共産党と宮内庁の「ひちりき」

  いつから共産党は、宮内庁の味方になったのか?  



 高槻市会議員団の出す「市政資料」は、相変わらずピンボケである。共産党はこの「ビラ」を何のために配布しているのか、このビラのお金は、議員に支給されている「政務調査費(税金)」から出ている。このビラをまくことによって、(与党議員として)高槻市の広報の役割を果たそうとしているのか、それとも共産党の姿勢を市民の方に理解してもらおうと思っているのか、その意図が全く見えてこない。

 おそらく共産党は、このビラを使って高槻市会議員団の活動報告を行い、共産党に対する支持を広げようとしていると思われる。しかし残念ながら高槻市会議員団にはその政治的力量はなく、このビラをまけばまくほど、支持を逃がしているのが現状である。

<共産党は宮内庁の見方?>

 共産党の「市政資料」はいつも支離滅裂だが、今回のビラ(「市政資料」NO.399 2012.10.25)は共産党もついに地に落ちたと言われるほどひどいものである。とうとう共産党が宮内庁の擁護派になってしまった。

 ビラの見出しは、「ムダな大型公共事業の推進」、「新名神「見直し区間」建設中止を」というものであるが、その「中止」を求める理由が、高槻市民の生活との関連でなく、「鵜殿のヨシへの影響」(中見出し)である。以下全文を記す。

 新名神は、淀川河川敷きにある「鵜殿のヨシ原」の上を横断します。鵜殿のヨシは、平安時代から雅楽の篳篥(ひちりき)のリードがつくられている貴重なヨシです。宮内庁も明治以降、鵜殿のヨシだけを使っています。ヨシの育成に大事な環境を守ることを要望しました。

 これが共産党の主張です。このビラでは、高槻市民の生活との関連では一切触れていません。せめて古典芸能を守る立場から、反対を主張するなら容認されましが、宮内庁がこのヨシを使っているから守れという主張は「右翼」の主張であり、宮内庁の「ヨシ」と高槻市民の生活とどちらが大切かの基本的視点を失った主張です。

 さらにこのビラは最初の見出しで「建設中止」を呼びかけながら、結論は「宮内庁のヨシ」を守ってくれるなら容認するという条件闘争になっています。

<このビラは「新名神」再開問題の基本が押えられていない>

 この間凍結されていた大型公共事業が相次いで解除されたのは、消費税の増税との関連だ。消費税の増税は民・自・公の3党合意で「社会保障と消費税の一体改革」を謳いながら、社会保障制度の具体案なしの増税一辺倒法案としては衆議院を通過した。そして「附則18条2項」で「消費税率の引上げ等による経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する」と盛り込まれた。この附則は何を言っているのか。「事前防災及び減災」は公共事業のことである。しかもこの分野に「資金を重点的に配分する」というのは消費税を公共事業に使うということである。

 そもそも、自民党は6月に衆議院に議員立法で「国土強靭化基本法案」を提出しているである。この法案は大災害に備えて国土を強靭化するため10年間で200兆円の公共事業費が必要だとしている。この自民党の200兆円が3党合意の密室会議で「附則」として挿入されたのだ。消費税の増税が社会保障費に充てられるのではなく、公共事業の拡大に道を開いたのである。

  この視点から、新名神の問題を取り上げないで、「宮内庁のひちりき」が危機に瀕しているから「新名神「見直し区間」の建設中止を」という共産党の主張は、共産党の思想的崩壊を示している。このビラを政治問題に詳しい者に見せてどこの政党が出した物か問うた場合、共産党だという回答が出るであろうか。

もしそのような回答が出るようだったら、共産党は遠の昔に「国民の味方」でないことを見抜かれているのだ。

参考資料:日本共産党 高槻市会議員団「市政資料」NO.399 2012.10.25