コロナ禍の下、赤旗紙面は間抜けな記事ばかり。はたして一紙で間に合うのか?


令和2(2020)年6月5日


「正義の味方真実の友」=赤旗は、その名の相応しい新聞か?

 いつも、赤旗と毎日新聞を読みその他の新聞はインターネットから情報を集めている。「正義の味方・真実の友」であるべき赤旗はその使命を果たしているか極めて疑問である。定まった編集方針があるのか疑わしい。もしあるとすれば、できるだけ政府批判は辞めて建設的な記事を書くことを基調にしているように見える。
 第二次補正予算案の発表の翌日の赤旗一面はまさに政府賛美の記事になっていた。(赤旗一面の画像)赤旗の補正予算案の記事は、その後少しづつ修正しているが、基本は変わらない。本日(6月7日付け)赤旗の日曜版が手に入ったが、第2次補正予算案について以下のように報道している。(文字が緑色の場合はクリックしていただくと該当画面が出ます)
 まず、「国民の切実な声に」というのがメインの見出しで、その後に@「経営危機への財政支援なし」A家賃給付など迅速な支給をB授業料の一律半額免除こそという見出しを掲げている。さらにその横に志位委員長の会見を載せ、「大穴・遅い・巨額予備費」の三つの問題という記事を載せている。予算案翌日の「世論の力で支援拡充」「医療3兆円 家賃2兆円」と手放しで評価視点から、「国民の切実な声に」と少し見方を変え、「経済危機への財政支援なし」とはっきり批判的な記事を書いた。
 この間の赤旗を見ていると、一般紙の一周遅れでやっと批判記事を書く本当に間抜けな姿勢をさらし出している。今日の赤旗で言えば、一般紙が既に「コロナのどさくさに業務委託費の名で税金をむしり取る。」という姿勢で批判を始めているが、共産党はこれもピント外れな批判を行っている。
 まず毎日新聞を見てみよう。一面に「4年前も電通に丸投げ」「給付金受託業者『トンネル』ひはんも」2面に「経産省 公告前に接触」「持続化給付金 業者に聞き取り」「識者『公平性妨げる恐れ』」「野党『癒着犯罪的だ』」という記事を載せています。明らかに安倍内閣と電通の癒着を犯罪的だと批判しています。
 赤旗はこの記事をどのように書いたか「電通 首相側に献金」「給付金事業の再委託先」「自民党に税金還流の構図」という記事を書いています。この記事の見出しは確かに勇ましいですが政治献金の問題と、今回のコロナ禍の下での火事場泥棒的犯罪をごっちゃに批判し、かえって問題の本質を分からなくしています。
 なぜなら、安倍政権に対する批判は、今回の給付金事業の委託先の一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」と電通が各10万円ずつ安倍首相に献金していたことが政治資金収支報告書から分かりました。と鬼の首でも取ったかのように書かれていますが、年間10万円3年間の実績で30万円づつと言われても、「それが何か?」という疑問が成り立ちます。政治資金規正法に違反するならともかく、法的に許容された献金ならなんら問題はありません。すべての企業がこれくらいのお金を自民党に献金しているのは当たり前だと思います。さらに電通が自民党の政治資金団体「国民政治協会」に毎年献金していますと書いて図表まで作成しています。2012年は720万円、2013年〜2018年までは、年間480万円になっています。これも大企業なら当たり前の姿に見えます。
 問題は安倍内閣と企業の癒着・不正が現実のものとして浮かび上がったことに、事の重大性があるのです。コロナで中小・零細企業がどんどんつぶれていく中で持続化給付金が、そうした経営者迄届かないのは、企業実績が全くないトンネル会社にこの事業を委託した所に問題(癒着)があるのです。それが国家ぐるみでこうした不正を行っているところに国民の怒りがあるのです毎日新聞「野党『癒着 犯罪的だ』」と書いていますが、赤旗にこの迫力がありますか?ことの本質をゆがめ、政治資金の方から批判しています。一つの筋ではあるが、この場合は違うと思います。国民の怒りは、国民が苦しんでいる時に大企業は本来苦しんでいる国民に給付されるべきお金をピンハネして儲けようとしている。この企業の反社会性に怒りを爆発させているのです。共産党の批判は全くピント外れです。

赤旗は消費税削減との関連で経済問題を語ることを避けています。

 その他も赤旗の記事はすべてピント外れで満ち溢れています。本日の一面トップは「感染抑止と経済・社会活動の再開を一体に進めるために」志位委員長が提言発表・・まさにこれが提案型の政治です。共産党は政権批判をやめ、提案型の政党に衣替えを図っています。これが最大の誤りだと思っています。赤旗が一紙で間に合う新聞を目指すのであれば、ジャーナリズムとして失格です。時の権力を批判しなくなれば、ジャナーリズムは死滅します。
 一面右下に面白い記事が載っています。それはドイツの話です。以下引用します。
 「コロナ禍 消費税減税」「16兆円経済対策」という記事です。赤旗はこの間一貫して海外の記事や著名人の発言などで自らの言いたいことを表現します。この実例は、3.11後共産党は原発反対を掲げなかった。ところが赤旗ではヨーロッパの反核運動を大きく取り上げていました。消費税問題も共産党の基本政策からは語られず、他国の記事でその立場を表明していまっす。例えば今日の赤旗一面の志位委員長の提言では、消費税反対という中見出しは付けず、さりげなく、「生活困窮者への支援強化に加え、消費税の5%への減税と免税事業者の拡大も掲げています」と書かれているだけで、現在の経済の落ち込みがコロナ不況と言われていますが、実態は消費税の10%影響が大きく既に経済が減速している中で、コロナ禍が起こり、絶体絶命迄に追い込まれています。そういう意味では消費税「ゼロ」の実現が重要ですが、赤旗を読んでも消費税減税の話はほとんど出てきません。
 今日の新聞ではドイツの事例と「新しいパンフレットができました」という紙面4分の1ほど取る大きな広告だ「消費税廃止をめざし 5%に!」という大きな宣伝があります。赤旗日曜版にもコロナの記事はたくさんありますが消費財減税の話は一切出てきません。さらには現在一番問題になっている、コロナ関連事業で再委託が問題になっていることも触れていません。

「大企業」「内部留保488兆円」という記事を載せています。(本日付赤旗6月5日) 

 この内部留保金の問題については法政大学教授の水野和夫氏の記事を、赤旗の志位委員長との発言比較で既に紹介したが、(5月18日赤旗志位委員長と同日毎日新聞の水野和夫氏の論文と比較する。)今回の内部留保の記事も全く間抜けなものになっています。
 何が腑抜けな記事になっているのか?それは赤旗が春闘の場合も同じだが、大企業に対してこの内部留保のお金の1%〜2%を労働者の賃上げに回してくれないかというお願いでしかない対応です。
 水野和夫氏はこの内部留保金463兆円内、リーマンショック以前の貯えが、200兆円であり、リーマンショック後、何かがあった時のためにと強引に内部留保を増やし463兆円までふくれあがってきた。そこで(463−200=263)263兆円はリーマンショック後に従業員と預金者に本来支払うべき賃金と利息を不当に値切った金額の累計が263兆円であるからこの半額を企業は差し出すべきだと主張している。(詳しくは上記5月18日に書きました)
 なお内部留保の金額が水野氏の書いた463兆円からこの間の488兆円に膨れ上がっている。(コロナ禍でも過去最高:赤旗の見出し)大企業は飽くなき利益追求に走っています。
 

 水野氏の論文と赤旗の記事の違いは何か


1.水野氏は内部留保金とは何かを明らかにしている
   ★本来従業員と預金者に支払うべき賃金と利息を不当に値切ったもの
   ★内部留保金は将来の生産力増にならないので、生活水準の向上につながらない。
2.緊急時における内部留保近の役割も明確にしている
   ★緊急事態に備えた蓄積であり、緊急事態時には即返還すべき性格のもの
   ★日本人全体の危機なのだから「日本株式会社」として全就業者と全預金者を含めた1億2596万人に還元する
       ものである。
   ★大企業は136兆円放出すべきと迫っています

 赤旗は、内部留保金が如何に増えてきたかは書いているが、その内部留保の性格(搾取と収奪のたまもの)という位置づけはできず、「コロナ禍でも過去最高」「労働者の賃金抑制」と書くのが精一杯で、最後に「ためこみ活用を」小さな字でおそるおそる書いている。

毎日新聞としんぶん赤旗をザクっと手に取って「パラパラ」と見た感じ、圧倒的に毎日が追及口調、赤旗は政策提案に比重を写し追及を避けている。


 毎日新聞は一面トップでは、「河井案理氏立件へ」「選挙買収」「克之氏と共謀罪容疑へ」「検察当局」さらに、「4年前にも電通に丸投げ」「給付金受託業者『トンネル』批判も」と書いている。どちらも政府批判記事だ。
 赤旗は「感染抑止と経済・社会活動の再開を一体に進めるために」「志位委員長が提言発表」が一面トップであり(3面にも詳しく)他はドイツの消費税減税、改憲発議阻止必ず、大激戦 沖縄県議選 天安門31年続く人権抑圧という記事を載せている。
 
 毎日の2面・3面は、米軍投入、国防長官が否定 抗議デモ「最後の手段」、前長官、大統領を批判 米紙に声明「国民分断している」「経産省公告前に接触」「野党『癒着犯罪的だ』」、
三面「コロナ余波 医師解雇」「受診者減 病院経営圧迫」「病床維持に高いコスト」「投稿者電話番号開示へ」総務総方針「SNS中傷 被害者に」さらにミニ論点「第2派備え支援を」、「減収補填に疑問を」という大学教授の主張を載せている。

 赤旗の2面・3面は、まず【主張】働く人を守りぬく対策を急げ、「米中の人権侵害は重大な国際問題」「日本政府はきっぱりと対応を」「志位委員長表明」、さらに「天安門事件31年」 「志位氏が批判」「中国指導部に反省なし」「この問題は今の中国の問題」さらにはと知事選挙、「ポストコロナへ意義ある選挙」小池 晃さんという記事を載せています。
 3面は「感染抑止と経済・社会活動の再開を一体にすすめるための提言」を一面に書いています。
 まず2面の評価ですが、毎日新聞米国の抗議運動の現状と国防長官等の動きを報告してくれています。赤旗アメリカと中国を一まとめにして志位委員長が表明という形で読者に判断材料を渡してそれぞれがそれをどう理解するかの読者の自由意思を踏みにじり、志位委員長がこう言っているからこう理解せよという立場で書いています。しかもよく分からないのは、最初は「志位委員長が表明」と書き、3番目の記事は「志位委員長が批判」と書いています。この違いが何かよく分かりません。

 最後にしょうもない事ですが、本日の赤旗を見て最初に違和感を持ったのは、「矢 撃たれ2人死亡」「兵庫・宝塚 親族を現行犯逮捕」という記事でした。昨晩テレビでは3人死亡と報道されていたのに2人だったのかと一瞬思いましたが、毎日新聞「ボーガン撃たれ3人死亡」「宝塚・1人重傷 親族の23歳逮捕」と書かれていました。
 この短い見出しですが、いかに正確に伝えるかでは、毎日新聞が上回っています。赤旗は死者の数が違うし、他の重傷者も触れていないし、弓矢とボーガンは違うので凶器が何かも毎日が正確でした。この状態が赤旗の限界を表しています。