「国民連合政府」を目指す共産党の勘違い


平成27(2015)年12月27日


好き嫌い超え野党協力を(しんぶん赤旗:12月27日付)

 共産党は選挙に負けるたびに、反共攻撃が行われたから負けたと総括を行ってきた。本日付赤旗は、「共産党アレルギー」どう考えるという見出しで、反共攻撃という言葉を使わずに国民の中に「共産党アレルギー」があることを認め、「好き嫌い超え野党協力を」という記事を書いている。
 いままでは、共産党を毛嫌いするのは、全て反共攻撃が原因で、共産党側に問題はないという主張を行ってきた。しかし、10月15日日本外国特派員協会で、志位委員長は講演し、「私たちも『アレルギー』をなくしていくための努力をします。しかし、いまはお互いに過去のいろいろの問題を乗り越え、『アレルギー』を乗り越えるべきときではないでしょうか」と発言している。この発言は一歩前進である。「自分たちは悪くない、悪いのは政府や国民の遅れた意識にある」という発想から、国民の中にある「共産党アレルギー」の原因は共産党側の姿勢にも原因があることを認めたのは大きな前進である。
 さらにこの「共産党アレルギー」は、政府・自民党の反共攻撃にその根本原因があるという主張を取り下げた中で、発言されていることは、極めて注目に値する。

「共産党アレルギー」の克服のため共産党側の課題は何かを明らかにしたか!

 しんぶん赤旗では、「私たちも『アレルギー』をなくしていくための努力をします」との志位委員長の発言を伝えながら、共産党側の努力するべき課題は何かに一切触れず、戦争法案反対で頑張った憲法学者の小林節氏の主張や、宿敵であったはずの生活の党の小沢一郎代表の話を前面にだし、反共主義だったこれらの人が共産党を評価しているから、あなた方も「共産党アレルギー」を払拭しなさいと呼びかけているに過ぎない。常に上から目線の発言である。
 参考に二人の意見を載せておくと
●小林節氏
  「安倍政権による憲法破壊こそが暴力革命」と指摘しています。と小林節氏の
 発言を捉え、安倍政権との比較の中で、共産党は「多数者革命」だから恐れずに
 足らずと主張しています。
●小沢一郎氏
  「共産党というと私もそうだが色眼鏡で見がちだ。ところが共産党は本気にな
 って変わりました。と紹介。「『共産党と共闘するなんてけしからん』という人
 がいる。だけどみなさん、薩摩と長州が手を握ってはじめて明治維新ができたの
 です」「あいつが好きだ嫌いだと言っていたのでは政治になりません」といって
 います。(11月4日:石川県での講演)
 
 この小沢一郎氏の講演の発言を共産党が紹介したことは重要です。共産党は「国民連合政府」のパートナーとして小沢一郎を選んだのか明確にすべきです。小沢一郎氏が指摘した「あいつが好きだ嫌いだと言っていたら政治になりません」という言葉を共産党が受け入れたのか重要な判断です。共産党は、小沢一郎氏のお金の問題で、執拗に赤旗紙上で攻撃してきました。元東京高等検察庁検事であった郷原 信郎氏などの有力な批判(小沢問題は政治的謀略)があったにもかかわらず、共産党は小沢氏を叩くことが、自らの政治姿勢を際立たせることができるとの判断から、政治的謀略の側面もあったにもかかわらず、その面の指摘には全く関心を示さず、「政治とお金」一本やりで攻めまくりました。これらの総括抜きに、小沢氏との連携を深めれば、大阪ダブル選挙で不明朗な自民党との連携が大惨敗に陥ったとの同じ結果を招く恐れがあります。(赤旗を毎日読んでいる共産党の支持者は、小沢一郎は悪の権化だとすでに洗脳されている。)
   

日本共産党に対するアレルギーは、旧ソ連や中国と重なる?

 共産党は、「旧ソ連や中国と重なる?」から共産党アレルギーがあるのではと自ら章立てを行い、説明しています。
 この国民の判断は間違っていると、次のように説明しています。

●「旧ソ連は崩壊し、中国は誤りを相手側が認めたことによって解決しました」

 この回答の中にこそ、共産党の大きな勘違いがあるのです。国民が見ているのは、社会主義国が成功していない、社会主義国に本当に未来があるのかを尋ねているのです。社会主義国は経済的にも、政治的にも資本主義社会と比較した場合、現状ではより遅れた制度になっています。(社会主義の優位性が国民に説明できない事態に陥っている。)
 ソ連はすでに崩壊したから問題はないという主張は、全く頓珍漢な発言であって、なぜ崩壊したのか、崩壊したからこそ社会主義に対する信頼が国民から失せているのです。
 さらに中国は本当に社会主義国ですか、というのが国民の思いです。あれが社会主義国なら、日本において社会主義国を目指すというのは余りにも馬鹿げているというのが国民の率直な感想だと思っています。(資本主義社会より貧富の差が大きい社会主義社会はありえない。)
 共産党の回答は、中国共産党と日本共産党が仲直りしたから、中国問題(リスク)は全く無いと応えていますが、「そんなこと誰が関心あるね!」(関西のコメディアン:ヤナ ギブソンのギャグ)現象になっています。
 国民が求めているのは、中国が社会帝国主義的動きを行っているが、日本共産党はこれとどう対峙するつもりか、同じ共産党ということで、解決が進むのなら良いが、逆に同じ共産党ということで気を許し、中国に日本が飲み込まれてしまうのではという不安を抱いているのです。このことに共産党は真正面から応えない限り、国民連合政府の実現はありえないと思っています。

共産党に対する「アレルギー」の根源は何か

 私は共産党に対して、「アレルギー」という言葉を使わずに「忌避意識」という言葉を使ってその解決を求めて来ました。(参照:日本共産党第26回大会決議案批判(第4回)党の体質改善への幾つかの提案(意見書15)
 そのもっとも重要なキーは、組織原則の問題点と中国が社会主義を目指している国と位置づけていることにあると批判して来ました。
 さらには、組織原則の弱点から来る、党の幹部の弱体化が急速に進行し、すでに他政党と比べ全く比較にならないほど、地方組織の幹部の理論的水準は落ちていると指摘して来ました。

相変わらず大阪府会議員団団長の「宮原レポート」の間抜けさが目立つ

 毎回大阪府の府会議員団長にビラに注目してその具体的指摘を行っているが、今回も同じ人物ばかりで申し訳ないが登場してもらう。
 ビラは「街の灯」日本共産党(高槻市)西部地域講演会ニュース(2015年12月号)に、宮原たけし大阪府議通信という記事が囲い込みで載っています。
 その見出しは、「おおさか維新の会の@「危険な本質をみんなに語ろう」ー安倍政権はWA「選挙を妨害した」ー」という見出しで書かれ、まず@「大阪維新の危険な本質」については、「維新の会が憲法改悪で安倍首相や官邸と連携していることはほとんどの有権者には知られていない。10月下旬は官房長官と松井知事が公然と会談している。
 次にAの「選挙を妨害した」については、「選挙中には、自民党府議を安倍首相に近い細田氏がゴルフにわざわざ誘っている。事実上の選挙妨害である。」と書いている。

宮原レポートは、大阪W選挙の本質を全く理解していない。

 まず、大阪W選挙で、「@維新の危険性を批判しなかった」のは誰か、共産党のビラは「さよなら維新」であり、栗原貴子氏の売込みを最大限の目標とし、維新と全く戦わなかった。このことは選挙前、選挙中、選挙後も私は一貫して批判してきた。さらに「公然と会っている」という記事から、「ほとんどの有権者は知らない」という判断は府民を馬鹿にしている。
 非公然で会って裏取引していたという主張なら、ほとんどの有権者は知らないという判断は成り立つが、テレビ等でも報道されている内容をほとんどの有権者は知らないと断定するのは、上から目線の思い上がりである。
 つぎに「Aの選挙を妨害した」という批判は、ヤクザの言いがかりの論議である。選挙結果はダブルスコアー(200万票と100万票)で負けており、安倍氏の出身派閥の領主である細川氏が、府会議員をゴルフに誘ったことがどの程度影響したかは、常識的に考えれば分かることである。いくら多い目に見積もっても、この行為で選挙に与えた効果は10万票以内であろう。あるいは少なく見積もれば影響は0票であろう。これが敗因のような騒ぎ方は、全く理解できない。
 志位委員長は共産党に対するアレルギーを認めその改善に努力するといったが、このビラを見ればまさに唯我独尊の世界であり、このことが国民から批判されていることに気づくべきだ。余りにも馬鹿げた選挙総括だ。こんなことを言っていて、「共産党に対するアレルギー」を克服すると言ってみても、それは完全に絵に描いた餅に過ぎない。

参考資料:「街の灯」宮原たけし大阪通信
   ★ 特 集 11★2015年大阪ダブル選挙
       維新政治と戦わず、自民党の金魚の糞となった大阪の共産党
                                  平成27年10月22日
       大阪ダブル選挙、維新派優勢の選挙情勢    
                           平成27年11月16日
       大阪ダブル選挙、反維新候補が惨敗
            ・・どうしてこういう結果になるのか?
                  平成27(2015)年11月23日
       大阪ダブル選挙と共産党の選挙総括    
                  平成27(2015)年11月26日
       大阪ダブル選挙は、「国民連合政府」
                の提案を吹っ飛ばす程の激震であった。
                  平成27(2015)年11月29日