加計学園・森友学園疑惑の解明の中で、あぶりだされた権力に迎合する者たち


平成29(2017)年6月5日

 国民を欺き、官僚を抑え込み、政権に恋々としがみ付く、安倍首相と菅官房長官の醜さ

  加計学園問題で、安倍内閣の狡猾さや、下品さが浮かび上がってきた。この問題で、前川前次官の証言がなされることを察知した安倍官邸は、読売新聞を通じて、前川前次官が出会い系バーに出入りし売春行為を行っていたことを連想させる記事を読売新聞に掲載させた。

 読売新聞は、憲法改正問題でも官邸の広報の役割を果たし、今回の前川氏に対する記事は三流週刊誌の記事にも劣る如何わしい記事である。ジャーナリズムとして読売新聞が死んだ日と後に記録されるであろう。

 森友学園問題でも安倍内閣の戦略は、証言者(籠池氏や前川前事務次官)の人格攻撃を行い、その証言の価値を否定し、自らの疑惑を隠ぺいする、極めて卑劣な手法を用いている。

 森友学園問題では、籠池氏に一定の如何わしさがあり、この戦略は成功した。しかし加計学園問題では、前川前次官は、どう見ても官僚として安倍内閣の行政の私物化を許さないという正義感からの「反乱」だと国民の目に映る。安倍首相や菅官房長官の顔つきと全く違う正義感にあふれた人格が見て取れる。前川前事務次官に対する人格攻撃は安倍氏や菅官房長官の下劣さを浮かび上がらせている。

赤旗は、森友学園では籠池氏を攻撃し、加計学園では「安倍友」の山口敬之を攻撃しない?

 赤旗は、森友学園問題の際は、この官邸の戦略が見えず、籠池氏の人格攻撃に参加していたが、今回は前川前事務次官の攻撃には参加していない。一歩前進である。

 今回の加計学園問題の陰で、元TBS テレビ報道局ワシントン支局長の山口敬之氏の準強姦事件が、官邸の意向で逮捕直前まで行ったのに、逮捕が見送られた事件がある。この人物は安倍首相に最も近い人物であり、最近彼が発行した本は「総理」である。

 各局のテレビを、田崎史郎氏とこの山口敬之氏が分担して出演し、官邸の広報として活躍してきた張本人である。この人物の逮捕が見送られたのと加計学園問題の根っこは同じであり、安倍氏に近い人物は、お金儲けはできるし、違法行為があっても見逃してもらえる。お隣の朴 槿恵前大統領の腐敗と瓜二つであり、民主主義社会でなく、独裁社会になりつつあることの象徴的な事件である。

 この被害者は顔出しして(氏は伏せているが名前も出し)山口氏が、不起訴処分になったことを受け、29日付で東京検察審査会に不服申し立てをしたことを明らかにした。大手一般紙やテレビもこの報道を避けてきたが、彼女が顔出しして検察審議会に不服申し立てした時点で報道を始めて入るが、赤旗は沈黙を守り通している。

 森友学園問題でも、安倍内閣の戦略に合わせて籠池氏の追及(維新を免罪)を行ったり、加計学園問題でも、安倍内閣の本質を浮かび上がらせる、友達優先の権力行使の象徴的事件を追及しない共産党の追及姿勢には疑問を感じる。

 なぜこの問題を報道しないのか、それなりの理屈があるのならそのことを明確にすべきである。現状の姿勢ではどこかで自民党と裏で手を握っているのか、あるいはこの事件は筋が悪く女性側の「ハニートラップ」だと考えているのか、あるいは赤旗は格調高い新聞あり、下ネタ記事は扱わないという倫理規定があるのか、説明の必要がある。

 安倍政権の本質が暴けるこの問題を避けて通る赤旗の真意が分からない。(注1)

注1:この文書は基本的には6月4日書き上げていたが、山口氏の問題を赤旗が取り上げるかもと思い本日6月5日
    の赤旗を確認してからと思って保留していた。
      今日の赤旗にも元TBSの山口問題は取り上げていなかった。それよりビックリしたのは赤旗の 「前衛7月 
   号」の宣伝記事である。加計学園問題が取りあがられていない。さらに森友学園時間は取り上げられている
   が、そのタイトルは「『森友学園事件』とはどのような事件だったか」宮本岳氏である。過去形で書かれている。
   「森友学園事件」は未だ何も解決していない。最新の情報では「地下3メートル以下にはゴミがなかった。」(籠池
   氏)と重要な発言がなされている。これが事実なら、財務省側の今までの答弁はすべて「ウソ」だったことになる。
   これを取り上げず過去形で報じる雑誌「前衛」のセンスのなさが疑われる。

  ちなみに週刊現代の広告(本日付)では、「安倍政権ベッタリのジャーナリスト『素性』と『私生活』」、「『引き裂かれた文部省』現役官僚たちの胸の内」である。加計学園問題をキッチリ追及している。(この二点での追及がポイント)

加計学園問題での政府の下劣な対応(人格攻撃)は失敗に終わろうとしている。

 私は森友学園問題では、主役は安倍首相では無く、大阪維新が主役ではないかと一貫して疑って見ていた。(現在でもそう思っている)

 政府自民党はこの問題は大阪の特殊問題であると、大阪の切り離しを画策し、籠池氏もしくは大阪維新が主役であり、安倍夫人が騙されて広告塔を果たしてしまった。というも問題の捉え方をしていた。

 この政府の意図は、「本丸は安倍政権だ」という主張が世間では主流であり、安倍内閣への責任の追及を避けるためであり、「大阪の問題」だと吹聴していた。これに呼応し森友問題は大阪の特殊問題、あるいは「大阪発・維新主犯節」を取っていたのが、須田 慎一郎、立花孝志、上西小百合議員であった。(この三人とも少し怪しいが)

 森友学園事件と加計学園事件は構図が非常に似ているが、似ている面と違う面がある。森友事件は、悪巧み集団が、安倍内閣と財務省一派と大阪維新派と籠池氏の三分裂が発生し、それぞれが自らの正当性を主張し、他の人たちが主犯だと逃げを打っている。この事件の特徴は、安倍内閣と官僚(財務省は)完全にタッグを組み、水も漏らさないシステムを築いている。さらには、「主犯は誰か」が明確になっていない事件である。

 加計学園事件は、主犯は安倍首相及び加計学園及び内閣官房であり、見え見えの事件である。官僚(文部省)は安倍内閣と一体でなく、内部では相当不満が渦巻いており、前事務次官の前川氏の奮闘もあり、この事件は、新たな文部省の反乱が加われば、安倍内閣は崩壊する可能性すらある。

 元文部省の審議官の寺脇研氏(現京都造形芸塾大教授)は、「ひとりで起こした『前川の乱』が、ついに『文部省の乱に』に発展した。これが『霞が関も乱』になったら、安倍首相も菅官房長官も止められません。三流官僚が立ち上がったのです。他の役所は何をしているんですか」(日刊ゲンダイ6月4日)

 加計学園事件での安倍内閣の最大の失敗は、官邸が前川前事務次官氏の出会い系バーへの出入りを読売新聞に流して記事を書かせたのである。このような事が成功すると思っている政府の高官は国民を全く馬鹿にしている。告発者の人格攻撃を行えば、自分たちは逃げ切れると思うほど政府は驕り高ぶっている。国会をどうとらえているのか、彼らの政治に対する基本的認識のなさが明確に表れた事件である。

 柳の下にいつもドジョウはいないのであり、籠池氏は確かに詐欺師であり、人格攻撃が成果を上げたが、前川前事務次官は人格者であり、同じ戦略で成功しない。むしろ自らの品格を下げたのが今回の官邸の対応だ。同時に読売新聞という大メディアの死滅へ追いやってしまった。今後国民は読売新聞を信用しないであろう。読売は政府の広報誌へと変質せざるを得なくなる。

森友学園問題で頑張っているように見えた須田 慎一郎、立花孝志のメッキが剥げた。


【須田 慎一郎】
 森友学園問題を「関西特有の問題」と部落解放同盟がこの事件の裏にあるように指摘していた須田 慎一郎氏の正体がこの間に暴露された。安倍首相は須田 慎一郎のラジオ番組に出席し、「前川前次官は、『総理の意向』に違和感を覚えたのなら、なぜ直接聞きに来なかったのか」という反論を行っていた。日曜日の朝のテレビ番組(新報道2001)で、出席していた片山 善博氏(元 自治官僚。早稲田大学教授、元鳥取県知事)や北川正恭(衆議院議員、元三重県知事)は、事務次官が直接総理に真意をただすことはできない。これが官僚の常識だと答えていた。

 そもそも安倍首相は、なぜ須田 慎一郎みたいな怪しげな番組に出たのか、彼は、前川前事務次官が行ったという出会い系バーに通い、前川氏と対応した女性と接触し、「性的交渉があったという事実をつかんできた。前川前事務次官の逮捕は時間の問題」という発言を大阪のテレビやユーチューブを使って流している。(これに対して週刊文春は、前川氏はそうした行為は行っていないという記事を書いている。)安倍首相は須田 慎一郎の下劣さにほれ込み須田 慎一郎の番組に登場している。安倍首相の品格が疑われる。

【立花孝志】「NHKから 国民を守る党」
 もう一人の立花孝志氏は、森友問題では相当いい発言を行ってきたが、彼も須田 慎一郎氏と同じく部落解放同盟の関与を示唆していたが、彼の部落問題に対する知識は全く未熟であり差別的でもある。今回は、TBSの山口敬之氏の事件に対して、彼を擁護する立場からのユーチューブ動画を上げている。私は中立の立場と強調しながら、「権力と戦っている立場から見れは、権力は横暴であり、自分も何回か逮捕され家宅捜査も受けた実態からすれば、山口敬之氏も同じではないか」という論調を張っている。

 決定的に違うのは、現在安倍一強政権で民主主義が奪われ独裁化が進行している。その中で安倍首相が自らのお友達に利権を回し、また犯罪でも握りつぶすという、民主主義の根幹を押しつぶす行為に出ている。森友学園問題や加計学園問題はその先取りの事件であり、共謀罪が成立し、憲法が改正されればそのようなことが当たり前のような事態になる。 

 だから今のうちに安倍政権の独裁化を阻止することが重要であり、逮捕状まで出た人間が無罪放免になるのは、非常に怖い世界だという認識が全くない。

 この山口氏は自らが逮捕されると分かった際にとった行動は、官邸に詰めている内閣情報調査室の北村滋内閣情報官にメールを送りSOSを発信したのである。ところが、間抜けな事に彼はメールの送信先を間違え、この山口氏の準強姦事件を告発した週刊新潮社へメールを送ってしまったのである。このメールの送信先の誤りから、彼が御用ジャーナリズムであることが暴露されたのである。

 この北村茂氏(警察官僚)は安倍首相が誰と会ているのかの調査(首相動静)で一番に躍り出る人物である。

 森友学園問題では、須田 慎一郎氏や立花孝志氏も真相究明で頑張っているように見得たが、加計学園問題でさらに追い込まれた事態の中では、中立的立場では活動している余裕はなくなり、二人とも本性を明らかにした。立花氏の「NHKから 国民を守る党」は、名前から見れば、明らかに国民の立場に立った「党」に見える。立花氏は、国家権力の不正と戦うのかと思ったが、全くメッキが剥げ、山口擁護に出た。皮肉にも彼の元職場のNHKは「加計学園」が計画している獣医学部をめぐり、「官邸の最高レベルが言っていること」などと記された文書は文部科学省内の複数の課の少なくとも10人以上の職員にメールで複数回、送信され、今も個人のパソコンの中などに保管されていることがNHKの取材でわかりました。(6月2日 20時28分 NHK)という報道を始めています。立花氏反権力はNHKにも劣ります。メッキが完全に剥がれ落ちました。

この間のテレビから拾った面白い発言。


 ☆民主党の加計学園疑惑調査チーム(六月二日)
 内閣府や農水省、文部省の官僚たちを読んで何回か聞き取り調査を行っています。その中で官僚たちは極めて厳しい対応が迫られています。

 財務省の聞き取り調査等では、財務省側は「証拠になる文書は一切ない。すべて破棄してしまった」で逃げ切ってきました。(すでにパソコン・サバー機器の入れ替えも行いました。)

 内閣府は一連経過の回答も全面拒否しています。文書については、朝日新聞に載った文書は確認したが確認できなかった。その後出た文書は、出所も定かでないので確認していない。(最初の文書は「最高レベル」等の文言があったので確認した。)

 文部省側は、「関連の行政文書はある」「調査はしたが確認できなかった」という言葉を使い、「この間マスコミ等に出た文書はない」とは言い切っていません。

 「再度調査せよ」という民主党の要望にも、「持ち帰って検討する」という答えを行い、文書が存在する余地を残しています。実際のやり取りでは、民主党の座長が、

  ★民主党;出せない理由は何ですか。

  ★文部省;その点は、控えさせていただきます。

 と回答しています。「文書は存在しない」とは、答弁していません。

 ☆土曜日の朝のテレビ(新報道2001)

 この番組では自民党の小野寺五典政調会長代理と共産党小池晃書記局長、民進党野田佳彦幹事長、片山善博元総務省、北川正恭元三重県知事が出席しており、以下のような議論がありました。

 小野寺氏「これは天下り問題で処分された文部官僚の裏切りだ」と主張しました。これに対して小池氏は「『公務員は全体の奉仕者』なのに、一部の権力者のための仕事を強いられることに疑問声が上がり始めている」指摘した。

 これに対して、小野寺氏「文部省の官僚は天下り問題で自らの権益が侵されたと思っているから、次から次へと文章を出している」という趣旨の発言をしました。

 これはこの間の内部告発の文書が、正式に存在し、文部省内部から出たことを認めた発言でしたが、その場にいた小池氏も野田氏もその点を批判しませんでした。ただ民進党の名誉のために敢えて言いますが、この討論では野田幹事長はいい発言を行っていました。

 この議論では、安倍首相や菅義偉官房長官とは違い小野寺氏の人の好さ誠実さが伺われました。彼は「この番組の出演に当たり、文部省の官僚に本当に文書はないのか確認してきた」と言いました。「その上で私は話している。もしこれがウソだとしたら、政府側の私にもウソをついたことになる」と一生懸命しゃべっていました。

 菅義偉官房長官は「怪文書であり、そんなものがあるか無いかの確認を取る必要がない」とは大きな違いです。それとこの問題の国会での解決が必要であることも認めていました。彼の誠実さがあふれていました。

 話が遡りますが、内閣府の官僚は、「菅義偉官房長官が出所不明の『怪文書』であるから」と発言してからは、官僚としては一切この確認作業をやめたという趣旨の発言を行っていましたが、小野寺氏はこのテレビに出演するに当たって、担当の官僚に確認してきたと言いました。これは官僚が菅義偉官房長官に怯えそれ以降は一切確認作業すらしていないと言っているのに対して、小野寺氏は少なくとも「確認して出席した」と答えました。さらに「真相究明が必要だ」とも言いました。内部からの少しではありますが、ほころびが見えつつあります。