10月20日しんぶん赤旗に違和感のある記事があった。


平成30(2018)年10月21日


死亡記事に警視庁組織犯罪対策2課という記載があった。これは何を意味するのか?
 その記事は、いわゆる三面記事であった。赤旗15面【社会】に「■マンション女性死亡」という記事である以下引用する。

「■マンションで女性死亡」
 18日午後4時40分ごろ、東京都港区六本木のマンション4階の一室で、30歳ぐらいの女性の遺体が見つかりました。
 遺体は腐乱が進み、頭に傷があるといい、警視庁組織犯罪対策2課は身元の確認を急ぐとともに、殺人容疑などで捜査を開始。部屋の住人とみられる40代の男性が何らかの事情を知っているとみて、行方を捜している。 

 この記事のどこに違和感があったのか、まず「マンションで女性死亡」という表現に違和感があった。すでに他のマスコミで「死体」と表現されていたからである。
 この記事の最大の疑問は、「警視庁組織犯罪対策2課は」という表現である。通常「神奈川県警は」というような書き方をしているのになぜ「警視庁組織犯罪対策2課は」と捜査主体の課名まで書いたのか疑問が沸いた。
 同じ赤旗15面の他の記事は、「夫婦が死傷」「殺人未遂容疑中学生の孫逮捕」という見出しで「県警は」と書いている。
 あるいは、問題としている記事のすぐ下に「■キノコ採り男性遺体」という見出しで「長野県飯田署は」と書いている。なぜこの記事だけこのような書き方をしたのか、通常殺人事件等の記事にこのような書き方をするのかと思ってインターネットで「警視庁組織犯罪対策2課」で検索してみたら、引っかかってくるのはこの事件報道と、他に一件あるだけである。その記事は

 男性刺し現金奪う 容疑で組幹部の男ら3人を逮捕10/11(木) 13:21配信 産経新聞という記事だけである。すこし引用してみる。
 中古車販売会社の事務所に侵入し、経営者の男性(66)を刃物で刺して現金を奪ったとして、警視庁組織犯罪対策2課は建造物侵入と強盗傷害の容疑で、指定暴力団稲川会系組長で韓国籍の無職、金永七(きん・えいしち)容疑者(71)=川崎市高津区新作=ら組幹部の男3人を逮捕した。いずれも容疑を否認している。
 このような記載を初めて見たと思ったが、このような記載があることは分かったがこの1件だけだった。さらにこの記事から分かることは、警視庁組織犯罪対策2課は、暴力団関係あるいは外国人犯罪をおもな仕事をしている部署だなという推測が働く。赤旗は「警視庁組織犯罪対策2課は」と書くことで読者にそのことを察知してほしかったのか疑問が沸いてくる。
 
この事件をそれぞれの新聞はどのようの報道したかを比較して検証してみたい。
●赤旗の記事は時事通信の配信記事そのまま、ただ見出しを一部削除したため内容が伝わらない。
 六本木マンションで女性死亡=頭に傷、殺人容疑で捜査警視庁10/18(木) 23:56配信 時事通信
 18日午後4時40分ごろ、東京都港区六本木のマンション4階の一室で、30歳ぐらいの女性の遺体が見つかった。
 遺体は腐乱が進み、頭に傷があるといい、警視庁組織犯罪対策2課は身元の確認を急ぐとともに、殺人容疑などで捜査を開始。部屋の住人とみられる40代の男性が何らかの事情を知っているとみて、行方を捜している。 

 この時事通信の記事と赤旗の記事は何処が違うのか、まず見出しが違う。時事通信は、女性死亡と書いているが、同時に頭に傷、殺人容疑で捜査ー警視庁としている。これで事件の概要が理解できるが、赤旗は「女性死亡」としか表現していないため「病死」か「殺人」か分からない。
 赤旗に言わせれば、警視庁組織犯罪対策2課と書いているから、おのずと読者はこれは暴力団関係で、外国人が絡んでいると理解ができると思っているのかもしれないが、それは自己中心思想である。警察の組織が、どこがどのような事件を扱っているかを知っている者は少数でしかない。不親切な記事である。

他紙は警視庁組織犯罪対策2課をどう扱っているか

毎日新聞は<警視庁>六本木のマンションで女性死亡 殺人で捜査
 18日午後4時40分ごろ、東京都港区六本木5のマンション4階の一室で、女性が死んでいるのを警視庁組織犯罪対策2課の捜査員が見つけた。30代くらいで頭部に外傷があり、シーツにくるまれていた。この部屋に住む40代の男性の行方が分からなくなっている。同課は殺人・死体遺棄事件として捜査を始めた。

 同課によると、午後2時半ごろ、麻布署に「外国人の女性が死んでいるようだ」との情報が寄せられた。現場はワンルームで、女性はベッドと窓の間に倒れていた。遺体は一部腐乱し、死後数日以上たっているとみられる。

朝日新聞は六本木マンションの遺体、被害者は29歳女性と確認
 東京都港区六本木5丁目のマンションの一室で18日、シーツにくるまれた女性の遺体が見つかった事件で、警視庁は19日、女性の身元について横浜市青葉区梅が丘、日米両国籍の職業不詳バレツタ久美さん(29)と確認し、発表した。司法解剖の結果、死因は頭蓋骨(ずがいこつ)骨折に伴う脳の損傷だった。同庁は殺人と死体遺棄の疑いで捜査している。
 組織犯罪対策2課によると、バレツタさんの頭や顔には物で殴られたような複数の傷があり、死後数日〜10日程度という。事件以前、バレツタさんがこの部屋に複数回出入りしていたことを確認したという。同課は、この部屋の住人の40代の男性が何らかの事情を知っているとみているが、捜査関係者によると、男性は13日、マレーシアに出国したという。

毎日新聞、朝日新聞をどう見るか
 毎日新聞「警視庁組織犯罪対策2課の捜査員が見つけた。」という書き方にも違和感を禁じ得ない。たまたま「警視庁組織犯罪対策2課の捜査員」が通りかかって見つけてような表現はおかしい。
 ただ、この事件が殺人事件であり、外国人が絡んでいると言うことを明らかにしている。
 
  朝日新聞は、「警視庁は」という一般的な表現を使い、そのあとで「組織犯罪対策2課」によると外国人が絡む殺人事件であり、捜査関係者によると、男性は13日、マレーシアに出国したという。
 この事件が外国人がらみであることをにおわせながら、その裏付けととして「組織犯罪対策2課」を出している。

赤旗はこの記事で何を読者に伝えたいのか分からない。
 赤旗の記事からは、事件の概要が見えてこない。それは時事通信の記事をそのまま載せているからである。一紙で間に合う新聞と言いながら、記事の充実が行われていない。赤旗の記事の何割かは時事通信の記事の垂れ流しである、赤旗の主張を書かずに流すため、何を主張したいのかが分からない記事が多々ある。

 例えば同日付(20日)赤旗は、2面【総合】で「国税庁も説明を」「片山氏口利き疑惑」「野党が追及」という記事を載せているが、この会議で共産党の議員が発言したのか全く分からない。野党側はでくくってしまっている。野党共闘は大切だが、共産党が最も鋭い質問をしたのなら、共産党の○○議員は、あるいは立憲民主の〇〇議員はと書くべきである。野党側はという書き方は、埋没してしまう。この会議の情報も配信記事を載せた可能性がある。そこには怒りが全く感じられない。淡々とお互いのやりりを書いている。
 先に書いたのは、殺人事件ではあるが、政治的な記事も記事掲載に当たっては、これで読者に伝わるかの点検が必要である。「組織犯罪対策2課」という用語が通常使われているか否かの判断ができないようでは記者失格である。