維新政治と戦わず、自民党の金魚の糞に成り下がった大阪の共産党


平成27(2015)年10月22日


共産党大阪府会議員団長「宮原たけしレポート」の大馬鹿ぶり


 共産党大阪府会議員団長の宮原レポートは、いつ見ても問題点だらけです。今までその問題点を系統的に批判してきましたが、今回大阪ダブル選挙勝利を目指して出された宮原レポート(No.7‐9(10月18))は、支離滅裂です。共産党は自民党の金魚の糞になったことの決意表明みたいなレポート(ビラ)になっています。
「国民連合政府」や「一点共闘」の精神が分からず、共産党解党路線に仕上がっています

共産党の狙いは民主連合政府の樹立だが、「よりましな政府の樹立」がその一里塚

 共産党は最近「国民連合政府」路線を掲げ、政界の中でも、国民の中でも大きく注目を浴びています。この方針の重要なところは、「共産党としての独自の政策は維持しつつ、安倍政権が推し進める戦争出来る国づくりに反対し、先の国会で蹂躙された立憲主義の回復を第一の目標に掲げ、すべての国民の『個人の尊厳』を守り、大切にする歴史的一歩を踏み出す政府を作り上げたい」としています。(10月16日外国特派員協会での志位委員長の発言から)
 さらに共産党は「一点共闘」のを重視し、原発、TPP、消費税、憲法、米軍基地反対の一点共闘の運動を通じて日本政治を変える統一戦線へと発展させていくこと目指しています。(2014年4月21日(月)「一点共闘」を日本の政治を変える統一戦線に:全国革新懇懇談会 志位委員長の報告志位委員長)
 
 この志位委員長の発言から分かるように、共産党は民主連合政府の樹立を目指していますが、それまでにも有利な情勢を切り開くために当面は「よりましな政府」の樹立に当面は最大限の努力を行っています。この「よりましな政府」の実現は、日本の政治状況を大きく変え、共産党の目指す、民主連合政府実現への展望を切り開くものです。

宮原レポートはそうした立場から書かれているでしょうか

 大阪の橋下維新の会は、共産党が目指すそうした国政改革に最大の妨害勢力です。現在の日本の政治勢力は自・公政権ですが、橋下氏は安倍首相や菅官房長官とも気脈を通じており、公明党に取って代わり、より右翼的な連合を目指しています。
 大阪の共産党はこうした維新勢力と戦い、維新政治を終わらせる大きな役割を求められています。宮原レポートはそうした立場から全く書かれていません。以下宮原レポートを見ていきます。
 まず一面ですが、「維新政治を変えよう」多様な府民の声を聞くまじめな大阪府政を」「栗原貴子さんとの共通点です」というのが見出しです。
 この見出しの問題点は「維新政治をかえよう」としていますが、維新政治の何が問題かに触れていません。何をどう変えるのか分かりません。さらに問題なのは共産党がなぜ自民党の候補者である栗原貴子さんを支持するのかわかりません。この見出しからは、「まじめな大阪府政」というのが共産党との共通項に読めます。
 しかし、それだけで良いのでしょうか? ここで書くべきことは、維新政治が大阪府民に如何に害悪をもたらしているか、あるいは日本の国政改革にも如何に妨害勢力であるかをまず描き出しことが必要です。
 次に共産党はそういう維新政治と真っ向から戦ってきたし、今後も戦うという立場表明が必要です。共産党は本来大阪府政のあり方をどのように考えているのかを明確にすべきです。
 さらには、それにもかかわらず今回なぜ自民党候補を勝手連的に押すのか、その主張を明確にすべきです。
 それは、大阪府民の幸せの実現のためには、維新政治を倒すことが最も重要であり、まず、維新対他の政治勢力という政治情勢を作って戦うことが重要だと言うことを府民に理解していただく立場からの主張がどうしても必要です。
 宮原レポートは、維新がなぜダメなのかを明らかにせず、同時に今まで敵であった自民党を勝手連的に支持することがなぜ重要なのかを説明できず、自民党府政が実現すれば大阪府はバラ色になるような宣伝をしています。(馬鹿げています。)
 このビラを賢い大阪府民が読めば、「それなら共産党はいらんやん!」と思うでしょう、「よりましな政府(府政)」という考え方で評価し、維新を退場させるためには、この手法を取らざるを得ない事を明確にすべきです。共産党はもっと先を見て、今回はこの方針を採用した事を府民に丁寧に説明する必要があります。

共産党の大阪府政に対する方針を明確に打ち出す必要がある

 自民党候補を応援する以上、ことさら不一致点を強調することには問題もありますが、すべて飲み込む姿勢は、共産党の独自性を全く放棄するものです。
 宮原氏は前々回の府会議員選挙でも、維新政治と戦うという主張は全くなく、大阪都構想の戦いの最中、「たかじんのマネー」という番組に橋下氏と共演し、都構想の根本的問題にメスを入れず、「プールの数が減る」ということに代表される市民に身近な施設等が減るという主張を前面に出しました。
宮原氏は、「私は府民の要求の次元に立って政治を語っている」というのがウリなのでしょうが、大阪維新と戦うには彼らの本質を暴き出すことが重要です。宮原氏の主張する市民目線での主張(「プールの数が減る」)では大阪維新と戦うことはできません。

共産党は大阪維新攻撃に、唯一咲洲庁舎問題を上げているが・・・

 宮原氏は大阪維新の問題点として橋下氏が知事時代に庁舎移転を狙って85億円で旧WTCビルを購入し、「咲洲庁舎」にした事を繰り返し攻撃していますが、これは政策的な失敗であり、維新政治の本質ではない。こんな事を繰り返し取り上げても、「確かに橋下はアホやな」という気持ちは起きても、橋下・維新政治を倒さねばという気持ちは湧いてこない。常に維新政治の本質に迫らず、取るに足りない問題で相手を攻撃している。
 今回のビラに限って見れば、「咲洲庁舎約(2000人の職員)の5年間の費用は134億円」「ムダ遣いの2重庁舎」「大手前庁舎(約2800人の職員)は44億円」という見出しを掲げています。さらに「―費用が少なくてすむ大手町庁舎に一本化する事が、維新以外の政党の一致した意見―」とも書いています。その根拠に以下の表を載せています。(詳しくは資料1参照)
           
       咲洲庁舎の整備・維持管理費(2010〜2014年度の合計)
整備費
123億円  
維持管理費
58億円  
計画修繕費
5億円  
テナント収入
▲52億円  
合計
134億円

大手町前庁舎の管理経費
44億円

 という図表(?)を出しているが、これが何を意味するのか全くわからない。非常に奇妙は図表になっている、比較を行う場合同じ図表の中で数字を入れなければ、全くわからない。例えば、咲洲庁舎の整備費は123億円であるが、大手前庁舎には整備費は「0円」なのか、なぜそんな事が起きるのか、整備費とは具体的に何を指しているのか全くわからない。この128億円の中には旧WTCビルの購入費85億円が含まれているのか不明である。さらにテナント収入52億円あることから見て、咲洲庁舎は、庁舎機能だけでなく、他の店舗等が入っていると思われるが、維持管理費58億円にはそれらも含まれているのでは様々な疑問が沸く図表である。
 さらにこの記事では、大手前には、「新庁舎のための大阪府の土地もあります」という記事からして、」大手前庁舎が手狭で老朽化しており、建て替えが必要な事を認めている。
 もし建て替えれば相当の費用がかかる事が予想され、咲洲から職員が引き上げても、残された咲洲庁舎では、整備費や管理費は今までとほぼ同額が必要と推測され、何ら経費削減に繋がらない。(咲洲庁舎が、防災拠点として活用出来ないことはすでに明らかであるが)
 何を主張したいのか分からず、謀略的ビラの匂いすらする。

裏面は、栗原貴子(現、自民党府会議員団政調会長)絶賛記事

 大阪府政が真に民主的に府民本に運営されるための課題は何か、共産党はどう捉えているのかを明確にせず、自民党府政になればバラ色の府政が実現するようなビラを共産党が配布するのは噴飯ものである。
 それなら共産党などいらないではないか、この疑問にどう答えようと共産党はしているのか?全く馬鹿げたビラの構成である。もし今回栗原さんが当選し栗原府政が実現すれば共産党は与党になるのか、また4年後の知事選挙では、対立候補を立てず自民党議員を応援するのか、そうした基本的政治姿勢を示さず、栗原候補を絶賛するのは無責任である。
 今回共産党は、維新政治との決別を最優先と捉え、「この一点で栗原候補を押す」という政治的立場を明確にしなければ、もし維新政治の政界からの放逐に成功しても、その後自民党とは戦えなくなる。大阪の共産党は自民党の金魚の糞になってしまう。
 

この宮原レポートの最大の問題点は、府民を誤った方向に誘導しようとしている

 宮原レポートの犯罪性は、栗原貴子自民党府政が実現した場合、府民の切実な要求が実現するような幻想を振りまいていることです。
 維新政治が実現するまでは、共産党の最大の敵は自民党政治でした。自民党と共産党には相容れない政策がたくさんあるはずです。府政運営の基本的理念が違うはずです。この間、確かに橋下徹という一大詐欺師みたいな男が現れ大阪の政治は大きく混乱し、維新の大阪から放逐する事が最大の課題となりました。この共通認識こそが大阪の反維新勢力の一致点です。「国民連合政府」との関連で言えば、「立憲主義の回復」、「戦争法の廃止」が一致点です。他の政策をすり合わせようとは、現状では想定されていないと思っています。。
 これに対して、反維新の戦いは、暗黙の一致点「反維新」はありますが、自民党やその他の政党と何ら政策協定が出来ていないのです。ですからこの戦いで勝ち取れるのは維新政治の放逐だけであり、それ以上の事を実現する保証は何もないのです。
 宮原レポートは、栗原貴子氏が当選すれば、今まで共産党が主張してきた事が実現するような甘い幻想を振りまいています。何ら政策協定も行っていない中で、つい数年前まで対立していた自民党府政が実現して、共産党の主張が実現する可能性は極めて低いと言わざるを得ません。
 宮原レポートのように、府民に幻想を与える宣伝は無責任で不誠実です。

新たなもう一枚のビラの問題点

 今日、新たに栗原貴子さんの高槻市での個人演説会のようなビラが赤旗に織り込まれて配布されてきた。(参考資料2)このビラをよく見ると、発行者は「明るい民主大阪府政をつくる会」のビラである。さらによく見ると、このビラは、候補者本人の写真がビラの多くを占め、高槻集会と書いてあるので、高槻に来るのかと思ったが、式次第(プログラム)に候補者の名前がない。プログラムの「お話」という欄には、河本幹子(明るい民主大阪府政をつくる会・代表幹事)と宮原たけし府会議員となっている。明らかに共産党系の集会である。そのビラに共産党の主張を全く載せず、栗原候補者が作成したようなビラを配布する共産党のセンスは全く理解出来ない。
 今回の共産党の知事選挙の戦いは、「一点共闘」のような装いを見せているが、これは何ら政策協定も交わさず、勝手に立候補を見送り、勝手連的に応援する極めて無責任な選挙である。もし勝利しても共産党は「与党か・野党か」の政治的立場も明らかにせず、栗原候補を絶賛するような選挙手法は、同時に共産党の弱体化を招く事を知るべきだ。

参考
 資料1 宮原レポートNo.7−9
 資料2 明るい民主大阪府政をつくる会のビラ