赤旗は「森友学園問題」を籠池批判に終始し、一貫して事の本質を見誤っている。


           平成29(2017)年6月26日



「『森友学園』捜査」、「国有地格安売却の核心に迫れ」26日付赤旗【主張】

 ついに赤旗も森友学園問題の本質が分かり、森友学園疑惑の本質は「国有地格安売却の核心に迫れ」という【主張】を掲げたと思って読んでみたが、見出しの勇ましさに比べれば中身はやっぱり不十分である。

 毎日新聞は「森友学園強制捜査」の翌日(6月20日)付新聞で「不正の闇に司法の手」「本丸 国有地値引き」という記事を書いている。この記事は、「ただ、多くの人が不信を抱くのは国有地売却の問題だ」と書き、近畿財務局職員を背任容疑で告発した豊中市議を登場させ「問題の本質は国有地の値引きと不適切な小学校認可の経緯だ。」と本質を抑え、そのあとに「違法行為があれば捜査するのは当然だが、籠池氏をしケープゴートにするだけでなく大阪地検は背任容疑で捜査を継続し、疑惑を解明してほしい」と訴えた。という記事を書いている。

森友疑惑のポイントは金額の多寡で決まるのか?

 26日付赤旗の【主張】は、毎日新聞と同じ視点で書かれているか点検してみよう。赤旗はこの【主張】で『補助金問題は氷山の一角』という小見出しを付けて、「いずれも重大問題ですが『森友学園』をめぐる疑惑全体では氷山の一角”です。」と書き、そのあとに「8億円も値引きする破格の安値で購入しようとしていました。」と書いています。8億円の値引きは近畿事務局側の問題として捉えず、購入側=籠池氏に問題があると言う認定で書いています。さらに「金額は、補助金の不正よりはるかに巨額です。」と書いています。赤旗のいう『確信に迫れ』は、補助金詐欺の金額より、8億円の値引きの方が金額が大きいので、こちらに迫れという要求です。(いずれも対象は籠池氏です。)

 私は赤旗の主張は、籠池氏が悪いのか近畿財務局が悪いのかという筋書きで書かれていると読んでいましたが、よく見ると全て籠池氏が悪いと言う設定です。ここに赤旗の最大の特徴があります。これでは単に籠池氏による詐欺事件です。(加計学園問題と共通性が失われます。)

 補助金詐欺も「氷山の一角」です。(「いずれも重大問題」・・赤旗の記載)と取らえ、「8億円の方が金額が大きいから、そっちを捜査せよ」という主張であり、「本質はどこにあるのか」という毎日新聞の追及とは全く次元の違う指摘です。

 毎日は『本丸』に迫れ、と書いています。つまりこの事件の解明は、「@近畿財務局の不可解な値下げとA大阪府の不適切な小学校の認可の経緯です。」籠池氏の補助金詐欺はあだ花みたいな物であり、この事件の本質とは全く違います。赤旗の捉え方は籠池氏の補助金詐欺はこの事件の「氷山に一角」と捉え、補助金詐欺を本質問題に仲間入りさせています。補助金詐欺による強制調査が官邸側の戦略だと言うことに全く触れないノーテンキさが気になります。

 この森友学園の本質をどうとらえるかは、加計学園問題にもつながります。大阪府が行おうとした森友学園の小学校の認可は、安倍氏が行った加計学園認可(正式にはまだ認可されていないが)と同じ構図です。しかもそこに税金が流れていくのも同じ構図です。つまり学園ビジネス詐欺事件です。その本質は国家による特定の者に対する利益誘導です。

 ただその過程で、籠池氏の補助金詐欺が見つかっただけであり、この事件の本質とは全く関りがありません。国家による犯罪を隠ぺいするため、告発者の人格攻撃を行う官邸側の下劣なたくらみです。前事務次官に対する人格攻撃には同調しない赤旗が、籠池氏に対する人格攻撃には、あくまでしがみ付くのか共産党の真意がわかりません。

週刊誌は「空気を読む」ことが得意。週刊誌を見れば、共産党の間抜けさがわかります。

 明日発売(7/8)の週刊現代の広告が今日の毎日新聞に載っています。面白い見出しが一杯載っていますが、森友問題では「籠池泰典氏の『刑務所送り』で世論はますます逆風に。」「もう転落は止まらない」と書いています。

 この見出しはなぜ生まれたのか、それは官邸が森友学園の本質が暴き出されることを恐れ、「籠池氏をスケープゴート」(毎日新聞)にすることで、自らは逃げ出す作戦を、国民はすでに見抜いているという視点で書かれているのです。

 国民は赤旗のいうような「籠池氏の補助金詐欺」と「近畿財務局の不当な値下げ」を金額の多寡でとらえているのではなく、「本質隠し」と「本質」として捉えているのです。(注1)官邸がもし籠池氏を刑務所に送り込んだら、国民は拍手喝采するのか、籠池氏が主張するように国策捜査と見るのか、そこがこの見方の最大の分かれ目です。

注1:私は、補助金詐欺は籠池氏、8億円値下げは近畿財務局の犯罪と捉え、どちらが本丸かの見極めが
   大事だと言う視点でこの文書を書いていましたが、赤旗をよく読むと、補助金詐欺も国有地の値下
   げも籠池氏の犯罪と捉えているようです。
    しかし毎日新聞は、6月22日の28面【社会】では、「捜査まず財務省では」という記事を書い
   ています。やはり土地の値下げ問題は「財務省の問題」と捉えるべきです。(当たり前のことです
   が、この「財務省では」は場所を表しているのではなく、明らかに国家権力としての財務省で
   す。)
    最初の見方、「籠池が悪いのか、近畿財務局が悪いのか」という見方が私の頭に残っており、途
   中から視点を変えたため、ここの文書も少し混乱しています。

 赤旗は、大阪地検の「強制捜査」の翌日の赤旗では、「森友学園を強制捜査」「大阪地検」「補助金不正受給の疑い」という記事を載せています。籠池氏の逮捕を期待している記事構成です。

 週刊現代は籠池逮捕」を世間は許さない。これは森友学園疑惑隠しだと捉えていると見ています。私もこの週刊現代の見方を賛成します。(毎日新聞もこの立場です。)