しんぶん赤旗の衰退はますます進む(もう止めようがない)


平成27(2015)年2月22日


羅針盤を失ったしんぶん赤旗

 しんぶん赤旗の魅力がないことは前から主張してきたが、その原因はスッタッフの人員不足や能力が原因すると思っていたが、今回の「イスラム国」問題を通して分かったことは、共産党の基本的政治的立場が揺らいでいることがその最大の原因だということが分かった。
 共産党は多くの点で、共産党として守らなければならない、原則を捨て始めた。このことをどう具体化するかがむつかしいのだと思う。何を捨てたかは「大衆団体から見放された志位『声明』」で書いたが、要するに「戦うべき敵」をなくしてしまった。昔はアメリカ帝国主義と日本独占資本主義が敵であったが、現在はアメリカ帝国主義のイラク侵略も大目に見て、それよりは「イスラム国」の蛮行の方が「敵」であり、その「解体」をめざすことを最大の課題としている。(志位氏の国会での代表質問はまずこの点から入った・・・本来なら「有志連合に参加するな」が共産党の主張であるはずなのに)
 さらには安倍内閣と直接戦うことを回避し、池内議員の安倍内閣批判のツイッターを志位氏は削除させた・
 この共産党の方針は、安倍内閣と「阿吽の呼吸」で行われており、お互いファイチングポーズをとっているかのような姿勢は示すが、本気で戦わないという合意が水面下で行われている。


この共産党の擦り寄りを評価し、安倍内閣がお返しをした面白い事例がある

 共産党の志位和夫委員長が17日の衆院本会議で代表質問した際、議場から「テロ政党」とのやじが飛んだ。問題のやじは、「志位氏が過激派組織『イスラム国』による邦人人質事件に関する認識や、テロ組織をどう解体に追い込むかを安倍晋三首相にただした」際に飛んだ。ヤジは「さすがテロ政党」との内容だった。
 共産党は、自民党の議席の方向からヤジが発せられた可能性があるとして、衆院議院運営委員長に真相解明を求めていた。
 2月19日自民党はヤジを行ったのは山田賢司衆院議員だったことを明らかにし、小此木八郎国対委員長とともに共産党議員控室を訪れ「発言を撤回し謝罪します」と表明した。これに、共産党の穀田国対委員長と塩川国対副委員長が応対したという
 この素早い対応は、安倍政権が「海外で戦争できる国」づくりで、共産党が利用できると読んでいるからである。この「ヤジ」は志位氏が安倍氏に対して「テロ組織をどう解体に追い込むかを質している最中の「ヤジ」であって、共産党から、そもそも安倍内閣と出来レースで志位委員長が質問しているのに、「それを妨害するとは何事か」と突っ込まれ、自民党も非を認めざるを得なかった事例だと思われる。仕組まれた出来レースでの志位委員長の質問の意味が分からない馬鹿な議員が跳ね返っただけである。
 共産党は安倍政権や大阪では橋下維新と本当に闘う意思があるのか、疑われる記事が大阪でもある。

橋下氏の肝いりで採用された教育長のパワハラ事件

 大阪府の中原徹教育長(44)が教育委員らに威圧的発言をしたとされる問題で、府教育委員会は20日、府教育委職員4人に対して中原府教育によるパワーハラスメント(パワハラ)があったと認定する第三者委員会の報告書を公表した。降格や失職、左遷を示唆する発言があったとし、4人のうち一人は体調不良で退職する原因になったと認定。「教育長の職責として不適切で、違法性を有するものがあった」と指摘した。(毎日新聞21日付朝刊)
 毎日新聞はこの記事を一面に載せている。これに対して赤旗は、4面に載せている。(毎日新聞は1面だけでなく、29面でもこの記事を扱い、相当突っ込んだ批判をしている・・・これは下段に改めて書く)
 赤旗の取り上げ方は、「大阪」「府教育長のパワハラ第三者委員会が認定」という見出しで、客観的に書いているだけで、怒りが全く湧いてこない書き方である。
 例えば、毎日新聞は、この事件がどのような事件かというリード部分で「4人のうち一人は体調不良で退職する原因になった」と書いているが、赤旗は、「職員に威圧的発言を行ったとされる問題で」と書いている。この書き方の違いは、まず読者にどのような事件だったかをイメージしてもらうのか、それともパワハラとは何かの定義だけ伝えようとするかの違いである。さらに赤旗の一番まずいところは、いつも逃げを打ってしまう官僚的話術を使うことである。このせつめいも「発言をおこなったとされる問題で」「される」という言葉で「伝承」にしてしまい自らの責任を回避してしまう。
 しかも、ここが赤旗の馬鹿なところで、第三者委員会がすでにパワハラと認定した結果の報道であるから、ここでは「発言をおこなった問題で」と書くのが正解である。いつも責任回避の逃げを打っているからこのような表現になってしまう。
 さらに読みすすめて言っても毎日新聞と赤旗では表現が決定的に違う、赤旗は、自ら判断せず常に「誰かが言っている」で解決しようとする無責任体質である。
 赤旗は第三者委員会の認定内容を「自分の意に沿わない意見や発言を問題視し、異動や解職の示唆、「精神鑑定」発言を含め人格的な非難を加える発言がなされたと認定しています。」と書いている。
 毎日新聞はより詳しく「〇入試採点方法の議論で、『問題ありとなったら、学校事務長に行ってもらう』と降格を示唆する発言をした〇教育評価方法の議論で、『全く理解できない。精神構造の鑑定を受けないといけませんよ』などと発言。同席者が不適切と指摘したが撤回しなかった〇教育長の英語改革の方針について指摘をすると『誰が言っているのか』と問い詰め、仕方なく名前を挙げると今度は『仲間を売るとはどういう人間か』と2〜3時間、追求。」とこの中原徹教育長が異常人格者であることを浮かび上がらせている。
 「第三者委員会はこうした行為について、『反抗的な態度は許さないという見せしめ行為』『職務上の地位を背景に精神的苦痛を与える行為』などと指摘した。
 ここまででも毎日新聞が記事として読む側の立場に立って書かれていることがよくわかりますが、次に赤旗との根本的違いを見ていきます。


毎日新聞には新聞社としての『主張』があるが赤旗は客観的な報道に徹している。

 毎日新聞は29面で、大々的にこの問題を取り上げ、まず中原教育長の深々と頭を下げた写真入りの記事を書いている。その内容は、「大阪府教育長」第三者委『人権侵害だ』と大きな見出しを掲げ、さらに「パワハラ指導 辞任求める声も」という記事を載せている。
 なかの記事は最後だけ引用させていただくと、「ある府立高校長は、『認定されたパワハラは氷山の一角。中原教育長は辞めるべきだ』と突き放した。そして『事態の悪化を止められなかった府教委幹部も責任を感じてほしい』と語った。」と書いている。
 さらにすごいのはその横に個人名で毎日新聞の主張を書いている。その見出しは「知事はなぜ擁護」「早く正常化を」という記事を書いている。(個人名ではあるが毎日新聞の主張であると思われる。)
 記事の内容は、保護者の意見の紹介が中心だが、三名の意見を紹介しているが、すべて 
 中原教育長に対する批判意見であり、最後の発言者の「一刻も早く教育委員会を正常化してほしい」と注文した。で記事をまとめている。

赤旗は橋下維新と闘うと言いながら、具体的な現れに対しては戦えない。

 おそらく、この教育長のパワワハラ事件の記事も、時事通信かどこかの配信記事をそのまま載せているのであろう。記事に全くの感情がこもっていない。この記事を書く事、読者に伝えることが橋下維新の会との戦いだというような意識の微塵も感じ取れない。サラリーマン記者集団になってしまったのかとも思う。
 あるいは、安倍政権批判は抑えろ(志位委員長)の意向が、大阪維新の会に対しても突っ込むなという指令が出ていのかもしれない。相手と切り結ばなければ、相手からも攻撃されない、その利点を享受しようとして小細工をしているとすれば、情けないし、そんな戦術は絶対に成功しない。戦いは戦ったものだけが勝利を得るのである。
 今日府会議員予定者の事務所開きのビラが入っていた。このビラも全くのピンと外れであり、相変わらず「母一人子一人」で育ち京都大学文学部を卒業がメインの主張になっている。「みなさんのご参加をお願いします」という文書を載せながら、その上からマジックで「本日」と大きく書き、その文書を読みづらくしている。こんな馬鹿げたビラを見たのは初めてだ。人に文書を読んで貰いたいのか、読んで欲しくないのか全くわからない。どうしても「本日」を書き入れたいのでまだ余白があるのに、なぜ本文の上に書くのか、私の常識では信じられないビラである。
 さらにその読みにくい文書であるが、維新の会が安倍首相に近づき、大阪都構想と憲法改悪をバータ取引しようとしているとき、その危機感が全くない文書に仕上がっている。
 こんな簡単な事がわからないのか、それともわかっていて、裏で手を結んでいるのか私にはわからない。4年前もそうだったが、訳のわからない選挙の戦い方である。