっています。
 一般の商業紙(誌)は、中国はコロナ危機を利用し、世界制覇を狙っている。コロナ危機が解決した段階で、世界の覇権を握っているのは中国だという見方さえある。そうした世界的な見方から外れ、中国の支援を純粋に「人道支援」と描くのはお人よしである。

 これら3点の記事を見る限り、共産党はいまだに親中勢力だなと思う。

 お詫び:この記事は「ユースピオ社」の実態がまだ明らかでない時点で書いたので、一部事実に誤りが
     ありましたので、新たな事実が分かった5月4日で一部修正しています。
     (例えば自宅の競売は取り下(4月24日付)げがあった事及びマスク業務に全く関係がないの
     ではなく、ベトナムで生産されていた事実等が分かったので、その評価を一部変えていま
     す。)