政権を取れば自衛隊は「合憲」(小池晃書記局長)のとんでもない発言!


平成29(2017)年11月19日



 このページは討論の平場に対する投稿「憲法軽視の共産党」投稿者元党員Bさんからの投稿に対するコメントです。元党員Bさんと私では共産党に対する批判の切り口は違いますが、小池氏の発言は許せないという立場は同じです。
 私なりにこの間思っていた事を書いてみました。Bさんの意見、私の意見それぞれ参考にしてください。

 以下小文字の部分は、討論の広場で書いたコメントと重複する部分です。討論の広場からこのページに来られた方は読み飛ばしてください。
 
 重要な情報ありがとうございます。私はこの小池晃書記局長(以下「小池氏」という)発言に気が付いていませんでした。この小池氏発言は最悪です。社会党が自・社・サ政権時に取った方針転換と同じであり、社会党崩壊の端緒となった政策変更です。

 まず小池氏の発言を確認しておきます。2017年10月21日(土)
 ネット番組 「小池さんになんでも聞いてみよう」「魅力・値打ち・心意気 縦横に共産党語る」での小池氏の発言

 憲法9条は戦力を持たない、武力の行使も威嚇もしないとしているわけですから、自衛隊は憲法と相いれません。日本共産党は、これからも一貫して自衛隊は違憲であるという立場をとります。

 同時に、僕らがいまつくろうとしている野党連合政権は、安保法制を強行する前に戻し、立憲主義を取り戻すことが目的です。当然、自衛隊はその政府の憲法解釈では合憲となります。もしも共産党がこの政府の大臣になれば、大臣としては合憲という立場をとることになります。自衛隊は違憲だといったとたん、自衛隊の予算すらつけられなくなってしまいますから。(以上小池氏発言)

共産党が政権の一翼を担えば、自衛隊「合憲」の立場をとる。この決定はいつ行われたのか?


 「『自衛隊は違憲な存在だ、解消すべきだ』は野党時代の主張であって、与党の一角を占めるなら、自衛隊は合憲の立場をとる。」この発言は藤野保史前政策委員長の発言より、大きな失言です。この小池発言が共産党の政策であるのなら共産党はこの政策転換を何時、どのような理由で行ったかを明らかにすべきです。
 こんな大きな政策転換を共産党の大会にも諮らず決めてしまうことは民主主義政党としては失格です。少なくともこの政策変更をどの機関で議論したのか、その論理建はどのような物か示さずこのような発言を行うのは極めて問題だと思っています。

 貴方が提案された案では、私は@の立場を支持します。藤野前政策委員長の「人殺しのための予算」の弁明会を見て、共産党は@の考えかたで自衛隊問題を整理する気だなと思っていました。早い時期に自衛隊への方針転換が図られると見ていました。
 しかし方針転換は行われず、「共産党が与党になった場合も自衛隊の即時解消ではなく、国民の合意を得ての段階的解消だ」と主張してきました。この間テレビ討論などを見ていても、共産党の自衛隊に対する主張は他の与野党の議員からは袋叩きにあっています。この主張には説得力がありません。未来が全く見えません。

阪神大震災以来国民の自衛隊に対する感情は大きく変化してきた


 自衛隊に対する国民の見方は阪神大震災以来大きく変わってきています。阪神大震災では、自衛隊はいち早く救助活動に入ろうとしましたが、兵庫県知事は判断が出来ず(連絡がつかず)いました。自衛隊からの再三の催告があり、現場の責任者が自衛隊の救助の要請を出しました。
 この事件以来各自治体の自衛隊に対する対応が大きく変わりました。災害訓練には必ず自衛隊との連携が組み込まれました。事実その後の大きな災害にも自衛隊は人命救助などにおいて大きな功績を上げています。
 これらの活動を通じて自衛隊に対する国民の見方は大きく変化し、テレビ討論での共産党の政策委員長であった藤野議員の「人殺しの予算」発言は大きな反響を呼びました。この弁明の記者会見で共産党は、専守防衛に徹する自衛隊には反対していない。戦争法案で海外侵略できる軍隊に変質させようとしている部分に反対していると釈明しました。(この釈明会見で共産党の自衛隊政策がはっきりと見えました。)
 話は変わりますが、共産党を与党に組み込んだ政権がイメージ化することが全くできません。ここ50年程赤旗拡大を最大の課題に掲げながら、じり貧になっています。展望などどこにもありません。
 私は共産党が嫌いなのではありません。共産党こそが一番正義を求めていると思っています。しかしその実現に向けての戦い方に根本的弱点があると思っています。現行の戦い方の方針を掲げる限り、共産党が国会議員選挙で1千万票獲得することは絶対に不可能だと思っています。
 次にもし共産党が入った政権が擁立できた場合も、共産党は閣内で自衛隊合憲論を取り、閣外では自衛隊解消の運動を行うと言っていますが、そんな言行不一致の政党など誰も信用しません。

自衛隊問題は、社会主義崩壊や中国の大国主義台頭など国際的情勢の変化の中で捉えなおすべき

 憲法問題の視点を根本的に変更する時代が到来しているのだと思います。日本国憲法は、戦後の我々国民にとっては極めて重要な役割を果たしてきました。蜷川元京都府知事が「憲法を暮らしの中に」というスローガンを唱えられ、まさに日本の革新運動のバイブル的な役割を憲法は果たしてきました。この憲法の役割を否定するものではありませんが、やはり国家にとっては「国民の命と財産を守る」ことが最大の使命だと思います。
 我々革新勢力が、自衛隊に反対してきた歴史の中には、二度と戦争を行わない、アジアの近隣諸国を支配するというような思想を放棄し、すべての労働者・人民が団結するという思想の元に自衛隊の存在を否定することがアジアの平和にも役立つという思いで運動を展開してきたのだと思っています。
 現在の共産党の自衛隊反対は「憲法にそう書いてあるから反対だ」という主張に見えます。テレビで吉良議員が「憲法の理念に近づくことが大事だ」と言われましたが、我々の自衛隊反対闘争は、憲法に書いてあるから反対というような性格の物でしょうか、そうではなく、世界の被抑圧民族や労働者が解放されるためには、それらの弾圧を行う権力側の持つ暴力組織の弱体化を狙って運動を続けてきたのだと思っています。
 自衛隊の解消が何を生み出すのか、その未来的展望を何も語らず「憲法を守れ」「憲法に書いてあるから自衛隊は解消だ」というような主張に何ら説得力はありません。自衛隊の解消こそが我々国民の平和と安全が保たれ、民主主義が徹底し、国民の権利が守られる世の中になるという展望を示さない限り、「憲法に書いてあるから自衛隊反対」運動は、まさに保守主義そのものに写り中国が明らかに大国主義的野望を推し進めている状況下で、若者の支援は受けられないと思っています。

憲法の戦力不保持については、憲法制定過程から今一度見直すべき


 憲法問題はやはり、保守派の人が言うように憲法制定過程から議論を行う必要があると思います。アメリカの介入抜きで戦争放棄の憲法が制定されたとは思えません。やはりアメリカは二度と日本が軍国主義に復活し、アメリカの対抗勢力にならしめないために、戦争放棄を明確に規定させたものだと思われます。
 憲法設定の国会論議では野坂参三氏は、自衛権の放棄は独立国として相応しくない、このままではアメリカの属国になると反対しましたが、この矛盾を日本国憲法は内包していると思います。
 戦後の共産党が指導した革新運動は、アメリカ帝国主義が世界最大の悪であり、その対抗軸としてソ連をはじめとする社会主義国が労働者や被抑圧民族の運動の支援を行っているという図式の元に、我々は社会主義国と連帯して日本の平和運動を行ってきました。その思想は世界の労働者・被抑圧民族は団結して戦おうでした。日本での自衛隊反対闘争は、世界、とりわけアジアの諸国民の自立や平和を促進するものとして取り組まれてきました。
 つまり敵はアメリカ帝国主義とそれに従属する日本独占資本主義であり、それと戦う世界のすべての人民の利害は共有するという視点でした。
 この思想を表したものに、上田耕一郎が唱えた、アメリカ帝国主義の核は侵略のための核であり、ソ連をはじめとする社会主義の核は平和のための核だと言い切りました。平和運動においても、社会党が唱える「如何なる国の核実験反対」というスローガンを共産党は頑強に受け入れず、平和運動の分裂まで巻き起こしています。(最近は共産党も「如何なる国の核実験反対」を唱えていますが、自らの運動方針の誤りを認めていません。)
 また日中国交回復の際、周恩来首相が述べた「対中戦争が侵略で、その責任は当時の軍の指導部が負うべき、日本国民も被害者」という考え方は、敵は一部の支配者であり、被害に遭ったのは中国人民だけでなく、日本国民も被害者という立場を述べたものでした。この周恩来の発言を聞いて、社会主義国の思想的優位さを確信した覚えがあります。
 こうした世界情勢の捉え方の中で日本軍国主義の復活を阻止することは、日本国民だけでなく、アジアの人民の平和も保証するものと捉え戦ってきました。

国際情勢抜きに憲法に書いてあるから自衛隊は違憲だという主張は、国民の理解は得られない。

 
 しかし世界情勢は大きく変わり、ソ連をはじめとする社会主義国がほとんど崩壊し、中国やベトナム、キューバ、北朝鮮などが社会主義国を標榜していますが、これら社会主義を目指しているという国々が、マルクスやレーニンが目指した社会主義の理念から大きく外れ、今や資本主義よりも国民を弾圧するのが社会主義国だという意識が多くの国民の意識であると思われます。
 共産党の機関紙赤旗にも、昔は必ず「世界の労働者は団結せよ、世界の非抑圧民族は団結せよ」と書かれていたが、今は死語になっています。

 帝国主義対社会主義+労働者+非抑圧民族という図式が崩れ、中国も周恩来首相の時とは全く違う思想(大国主義・覇権主義)になった世界の情勢下で憲法論議を改めて行う必要があると思います。
 さらには戦力不保持であるはずの日本において、実際は世界で5位くらいの軍事力を持つ自衛隊が現実に存在し、さらにアメリカの傘の元で我々の平和が守られているとすれば、この自衛隊の解散を主張することは必ずしも正しくないと思います。
 社会主義社会が資本主義社会より、国民にとって良い社会だと認識されていた時代は、社会主義社会と各国の労働者や被抑圧民族の連帯で、軍事に頼らない外交努力で平和が勝ち取れると共産党は主張してきました。一体日本の近隣諸国でどの国が攻めてくるのか、そんな仮想敵国はいない、だから自衛隊は不要だという論議で戦ってきましたが、今はそんな理想主義は現実的でなくなってきています。
 共産党が天下を取ったら、中国や北朝鮮と話し合いで問題の解決を解決し平和を実現すると言っても、そんな空手形を国民は信用しません。中国が日本が自衛隊を解消し、安保条約を廃棄しても、中国は尖閣列島を奪いに来ないと明言できる政治家は誰もいないと思います。

 共産党が唱える平和への道を示し、国民が納得しない限り、自衛隊の解消の多数派は取れません。現状で自衛隊なしの平和についての理論的な体系がない以上自衛隊容認派が勝つのは当然の帰結であると思います。

国民の声は、憲法9条の改悪は反対だが、言行自衛隊は容認するである

 
 国民の半数は憲法9条改悪には反対している。それは二度と侵略戦争はしないという気持ちに支えられている。しかし5割の人が自衛権の放棄を考えているのではない。憲法改悪反対派が5割もいるのに共産党には票は入らない。それは多くの人が自衛隊の存在を認めているからである。しかし侵略戦争反対派圧倒的国民の良識だと思う。依拠すべきはこの侵略戦争反対の国民の気持ちだと思う。
 自衛権を放棄というある意味ではアメリカの押し付けを、憲法に書いてあるからと後生大事に主張することはすでに時代遅れになっているのではないか。
 非武装中立なのではなく国民は武装中立を求めているのだと思われる。立憲民主の躍進はこの国民の心を捉えたと思われる。(あくまで自衛に徹した武力であるが)

 国民の「命と財産を守る。」このことを大上段に語らず「安全・安心・やさしい〇〇」(共産党の選挙スローガン)では国民は納得しない。
 ただ共産党に入れてくれた450万人は、本当に立派な人であり、武器を持たない、侵略されるならそれに従うというキリスト的思想の持主だと思うが、国家として自衛権の放棄を宣言するのはやはり異常であると思います。
 私が学生時代に自衛隊に反対したのは、むしろ国際連帯の思想であった。ベトナムでは戦場で戦っている人たちがいる。日本が二度とアジアに侵略しない体制を作ることで彼らと連帯しようと考えていた。共産党はいつの間にか憲法そのものをすべて容認する。すべて守るという方針に転換した。自衛隊は違憲だと主張し、同時に天皇制も認める、つまり憲法をまるごと尊重し忠実に実行すると主張し始めた。ここに共産党の堕落がある。

憲法丸ごと全部支持路線は、情勢変化に何も応えないであって、その姿勢は必ずしも国民に受けない

 
 おそらく共産党は、天皇制反対、自衛隊も反対では、その根拠が乏しいため、憲法をまるごと支持するという大義名分を掲げたら支持が集まると理解したのであろうがまさにポピュリズム的発想であり、自らの立場性を放棄しては魅力を失うのである。
 私が学生時代の共産党の憲法観は、天皇制は反対であり同時に自衛隊も反対であった。この二つとも国民主権や平和主義に反するという立場であった。つまり階級的視点で何を尊重するかしないのかを見分けていた。常に国民の立場から憲法問題を見ていた。現在の共産党の憲法まるごと全部尊重するという立場には階級的視点もないし、具体的な状況変化にも対応できない。極めて保守主義に見えてしまう。
 立憲主義は重要であるが、国民の利益が最優先であり、国民にとって何が重要で何が問題かの議論をせず、ただ憲法を守るだけでは運動は発展しない。立憲民主党は立憲主義を掲げながらも現行の自衛隊を認め、憲法九条の改悪は認めないという立場をとっている。こうした現実的対応を国民は求めているのではないか。
 現在の世界情勢では、中国が力で他国を支配しようとしている時、これをどう阻止するかが課題となっている時、自衛隊解消論はあまりにも非現実的である。(ここから何が生まれるのか明らかにしなければならない。)
 現在の反共攻撃は謀略的な物でなく、こうした共産党の非現実的政策に対して向けられている。山本一太が「私は共産党を尊敬している」という褒め殺しは、共産党は非現実的政策のままでいてくれ、そうすれば我々は安心していられるという主張だと私は見ました。

現実的な判断において見直すべきだと思っているが、小池氏の発言は最悪だと思っている。

 
 現状では憲法をまるごと支持するから自衛隊は反対だが、政権を取れば現実的対応になり自衛隊は合憲だという主張は、緑の狸の小池氏の発言よりさらに悪質な議論である。
 今現在、真剣に自衛隊反対に取り組んでいる人たちにとっては全くの裏切り発言であり、共産党が様々な大衆運動をつぶしてきた歴史に新たな汚点を残す発言(政策転換)である。
 共産党は天皇制も現憲法に書いてあるから認めるに方針転換したが、天皇制反対で戦ってきた多くの教職員の運動に水を差した。共産党が大衆の支持を得ようと自説を曲げながらポピュリズムに傾斜しているが、支持は全く増えていない。それは一方ではコアな支持者を逃がしているからである。

 政権奪取したら合憲だと言われれば、自衛隊反対運動はもう持たない。政権を奪取するための詭弁でしかないことを白状してしまったようなものである。
 この発言を行えば、政権与党をこれからは批判できない。あなた方も政権を取れば合憲というのであれば、我々は政権を担っているのだから合憲と言って当然だと言われる。
 政権を取れば主張を変える二枚舌の政策は、国民から見れば大臣病になっている。国民のためより自分の出世を求めていると見られることに気付くべきだ。
 大衆に迎合し自らの政党の良さを次々放棄していくやり方で支持を拡大しようとする共産党のやり方は、コアな支持者を失い、党自身の弱体化につながっていることを気付くべきだ。情けない限りで、残念でたまらない。