共産党高槻市会議員団「市政資料」は、いつも何を主張しているのか分からない。


 令和2年(2020)年4月22日


共産党高槻市会議員団「市政資料」は、いつも何を主張しているのか分からない。


 2020年4月17日付け、日本共産党高槻市会議員団「市政資料」がしんぶん赤旗に折り込まれ我が家に入ってきた。その中に3月議会 「市バス敬老パス段階的に有料化可決される」という記事があるが、段階的有料化の中身が記載されておらず何も分からない。
 私は現在敬老パス(バス代無料)を市からもらっているが、これが取り上げられるのかこの記事を見てもまったく分からない。
 この資料では共産党は、有料化に反対して事は分かるが、市の提案内容が全く分からない。見出しを拾っていくと、反対の理由が並んでいる。
 第1の理由:実際の関係者、利用者への説明がなされていない。
 第2の理由:敬老パスは高齢者だけでなく、高槻市の役に立っている。
 第3の理由:一部負担がなくても市バスの運営ができる。
 第4の理由:高槻市の宝である70歳からの無料制度の堅持を求めます。
 (第5の理由)―さらなる改悪も
と書かれているが、一番大事なのは、今回の提案内容が示されておらず、現状がどうであって改悪されれば、どのような負担が誰にのしかかるのか、全く見えてこないビラになっている。ここに共産党の独りよがりがある。市会議員は高槻市から提案内容を熟知しているが、我々一市民には、市側の提案内容が全く知らされていない。みんなが政治的プロではなく、議会で市バスの敬老パスの問題が議論されており、市側はどうも高齢者から無料パスを取り上げようと思っているぐらいの感覚しか持っていないことに気づいていない。
 丁寧に説明することが大事であって、自分は理解していることを前提にしてビラを書いても何の効果も現れない。
 そこで、高槻市のHPを読んでみた。そうすると今回の市側の提案が三行で書かれていた。その内容を引用すると
1.無料乗車制度を維持するとともに、対象年齢を70歳以上から75歳に引き上げる
2.70歳から74歳までの1乗車100円でご利用できる割引制度を新たに創設する。(通常料金は220
  円)
3.既に、無料乗車券をお持ちの方については無料を継続するなど、経過措置を実施すると書かれてい
  る。
 たったの三行だが、これで市役所側が何をしたいのか大枠は分かる。
 共産党のビラには段階的に有料化可決されると書かれていたが、何が段階的かさっぱり分からなかったが、現在70歳からの高齢者パスの発行を10年かけて75歳からにすることが分かった。その際、現在69歳の者は1年だけ市バス乗車の際は100円支払い71歳からは無料となる。
 また現在65歳の者は70歳から73歳まで乗車の際に100円を払い、74歳から無料となるという制度設計である。このことを示さないビラは、読者である市民にその声は届かない。私は無料のままで現在と変わらない。(利己的な判断で申し訳ないが)ただそれぞれ高齢者がどうなるかを伝えなければならない。それが議員の役割だと思う。
 次にこのビラで一番分からないのは、第3の理由「利用者の一部負担がなくても市バスの運営ができる」という記事である。これほど独りよがりな記事はない。これを書いた者はいろいろ資料をもらいその上でこの部分を書いていると思うが、その資料を読んでいない者には何を書いているのか全く分からない。以下に全文引用しますので、この内容が分かるか皆さんで判断してほしい。
 「今まで市が補助をしていた6億円を、より実態に応じた、9億6千万に増やします。その後も9億円前後の補助額であり、完全移行する9年後でも7億8千万円です。その時の70歳から74歳の負担は8千6百万円、市が負担することも可能です。」以上引用です。
 この文書から何が読み取れるのか全く分かりません。

市は何をしようとしているのか市役所のホームページで情報を探しまくった。


 市のホームページで2つの重要な文書を見つけた。一つは、なぜなぜ高齢者乗車制度の改革が必要になっているのかという文書(正式名は市営バス高齢者無料乗車制度について〜対談〜)という文書である。これは市役所の幹部の「対談」を通して高齢者無料乗車制度の改革を理解してもらうと趣旨で書かれている。(以下この文書を「対談」という。)
 この「対談」の中に先に引用した今回の制度見直しのポイントが3点に渡って記載されている。もう一点重要な記載はなぜこの見直しが必要か市側の主張が書かれている。(これについては後で詳しく述べる)
 次に交通部の出した資料(第6回高槻市自動車運送事業審議会 市営バス高齢者無料乗車制度の見直しについて)(以下この文書を「見直し案」という)が見つかった。今回の市営バス高齢者乗車制度の見直しの根幹が書かれている。これを読めばすべてが分かるという文書である。

二つの文書(「談話」・「見直し案」)は何を語っているのか見ていきたい。

 まず、「対談」(令和2年3月26日掲載)は、市バス運営の赤字の原因が高齢者の無料パスが赤字の原因だと指摘している。具体的には「平成30年10月から令和元年の9月までの1年間で、延べ606万人の利用がありました。無料乗車制度の利用比率は約38%で数値をみると、改めて多くの方がこの制度を利用されているという印象でした。それから利用実績から試算した年間運賃相当額は、1乗車均一区間220円で換算すると、約13億3,000万円に上ることがわかりました」と書かれています。
 この文書からは、高齢者無料パスを廃止すれば、市は13億3,000万円の増収になり赤字は一気に改善できると読めます。これを一気にやれば市民からの反発も強いので、10年かけてこれをやりきると「対談」は書いています。
 参照図1
 




 この図から見れば5か年で現在の高齢者無料パスの年齢を5年間かけて70歳から無料を75歳から無料に変更するように読み取れますが、それは誤りであって市は10年間かけてこの見直しを行おうとしています。

 高槻市の高齢者無料パスの見直しの根幹は、「見直し案」を見ればよく分かる。

 「見直し案」を見るまでは私はこの見直しは5年計画だと勘違いしていた。さらには、バス事業の根本的改革(赤字経営から黒字経営へ)を目指した改革だと思っていた。二つの勘違いをまとめると

@新制度への以降は令和3年から始まり、制度完成は令和12度になる。
 10年間かけて見直しが図られる。以下の「見直し案」の「5.市営バス無料乗車制度のあたらしい仕組み(案)」
  参照(図2)
A「『「談話』に書かれていた平成30年10月から令和元年の9月までの1年間での無料パスによる損失13億3000
 万円の損失の回復し、5年後には黒字経営を見込んでいる。」と見立てていた。しかし実際の改定案は、案外しょ
 ぼいもので、市バスの黒字化を目指したものではない。「見直し案」の「7.将来収支試算結果」【高齢者無料乗車
 の見直しによる収入予測】の概略版参照(図3)

参照図2



 

参照図3−1



参照図3−2
7.将来収支試算結果
  【高齢者無料乗車の見直しによる収入予測】概略版


 この「図表3−2」を見る限り、バス事業の根本的な見直しは諮られておらず、10年間の収支の中で高齢者の無料パス見直しで収入の増は、約5億円にしかならず、全体の事業費161億3924万5千の3.15%にしかなっていない。
 高齢者の無料パスの年齢変更にポイントがあるようにいろいろの資料を作り皆の視点を誘導しているが、バス経営の独立採算制の確立を目指したものでもなく、市からの助成金を6億から9億5千万増額することに最大の狙いがあるように読み取れる。バス財政の健全化は、高齢者のバス料金の負担増よりも圧倒的に市の一般会計からの助成金の見直しがその主要な柱である。

共産党高槻市議団の市政資料に書いている事は核心をついているがそれが読み取れない


 「市政資料」よくよく見ると、「今まで市が補助をしていた6億円を、より実態に応じた、9億6千万に増やします。その後も9億円前後の補助額であり、完全移行する9年後でも7億8千万円です。その時の70歳から74歳の負担は8千6百万円、市が負担することも可能です。」と書かれていますが、この表現では何も分かりません。

「市政資料」の主張は
 @今まで市が補助をしていた6億円を、より実態に応じた、9億6千万に増やします。その後も9億円前
  後の補助額であり、完全移行する9年後でも7億8千万円です。
 Aその時の70歳から74歳の負担は8千6百万円、市が負担することも可能です。

 この共産党議員団の主張は、今回の見直しの根本的な欠陥、市の一般会計からの持ち出しが、現在の
6億円から9億5千万円まで増え、バス事業の健全化・独立採算化に後ろ向きな解決であること。さらには高齢者負担を増やしたと言いながら、収入増は年間8千万以下にしかならないことを指摘している。(この数字は全く不可解な数字です。)・・・この改革の最大の弱点です。
 最初に掲げた改革の趣旨(「談話」)は、高齢者の無料パスがバスの営業に当たって、13億3000万円の減収をもたらしており、バスの独立採算制の障害になっているという意識から「見直し」したはずなのに、この制度の完成時に年間8千万円以下しか増収につながっていない。この「市政資料」の着眼点は良いのだが、何が問題なのか追及が浅く唐突な感じがする。
 この見直しで一般会計からの助成金は6億円〜9億4506万3千円(令和3年)に、令和4年は9億5487万5千円に増額され、制度完成時には、7億8916万8千になります。改革の中心は市の一般会計からの助成金の増額です。(注3)
 改革とは言えない「見直し」です。独立採算制に背を向けています。

注3:共産党は8千6百万円と言っていますが、これは令和9年の収支から見ています。私は制度完成年度
   の令和11年度、7億8916万8千、12年度の7億7053万8千円を見ています。
 
 この改革は、バスの財政運営の強化を目指したはずが、市の一般会計からの持ち出しが増える形で終わっています。

この不可思議な決着(到達点)の所在は何処にあるのか見ていく必要がある

 この問題の出発点の問題意識は、
 @70歳以上の高齢者に無料パスを出しているため、13億3000万円の収入を逃がしている。
 A13億3000の根拠は、高齢者は年間606万回市バスを利用している。
  ★6,060,000回*220円=1,333,200,000・・・13億3000万
  ★高齢者70歳から100歳以上の数字は「75073人」
   〇6,060,000回/75073人=80回・・・無料パス所有者は年間80回乗車
    80回/12か月=6.66回・・・・・・一か月に7回無料でバスを乗っている
   ことになる。行きかえりで1日2回と見れば月に3日利用している。
  この確認が必要である。ところが今後の見直しでは、この「数値」が使われていない。
 B今後の見通しでは、全く違う「数値」を採用している。
 C令和3年度、初めて100円払う人が4743人発生する。この方たちが支払う金額はいくらになるかの予想
  は、130750人分とみている。(注4)
  ★130750/4743=27.55回・・・この現在68歳の方(4743人)は年間28回
   しかバスに乗らないことを前提にしている。
   〇月にすれば、28÷12=2.33・・・月2回の利用を推定
   〇月2回ということは、往復乗るとして実質月1回の利用を前提に制度設計を行っている。   
  ★減収の計算時は、一人年間80回バスを使用することを前提としていた
   この数字は高齢者70歳以上の人全人口(75073人)で割った数字です。
   〇6,060,000回利用(「談話」)÷75073人=80.72回
  ★今回は現在68歳の方が70歳になった時のバスの使用回数を何回にするかが問われている。全人口で
   割った時に80回であったのなら、今回は70歳で若いから年間100回は利用すると思われる。
   100回÷2=50回(日)50÷12か月=4.16回である。
   月に4日バスを利用することが前提でないとおかしい。
  ★交通部の試算は月2回(実質月に1日)しか使わないことを前提にしている。それなら月200円の   出費しか増えない。何とも小さな話だ。

注4:130750人分の数字の根拠は、「7.将来収支の試算結果」で100円徴収の総額を13,075,000とみて
   いる。これを100円で割れば、130,750人分となる。(これを4743人:「新たに70歳になった人」で
   割れば27.56・・一人当たり年間乗車回数が28回になる。・・・これを基本数値にしている。)

 D大雑把に言えば、高齢者の無料パスで13億3000も減収があり、これを直すために75歳からに5歳ずら
  せばどのぐらい経済効果があるかを考える際に高齢者の年齢構成をまず見るだろう。
   70歳〜75歳の人口は2万4602人おり、75歳以上の高齢者が5万471人で合計7万5073人になる。この内
  70歳〜74歳と75歳以上の人では、人数は倍いるが、バスに乗る機会は5分5分ぐらいになるのではと思
  っている。
   そうすれが、減収分の高齢者は606万人分あるということなので、増収分も同じと考え、300万人分
  が増収見込みとして計算できる。
  ★3,000,000人*100円=300,000,000円は増収があると見込まれます。
   これを70から74歳の方の利用数を高齢者全体の3割5分と見た場合でも 
   〇6,060,000*0.35=2,121,000
   〇2,121,000*100円=212,100,000・・・2億円の増収が見込まれる。

 70歳から74歳の老人バスに乗る割合は、全高齢者の3割5分と仮定した計算でも2億の増収は見込めます。改定案は、バスに乗る回数をものすごく低く見たために収入増が極めて小さくなっています。もし100円(往復で200円)の増額で、老人の外出が、月4回から月1回になるという試算が正しいのであれば、高々8000万円の収入増のために、高齢者の生活破壊を進めていることに市側は気づくべきです。

資料:共産党高槻市市会議員団 「市政資料」