マヌケな姿をさらし、立場性を失った赤旗

     これで一紙でまにあうと言えるのか?


                                                平成25(2013)年1月28日


 私は毎朝、毎日新聞と赤旗を読み比べている。その時、赤旗の輝きより赤旗のダメさ加減が気になってしまう。「ダメだ、こりゃ」と思わず叫びたくなる。

 1月24日の赤旗と毎日新聞の読み比べをしてみる。

<アルジェリア事件・・・マヌケな事例>

 【毎日新聞】は、一面トップでこの問題を取り上げている。見出しは「新たに2人死亡確認」「アルジェリア事件日本人9人に」と書き、その内容を詳しく書いている。この件については、菅官房長官の緊急記者会見が23日夜の11時過ぎに行われている。この結果を受けて、毎日新聞はそれまで独自に集めていた記事を一斉に放出した内容になっている。例えば安倍晋三の特使の動き、城内実外務政務官の動きや談話を載せ、日揮本社に設けられた献花台の写真を大きく載せ記事の体面を図っている。また、26面では、日揮の前副社長も被害という記事を大きく扱っている。

 【赤旗新聞】は、政府の緊急記者会見で聞いた内容をあわてて、赤旗一面の左下にもぐり込ましている。これは、見出しだけの記事である。「新たに日本人2人死亡」「アルジェリア事件官房長官発表」という記事で、中身はすでに確認された7人と合わせて9人が死亡したことになります。と言うだけの記事だけである。

  赤旗のあわてぶりを物語るのは、2面にNEWS@ニュースという紙面があり、そこに「きょう帰国向け調整」という記事を載せ、菅義偉官房長官は23日記者会見で、アルジェリア人質事件で死亡が確認されたプラント大手の「日揮」の日本人社員7人に関し、「遺体を首都アルジェに搬送し、7人全ての再確認作業を終了した」と発表しました。残る3人の安否不明者については・・・という記事を載せている。

 日本人の安否不明者は10人であり、1面で2人の死亡確認し9人が死亡と報道しながら、2面では、残る3人の安否不明者については・・・と載せることの間抜けさに気がついていない。一面にあわてて記事を挿入した際、他の記事に影響するかの判断もできない間抜けさである。

<北朝鮮に対する国連安保決議について・・・・・立場性を失った事例>

 赤旗は、1面左側トップでこの記事を載せている。見出しは「国連安保理」「北ミサイル発射非難」「制裁強化全会一致で決議」としている。さらにご丁寧に「対北朝鮮安保理決議の骨子」まで載せている。別途関連記事A主張とF面としている。

 毎日新聞は、「北朝鮮制裁決議」「核実験阻止正念場に」「米中、対話糸口を模索」「中国、苦渋の選択」という見出しを掲げ、中国の主張を以下のように紹介している。

  中国外務省の秦剛報道局長は23日、決議については「対話と交渉を通じた平和解決の希望を発するとともに6カ国協議再開を呼びかけており、全体としてバランスが取れている」と評価した。秦局長はまた「朝鮮半島の非核化と北東アジアの長期的安定を実現するには6カ国協議が有効なメカニズムだ」と述べ、協議再開を関係国に呼びかけた。と報道している。

 この報道を見る限りでは、赤旗は、国連安保理での北朝鮮決議に舞い上がってように見える。なぜ「制裁強化全会一致」を強調するのか全く分からない。毎日は明らかに中国は苦渋の選択をしたと報道し、制裁強化より、対話と交渉を通じた平和的解決への希望を表明している。この赤旗と毎日新聞の違いは、当日の主張にもはっきり表れている。以下当日の【赤旗新聞】の主張と【毎日新聞】の主張を比較する。

 【赤旗新聞】2面の主張「北朝鮮は孤立を選択するのか」という記事を載せている。率直に言ってこの赤旗の主張に、共産党だから言えるという内容が全くない。この主張なら新聞社名を外して並べた場合、これが赤旗の主張だと当てられる人は少ないと思われる。なぜならこの主張はアメリカの主張が100%正しいという下書きのもとに書かれている。

 例えば、「米国や中国などの間で対応をめぐって意見の違いがあったとされ、合意とりまとめに時間を要したものの、強制力をもつ安保理決議のかたちで、国際社会が一致して北朝鮮の行為を許さない姿勢を明らかにしたことは重要です。」と書いている。これは中国などが抵抗したが、アメリカが押えこんだ事を成果だと称えている。

  最低限中国などの主張を紹介し、その主張に対する評価を加えるべきであった。中国の人権弾圧や表現の自由などの件では中国容認の姿勢をとりながら、外交問題では、アメリカの世界戦略(軍事的野望)を容認し、それに対する中国などの反抗を共産党は支持しない立場を明確にしている。

  さらにこの文書は、北朝鮮に対して、「北朝鮮がさらなる発射や核実験を強行すれば「重大な行動をとる」と厳しく警告しています。」と書き、この内容を容認しています。上田耕一郎氏は、「アメリカの核は戦争の為の核であり、社会主義の核は平和のための核だ」と主張したいたが、その精神はどこへ行ったのか。確かに社会主義国の核は平和のための核という論調は現在社会における社会主義の堕落の中でそれを言える状況は無くなったが、「資本主義、帝国主義の核は戦争の手段である」という位置づけを放棄することは、共産党として全くの堕落である。

   アメリカはミサイルや核問題を明らかにダブルスタンダードで取り扱っている。インドやパキスタンのミサイルや核は見逃し、自らの脅威となる北朝鮮のミサイルや核だけに厳しい制裁を加えている。このアメリカの主張を全面的に賛成する主張は、共産党の存在意義さえ疑われる。

 この主張の中盤以降で、危機を回避し、北朝鮮の核兵器問題を真に解決するには、対話を通じた政治的解決が不可欠です。安保理決議も制裁で問題が解決できるとしているわけではありません。「平和的、政治的解決」の意思を表明し、北朝鮮と日米韓中ロによる6カ国協議の再開と協議の加速、朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和への道筋を示した06年の共同声明の履行を求めています。と書いていますが、これこそが中国などが求めている立場だと思われる。なぜこの中盤以降を前面打ち立てた、主張が書けないのか、いつの間にアメリカの手先になってしまったのか嘆かわしい限りである。

   【毎日新聞】は、「北朝鮮ミサイル」、「制裁決議を歓迎する」としているが、今回の決議で「注目すべきは、これまで中国の反対により、「議長声明」という弱い形式で採択されがちだった北朝鮮ミサイル問題に関する安保理の対応が「全会一致の制裁決議」という力強い形で表現したことだ。」としてこの背景を語っている。

「北朝鮮のミサイル技術に対する米国の懸念があるだろう。(中略)核弾頭を搭載した長距離ミサイルが米本土に届く可能性も無視できなくなった。これに警戒感を強めた米国が、議長声明でなく全会一致の制裁決議を中国に飲ませたという構図である。」米国のごり押しでこの決議が挙げられた事を説明している。

 さらに「対北朝鮮政策では微温的な感があった米オバマ政権が積極的に転ずるなら、それも歓迎できよう。」と書き、そのあとに「もちろん、今回の決議で中国が北朝鮮に対する姿勢を根本的に変えることはあるまい。しかし強い決議が採択された以上、これを露骨に軽んずこともできないだろう。」としている。

以上の主張を対比して読むと

  【赤旗新聞】は、アメリカが中国を押えこんでこの決議を勝ち取った事が重要と、アメリカサイドに立った論評を加えているが、

  【毎日新聞】は、「今回決議で中国が北朝鮮に対する姿勢を根本的に変えることはあるまい。」と、中国がまだまだフリーハンドを持っており、北朝鮮擁護に走る可能性があるが、決議案が採択された以上、中国も苦しい立場に立つであろうと、と分析している。この辺は毎日の分析が優れている。赤旗は完全にアメリカ寄りの論評になっている。

 

<主張の最後の締めは>

 さらに最後の締めで赤旗のアメリカ賛美が決定的になる。

  【毎日新聞】は、「今回の安保理決議を受けて北朝鮮は、米国に対し「核抑止力を含む自衛的軍事力」で対抗するなどと、核実験の強行も示唆した。とはいえ、こうした発言は、従来の揺さぶりの水準を大きく逸脱したものではない。実は苦しい北朝鮮の現状から、むしろタイミングを見計らって日米韓に別々の対話攻勢をかけている可能性が高いとの見方もある。」としている。

 赤旗新聞】は、「核事件強行に警戒も」と見出しを掲げ、今回の安保理決議を受けて、北朝鮮は声明を発表し、「核抑止力を含む軍事力の拡大強化」を進めるとしました。として最後の「北朝鮮が核開発に固執するなら、国際社会からの孤立はまぬがれません。全会一致で採択された今回の安保理決議はその意思を明確にしたものです。と結んでいます。

 この最後の結びは重要であり 

  【毎日新聞】は、「対話攻勢をかけている可能性が高い」との見方もある。と対話による解決も視野に入れている。これに対して【赤旗新聞】は「北朝鮮に対する制裁をチラつかせ、最後までアメリカサイドに立った主張で締めくくっている。

  余談ですが、私のHP日本共産党は中国の領土問題に対する拡張主義や、他民族の抑圧や人権侵害、さらに表現の自由を抑圧する姿勢を赤旗は糾弾しておらず、中国一辺倒だと批判記事を書いたが、いや「日本共産党は中国派ではなく、オバマ派だ」というメールをいただきましたが、国連安保理決議対する共産党の主張は、アメリカの主張と瓜二つである。中国派よりアメリカ派が当たっているのかも知れない。

<情勢の対極をつかみ国民の中へ・・・・【党活動】欄>

 これは毎日新聞との比較ではないが、共産党の今の立場を現したものとして、批判しておく。この学習・教育局長 山谷富士雄氏は、今の共産党の主張を非常にうまくまとめている。まさに「御用学者」と言える存在だとおもう。しかし、多くの党員は「何かがおかしい、このままでは前進しない」と思っている。

  その思いの中にこそ真実があり、この矛盾を解明してこそ前進が図られるのだ。明らかに、総選挙前の1年半における赤旗拡大を全党が必死になっても前進しなかった。選挙戦でも共産党の獲得も目標の650万票に全く届かなかった。これを深刻な危機と自覚できない「御用学者」は、一時的にごまかせても、結局は矛盾をさらに拡大し、共産党の崩壊を進めるだけである。

 このようなお調子者を重要視している限り、共産党の再生は図れない。企業もそうですが、厳しい批判こそ宝であり、再生のばねにつながる。今求められているのは、大胆な改革と実行です。それを否定する論理「自らに都合の良い数字だけをかき集め論理を組み立てる」このような議論は百害あって一利なしである。

  どちらが裏切り者か真剣に考えてください。現在の方針が正しいとへ理屈をこねまわし、改革しようというエネルギーをそぎ、取り返しのつかないところまで党を破壊するのか、党の問題点を指摘し、改革を模索していく立場と、どちらが党を愛しているのか本当に真剣に議論してください。

 党の衰退は、「ジグザグ論」や「政治情勢と国民の意識の未発達」というようなところにあるのではありません。国民は賢いのです。国民は「共産党は信用に値せず」と判断しているのです。その原因を突き止め克服しない限り、共産党の再生はありません。

 参考:志位委員長が北朝鮮の「ロケット」発射中止を求める声明を発表!(3/22)
    この「声明」の本当の意図は何か(保守との共同の行き着く先)