しんぶん赤旗と毎日新聞を読み比べ(10月1日付)


平成27年(2015)10月1日


しんぶん赤旗 国際問題で立ち位置が定まらず

 

 10月1日付 しんぶん赤旗と毎日新聞を読んで、新聞赤旗の国際問題の記事の腰が定まらず昔赤旗が「ブル新」と馬鹿にした一般紙の方がよっぽど腰が座っている事がわかる。
○毎日新聞の一面記事は
 トップは「日歯連」「迂回寄付 理事会で決定」さらに「中国17カ所連続爆破」「チワン属自治区7人死亡、男を拘束」さらに「露 シリア領空爆」「対IS アサド政権支援」、「秋山214安打 年間最多タイ」

○しんぶん赤旗は、一面記事は
  トップ「国家優先 逆立ちの発想」(菅官房長官の発言を捉え)、「日歯連 前会長ら逮捕」、「迂回献金 規制法違反の容疑」、「正社員ゼロ」強行、「戦争法廃止 国民連合政府を」「岩手山初雪赤い朝焼けも」
 というような組立になっている。

国際情勢に対して全く見解が出せない「しんぶん赤旗」(中国の汚点を意識的に隠す)


  この二つの新聞の大きな違いは、毎日新聞に対して赤旗は、国際的な問題に対しての視点が極めて弱いことがわかります。その根源は、「中国を社会主義を目指す国」と位置づけているため、中国での反体制派の動きや共産党幹部の汚職腐敗さらには人権侵害等の出来事を出来るだけ赤旗に載せない編集方針を採っているからです。(悲しい現実です。)
  この日毎日新聞は、8面で「中国、外国人の監視強化」、「日本人2人拘束 反体制活動を警戒」という記事を掲げ、中国が「日本人2人をスパイ行為の容疑で拘束していた」ことを問題視していますが、赤旗はこの重大な記事(爆破事件・スパイで拘束)もスルーしています。
  さらに、最近のニュースで言えば、ヒラリー・クリントン氏がツイッターで、中国が女性の権利を主張する活動家を今年拘束したこと取り上げ、習主席を批判。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)のこれら活動家に関する記事へのリンクを添え、「男女同権主義者を迫害しながら、習主席が国連で女性の権利に関する会合を主催するとは恥知らずだ」とコメントした。2015/09/28 15:23(ブルームバーグ)
  このような痛快なニュースを赤旗は報道できないでいる。

赤旗はアサド政権に対する評価がアメリカ寄り(アメリカの軍事行動を支持)

   もう一つ、毎日新聞は、ロシアのシリア領空爆を捉え、「ロシアが、アサド政権への軍事支援の強化に乗り出した」ことを報道している。このロシアの態度は「アサド政権打倒を狙う欧米諸国は反発しおており、シリア情勢が一層混迷化する恐れも出ている」という情勢判断を行っている。
  これに対して、赤旗は、この問題の重要性を認識せず、赤旗7面【国際】でつたえているが、その内容は【モスクワ=時事】の配信ニュースで全く価値判断を含まない記事内容になっている。これは赤旗が、今日まで欧米が狙っているアサド政権打倒の企みを批判してこなかった経過から、ロシア軍の行動に対しての価値判断ができない状態になっているからです。

「安保法」バイデン副大統領が謝意

   さらに赤旗の国際記事のおかしさは、2面で「NEWS@ニュース」という欄がありますが(この欄の役割に対しては、私は前から疑問をもっています。・・意味が全く分かりません。) 
  ここに奇妙な記事があります「米バイデン氏が謝意」という見出しを掲げ、安倍首相が「集団的自衛権行使を容認した安保法について説明し」バイデン副大統領が「首相が日米同盟強化に向けた努力を続けていることに感謝する」と応じました。という記事を書いています。
   なぜ、赤旗に「安保法(戦争法)に対してアメリカの副大統領が感謝した。」というような何の価値判断も含まない記事を載せる必要があるのか、理解に苦しみます。
   しかもこの日の赤旗の【主張】は、安倍首相の訪米であり、この主張のなかに同じ記事内容が含まれている。ただし若干の違いがある。その違いは、「NEWS@ニュース」欄では、「副大統領は「首相が日米同盟強化に向けた努力を続けていることが感謝する』と応じました」と書いているのに対して、【主張】の中では「副大統領は『・・・に感謝する』と持ち上げました。」と書いています。この「持ち上げました」には「豚も褒めれば木に登る」的な揶揄が含まれていますが、「応じました」は客観的報道です。
   そもそも赤旗紙面の全ての記事の関連の点検すらできず、主張で批判しながら、同じ記事を客観的に書くことの馬鹿らしさに気づくべきです。さらに言えば、「ロシア、シリア空爆」も何ら価値判断をくださない記事なのにこの記事こそ「NEWS@ニュース」に書くべきであり、なぜこれは本編に載せるのか、その編集方針が全く分かりません。

毎日新聞の政治的力量と比較すれば、全くの政治音痴。

 中国問題、露のシリア空爆は政治的判断ができないためどうしようもないのですが、例えばこの間の安倍氏の国連外交についても、その力量差は明確です。
 まず先に挙げた、阿部首相と、バイデン副大統領の記事を、「バイデン氏の謝意」と書いてあれば素直に読めてしまいますが、よく考えれば、安倍首相はなぜオバマ氏と会談しなかったのか、習近平氏はオバマ氏と会談しています。
  毎日新聞は同日の【社説】で、安倍国連外交「何が発信できたのか」とい記事で、安倍首相が「安保法」というお土産をもってアメリカに乗り込んだのに、「2国間外交でも気になる点があった。日米では、オバマ大統領との会談がなく、バイデン副大統領と会談したのは残念だった。」と書いている。あれだけ頑張って米国か言われた宿題をやり遂げても、大統領と会談も行えず、副大統領の「謝意」だけで終わった。このことを伝えず、客観的にだけ伝える赤旗は、なんとも情けない。

シリア、イラク難民問題は、人道問題だ!(安倍首相は人口問題と勘違い)

   さらに、この【社説】では重要な問題をつたえている。
   安倍首相は一般討論演説で、「シリア、イラクの難民と国内避難民向けに今後1年間で昨年実績の3倍にあたる約8.1億ドル(約969億円)を支援する」と表明した。
 その後の記者会見で、ロイター通信の記者から「日本が難民を受け入れる可能性を聞かれ、『人口問題として言えば、我々は移民を受け入れるよりも前にやるべきことがある。女性、高齢者の活躍だ。出生率を上げていくにはまだまだ打つ手がある』と否定的考えを示した。」・・「だが『人道問題』を『人口問題』として語ってしまう首相の考えは、国際社会の価値観とずれているのではないか。」と安倍首相の国際的センスの無さを批判している。
 本日付け赤旗は、菅官房長官の「結婚を機に、ママさんたちが『一緒に子どもを産みたい』という形で国家に貢献してくれればいいなと思う」「たくさん産んでください」という発言を取り上げ、一面トップで批判していますが、安倍首相の、国連での発言「人道問題」を「人口問題」としてしか理解できなかった安倍首相の「アホ発言」は全く取り上げていません。これについても、共産党自身の「難民問題」の方針が確立していないからと思われます。

国際政治に対する共産党の考えの発信を(中国と手を切ることが大切)


  安倍首相などの保守右派勢力は「日本は単一民族国家だ」と主張し、移民等の受け入れに対して消極的で排外主義を煽り同時に天皇純血神話を唱えます。なんとなくこの主張に同意する国民が多数おり、共産党も移民の受け入れ等については消極的立場をとっていると思われますが、シリア・イラク難民が何百万単位で発生している現在、日本だけが蚊帳の外にいることは許されません。
  共産党は国際政治問題での基本的立場を確立しないと、赤旗はますます無内容な時事通信等の記事の貼り付けだけになってしまいます。その最大の弱点は中国問題です。さらに中東における欧米の無責任な侵略行為に対する曖昧な態度が、中東問題でもハギレのいい発言・報道になっています。
  赤旗は昔の原点に立ち返り、「全ての被抑圧民族の団結」という立場を取り戻さない限り、その場、その場の報道になり、今回のロシア軍の空爆をどう捉えて良いのか判断できないような無様な姿をさらけ出すことになります。