しんぶん赤旗は本当に一紙で間に合うか?(昨日・今日の赤旗を読んで)


 令和2(2020)年3月26日


 しんぶん赤旗は、朝日新聞や毎日新聞に対抗して、一紙で間に合うしんぶん赤旗を宣伝している。果たしてしんぶん赤旗にその実力があるかこの2日間の赤旗記事から検証してみたい。

1.決定的弱点は、一般紙に比べ記事の最終締め切り時間が早いことである。

  テレビなどのドラマで、新聞社の記事がどのように作成されているかの場面がよく出てくる。その
 際に大事な事件等があった際に、締め切り時間との戦いで記事を書き上げ、常に新しい情報を読者に
 伝える努力をしている姿が映し出される。
  その現場の迫力は鬼気に迫るものがある。さらに一般紙は、一度出来上がった記事を輪転機が回っ
 た後でも差し換えながら、新しい記事を載せることを大事にしている。
  新聞社に記事に対して電話で問い合わせると、「その新聞は何版の記事ですか」と聞いてくる。そし
 て「あなたの言われている記事は何版の記事であり、その後誤りに気づき何版以降は修正した記事を
 載せている」と答える。
  私の家の毎日新聞は14版と書かれている。大阪は14班が通常なのかと思われる。しんぶん赤旗
 には〇版という記載はない、一度締めきったらそれで終わりだということが想定される。
  このしんぶん赤旗の弱点は、前々から気になっていたが、昨日の赤旗を読んでやっぱり駄目だなと
 痛感した。3月25日付赤旗は、一面で「東京五輪1年延期へ」という記事を載せている。これは毎日新
 聞も一面トップで大々的に載せている。この記事は二面、三面、二一面、二九面にも載せている。
 25日付 け新聞の最大の記事として扱っている。
  一方赤旗は、一面左にやっと見出しだけを押し込んだだけである。これだけで押さえておけは傷は
 浅かったのですが、11面【スポーツ】に、「聖火リレー無走者」という大きな見出しの記事を載せ
 ている。サブ見出しは「当面 車でランタン輸送」さらには「判断が遅く、現場は大変」と書いて
 いる。
  なぜ一面に「東京五輪1年延期」と挿入した際に、この紙面の入れ替えができなかったのか、赤旗
 の実力不足が暴露された記事になっている。毎日新聞は一面に「聖火リレー中止」との見出しを入れ、
 さらに一面左に「ともしびは待つ」という記事で、「大会組織委員会は24日、国内聖火リレーの中
 止を発表した。」と書いている。
  この情報は何時入ったのか、毎日新聞では、「国際オリンピック委員会のバッハ会長と電話協議す
 る安倍首相等」という写真を載せ、その時間を午後8時過ぎと書いている。
 (この写真は電話協議の最中の写真のように書かれているが、事前打ち合わせの会議の写真のように
 も見える)が少なくとも、10時の報道ステーションではこの「延期」の報道をしていた。しんぶん
 赤旗のデスクが「延期」情報を一番遅くても10時半には知りえたはずなのに、なぜ赤旗は「聖火リ
 レー無走者」という記事を書いたのか、なぜこのバッハ会長との電話協議で延期が決定される可能性
 が高かったのに、その場合の記事を準備していないのか、その鈍感さには恐れ入る。毎日新聞がこ
 れだけの時間の間に、すべての記事を延期に合わせて書いているのは、事前に記事を用意し、いつで
 も差し換えできる準備をしていたからだと思う。この差は決定的に重要な点だと思う。一般紙に赤旗
 は勝つことができ ない。何周も遅れていることが露わになった。

2.東京五輪延期の記事(26日付)が一般紙よりも馬鹿げて報道になっている。

  赤旗は25日(昨日)には、延期の報道ができなかったので、本日付けが最初の評価の機会であ
 る。しかしその内容は全く政府広報に成り下がっている。
  見出しは「東京五輪延期」「開催時期おおむね夏」「酷暑避ける選択も」と書いている。昨日付
 (25日)毎日新聞はどのように報道したか、赤旗とは決定的な差がある。まず大きな見出しで「I
 OCに追い込まれ」「課題は棚上げ」「東京五輪延期」「政権『来年夏前』視野」という記事を載せ
 ている。記事では、安倍首相の任期との関連を指摘している。引用すると「政治日程の影響もありそ
 うだ。首相の自民党総裁の任期は21年9月。『五輪を招致した首相は、在任中に五輪を実現したい
 との思いがある』(周辺)との見方もあり、『1年』が有力視されていた。」と書かれている。赤旗
 ならこう書いてさらに首相は五輪の成功を利用し、4選を狙っているぐらい書くべきだと思う。
  毎日はさらに、「国立競技場」「エンブレム」「不正疑惑」「招致から多事多難」という記事も載
 せている。その中で麻生太郎氏の「呪われたオリンピック」という発言も紹介している。
  毎日新聞の記事は、さらに首相の「人類が新型コロナウイルス感染症に打ち勝った証として、」と
 いう表現も批判的に紹介している。
  1日遅れの赤旗は、政府広報的記事と識者の発言でお茶を濁している。見出しは「東京五輪・パ
 ラ『延期』どうみる」で三人登場させているが、一人目は「『人類ファースト』の考え」、二人目
 は「平和社会構築へ必須措置」、三人目は「1年で流行収束難しいか」という見出しで書かれてい
 て、安倍首相の政治的意図など全く触れない記事になっている。赤旗は既に気の抜けたサイダーのよ
 うになってしまっている。
  なお、26日(本日付)毎日新聞は、昨日の記事をさらに発展させた記事を書いている。まず3面
 で「五輪延期 首相の賭け」という見出しで「トランプ米大統領の『後押し』もあったことが大きい。
 と書いている。さらに5面【社説】で「東京五輪1年延期」「乗り越えるべき課題は多い」という見出
 しで、中見出しに「政権の『遺産』ではなく」と書き、安倍首相の動きにくぎを刺している。内容は
 「開 催目標を『来年夏まで』としたことついては、来年9月までの自民党総裁任期を意識したもの、
 との指 摘がある。」と書いている。
  さらに7面【国際】では、「五輪延期 海外理解と批判」という見出しで、まず「判断遅かった」
  (米国メディア)という記事を載せている。また16面【スポーツ】でも「サッカー五輪 U23で
 揺れ」という記事も載せている。
  23面【社会】にも、「リセット東京2020」という記事があった。「もう1年」「ぐったり職
 員意欲新た」「希望の火」「福島に当面『滞在』」「『最強』選び 競技団体苦慮」という記事も書い
 ている。 
  このボリュウムの差は雲泥の差があり、その内容・視点は毎日新聞の方がよほど鋭い。赤旗の記事
 はおそらく共同等の配信記事に頼り、独自に取材するチカラや、何を主張するかの視点を失っているよ
 うに見える。

3.一紙で間に合うに相応しくない記事(国民と離反していく事が分かっていない。)

  16日の赤旗9面【党活動】に「コロナの苦難軽減、党員・読者前進へ・1日1日猛奮闘、土日の
 大飛躍を」というスローガンが大きく掲げられています。
  この記事こそ一紙で間に合う新聞に相応しくない。この標語を一般の読者が見てどう 思うか、共
 産党の幹部は考えたことがあるのだろうか?全く国民から遊離してスローガン(標語)である。時代
 感覚が全くない。戦時国策スローガンに似ている。戦時国策スローガンに「働いて 耐えて笑って 
 ご奉公」、「嬉しいな 僕の貯金が弾になる」「切り詰めて 米英陣を 切り崩せ」あるいは中国共
 産党の大躍進政策のスローガンを思い出す。
  実は赤旗のこの記事を見て今回HPに載せようと思った。最初は、中国は社会主義国か否かを志位
 委員長の講演を通して批判しようと思っていたが、すでに何回も書いているのであきらめた。さらに
 は五輪延期も弱いなと思っていたが、この「戦時国策スローガン」みたいなものに接し、それまでに書
 こうと思っていたものに追加して書き上げた。
 
  なお全く関係のない話だが、この話を書くため毎日新聞を点検していたら、非常に重要な記事を見つ
けた。それは「追跡」というシリーズで「4月施行の改正国有林法」の問題点が書かれていた。優れた記事だ。これらの重要性についても赤旗は見逃しているのではと思われる。
 やはり、一紙ではダメだと思われる。