日本共産党 最近おかしくないですか

共産党予定候補者18名と2中総の関わりを見る(大阪選挙区)


平成26(2014)年12月1日


候補者の決意表明を見れば、2中総の理解度が分かる

 大阪民主新報(11月30日付け)に候補者18人の決意が掲載されている。


大阪19箇所の選挙区の候補者の訴えが大阪民主新報に掲載されている。この候補者たち(18人分しか掲載されていない)の訴えを共産党の2中総の視点で点検してみる。私は2中総が「安倍政権の暴走阻止」のため「五つの転換」を掲げながらも、それぞれがこの内容から適当に選んで打ち出せば良いと志位氏が2中総で報告したことを捉え、それを言えば候補者は、消費税に集中し、「海外で戦争できる国」にたいしては取り上げなくなると批判してきた。
 今回の選挙の最大の課題は、「安倍政権の暴走を阻止する」ことであり、その中心的課題は「海外で戦争できる国」作りである。この策動は、日本国憲法の根幹である平和主義を踏みにじるものでもある。
  
 2中総で確認された「五つの転換」とは、第一は、消費税10%阻止、第二は、「アベノミクス」の暴走阻止、第三は、「海外で戦争する国」許さない、第四は、原発の再稼働ストップ、第5は、沖縄の米軍新基地建設中止である。この5つを取り上げた決意表明になっているか18名の候補者の主張を以下で点検してみたい。
 よく小噺などで「お題」決められ、その「お題」を盛り込んだ話を即興で競い合う芸があるが、共産党の候補者もこの「五つの転換」を自分の話にどれだけ取り入れ話せているかの点検である。
 結果はあとで述べるが、この18名の候補者はほとんど与えられた「お題」をこなせず自分の思いだけを語っている。国政選挙の候補者であることの自覚がない。

 下記の票の見方について
  • 1.区は衆議院選挙の大阪の区割りを表している。例えば十区は、高槻・島本選挙区であ
    る。
  • 2.各候補者が訴えた内容は、大阪民主新報(11月30日付け)の記事の要点を引用した
    もの である。
      引用にあたっては、安倍政権という言葉や、「アベノミクス」という言葉、あるいは「五つ
    の転換」について触れたものは省略せず引用している。
  • 3.@、Aは「五つの転換」を表したものである。例えば@は、消費税、Bは、「海外で戦
    争できる国」を表している。
  • 4.採点は、「五つの転換」に沿って論じておれば「◎」で三点、一応それらしいことを言っ
    ておれば「○」で二点、、そのことに触れているが、安倍内閣と対峙する視点がない場合
    は「△」一点としている。


衆議院選挙予定候補者採点表(二中総の具体化をどの程度できているか)





各候補者が訴えた内容
@ A B C D 採点
一区 ◎見出しー大企業優先政治を正せる党ー
 消費税10%増税はきっぱりと中止、大企業だけを優先する安倍内閣を懲らしめる。
◆コメント:「海外で戦争できる国」づくりに言及がないのは物足りないが、消費税10%阻止を明確に語り、大企業優先の経済政策を批判している点は良い。
× × × 五点
二区 ◎見出しー教え子再び戦場に送らないー
 集団的自衛権の撤廃に頑張りたい
◆コメント:「教え子を再び戦場に送らない」は1951年に採択された日教組の不滅のスローガンである。先生であったことがよくわかるが、他の課題についても触れるべき。
× × × × 三点
三区 ◎ー命・暮らし・尊厳を守る政治をー
 人の命暮らし、尊厳が大事にされる政治
◆コメント:安倍政権と対決するという視点が全くない。一般論を述べている。
× × × 三点
五区 ◎ー子らの声代弁し責任果たすー
 「子どもの貧困化阻止」、投票できない子どもの声を代弁し、大人として責任を果たすため国政へと旅立ちます。
◆コメント:「子どもの声を代弁」してとか「旅立ちます」という言葉に違和感を禁じえない。「旅立ちます」には「あの世に行く。死ぬ」という意味もあり、選挙戦のような戦いには不釣合いな言葉である。
× × × × 一点
六区 ◎ー安心して共産党の大躍進をー
 解散は消費税増税、集団的自衛権、原発再稼働など暴走に暴走を重ねてきた安倍政権が、国民の声に追い込まれた結果です。皆さん安心して日本共産党を大躍進させてください。
◆コメント:この候補者は2中総の内容を理解しているが、その上で自分がどう戦うかがない。「安心して・・・・」は何を主張しているのか分からない。
× × 三点
七区 ◎平和で人大切にする社会を
 子どもには平和で、人を大切にする社会を手渡したい。誰もが希望を持てる日本をつくるために頑張ります。
◆コメント:この主張を実現するため「安倍暴走政権」と戦うという言葉を入れて欲しい。これでは一般論になってしまう。
× × × 二点
八区 ◎働く人々に手差し伸べよう
 消費税増税で経営は大変。ブラック企業が横行し、女性も男性も、長時間・過密労働で心も体もずたずたです。豊中の人の思いを実現させたい。
◆コメント:諸悪の根源は安倍暴走政治にあるという主張が欲しい。選挙は戦いであり、戦うべき相手の批判なしに自分の思いだけを語るのは如何なものか。
× × × 三点
九区 ◎弱者が安心して暮らせる国へ
 「消費税は社会保証のため」といいながら、国保も介護も負担増と切り捨て。暴走政治ストップに全力を尽くします。
◆コメント:安倍政権の政治を批判し、ストップをに尽くすという点では合格だが、集団的自衛権も触れて欲しかった。「アベノミクス」が争点と言われている中では「暴走政治」でなく「安倍政権の暴走政治」と言って欲しい。
× × × 三点
十区 ◎国民が報われる国取り戻す
 大企業や大金持ちばかりを大事にする政治を、国民一人一人、中小企業が大切にされる政治に切り替えたい。生きてきた人たちが報われる日本を取り戻すために頑張ます。
◆コメント:言葉の違和感、「生きてきた人たち」もし使うのなら「真面目に生きてきた人たち」「額に汗して働く人たち」さらに、「日本を取り戻す」という言葉は、安倍氏の専売特許。
× × × × 二点
十一区 ◎枚方・交野から原発ゼロに
 日本共産党の前進で原発ゼロ、自然エネルギー普及を。
◆コメント:ただ一人原発問題を真正面から取り上げている。ただワンイッシュであり、他の課題も取り上げて欲しい。
× × × × 三点
十二区 ◎沖縄県知事選勝利に続こう
 基地建設を強引に進めようとする安倍政権は許せません。
◆コメント:「五つの転換」の一つ沖縄問題を取り上げたのはただ一人である。ただこの方もワンイッシュであり、他の問題も取り上げないと安倍政権を追い込めない。
× × × × 三点
十三区 ◎不屈の党の一員として誇り
 障害児の子どのたちを大切にする世の中をつくろう
◆コメント:2中総の「五つの転換」を全く無視し、自分の思いを語っているに過ぎない。
× × × × 一点
十四区 ◎安心して農業続けられる国に
 TPPに加わったら日本農業は大打撃を受けます。コメの値段が暴落しています。
◆コメント:TPPに触れたのはこの人だけであり、「五つの転換」には漏れたが重要な課題である。ただしこの方もワンイッシュであり、問題がある。
× × × × 二点
十五区 ◎社会保証底上げする政治に
 零細業者ほど消費税負担は重く、大増税は絶対に許せません。
◆コメント:経験に裏打ちされた主張ですが、「安倍政権の暴走」と戦うという点では弱さを感じる。
× × × 五点
十六区 ◎医療と福祉の充実へ全力で
 医療と福祉充実へ全力。安倍政権、維新ノーの声を広げたい。
◆コメント:安倍政権、維新ノーと威勢はいいが、やはり国政と大阪の課題は分けるべきで、医療・福祉だけでなく、集団的自衛権等を訴えて欲しい。
× × × × 三点
十七区 ◎子どもの未来を守りたい
 安倍政権の戦争する国作りを許さず、子どもたちの未来を守るために全力を挙げます。
◆コメント:子どもの未来を守ることを最大の課題とし、その観点から安倍政権の戦争する国づくりに反対という立場を表明している。これはこれで成り立つが、すべての国民の要望を実現する立場から語るべき。
× × × × 三点
十八区 ◎安倍、維新に審判を下す選挙
 安倍政権の暴走政治と大阪維新の会に審判を下す選挙。大阪都構想にきっぱりストップを。
◆コメント:国政選挙であり、維新の大阪都構想が選挙戦の争点ではない。それよりも集団的自衛権や原発反対を掲げるべきだ。
× × × × 二点
十九区 ◎子どもが成長できる教育に
 30人学級に。子どもたちが成長できる教育の実現のために全力を尽くす。
◆コメント:「安倍暴走政治と対決する」という選挙の争点を如何に考えているのか、30人学級は要求としては正しいが、今回の選挙の争点ではない。
× × × × 一点

  合   計
5
13
5
2
1


この結果から読み取れることは(「二中総」と予定候補者の関係)

 まず分かったことは、この候補者18人は、共産党の「2中総」をほとんど理解していないということである。共産党は「五つの転換」と言っているが、その中でも消費税10%阻止を最大の課題に上げている。

 にも関わらず、18人の内「消費税を課題」として上げた人が5人しかいなかったのは意外な結果であった。「アベノミクス」という言葉を上げたのは誰もおらず、これも驚きだが、言っている内容が「アベノミクス」に関連があると認めると13人となった。

 「消費税を課題」として上げた5人であるが、この中で「値上げ中止」と明確に言ったのが一人(これが2中総の方針)、「大幅増税は許せません」と言った者が一人、さらに「消費税の増税で大変」と述べた者が一人(この人は現状を語ったのであって、10%阻止には触れていない)さらに今度の解散は「消費増税、集団的自衛権、原発再稼働など」流れの中で語った者が一人、最後に「消費税は社会保障のために」といいながら、使い道がおかしいと批判した者が一人います。(これも10%値上げ中止ではありません)

 結局党の方針通り「消費税10%値上げ中止」を掲げた者は一人、それにやや近いのが一人であり、後の三人は消費税問題を取り上げながらも、今回の選挙戦の最大の争点(2中総)の立場から消費税問題を語っていません。党中央はこの現状をどう受け止められるのでしょうか。2中総が、立候補者にも理解されていない状況は深刻です。

 さらに、2中総の理解が如何に低いかがわかるのが「戦争できる国」を上げた者が6名、「原発反対」を上げた者が2名、「沖縄基地問題」を上げた者は1名でしか無かった。(お寂しい現状である)

 総じて言える事は、国政選挙という事の差別化が出来ず、市会議員や府会議員の政策と何も変わらない主張をしている者が多い。(「大阪都構想」や「30人学級の実現」など、さらに問題は大阪10区の候補者ビラは1〜2週間前に府会議員が自分のレポートとして配布したビラのパクリであった。)

 2中総はどこへ行ったのか、大阪民主新報の記事では、2中総を全く理解されていない候補者達の決意表明のオンパレードである。(この18名の決意表明の記事の大きな横見出しは「消費税増税『戦争する国』・原発ノーの声を共産党へ」と大きく書かれているが、虚しさを感じる。候補者たちはそれを理解していない。)

 落語家などの小噺の芸、「お題」を与えられて、それを組み感で話をつくるという観点から見れば、ほぼ全てが失格だ。満点なら15点だが最高でも5点にしかならない。(全く私の予断と偏見の点数計算だが、しかしこのような弱点があることは見て取れる。)