戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府の呼びかけと高槻民報


平成27(2025)年9月23日


戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府の呼びかけという重要局面で

                      またまた馬鹿げた「高槻・島本民報」が発行された。


高槻・島本民報の内容は共産党大阪府会議員団団長の「宮原レポート」

 高槻・島本共産党地区委員会の発行する民報(ビラ)は大阪府会議員団団長の出す「宮原レポート」がその元ネタになっている。通常「宮原レポート」が出され1週間ぐらい経つと、ほぼ同じ内容を「高槻・島本民報」(以下「民報」という)と名前を変えて配布するという仕組みになっているようだ。
 この問題点は、「宮原レポート」は府会議員個人の見解だから、少しぐらいおかしくても許されるが、高槻・島本地区委員会発行の「民報」となれば、それは共産党の正式な見解であり、より慎重さが求められる。
 この間の戦争法案(安保法制)反対の「宮原レポート」は非常に偏ったビラになっており、それを踏襲する「民報」もその弱点を引きずっていた。その最大の特徴は、現在何が戦われているか(問われているか)が共産党中央の方針と全く違い、「宮原レポート」は軍隊(自衛隊)の暴走を最大の焦点にした記事になっている。
 戦争法案が強行採決されたことに抗議したビラの見出しには、「自衛隊」という言葉が7回も出てくるが、「安倍内閣打倒」や、「自公政権の暴走」や、「立憲主義、民主主義・平和を守れ」というような見出しは全くない。
 この法案が可決されれば、すぐにでも戦争が始まる戦争前夜のような視点でビラの主張が行われ、議会制民主主義の制度の中で、「憲法を守れ」、「民主主義を守れ」という戦いに全く関心を寄せていない、異常な主張になっている。

「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府を」という共産党の提案を受けた「民報」


 日本共産党志位委員長は19日記者会見で「『戦争法』廃止の国民連合政府」(以下「志位提案」と呼ぶ)の呼び掛けを行い、政界・マスコミ等に大いに注目されています。私もこの提案は時宜にかなった提案だと支持しています。
 しかし本日付「民報」は、この共産党の「志位提案」を説明し支持・賛同を求めたものだと思われますが、「志位提案」の根本を歪め、「立憲主義、民主主義、平和主義」を取り戻そうという主張はどこにも見当たらず、相変わらず軍事面からのみ、この提案を解説しています。
 民法は、右半ページを使い、この「志位提案」があったことを説明し、民主党岡田代表が「思い切った提案」と評価したことを伝えています。この部分までは別に問題はないと思いますが、左半ページで「いくつかの疑問について」という項目を起こしています。そのクエスチョンは以下の3つです

  第一は、政権の目的を戦争法に絞ったのは?
  第二は、まず法律が使われる地域は?
  第三は、中国の軍事力は“脅威”では?

 になっています。「志位提案」は19日記者会見が行われ、そこで重要な質問が多くなされ、志位委員長は、その一つ一つに丁寧に答えており、読むものにとっては興味をそそられる内容になっています。
 宮原レポート(この場合は「民報」)の最大の弱点は、こうした当中央の主張を学ばず、宮原氏個人の主張を中心に構成されていることです。
 この3つのクエスチョンおかしくありませんか?第一の質問は許せますが(回答は全く頓珍漢ですが)第二の質問、第三の質問は、戦争法案が議論されている最中での議論であり、この法案が強行採決された現時点では、全く意味をなさない議論です。少なくとも「志位提案」とは全く無関係な議論です。
 私が一貫して疑問に思っているのは、高槻・島本地区委員会は、赤旗を読んでいないのではと疑っています。あるいはよっぽど間抜け集団であり、「志位委員長の提案」の政治的意味が読み取れていないのではと思っています。

志位提案に対する「3つの『Q』はピンボケですが、『A』もまたピンボケです。」

 それでは一つずつ順番に見ていきましょう。
第一の
『Q』政権の目的を戦争法に絞ったのは?
『A』海外での武力行使をするか、しない日本を取り戻すか、日本の国の根本に関わる問題だからです。
  と回答していますが、志位氏はこの問題にどう答えているか
志位―今回の「提案」は、戦争法廃止、立憲君主制を取り戻す″という一点での「国民の連合
     政府」をつくろうという政権構想の提唱だというところに一番の要があります。
 この志位氏の回答を見れば明らかなように、今回の自・公政権の暴走により戦争法の強行採決で、奪われたものは「立憲主義・民主主義・平和主義」だと捉えており、これを取り戻す戦いをすべての国民と連帯して行うことが最も重要と捉えている。
 「民報」の言うような一足飛びに「戦争だ」というような稚拙な考えではない。さらにこの回答の中の「日本を取り戻す」は安倍首相の専売特許であり、このフレーズで解説する常識外れの回答には呆れかえる。(ギャグかもしれないが?)

第二は
『Q』まず法律が使われる地域は?
『A』南スーダンやジプチにはすでに自衛隊が活動しています。

 というようなQ&Aを作っていますが、志位委員長の記者会見でこのような質問は全く出ていません。「志位提案」に国民の疑問はどこにあるのか全く関心を払わず、相変わらず戦争法反対で宮原府会議員が主張してきた内容を載せています。このQ&Aは「志位提案」の説明に何の役割も果たしていません。
 なお蛇足ですが南スーダン問題は複雑で、
 「政府は20日、安全保障関連法の成立を受け、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣中の陸上自衛隊に「駆け付け警護」の任務を新たに与える検討に入った。」(読売新聞 が(9月21日(月)7時9分配信)報道しています。
  しかしこの南スーダンで一番活躍しているのが中国です。中国は南スーダンでの石油利権を確保しています。自衛隊は米軍の肩代わりをして中国軍を警護し、中国の権益を守る」ということになりそうです。「中国の脅威」論を押し立てて強行採決した法案の最初の適用が「中国権益の擁護」であるという皮肉な現状があります。


第三は、
『Q』中国の軍事力は“脅威”では?
『A』中国の習近平主席は、9月22日から9月28日まで訪米します。・・・米中の協力関係をつくっています。・・・日中・米中の本格的な戦争は世界が許しません。

 もともとこの『Q』も、「志位提案」とは全く関係がありません。なぜ、民報はこの『Q』を作ったのか?それは米国にも帝国主義的側面と平和の顔がある、中国も平和を求めているというアメリカ帝国主義美化論と中国が社会主義を目指す国としての理性があるという国際情勢の見方をあえて主張したかったのです。これもこの間配布されてきた「宮原レポート」や「民報」と同じ主張です。
 しかしそうでしょうか、アメリカは帝国主義そのものであり、中国はそのアメリカの利権を「我々も世界第二の経済大国になった。それにふさわしい分け前をくれ」とアメリカに迫っています。アメリカと中国で世界の利権を分け合おうというのが米中会談です。アメリカはこの中国の要望に警戒感を示し、自らの利権を守ろうとしていますが、戦争に頼らず一定の譲歩をしながら、中国と仲良くしていこうというのが、この会談の本質です。
 「民報」の最後の「日中、米中」主語になる文書も一貫して批判してきましたが、同じです。
 志位委員長は、「何よりも、日本の政治は、安倍政権に暴挙によって、平和主義、立憲主義、民主主義が根底から脅かされる、いわば非常事態に立ち至っています。」つまり日本の国民を守るという立場から問題を立てています。
 「宮原レポート」や「民報」は、無国籍(日本国民の命を守るがなく)であり、「日中や米中」を心配しています。しかも全くピント外れの視点で。
 「民報」は、安倍内閣が強行採決した「戦争法」と米中戦争の関連を全く明らかにせず戦争を煽り、その上で米中戦争の回避に「戦争法」反対すると無国籍の立場をとっています。米中は既に利害が共通する面の方が大きく、「民報」が指摘するような「本格的な米中戦争などというものは現状では想定できません。」全く馬鹿げた煽りでしかありません。

資料:高槻・島本民報(2015年9月22日版)