共産党 穀田恵二国対委員長 在職20周年記念祝賀会の意味するもの


平成29(2017)年8月5日


自民党の重鎮達が集まって穀田氏の国対委員長在職20周年記念祝賀会を催す

 

  まず、概要を説明するため7月31日の赤旗を以下に引用します。

 「議会制民主主義の発展をめざし 穀田国対委員長20年のつどい

与野党政治家、各界代表出席 


 「議会制民主主義の発展をめざし、穀田恵二君の国会対策委員長20年を祝うつどい」が30日、京都市内で開かれ、自民党から共産党まで与野党の政治家や京都の各界各層の代表ら約300人が出席しました。
 発起人は、河野洋平元衆院議長、大島理森衆院議長、川端達夫衆院副議長、ジャーナリストの田原総一朗氏の4氏。穀田氏はあいさつで「私の信条は『わだつみの悲劇』を再び繰り返すまいだ」と話し、憲法前文に不戦の決意と主権在民が明記されているように「政治の最大の目的は戦争をしないことだ」と述べました。その上でつどいでは議会制民主主義の役割について大いに意見交流していただきたいと呼びかけました。これを受け、各党の国会議員らが発言。河野元議長は、「少数政党でもその後ろには多くの国民の支持がある。少数意見の尊重が議会制民主主義にとって重要だとみんなが理解し、議論が行われるべきだ」と述べました。
 大島議長は、「憲法、国会法、規則、先例にもとづく穀田氏の正論には教わることも多い」とのべました。
 田原氏は「安倍内閣は一強多弱の時代が長く続きすぎた。緊張感が緩み、ずうずうしくなった」と政局にふれた上で「共産党は森友・加計といった国民から見てアンフェアに映るところへの追及も鋭いし取材力もある。チェック機能としては非常に信頼している」と話しました。
 また、穀田氏の大学時代からの友人でシンガー・ソングライターの杉田二郎さんは、1970年につくった歌「戦争を知らない子供たち」がいまに生きていると述べ、披露しました。
 つどいには京都の山田啓二府知事、府議会議長らも参加。日本共産党からは小池晃書記局長をはじめ多数の国会議員、地方議員らが出席しました。
 
 という記事を載せています。

 赤旗の写真は地味な写真になっていますので、その時の雰囲気を表す写真は、共産党井上さとし参議院のHPから借用しました。少しピントが悪く分かりにくい写真ですが、この写真はトリミングされずに全員が写っていますのでこの写真で説明します。(自民党が主導権を握った祝賀パーティだということがよくわかります。)

 この写真はトリミングされていないがピントがボケている。(一番左端に井上さとし参議院議員が写っているから左側の削除が無く、全景が分かる。


※写真追加しました。この写真は全員が写っていないが誰が参加しているかよくわかる。(一応写真の解説は全景が写っている方で行っている。)

 この写真の前列(椅子に座っている人)の顔ぶれですが、まず一番左端が誰かは分かりません(新聞等ではこの人をカットした写真になっています。・・・2枚目の写真も)次は民進党の安住淳元国対委員長、その次は二階俊博幹事長、その次は河野洋平元衆議院議長、穀田氏、川端達夫衆議院副議長、最後は竹下亘元国対委員長とそうそうたる顔ぶれです。二列目は小池書記局長、笠井亮政策委員長など共産党議員が占め、三列目は京都選挙区の議員等が見えます。(例えば市田副委員長や籠池氏の証人喚問で頑張った自民党最右翼の西田議員の姿も見えます。・・一枚目の写真の三列左端)

 まずおさらいいですが、この祝賀会の発起人は、河野洋平、田原総一郎、大島理森衆院委員長、川端達夫衆院副議長です。賛同呼びかけ人には安住淳氏、河野洋平氏、自由党代表・小沢一郎氏、二階俊博氏、衆院予算委員長・浜田靖一氏、元衆院議長・伊吹文明氏、が名前を連ねています。

 会場の中央のテーブルには、元衆院議長・河野洋平、同・横路孝弘、同・伊吹文明、衆議院正副議長大島理森、川端達夫、自由党代表・小沢一郎、民主党代表代行・安住淳、自民党幹事長・二階俊博、衆議院予算委員長・浜田靖一とそうそうたる顔ぶれです。他にも自民党総務会長・竹下亘、共産党からは副委員長・市田忠義、書記局長・小池晃氏が席についた。

この自民党のベテラン幹部集団を見て何を考えるか(想像するか)

 これらの顔ぶれを見て、現役の共産党員はどのような印象を持たれたでしょうか。共産党の日本の政治の中で役割が評価され、自民党も共産党を無視できなくなった。いよいよ共産党の出番だと喜ばれ方もおられると思いますが、この自民党にハイジャックされたような祝賀会は、自民党側に何か策略があると捉える方もおられると思います。
 私は、この祝賀会に大きな違和感を禁じ得ません。共産党は国民の権利を踏みにじる安倍自民党政治と戦っている最中、何かお花畑のような集会を開くセンスが分かりません。
 共産党は、現在の最大のスローガンは、野党共闘で、自民党政権を打倒そうですが、数年前まで、保守との共同に力を入れていました。この集会に集まった自民党の古狸たちは、共産党が保守と共同したいという希望を持っていることに望みを託し、野党共闘路線の粉砕のために、敢えてこのような華々しい祝賀会を行い、野党共闘路線に楔を打ち込んだものと理解しています。
 この集会の発起人や賛同呼びかけ人に自民党の人が多く参加し、民進党や社民党などは、民進党の安住氏、それと横路孝弘氏の二人しか見当たりません。民進党前原氏は前日まで参加予定であったが、民進党内の代表選挙に出るため、参加されなかったと聞くが、前原氏も保守側の人間です。
 民進党内の野党統一派の議員はいないのか、あるいは社民党には呼びかけさえしなかったのか、同じ少数政党でも自由党小沢一郎氏は参加している状況を見て、保守の側は安倍一強に不満を持つ議員が、共産党との共同も視野に入れているのかとの想像が働きます。また、民進党には共産党と手を組み、自民党と対決する野党共闘路線を追求する潮流は存在しないのか等いろいろ疑問がわいてきます

日本共産党 京都府委員会のHPを見て驚いたこと

 JCP京都という京都の共産党のHPがある。ここに穀田議員の祝賀会のニュースが載っているが、これが非常に面白い。まず7月31日のしんぶん赤旗の記事が引用され、穀田議員が演壇で自らの抱負を語っている写真が載せられている。その次のページから祝辞を述べた議員の写真が順番に出てくる。まず河野洋平、2番手が民進党安住淳氏、三番目がなんと公明党の漆原良夫氏である。(実際は所要のため欠席をされたが)漆原氏からのメッセージがHPに記載されている。すごい美辞麗句が躍っている。一例をあげると「最近、こんな奥行きのある国体委員長がいなくなったようなきがします。」と書かれている。
 4番目が伊吹文明元衆院議長、5番目が二階自民党幹事長、6番目が民進党横路孝弘元衆院議長、7番目が自由党。小沢一郎、8番目が小池晃書記局長、9番目が大学時代の友人杉田二郎(シンガーソングライター)という順になっています。
 共産党のHPの公明党前国会対策委員長 漆原良夫氏の「お祝いの言葉」(全文)が載っておりその内容がまた絶賛と来るから、信じられない世界が紹介されている。(JCP京都参照)

この集会の目的は疑うが、穀田議員だから実現した集会だと思われる。

 私は立命館大学で穀田氏の1年後輩になる(彼は文学部、私は法学部であった)が、ある特定の任務で穀田氏を長とする集まり(5人だったと思う)に参加した経験がある。穀田氏は全共闘が大学で大手を振って闊歩する中、私などは一定の悲壮感みたいなものがあったが、彼は常に明るかった。大学に泊まり込み、机の上で寝ていると全共闘が隊列を組み、数時間毎に笛を吹きながら押し寄せて来る。(睡眠を妨害してくる。)この殺伐とした生活の中でも常に彼は明るかった。比較の対象が悪く怒られそうだが、森田健作のような元気さ、笑顔があった。おそらくあの当時の活動家の中で、最も笑顔が似合う青年だった。
 今回の公明党の漆原良夫議員の「お祝いの言葉」にも、「言い終わってからニコッとする君の『笑顔』はすばらしい。『人間・穀田恵二』の真骨頂ですね」という言葉が書かれている。その通りだと思う。穀田恵二という一人の政治家がみんなに愛され、これだけの盛大な祝賀会が行われたのは事実であろう。私もそれを認める。

発起人や賛同者が圧倒的に与党であり、仲間であるはずである野党が少ないのが気になる

 しかし、老練な政治家たちが果たしてそんなに純粋か私は疑いの目が優先する。自民党や公明党は「共産党扱いやすし」と思っているのではないだろうか?これらはすべて褒め殺しであって、野党共闘に楔を打ち込んできているのでは、あるいは「森友学園疑惑」「加計学園疑惑」「自衛隊の日報問題」等与党側の抱える様々な問題に対して、手加減を加えるように頼んでいるのでは思ってしまう。
 現に赤旗はこれらの政府与党の弱点糾弾で、極めて緩やかな対応を行っている。新聞では日刊ゲンダイの方が圧倒的に面白い。森友学園でも籠池逮捕により、逆に国側はピンチに陥っている。
 すでに近畿財務局との交渉経過がテレビや新聞で伝えられている。財務省の佐川局長が虚偽答弁していた録音テープの存在や籠池氏側が残した記録(メモ)等で佐川財務局長の答弁は完全に偽証だったことが明らかになりつつある。こうした動きに共産党は乗り切れず、どうしても籠池氏の詐欺が許せないという主張が前面に出てしまう。(これは安倍政権側の狙いである。)
 私がどうしても分からないのは、共産党は政治的力量が落ちて、何が問題の本質か見抜けなくなったのか、それとも保守との共同を狙い、与党側に不利になる追及には一定のお目こぼしを意識的に行っているのか、現状では判断できない。これらの評価はいずれ近いうちに明らかになるであろう。