森友学園疑惑に対する赤旗の報道姿勢がやっと世間並みに補正された。


平成29(2017)年7月30日


赤旗の森友学園報道は、安倍政権の戦略の範囲(本丸を近畿税務局とせず、補助金不正疑惑追及)で行われてきた。

 赤旗はこの間森友学園疑惑の本質を隠ぺいし、籠池氏の補助金不正取得に焦点を当てて報道してきた。この赤旗の報道姿勢を私は一貫して批判してきた。
 文末に一覧表(17本)を記載するのでクリックして見ていただければ幸いである。

 この17本の森友・加計学園問題記事で、訴えてきたことは、赤旗は森友学園問題を籠池氏の補助金詐欺に矮小化して追求し、この事件の本丸である、近畿財務局や松井知事及び大阪維新の果たした役割、さらには安倍首相夫妻の関わりを過小評価しているというのが主要な批判点である。

大阪地検 籠池夫妻を事情聴取(7月27日)・・赤旗記事に大きな変化・・・

 7月27日大阪地検は籠池氏への事情聴取に入った。その目的は、学校法人「森友学園」が大阪府と国から補助金を不正受給したとする事件を立件するものと思われる。この事態を赤旗及び毎日新聞はどう伝えたかを比較してみる。

 毎日新聞は、7月27日夕刊で「鍵池夫妻 午後聴取」「大阪地検」「『森友』不正受給疑い」という見出しで書いている。さらに28日朝刊で「籠池夫妻 ほぼ黙秘」「大阪地検」「事情聴取 3時間半」という見出しを掲げている。
 これに対して赤旗は、28日朝刊で「『森友学園』補助金不正」「籠池夫妻を聴取」「疑惑の本丸は『見えない力』」「問われてる首相夫妻の責任」という見出しを掲げている。
 赤旗が籠池本丸論から、安倍夫妻や近畿財務局にこの本題の本丸があることを明確に書いた初めての記事である
 これまで、いつも毎日新聞の記事が、赤旗より優れていたが、今回は初めて赤旗の記事が本質をついている。
 記事内容も、籠池夫妻の補助金不正受給の疑いがもたれています。簡単に触れ、事の本質は、「国有地取引で昭恵氏関与」問題と捉え、「首相夫妻の責任が問われる事態になっています」という記者の署名入り記事を書いています。
 さらに中見出しには「政治家ずらり」「証人喚問必ず」という記事を書き、「一学校法人の理事長と首相夫妻を何が結び付けたのかー。」と書いて「そのキーワードは『教育勅語』です。」で結んでいます。
 また、「森友学園疑惑と、いまの国政の焦点となっている加計学園疑惑の構図は重なっています。安倍夫妻と親しい人物に、行政が特別の便宜を図ったのではないかー。ふたつの疑惑とも、核心は『国家の私物化』にあります。」と問題の本質を明確に書いています。
 森友学園疑惑で赤旗が明確に本質を突いた記事を掲げたのは初めてではないかと見ています。なぜ赤旗はこの段階で「変節?」したのか不思議でたまりません。

NHKが森友学園疑惑の本質にせまる。NHKも変節?

 26日NHKが午後7時の定時ニュースで森友問題をめぐる重大なスクープを報じていた。「NHK良識派が森友国有地不正重大情報報道」(植草一秀の『知られざる真実』から)
 NHKは独自情報として、「近畿財務局と森友学園の代理人との交渉を行い、実質タダとなる価格で払い下げ価格が決定された考えられる」と報じた。
 森友学園が支払える金額の上限が1億6000万円とされた一方で、国が支払う土地改良費が1億3200万円であるため、この間で払い下げ価格が決定されたとの経過が報じられた。
 こうなると、近畿財務局の行動は違法行為となる可能性が高く、佐川宣寿財務省理財局長は国会において虚偽の答弁を行った疑いが濃厚になる。すでに大阪地検特捜部は刑事告発を受理しており、この問題が刑事事件に発展する可能性が急激に高まったと言える。(以上植草一秀氏の文書より引用)

 このNHKの暴露は、国有地の払い下げで8億円の値引きが行われたのは、新たにゴミが発生したからではなく、籠池氏がいくらなら払えるかと聞いて、籠池氏側(弁護士)から1億6000万円と聞き、近畿財務局は、1億3200万円は、事前にゴミ撤去費用として籠池側に支払っているので、これ以下では絶対に売却できないと主張し、籠池氏に一番有利な1億3400万円で売買契約を結び、実質的には籠池氏の出費は200万円という契約を締結した。(値下げの原因が新たなゴミでなく、安倍首相が後ろ盾にいる籠池氏側に対して配慮した結果であることを暴いた)

NHKは加計学園疑惑でも、問題の本質の解明に大きな役割を果たしている。

 加計学園問題では文部科学省内文書の流出し、話題になったが、菅官房長官は記者会見で「怪文書」として切り捨て、取り上げなかったが、NHKは文部文科省内にこの文書が存在することを報じた。この内部文書の第一報は朝日新聞だと一般的には思われているが、朝日新聞ではなくNHKだった。 5月16日の夜に放送された『ニュースチェック11』)で、「内閣府の担当者が文科省側に、加計学園の獣医学部設置を前提としたスケジュール作成を指示した文書がある」と報じたニュースのなかで、その実物が示されていた。しかし、NHKは『官邸の最高レベル』の文言を黒塗りにして報道した。これについては、局内でも議論が起きたという。 翌朝に朝日新聞が一面トップで大きく取り上げた〈官邸の最高レベル〉というセンセーショナルな文言が、なぜか消されていたのである。ところが、翌日になるとNHKの態度が変わる。朝日新聞が朝刊で文書を公開すると、民進党の玉木雄一郎氏が国会で、この文書について追及。同日の夕刊で産経や毎日など各紙も後追いした。するとNHKは同じ日の『ニュースチェック11』で、黒塗りを“解禁”して報じたのである。


赤旗はNHKと気脈を通じて報道しているのかと思われる節が数々ある。


 この間の森友・加計学園問題でも赤旗の報道姿勢は常に消極的である。森友事件では、国有地の払い下げが不当に値引きされた疑いがあり、これに安倍夫妻がかかわっていたというところにこの問題の肝があるのに、赤旗は籠池の補助金詐欺に大半の紙面を割いた。
 また加計学園問題でも、最初に本格的に赤旗が取り上げたのは、5月21日の記事であったが、その見出しは、”特例”の裏に『総理の意向か』、「内部文書が示す『特区で新学部』の経過」が大見出しで、中見出しが「文部省の抵抗押し切る」「関係者『国家の私物化』」となっています。
 同日付けの毎日新聞は、「親友に特区ダウン?」「総理の意向に並行し文部省軟化」「『個人の利益優先』懐疑」という見出しで語っています。
 すべての言葉で毎日新聞が勝っています。赤旗は『総理の意向か』と疑問形で書いていますが、毎日新聞は、総理の友人を特別扱いし、総理の意向で個人の利益を優先させたと書いています。(これは詳しくは、森友・家計事件13弾で書いている
 さらには、元TBSテレビ報道局ワシントン支局長の山口敬之助の準強姦事件が、官邸の意向で逮捕直前まで行ったのに、逮捕が見送られた事件があるが、赤旗はこの事件を取り上げなかった。この人物は安倍友人脈であり、田崎史郎と二人でテレビで安倍所掌の「ヨイショ」をやっていた人物である。(この件は、森友・加計学園14弾で書いている。
 赤旗とNHKは報道姿勢が似ており、確実に容疑が固まらない限りは追及しない。フライングは絶対しない。日刊ゲンダイなどは追及が鋭く面白いが、毎日新聞でも赤旗より追及が厳しい。
 森友学園疑惑での籠池氏の扱いでも、赤旗は籠池攻撃を中心に据えていたが、今回NHKは、近畿財務局にポイントを絞った。これを見たのか、赤旗も森友学園疑惑の中心は、「国有地取引で昭恵氏関与」問題と捉え、「首相夫妻の責任が問われる事態になっています」という記者の署名入り記事を書いています。 
 これは、NHKの報道や、大阪地検の動向など把握して、赤旗の論調を変えたのか、それとも赤旗編集局内部で軌道修正が行われたのかは分からない。ただ今までの記事は無署名であったが、今回は署名入り記事であることから赤旗記者が頑張ったのではないかとも思う。
 (今までは余り力を入れておらず。時事通信等が流す記事を何も考えず載せていたのかもしれない。)

参考:森友・加計学園疑惑に関する私の主張

1.森友事件第一弾 平成29(2017)年3月6日
   森友学園問題と赤旗の報道(確かに成果を上げているが核心をついていない。)
   
2.森友事件第二弾 平成29(2017)年3月25日
   証人喚問における籠池氏の強かさと、官邸のお粗末さ

3.森友事件第三弾 平成29(2017)年3月26日
   馬脚を現した松井知事の「忖度」発言

4.森友事件第四弾 平成29(2017)年4月2日
   佐川財務局長の安倍夫人にまつわる重要な発言をマスコミは取り上げない。

5.森友事件第五弾 平成29(2017)年4月9日
   森友学園問題で安倍内閣の広報に成り下がった赤旗

6.森友事件第六弾 平成29(2017)年4月9日
   赤旗が健闘しているか否かは、Gataroさんの投稿(阿修羅)を見ればわかる。
    インターネット上の阿修羅という掲示板(政治に対する投稿が多数ある)

7.森友事件第七弾 平成29(2017)年4月13日
   赤旗の森友事件に対する基本姿勢が12日から修正された

8.森友事件第八弾 平成29(2017)年4月16日
   またまた赤旗の森友学園記事が籠池追及へ後戻りしてしまった。

9.森友事件第九弾 平成29(2017)年5月3日
   森友問題で共産党が見逃している視点(大阪維新の会の果たした役割)

10.森友事件第十弾 平成29(2017)年5月3日
    森友問題、共産党大阪府委員会はどう見ているか?

11.森友事件第十一弾 平成29(2017)年5月6日
    立花孝志(ユーチューブ)森友問題報告

12.森友・加計学園事件第十二弾 平成29(2017)年5月20日
    森友学園事件に加計学園事件が加わり、安倍政権はますます窮地へ
     赤旗の記事は安倍政権と真っ向から戦えず腰抜けになっている。

13.森友・加計学園事件第十三弾 平成29(2017)年5月21日
    加計学園問題の本質を赤旗はどう報じたか(問題の本質を捉えていない)

14.森友・加計学園事件第十四弾 平成29(2017)年6月5日
    加計学園・森友学園疑惑解明の中で、あぶりだされた権力に迎合する者たち

15.森友・加計学園事件第十五弾 平成29(2017)年6月17日
    赤旗を読んでいるとその間抜けさに腹が立つ

16.森友・加計学園事件第十六弾 平成29(2017)年6月22日
    森友学園強制捜査を批判しない赤旗の間抜けさ、一体誰と戦っているのか

17.森友・家計事件第十七弾 平成29(2017)年6月26日
    赤旗は「森友学園問題」を籠池批判に終始し、一貫して事の本質を見誤っている。