参議院選挙を戦う決意が共産党にあるのか?方向性が見えてこない!



令和4年6月15日


選挙は与党の失政を暴き、共産党ならこう解決していくと示すのが基本である。


 共産党は参議院選挙に向けてどうした公約を掲げて戦うのか、その内容がゆれに揺れている。その最大の弱点は、敵と戦うという視点を失ってしまったからである。
 共産党が今全国でこのポスターで戦おうというのは、「自由と平和」まっすぐつらぬくというのと「暮らし」「やさしく強い経済に」をメインに「気候危機」「いま止める」と「ジェンダー平等」、「日本共産党」「なにより、いのち」「ぶれずに、つらぬく」、「憲法」「9条いかし、平和の外交を」というもが主要なポスターだと思われる。番外に「日本共産党のしんぶん赤旗」というのもあるが、すべて何を主張しているのか分からない。
 

このポスター共通点は、敵と味方を明らかにせず、概してピンボケである点である。

 
 まず今共産党が一番力を入れている「自由と平和」というポスターにどれだけメッセージ性があるのか極めて疑問です。自民党の正式な政党名は自由民主党です。自民党も自由を大切にしています。「自由」という概念で、共産党は他党より上回っていることを証明しない限り、この「自由」という文字は何ら有効性をもちません。次に「平和」ですがこれも同じです。自己満足で共産党は他党より「平和」守っていると思われているのかと思われますが、これも実証されていないので、「平和」という言葉が胸に突き刺さりません。他の「暮らし」「やさしく強い経済に」これも全く空虚な言葉です。「やさしく強い経済」と聞いて心に響きますか、何を言っているのかさっぱり分かりません。
 この馬鹿げた宣伝文句、私が気付いたのは、2011年の大阪知事選挙の際の宣伝文句が「安全で安心できるまちづくり」でした。私はこんな馬鹿げてスローガンでは、必ず敗北すると何回も警鐘しましたが、最後までこれで突っ込み、大敗北を食らいました。それ以降大阪の選挙を見ていても、すべて戦いを放棄し、ノー天気な標語を掲げ、負けてばかりいます。
 なぜ、こんな簡単なことに共産党は気づかないのか不思議でたまりません。

なぜ、共産党は政府与党の政策を批判して、自らの政策と切り結ばないのか不思議でたまりません。

 これは重要なことですが、与党は共産党に批判されることが怖いので、マスコミを使い「批判ばかりしていては勝てない」負けたのはこれが原因だと批判しています。この政府与党側の策謀に表向きは反対していますが、何時の間にか、この攻撃に屈服しているのです。
 相手の弱点を攻撃し、それに代わる政策を出して戦わない限り、選挙では共産党は勝てません。戦いの原理原則から逸脱しているからです。まず私が最初に思った「安全で安心な社会をつくる」ですが、この言葉は誰でもが支持する言葉です。そもそも出所は、警察の防犯のスローガンだと思います。このような誰もが容認する当たり前のスローガンは、選挙の投票行動に結びつかないスローガンです。
 この同じ響きが感じられるのは「自由」と「平和」です。これも誰も反対しないスローガンです。こんな当たり前のことを言って選挙の投票行動に結びつきますか?「標語やスローガンは「気づき」を促すものである必要があります。「平和」と「自由」という言葉だけでは、極端に言えば「雨が降れば天気が悪い」というような主張に見えます。有権者の心に何の影響も与えない言葉が羅列されているだけです。
 例えば今手元にある赤旗を見てもいいスローガンが沢山あります。「平和」では、「9条で平和VS改憲・大軍拡」、「『大軍拡』」大合唱でいいのか」、「『戦争する国』前のめり」、「生活苦なのに軍事費2倍?!」「共産党の躍進で日本を救おう」、「反戦貫く党の出番」、「軍拡なら生活破綻」、「核共有 大軍拡やめよ」「経済」では、「政治が変われば暮らしが変わる」、「消費税減税を今こそ」、「岸田改革で、困窮者生活破綻」、「生活の安全保障最優先に」、「高齢者苦しめる政治をやめよ」、「年金減 怒り爆発」、「賃上げすれば出生率も上がる」、「大学学費 緊急に半額にせよ」「ジェンダー」では、「公権力乱用の性暴力許さぬ」
 これらはここ2〜3日の赤旗新聞から取ったものだが、このような具体的な怒りや、解決方法をポスターにも出さなければならない。「平和」と「自由」では何をやろうとしているのか分からない。取り分けて共産党には民主集中制という組織原則があり、党内批判を否定していることから、「自由」ということに対しては、評価点が悪いと思われる。共産党の考える「自由」と国民が考えている自由が一致(波長が合っているのか)懸念が残る。「自由」を通して国民との何を共有しようとしているのか分からない。(この点については後でもう少し述べる)。
 なぜキャッチコピーを国民の要求に合わせて語らないのか、「やさしい経済」なる造語を勝手に作って、国民がすぐに同調できると考えるトップの方々のセンスが伺われる。
 先にも述べたが、「やさしい経済」は、「安全安心な社会」と同じタイプの言葉であり、言葉は綺麗だが、聞いた人の心に何の影響も与えない。なぜ「年金」や「消費税」と誰にもわかる言葉で語らないのか、国民から遠い世界に生きている人の発想に見える。

以下ここからが本題である参議院選挙公約の問題点(赤旗6月9日付け)を見ていきたい


「平和でも、暮らしでも、希望がもてる日本に」という見出しで、日本共産党の参院選政策

まず見出しから疑問があります。
1,2,とありますが、三つ目の見出しには「3,」がありません。なぜかは全く分かりません。
1.「力と力」でなく、「外交による平和を」―憲法9条を生かす平和の外交で東アジアと世界の平和をつくろう
  (1)日本を戦争に導く「力対力」の道、9条改憲に反対します。
  (2)ASEAN諸国と協力して東アジアを平和地域にー日本共産党の「外交ビジョン」
  (3)「ロシアは侵略をやめよ」「国連憲章を守れ」の一点で全世界が団結を
  (4)日本は核兵器禁止条約に参加し、「核兵器のない世界」の先頭に
  (5)沖縄新基地建設を中止し、日米地位協定を抜本改定する
 この1.での私の見方では、ロシア侵略にもう少し触れるべきだと思います

2,物価高騰から生活を守るー弱肉強食の新自由主義を転換して「やさしく強い経済に」
   ―日本共産党の五つの提案
  (1)消費税を5%に緊急減税・インボイス中止、暮らしと営業を支える政治に
  (2)「賃金が上がる国」に
    大企業の内部留保を賃上げに
    中小企業支援セットで、最低賃金を1500円に
  (3)年金削減の中止、給食費無料化―
    経済力にふさわしく社会保障と教育を拡充します
  (4)気候危機打開―
    原発即時ゼロ、石炭火力からの撤退。純国産の再エネの大量普及でエネルギー自給率の向上を
  (5)ジェンダー平等をあらゆる分野で貫きます。
  (6)財界中心の政治のゆがみにメスを入れてこそ暮らしを守れる。

(?.)日本共産党は「国民が主人公」の民主主義をめざします。
  (1)異常なアメリカいいなり政治をただします
  (2)財界・大企業中心の政治をただし、「ルールある経済社会」をつくります。
となっています

 この政策の大雑把な問題点は、見出しの整合性が無い。この文書は3つの分野から成り立っています。そこで、1.2,とありますが3,とは書かず、実質「3,」があります。なぜこうしたのかは疑問です。
 二つ目の疑問は、2,日本共産党の五つの提案と書かれていますが2,には(1)〜(6)まであります。これも整合性が取れていません。さらには(5)から(6)の間に番号のない(?)「富裕層と大企業に応分の負担を求めますー財源としても格差是正のうえでも」が入っています。
 三つ目の疑問は、「物価高騰から生活を守る」はやや具体的過ぎて、この言葉では全体の課題を拾えません。ここは「国民の生活を守る」位の入り方が良いと思われます。
 四つ目の問題は、この文書は9ページから11ページまでありますが。本来なら11ページの下半分が一番重要なことを書いています。旧綱領にあったアメリカ帝国主義や、日本独占資本主義に対する批判は最後の11ページ後半に集中しています。
 2,の本来「(6)」(新聞には記載のない「6」)の富裕層と大企業に応分の負担を求めますー財源としても格差是正のうえでも と、赤旗上の(6)の財界中心の政治のゆがみにメスを入れる立場に立ってこそ暮らしを守れる、さらには本来3.の日本共産党は「国民が主人公」の民主主義日本を目指しますの(2)財界・大企業中心の政治をただし、「ルールある経済社会」をつくりますが、上手く整理されていない様に思います。これらの視点が中心に置かれるべきものを、最後にバラバラに書き、階級的視点の全くない「物価高騰から生活を守る」という大見出しの中で語っています。チグハグな議論です。
 五つめの問題は、子育て・子どもに「冷たい国」から「やさしい国」へと書いています。「冷たい」や「やさしい」が何を指すのか分かりません。変に「やさしい言葉」を使って分かりやすくという手法が反って分かりにくくなっています。
 六つ目の問題は、優しい言葉を使ってみたり、難しい言葉を使ってみたり、文書全体の整合性がありません。難しい言葉の例「インボイス中止」、「ジェンダー平等」、「リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」等です。難しい言葉については、説明文を載せるべきです。
 ジェンダー平等についても私は批判してきましたが、その目指すものが何かが全く見えない段階で、前回の衆議院選挙戦では、4つのチェンジが大切だと、気候変動、ジェンダーフリーを前面に出して戦われました。
 共産党がこの二つの命題で何を狙っているのかを明確にせず、これらの課題で戦うのは危険です。気候変動の件も、太陽光パネルが大量に導入され成功したかに見えましたが、逆に自然社会を傷つけ、批判も出てきています。
 ジェンダーフリーも高槻市では一時期ある建物でトイレの男女別の見極めマークもスカートの女性はダメ赤の色はダメとして、男も女も黒色にして運営されてきましたが、批判の方が多く、改修されています。この問題はもっと議論を積み重ねていかないと誤った方向に舵を切ってしまう恐れがあります、共産党の目指すジェンダー平等は何かを示すべきです。
 教育現場で、女子便所、男子便所の分類をやめたとか、体躯の着替えで別の部屋を避けるとか、男性にスカートをはかせたりした事例があると聞きます。
  私は共産党がこれを目玉にするのは危ないと見ていましたが、最近読んだ赤旗では男女同一賃金に力を入れられており、これは当たり前の要求であり、昔から男女の賃金格差をなくす戦いはなされてきていました。言葉の言い換えで、全く質の違うものを求めているのかと思ってみていましたが、当面は男女の賃金格差是正であれば大いに支持します。
 ただ男らしさ、女らしさを全て否定するのは難しいのではと思っています。男のくせに、女のくせにみたいな押しつけは、問題がありますが、すべて同じも問題があるのではと思っています。もっともっと議論が必要な課題だと思っています。

最後に、今回の選挙での最大の訴えは、「自由」と「平和」です。


 共産党は自由と平和を追及していることは認めますが、党内では自由がありません。この点の改善抜きに「自由」を語られても、国民には浸透しないと思っています。社会主義を名乗る(あるいは名乗ってきた政党)は、党内の言論の自由を認めないだけでなく、国民の言論の自由も保証していません。党内で言論の自由を認めない者が、権力を握った際に国民には自由を与えるということが、本当にできるのでしょうか?この疑問が常に残ります。ロシアはウクライナ侵略に際しても、反対する者は、海外にいても追いかけ暗殺している疑いがもたれています。自由と民主主義は、長い歴史的産物であり、それを体現していない限り党内と党外は違うというような使い分けはできないのでは思っています。
 以下毎日新聞6月11日号の今週の本棚に掲載された、日本共産党「革命」を夢見た100年中北浩爾著の書評中島岳志の文書を引用します。
 日本共産党は戦後政治の中で、繰り返し「民主連合政府の樹立」を訴えてきた。その相手は公明党や社会党などであったが、挫折し続けてきた。それはなぜか。ここに共産党の「強硬」な側面が現れる。党外の多くの人たちから理解を得られないのが、「民主集中制」というシステムである。(中略)党指導部の意見が一致していると、それを覆すことがむつかしい。人事も任命制であり、「定数を超える候補者による自由な競争は、分派活動が禁止されていることもあって、ほぼ存在しない」。一枚岩的な党運営は、中央集権的で統制的とみなされ、「共産党のアキレス腱」となってきた。党内民主主義が機能していないならば、権力を奪取したときに、独裁体制に転換してしまうのでないかという懸念を持たれてきたのだ。と書かれている。
 ただこの本を書いた人は「本書が共産党関係者に拒否されず、建設的な議論に寄与することを願っている」と書評は言う。日本共産党がより国民に開かれた政党になるためにも、本書をめぐって活発な議論が行われることを期待したい。で終えている。
 これを反共攻撃だと言って攻撃すれば、国民から益々離れて行ってしまう。共産党の試金石である。

 この本に書かれている事(書評しか見ていないが)重要であり、私も同じことを考えて来た。私の実践例では、私が基本的に支部を握っていた。その中に一人権力欲の強い者がいた。(以下「A」という)Aはある日、私の家に来て「自分は今回市委員になった。これからは君の指導には従わない」と宣言して帰っていった。私はこのAは危険分子と捉えていたが、市委員会がそう決めたのなら仕方が無いと一線を退いた。ずいぶん昔の話で正確には覚えていないが、その後、半年か1年後に、市の共産党の幹部二人(一人は市会議員この人の名前は憶えているが)が訪ねてきて、「A君が市委員になった経過を教えてほしい」と申し出て来た。その時の私は怒りが一杯で、その経過は全く知らない。あなた方が決めておき、今頃その経過を教えてくれとは全くの筋違いだと言って追い返した。こんなバカなことが行われていた。市委員会が自ら市委員に任命しておきながら、なんでA君は市委員なったのかを聞きに来るほど、馬鹿集団の集まりである。民主的運営ができていないとんでもない事例で実質上私は失脚した。
 前回も私しか知らないことを披露したが、40数年も前の事であり時効だと思って、この話も初めて世間に披露した。(こんな事が行われていることを中央は知らないであろうと思われるが、民主主義の大切さを理解してほしい。)