「96」と「731」と戦車


                                                                                                        平成25(2013)年5月20日

<軍国少年が首相に>

 この間の安倍さんを見ていると軍国少年のようなはしゃぎ方である。石破幹事長も軍事オタクだが、(プラモデル等で遊んでいるようだが)、安倍氏は戦車や戦闘機に試乗しては、憲法改正を行い国防軍の創設を訴えている。

 しかしその訴え方の筋が悪い。確かに絵になる(写真になる)ポーズを行っているが、安倍氏の意図とは逆に、巷では危険性が叫ばれている。取り分け海外メディアは安倍氏の得意げな写真を載せて、日本の軍国主義復活の危険性を指摘している。

 この間の経過を見れば、各マスコミは以下のように伝えた。

<戦車>

 インターネット動画配信サービス「ニコニコ動画」の運営会社は4月27日、千葉市の幕張メッセでイベントを開いた。安倍首相は、陸海空自と在日米陸軍のブースを訪れ、展示中の陸自の最新型戦車「10式戦車」に乗った。迷彩服の上着とヘルメットを着けて戦車の砲手席に立ち、カメラや携帯電話を構えるコスプレ姿の客らに笑顔で手を挙げて応えた。 首相は自衛隊最高指揮官だが、戦車に乗るのは異例である。(毎日新聞)

<96番>

 5月5日 安倍晋三首相は、国民栄誉賞授与式後の巨人―広島戦の始球式に背番号「96」の巨人のユニホーム姿で登場した。第96代首相にちなんだとしているが、憲法改正の発議要件を緩和する96条の先行改正を掲げており「改憲へのアピールでは」(自民党中堅)との臆測も呼んだ。(中略)

 首相は始球式後、背番号と96条改正の関係を記者団に問われ、「ふふふ」と笑みを浮かべた上で「ユニホームは私が96代(首相)だから『96』なんです」と答えた。(共同通信)

<731>

 戦車で気を良くした安倍首相は、5月12日、宮城県松島市の航空自衛隊基地で視察を行い、飛行服を着用してアクロバットチーム「ブルーインパルス」の練習機に試乗した。その際、操縦席で撮影された安倍首相の写真を韓国メディアが問題視している。

 試乗した航空自衛隊機に「731」と記されていたことから、旧日本軍の細菌戦部隊「731部隊」を連想させるとして、韓国メディアが一斉に非難の声を上げている。16日付で北京晨報が伝えた。

 この件については日本のメディアは伝えず、赤旗のみが報道している。

赤旗は、 「731部隊連想させる」 「韓国メディア・議員が問題視」と見出しを掲げ、「細菌兵器の実験などに当たっていたとされる旧日本軍の731部隊を連想させる「挑発だ」と問題視しています。という記事を載せている。

 <改憲派の動き(安倍首相、橋下市長)>

  ユニホームの番号が96番であったことから憲法改正の意思を表したのかと問われマスコミを相当にぎわした、安倍首相が、今度は戦闘機の機種番号が「731」というのは偶然では済まされない。首相ともなれば、そのくらいの判断を行える資質が必要である。(誰かが裏で意識的にこれらの番号を使用しているとしか思えない。)

    この安倍首相の対応は、橋下維新共同代表が、「慰安婦制度は必要だった」の発言と軌を一にしており、過去の侵略戦争を否定する改憲派の危険な動きとして、中国や韓国からの批判をはじめ、安倍氏が目下の同盟者として忠誠を誓うべき、アメリカからも、危険な動きとして批判されている。安倍氏は騒ぐだけ騒いで、アメリカの意向がそうでないことを察知し、「村山談話」や「河野談話」を安倍政権では変更しないと、すでに逃げを打ち始めているが、橋下市長は、自らの発言が抜き差しならない状況に追い込まれ、詭弁を弄しながらも未だ「慰安婦問題」の自らの発言を撤回せず、中央突破を図ろうとしている。

<共産党に望まれていること。 セクトでなく統一を>

 しかし過去の侵略戦争を否定し、再度侵略できる国家づくりを目指す安倍首相や橋下氏などの企みは、賢明な国民から見放されるであろう。

 参議院選挙に向けて、こうした復古主義派の企みを暴き、96条の改定勢力の議席数を3分の2以下に追い込むことは緊急の課題である。

 共産党は過去のしがらみを捨て、96条改悪反対の立場から、議会内外での統一戦線を模索すべきである。現状の党の方針は、全選挙区立候補であり、他党派との共闘(統一候補)に懐疑的であるが、日本の将来のためには何が大切か大局的な立場から参議院選挙に臨まない限り、前進は図れないであろう。