日本共産党 最近おかしくないですか

抗日線勝利70年式典しんぶん赤旗 やはり中国寄りの宣伝記事になっている


平成27(2015)年9月5日


赤旗(9月4日付)見出し「中国 兵力30万人削減」

 この見出しを読めば、中国は平和を求め、軍縮路線を踏み出そうとしているように読み取れる。赤旗は30万人削減を、「中国は『平和発展の道を堅持する』とし、現兵力230万人から30万人を削減すると宣言しました」という文脈の中で書いている。
 これでは、全くの中国の立場の広報誌に成り下がっている。国内では安倍首相が積極的平和主義だと主張しても、「それは軍拡路線であり、戦争への道だ」と一番鋭く批判している」赤旗が、中国では習近平国家主席の主張を何ら批判的に検討せず、そのまま赤旗で流すという重大な弱点を有している。
 習近平は本当に平和を求め軍縮を図ろうとしているのであろうか、中国の狙いは軍の近代化であり、昔のように中国が侵略された際に、圧倒的多数の人民が敵を包囲し敵を殲滅するような形での軍隊から、近代兵器に装備され、逆に中国が世界に打って出られるような軍隊へと軍隊の質の変化を狙ったものである。まさに軍拡路線そのものである。

抗日線勝利70周年を毎日新聞はどう伝えたか

 同日付の毎日新聞は、「習主席『正しい歴史観を』」「戦勝行事70年談話を批判」2面で「習氏、名実トップに」「戦勝パレード就任3年で閲兵」「海空軍増強し近代化」5面社説で【抗日戦勝利70年】という社説を掲げ、「力の誇示が不安を招く」という記事を書いている。
 これは、おそらく四つ視点から中国を見ていると思われる。一つは中国の対日政策の核心は二つは、中国における習近平の権力の掌握度を図る。三つ目は中国の軍の近代化はどこまで進んでいるのか、四つ目は中国の軍拡路線は近隣諸国にどのような影響を与えているかである。
 赤旗の「中国は平和を求め軍縮路線に向かっている」とは大きな違いがある。私など学生時代は、この赤旗の主張を全面的に信頼していたが、今日では様々な情報に接することができ、多くの国民も中国の実態を学んでおり、赤旗の主張を信じる者はすくないであろう。現在の中国の実態とはあまりにもかけ離れた報道である。
 

中国は軍縮に向かっているのか、軍拡に向かっているのか

 現代中国を語る場合、上記に掲げた4点の視点からからの分析が必要であるが、赤旗の掲げた中国軍縮路線こそが最も無知な議論と思われるので、この点についての批判を行っておきたい。
 230万人の軍隊は、基本的には陸軍主体の軍隊と思われ、他国からの侵略の際に、侵略者を圧倒的多数の人民で包囲して殲滅するという、毛沢東時代からの遊撃戦争論がその基本にあった。しかし現在の中国の狙いは「戦って勝てる近代軍にする」という思想がその根底にあり、毛沢東時代のように他国から侵略されることを防ぐことを主要な目的とした軍隊ではなく、最近は海洋大国であることを宣言し、アメリカに対し、今やアメリカと中国が世界二大大国であり、中国とアメリカ太平洋を二分化(太平洋のハワイから東部を米国が、西部を中国がとる)というのはどうかと呼びかけている。
(ただ、中国陸軍の多さは、外国の侵略に備える側面と国内の暴動を抑える側面が有り、単純には削減できないが)
 現代中国は、国土防衛を中心思想とする陸軍ではなく、海軍や空軍の増強を狙い、アメリカと同じように世界の憲兵としての役割を果たすことを狙っている。中国国防省の楊宇軍報道官は3日、削減理由を「組織と非戦闘員を簡素化し、軍組織を向上させるためだ。17年末までに基本的に完了する。」(毎日新聞9月4日)と述べている。
 この動きを赤旗は「平和発展の道を堅持する」とい文脈の中で捉えたが、毎日新聞は、「習氏は今後、軍権掌握を背景に軍改革を加速させていきそうだ。」と評価した。

中国の軍拡路線は、近隣諸国の不安を招いている。

 毎日新聞は【社説】で、習主席は式典で「兵力30万人の削減」を表明し、何度も『平和』の重要性に言及した。・・・
 だが、重要なのは実際の行動だ。パレードには複数の核弾頭を持つ大陸弾道ミサイルや空母キラーと呼ばれる対艦ミサイルなど最新兵器も登場した。南シナ海での海洋進出を急ぐことと重ね合わせれば、中国の意図に疑問を持たざるを得ない。・・・
 自国の利益追求だけでは信頼は得られない。国際社会、地域全体の安定に貢献し、軍事力信奉を抑制することが中国のいう『平和』に説得力を持たせるのではないか。」と書いている。
 赤旗は、安倍内閣の推し進める「安保法案」法案に対しては、「戦争法案」だと鋭い批判をし、その姿は多くの国民の支持を受けつつあるが、中国問題では、平和のための「兵士30万人の削減」と中国の主張を鵜呑みするようであれば、共産党が天下を取れば、中国と同じことが行われるという批判に対して反論できないであろう。
 赤旗が「正義の味方・真実の友」であるのであれば、安倍内閣の推し進める「戦争法案」反対とともに、中国の軍拡路線に対しても批判を続けなければならない。そうしないと論理の一貫性がなく説得力を持たないであろう。