共産党は批判より、政策提案型に衣替えしようとしている。そのことが政権に近づけると!


令和2(2020)年6月11日


 本日(6月11日)付け赤旗一面トップは、「新局面のコロナ対策」「志位委員長が提案」「雇用危機打開」、「検査拡充」、「学びの保証」「保健所削減進めた政権の責任ただす」「1クラス20人程度教員は10万人増を」という記事が載っています。
 さらには2面、3面、及び14面にも関連記事を使って大々的に志位氏の発言を伝えています。ところがこれだけの紙面を使いながら消費税ゼロを目指せとは一切追及していません。
 この志位発言を一般紙はどう伝えたか、毎日新聞を見ても志位発言を一行足りも載せていません。これを共産党は反共攻撃だと主張すると思いますが、正直言って私もピント外れだと思っています。
 毎日新聞の1面トップ記事は「持続化給付1万件未払い」「政府 全容把握できず」という記事を載せています。現在国会での論戦の最大の課題は、コロナ禍でも安倍政権は身内だけを優遇するという不正に手を染めています。安倍政権の退陣を迫ることが今日的課題だと思っています。共産党はこの戦いから一歩引き、政策提案型の政党に衣替えしようとしていますが、それは同時に国民の気分感情から離れて「あさっての方向」を向いて発言しているように映ります。
 毎日新聞は「家賃給付 委託942億円」「リクルート受注へ」と伝えています。これは「持続化給付金と同じ構造」だということを伝えています。国民民主党の玉木雄一郎代表は予算委で「非常に多額だ。適切に執行されるかきちんとチェックする必要がある」と玉木氏の発言を伝えています。
 さらに「首相補佐官が外注先元顧問」「持続化給付金」にまつわる官邸と企業の不正常な関係を告発しています。
 その次に「2次補正案衆議院通過」という記事を載せていますが、「共産党は、10兆円に及ぶ予備費を『財政民主主義に反する』と問題視して反対した。立憲などの野党は予算案に賛成はしたが、中小企業への「持続化給付金」の業務委託問題などの追及を続けるという形で結んでいます」。

朝刊で一番期待した記事は、給付金の受託法人、が無人であったという詐欺まがいの実態である。

 一昨日、この会社は幽霊会社ではないと、報道陣に職員が仕事をしている姿を映させ、記者の質問にも答えていた。しかし翌日(昨日)野党議員が訪れたら、警備員2人がドアの前に立ちふさぎ「中には誰もいない」と説明、いつ戻るのかなどの質問に「分からない」と繰り返した。まさに篭脱け詐欺である。
 これだけコロナ対策を巡る不正が横行し、現実に国民に給付金が届かず破綻している人がいる中で、突っ込みどころを突っ込まず、「20人学級」など夢の話がどのような役割を果たすのか疑問に思う。例えば「10万人の教員の増員」はそんなことが可能か、心配事がある。果たしてそれだけの人材が確保できるか否か、一時期に大量の教員の増員は、不純分子も採用され長期的には教育の破壊をもたらす危険もある。これらもしっかりした議論が必要である。

当面する課題から逃げ、未来の空想的な話で対応する共産党の姿勢には大いに疑問がある。


 東京新聞は、「給付金の受託法人、事務所また無人、前日に報道公開」という記事を書いている。
 本部事務所はこれまで無人が続いていたが、法人は9日、在宅勤務体制を緩和して本部の使用を再開したと説明していた。野党共同会派の山井和則(無所属)「国民に虚偽の説明をしたことになる」と述べた。
 9日の内部公開時には、電通やパソナなどから出向する職員五人が国へ提出する書類を作成するなどしていた。広報担当理事の武藤靖人氏は「この事務所では総務や経理、人事などを担当している。都内に複数の拠点があり、百五十人体制で支払い業務などを行っている」と説明していた。報道している。
 問題はこの同じ情報に接した共産党はこの事実を報道する価値がないと判断したことである。安倍政権やそれに群がる怪しい法人を叩くことに興味を示さず第2次補正予算案については、「問題は、予算の3分の1を占める10兆円もの予備費を計上していることであり、第2次補正予算のそれ以外の部分は、不十分さや問題点があるものの賛成できる、しかし、10兆円の予備費の計上をそのままにして賛成できない」と表明しました。
 なぜかいち早く賛成を表明し(10兆円の予備費以外については)まだまだいろんな問題があるのにいち早く政府批判から退き、提案型の議論を展開している。共産党は批判政党としての野党から脱皮して、提案型の政党になる事で、他の野党との差別化を図っているが、これは政府側が、投げかけた罠にはまっているだけである。
 野党が批判的精神を失えば自滅するだけである。昔から野党は批判ばかりしているとの批判があり、何とか政権に近づきたい人たちはやっぱり批判だけではダメだと言って政策提案型の政党になるという動きがある。これが成功したことはない。結局は政府の保管政党になるだけである。
 最後に東京新聞の優れた記事を紹介したい。持続化給付金の主な委託費の流れ図を毎日のように書き換え真実に迫ろうとしている。こうした緻密な努力が相手を追い詰めていく。
 みんなで追い詰めている時に、赤旗だけが次の舞台に移っている。これは権力側から歓迎されても、国民側からは歓迎されない。
 
参考:東京新聞6月5日6月6日6月9日の持続給付の委託費の流れの図式化。頭が下がる立派な追
   及である。