若者と共産党の連携は可能か?



平成27(2015)年12月12日

若者を吸収できない共産党の現状は、未来に展望が持てない。

 「白髪ばかりです」という運動の現状について、私も以前書いた事があります。京都市長選挙の共産党側の候補者でもあった広原盛明氏を招いた4.14神戸討論集会「とめよう壊憲!護憲結集!討論集会」(平成25(2013)年4月14日)神戸集会に参加した時です。
 ちなみに、この集会は護憲勢力の大同団結を目指したものでしたが、赤旗がこの集会を批判しました。(注1)そうした状況の中で開かれましたが、共産党員や支持者も多く参加しており、他の参加者からも、共産党との共闘実現を求める発言が目立ちました。

注1:この集会を批判した赤旗の主張
   「このような「集会」が憲法改悪阻止の国民的共同を広げるための建設的な
  意見交換の場になりえないことは明白です。」(具体的根拠も上げずに)
   「政党が正規の機関で決定した総括や方針を、公開討論で変えさせようなど
  というのは、政党の自主的活動への不当な介入、干渉に他なりません。」と主
  張した。(共産党の選挙総括に対する批判は許されない。)

 集会は共産党の不参加(党の代表者という形では)という状態で開催されたが、盛況であった。(120人定数の部屋に140人位が集まった。)
しかしこの140人の9割以上は団塊の世代とさらにその上の人達で占められており、若者は皆無であった。一番若いと思われる青年(一人)が30代かなと思われた。共産党が若者を結集できていないことに問題があるとみていたが、共産党に限らず、護憲勢力全体がすでに高齢化していることが分かった。
 ちなみに、この集会の主催者は81歳(?)、問題提起された広原さんが75歳(?)だったと思う。

選挙戦の共産党の支持者は、他の政党に比べ団塊の世代が圧倒的に多い。

 衆議院選挙等の際、駅頭でビラの配布が行われているが、他党派に比べ共産党の支持者は圧倒的に高齢者が目立つ。他党派が若者を大量に動員し、駅前を制圧したような状況で候補者の押し出しを行っている姿を見ると、共産党はすでに過去の政党に成り下がってしまったのかと思ってしまう。

若者と共産党のつながりは生まれるのであろうか?

 安倍政権の戦争出来る国家づくりへ邁進する姿を見て立ち上がった若者SEALDsの運動の盛り上がりの中に、若者が国のあり方に関して積極的に発言し行動していく姿を見て、この運動がさらに広がりを見せるか否かに今後の日本の未来がかかっているように私は思っている。
 共産党がこのSEALDsの運動とうまく連携し、行動出来る(戦える)政党へ脱皮していけば、新たな未来は切り開かれる可能性がある。

革新の統一戦線で戦うのか、保守との共同で戦うのか共産党は揺れ動いている。

 現在の共産党は、そうした戦略も戦術も持ち合わせていない。一番大切なことは誰に依拠して戦うのか。この最も中心的な課題が揺れ動いている。
 革新の統一戦線で戦うのか、保守との共同で戦うのか、腰が定まっていない。  SEALDsの運動が広がりを見せる前は、共産党はどちらかというと、保守との共同へ傾斜して行っているように見えた。赤旗の一面にもオール北海道の運動が成功しているというような話をトップ記事で2回も扱っていた。(TPP反対の集会だったと思うが、大きな写真を載せ、保守層と一緒に共産党も招かれ壇上に参列しているのが嬉しいとの表現だったと思う) 
 あるいは自民党の元幹部(野中広務・加藤紘一・山崎拓・古賀誠等)を赤旗に次々登場させ、安倍政権は悪いけど、安倍首相の取り巻きを除けば、保守は、共産党と手を結べる相手だというような宣伝を繰り返し行ってきた。
 しかし、保守との共同がいくら進んだという赤旗の記事を載せても実際の選挙戦では全く変化が起こらず、保守との共同の成功が、見掛け倒しであり、内実のないものが次第に明らかになってきていた。(2014年12月に行われた衆議院議員選挙での北海道の共産党は票を伸ばせなかった。)
 その流れを決定づけたのが、今回の大阪ダブル選挙である。志位委員長は、大阪ダブル選挙で保守との共同は、相乗効果で府民の支持を拡大し、大きな成果を上げると鼓舞したが、結果は、保守との共同は、何ら効果を出せず、むしろマイナスであることを示した。
 府知事選で栗原候補が獲得した1,051,174票(約100万票)は、団塊の世代がまだ元気だった15〜16年前に共産党が自公民を相手に独自に戦っていた時に、共産党支持候補が獲得していた票数である。(注2)

注2:●第14回(1999年)では、横山ノック氏が2350959票、鯵坂真氏(共産推薦)
    920462票
    ★1999年12月21日に横山ノック氏は、大阪地方検察庁から強制ワイセツ罪
     で在宅起訴され知事を辞職、2000年8月強制ワイセツ罪により懲役1年6ヶ
     月・執行猶予3年の有罪判決
   ●第15回(2000年)大田房江1380583票(自民、民主、公明、自由)、鯵坂真
    氏1020483(共産)、平岡龍人氏574821票(自民府連)

 共産党が戦えば、若者との連携が生まれてくる。(このことを自民党の方が理解している。)

 共産党は、戦争法案反対で、SEALDsの運動の広がりを見て、若者が政治に参加してくる流れの中に共産党を位置づけることが、共産党の今後を見据えた中で一番有利な方向性であることに気づき、「国民連合政」権樹立の方針を掲げたと思われる。
 現に戦争法案反対の戦いの中で戦われた地方選挙では、共産党は大躍進を果たした。例えば、2015年10月25日宮城県議会選挙では、共産党は選挙前の4議席から倍増させ、8議席を獲得した。
 この結果を見て、自民党の高村正彦副総裁は27日の党役員連絡会で、25日に投開票された宮城県議選の結果について「かつて安全保障問題を国会で議論すると、社会党が衰退して共産党が躍進したことがあった。そのデジャヴをみているようだ」と述べた。(産経ニュース:2015.10.2712:34更新)
 共産党は自らの戦いに成果にあまり気づいていないが、高村自民党副総裁は、「デジャブを見ているようだと」共産党の戦争法案反対に戦いが、若者との連帯を生み、国民的支援を広げていることに恐怖を抱いている。(これが政治的眼力である。)

 「国民連合政府」樹立も、戦争法案反対の戦いの高まりの中で実現すべきものである

 「国民連合政府」も政党間の連携に奔走するよりも、戦争出来る国づくりに反対する戦いを大きく盛り上げ、世論の多数を獲得していく事が重要である。
 「国民連合政権」権樹立を発表するまでの共産党は、他の革新的な政党との共同を求める声に対しては全く耳を傾けず(先に挙げた神戸の集会など)、むしろ「現在に政党の中で、共闘できる政党はない。共産党以外の政党は全て自民党の保管勢力でしかないと言い切ってきた。」
 さらに、今後共産党が共闘する相手は、保守層の中から新たに生まれるであろう修正資本主義の潮流が、相手だと公式に発言した。(26回大会決議:「私たちの連合の対象となる相手が、従来の保守の流れも含む修正資本主義の潮流であることも、大いにありうることである。」)
 しかし、戦争法案反対の運動の盛り上がりとそのさなかに戦われた地方選挙での著しい前進を見て、戦いの中にこそ共産党の躍進があることを、共産党の幹部もうすうす感じつつあるのではと思っている。(そうであることを私は期待している。)

大阪ダブル選挙の惨敗は、共産党の方針確定に好影響を与えるのでは?

 今回の大阪ダブル選挙の結果は、まさにそのことを教えている。自民党と共産党が共闘しても、政治は全く変わらないし、国民もこの共闘を全く期待していない。今回の大阪ダブル選挙の結果は残念であったが、中途半端な敗戦より、完全な惨敗であったことは、共産党に気づかせるために良い機会になるのではと思っている。二度と自民党との共闘を持ち出さないであろう。(共産党はこの結果から何も学ばないかも知れないが、自民党は今回の選挙結果から学んだであろう。共産党との共闘に大きなリスクがあることを。)

戦争法案反対の戦いの延長戦でこのダブル選挙を戦うべきであった。

 大阪ダブル選挙で、自民党候補を抱えているからと、安倍政権に対する批判を一切封印した。市民の中に生まれつつあった戦争法案反対の高揚感を全て踏みにじり、「自民党の候補者の当選こそが、あなたたちの生活を守る」では白けてしまう。そのことが共産党には分からなかった。
 先の記事にも書いたが、京都市長選挙では、「『日本を絶対に戦争する国にさせない。憲法を守りたいとの思いで立候補を決意した』候補者が語り、「戦争法の具体化に命がけで反対し、平和憲法を守り生かすこと、原発再稼働を許さない」と戦争法案反対の戦いの延長線上に市長選挙を位置づけている。(これならSEALDsも戦いやすい。)ここに大阪の失敗が学ばれている。京都が未だに市長選挙で接戦を演じられる源がある。
 今井さんが言われているのも、保守との共同か革新の統一戦線かその立ち位置を明確にすべきだということだと思います。コウモリのように、保守にもいい顔をして、野党にもいい顔をするこのようなどっちつかずの戦い方では前進は図れない。共産党の進むべき道は、安倍政権と戦い、国民の命と、生活を守ることです。