またまたおかしなビラ(戦争法案反対)を出した共産党大阪府会議員団団長



平成27(2015)年9月10日



安保法制(戦争法案)をめぐる国会情勢(自衛隊の内部文書をめぐって)

 戦争法案をめぐる戦いは最終局面を迎え緊張した状況が続いている。本日(9月10日付)赤旗は一面トップで「廃案まで声をあげ続けよう」という記事を載せ、国民に対してこの戦いに参加する呼びかけを行っている。
 国会での審議は、審議が深まれば深まるほど、国民の戦争法案に対する反対が増え、この法案がいかに国民を欺いた法案であるかが浮かびあがってきている。このような状態を描き出していく上で共産党の果たした役割は大きなものがあり、自衛隊の内部文書を示した追求は、安倍内閣を相当追い込んでいる。9月2日仁平聰平議員が参院安保法制特別委員会で追求した自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長の発言(「戦争法案の成立時期を『来年夏まで』と伝達していた)は、シビリアンコントロールを無視した自衛隊の暴走であり絶対に許されるものではありません。
 この仁平議員の追求に、中谷元・防衛相は何らまともな答えができず、「いかなる資料か承知していないのでコメントすることはできない」と逃げまくった。仁平氏はこの文書の存在確認を行い、委員会に正式に提出するようにもとめた。
 これに対して防衛省は、「同一の文書の存在は確認できなかった」としつつ「会談の中身は公開できない」と回答した。(7日)

この事態を毎日新聞(2015年09月07日 22時04分)は以下のように伝えた
 ◇政府関係者「内容に信ぴょう性」
 安全保障関連法案を審議する参院平和安全法制特別委員会で、河野克俊統合幕僚長と米軍幹部との会談記録とされる資料の存否が問われた問題で、防衛省は7日、鴻池祥肇委員長に対し「資料は省内にはなかった」と報告した。ただ、同趣旨の内容を含む文書の存在を示唆する政府関係者もおり、野党側は追及を強めそうだ。

日本共産党大阪府議団団長である宮原たけし議員はどう伝えたか

 10月10付(No7‐5)宮原たけしレポートは、この事態をどのように報告したかを以下に見ていきたい。

 彼はこのビラの見出し(内容)を三つに分けている。
第一番目は、「困ります」自衛隊トップのたび重なる暴走は国民無視
第二番目は、自衛隊トップの暴走から生まれた安保法制(戦争法案)の強行はやめよ!!
第三番目は、軍事対立のエスカレートは、日中、米中ともに破壊につながります。

 まず、一番目から解説すればいいのですが、このビラの最大の誤りは、第2番目にあり、この点から見ていきたいと思います。
 安倍内閣の「戦争法案」の提出が、自衛隊のトップの暴走から生まれたという評価は、このビラで始めて知りました。今まで野党各党やマスコミ等でも多くの安保法案(戦争法案)に対する批判はありますが、この法案が自衛隊のトップの暴走から生まれたという論評に触れた文書に接したことはありません。
 一体彼は何を根拠にこのような主張を行っているのか全く分かりません。仁平議員が告発した自衛隊の内部文書を根拠に、この主張を行っていると思われますが、共産党はこの文書の役割をそのような位置づけで語っていません。
 共産党のこの文書に対する位置づけは、「国会も無視した自衛隊の暴走、対米従属の実態が再び明らかになりました」(仁平議員の9月2日参院安保特別委員会での発言)あるいは志位委員長は「『軍の暴走』を政府あげてかばいだてするつもりか。」(9.8新宿西口大宣伝)としています。
 「自衛隊の暴走」は、確かに批判していますが、自衛隊が今回の安保法案(戦争法案)の主役(戦前の軍の独走)のような位置づけでこの問題を捉えていません。このような一件勇ましい意見はすごいように見えますが、物事の本質を見誤らせ、返って戦いに水を差すものです。
 次に第一番目の指摘に戻りますが、もしこの安保法案(戦争法案)が自衛隊のトップの暴走から生まれたものであるなら、「困ります」というような「へなちょこ」な批判の見出しを掲げるセンスが分かりません。最低限「断固糾弾」あるいは「絶対に許さない」くらいのスローガンが必要です。
 さらに、この中の文書ですが「防衛省は『(アメリカに遠慮し)会議録は存在する』と国会に報告しながら、一方では、説明を拒否しています。」と書いていますがこれは正確ではありません。
 先に述べたように、毎日新聞は「防衛省は7日、鴻池祥肇委員長に対し「資料は省内にはなかった」と報告した。と書いています。この防衛省の「資料はなかった」という人を馬鹿にした発言こそが糾弾されるべきであり、宮原レポートは大切な回答の発言を歪めています。志位委員長も先に述べた新宿西口大宣伝で「ところが、この内部文書について、本日、防衛省は、『同一文書の存在は確認できなかった』としつつ、「会議の中身は公開できない」と回答してきました」と報告しています。
 この防衛省の回答のポイントは、そういう文書は「なかった」と答えたところに最大のポイントがあります。(これは想像でしかありませんが、仁平議員が暴露した文書には誤字が含まれており。それを修正した文書が最終決済された文書として保管されており、仁平議員が提出した文書と同じ文書はなかったと居直っていると思われます。)

 次に第三番目ですが、最後の囲い込みの記事に平和を求める立場でその方向性を示したものと理解されますが、最後の一行(一番大事な結論)が、「軍事対立のエスカレートは、日中、米中とも破滅につながります。」という表現が全く分かりません。この安保法案(戦争法案)の最も問題点は、世界の憲兵(警察官)としてのアメリカの理不尽な戦争に日本が無制限に巻き込まれ、日本が誇ってきた平和国家としての国のあり方が根本的に変革されてしまうことです。
 米中間の軍事的対立は、日本の安保法案の成立如何にほとんど関わりがなく、日本が対中国封じ込めのため南シナ海などでアメリカの肩代わりをするか否かだけの問題です。
米中間で戦争が行われるようなことは想定できませんが、そんなことは勝手にやってもらえばいいのです。(誤解を招く表現ですが)我々は、日本人として、アメリカの無責任な戦争に巻き込まれることにいま最大の危機感を感じているのです。
 この文書の一段上に「B未来に向け、日中、日韓、日米、日本と東南アジア諸国などとの、対等の共存共栄の関係を一歩一歩強めていく。という指摘は曖昧な表現ですが支持しますが、「軍事対立のエスカレートは、日中、米中とも破綻につながります」という表現には違和感を禁じえません、日本、中国、米国とも破綻につながりますならまだ理解できますが、なぜ、「日・中」、「米・中」なのか、この「米・中」の組み合わせは何を意味するのか、日本の安全にどのような関わりがあるのか明らかにせず、このような組み合わせで語ることは理解できません。(日本の安全(平和)を語っているのに、「日・中」、「米・中」と中国は2回も顔を出し、何か中国主体で議論が構成されている気もする。)

(資料:宮原たけしレポート)