改めて問う、全選挙区立候補は正しいのか?

 供託金をドブに捨てる戦いになっている。



 10月18日(木)、私は高槻市の駅頭で、衆議院議員予定候補者(大阪10区)のA氏のビラを受け取った。なんとそのビラは、1ヶ月くらい前にまかれた府会議員M氏の「Mレポート」というビラであった。(何時もながらのピンボケのビラである。)他の何処の政党に国会議員候補が格下の府会議員が既にまいたビラをまく奴がいるのか、こんな話は聞いたことがない。A候補は毎週駅で朝立ちをしている。しかし残念なことにそこでまくビラが作成できない。そこで過去に作成した適当なビラを常にまいてお茶を濁している。

 この大阪10区では、日本維新の会の松浪ケンタ氏、および社民から民主党に鞍替えした辻本清美氏が出る全国有数の激戦区である。全国的にも注目されている選挙区でもある。ここで惨めな敗北をしたら、共産党の他党派との実力の差が全国的に認識される重要な選挙区である。

 何回も言うが、共産党は党建設で重大な誤りを犯し、政治家を育てず、新聞拡販部員だけを育ててしまった。この重要な選挙で、衆議院選挙にふさわしい「玉」は共産党には存在しないのである。

 この候補者は、「便利やさん」であり、市会議員選挙にも、市長選挙にも、国会議員選挙にも顔を出してくる。しかもその「負けっぷりは」凄まじく、市会議員選挙では、当選者の最低得票数が2000票を上回っているのに、A氏は1500票あまりしか取れなかった人物である。

 高槻市民は、この候補者に市会議員としても「失格」の烙印を押した、いわゆる泡沫候補である。こんな人物を立てて、この重要な選挙で戦おうとしている共産党は、人材を全く有していないことを天下に公表しているようなものである。 選挙を戦って恥をさらし、さらに支持を失っていく悪循環である。

 共産党はいまだにこの自らの組織建設の誤りに気づかず、ノー天気に、5中総では得票数6百50万票を獲得し、議員を2倍化すると意気込んでいる。果たしてそんなうまい話はあるのであろうか。

 候補者は確かに擁立できた。しかしそれを支える力がまったくない。せっかく駅頭で朝立ちし、候補者が演説しビラを撒いているが、その姿は惨憺たるものである。

 何が問題か

 第一は、候補者の演説がなっていない。私は、JRに乗るために通過しただけでその間に耳に入った内容だけであるが、彼の演説は

  1.        共産党は、この間赤旗拡大で奮闘してきました。

  2.        尖閣列島問題で、中国大使に会い、共産党の立場を訴えてきました。

 という内容であった。衆議院選挙と赤旗拡大とどんな関係があるのか、私は常識を疑った。赤旗拡大は党内問題であり、駅頭で「私は赤旗拡大でがんばった」といくら主張しても、「それがなんやね!」ということになる。

 尖閣列島の問題にしても、共産党は中国の文化大革命の際に、中国共産党をあれだけ批判しておきながら、公党間の関係回復が行われたからと、中国の政治に対する評価を180度変える共産党の対応は、国民に支持されるものではない。文化大革命の際、共産党は、日本のすべての政治勢力、および財界を敵に回し、中国共産党が如何に野蛮でご都合主義の国かを批判しておきながら、尖閣列島問題では、「領土問題は存在しない」という日本政府の立場を批判し中国が喜ぶ「領土に関する紛争がある」ことを認めて、中国と話し合うという、「中国善人論」立った主張をしている。

 中国共産党と日本共産党が、関係回復したから、昔は中国はとんでもない国だったが、今はよい国になったという単純思考は、共産党の内部で理解されても国民から見れば、まったく納得のいく説明ではない。

 第二は、駅頭でまかれていたビラが、すでに1ヶ月ほど前に、「Mリポート」として、配布ずみのビラを、この衆議院選挙の候補者がまくビラか、そのセンスを疑う。候補者は立てたが、選挙戦を戦うビラさえも作れない、惨めな状況をさらしだしている。

 第三は、A候補を支え、ビラまきしている人たちが、失礼ながらすべてお年寄りであり、ビラを持って立っているだけで、ビラを市民に渡している姿がまったくない。おそらく朝立ちで1時間やったとして、配布しビラは、20枚から30枚以内であろうと思われる。私自身はとおりすがりに見るだけであるが、私以外の人がビラを受け取った姿を一度も見たことがない。

  こんな状況で本当に選挙戦を戦うのか?市民は毎週共産党のこのだらしなさをみている。この姿を見れば、「共産党はもう終わったな」と感じるのが正常な市民感覚だと思われる。

 何がおかしいのか、以上にあげた三点よりももっとおかしいのは、A候補の周りにいるのは老人ばかりで、共産党の府会議員も、市会議員も誰も立っていない。A氏については、私は悪口ばっかり言っているが、非常によい方で、共産党の全選挙区の立候補の方針を受け、自ら立ち上がり、毎週朝立ちを行い、がんばっておられるが、他の共産党の幹部はすべて知らん顔をしてA氏とお年寄り集団だけの戦いになってしまっている。

 この姿が、いかにおかしいかは、曜日代わりで公明党も毎週朝立ちをしている。そこには必ず市会議員が寄り添って演説を行っている。つまりオールスターで訴えている。共産党はA氏にすべて負担を押し付け、後は失礼ながらビラをまく経験もないお年寄りが支えている。すでに市委員会が正常に機能していないことを天下に公表している姿に私には見える。おそらく懸命な市民もその雰囲気をつかんでいると私は思っている。これが共産党の全選挙区立候補の実態である。

  供託金をドブに捨てるような戦いである。