計算のできない共産党、選挙戦の勝敗を決めるのは何か?これを把握できていない。


令和4(2022)年5月11日


共産党は50年も前の選挙戦術を延々と行っている。


 共産党の選挙戦術は、強大な党建設にかかっている。だから、選挙戦の戦い(準備は)赤旗拡大が最大の課題になる。しかし、この戦術は果たして正しいものであるか、一貫して見直しがなされていない。ここに共産党の最大の弱点がある。この弱点を最大限に自己暴露しているのが赤旗5月7日版の「参議院選挙勝利へ、中間地方選挙の教訓を生かして」5月6日中央委員会選挙対策局と言う文書である。この文書から分かることを下記に書き出してみたい。
 まず、この記事はこの間の中間地方選の勝敗について触れている。書き出しは4中総「『中間地方選挙で後退から前進に転じることは、参議戦勝利・躍進にとっても絶対不可欠な課題』と指摘しました。しかし結果は、前回比37議席減、得票では前回比83.5%と反転攻勢に転じられていません。担当部局として、その責任を痛感しています。」と書いています。この事実の発表は極めて重要な記事(情報)です。危機的な状況を現わしています。
 これに対して、中央委員会は、中間地方選挙で、どうして全体での後退と言う残念な状況になっているのか。「率直に言って、その最大の要因は、党の自力の後退にあります。」と書いています。これも事実だと思います。これは事実ですが、党の自力の後退とは何を指すのかが、理解されていないことに、決定的弱点があります。共産党は党の地力を共産党員の数、赤旗の部数で判断していますが、それも一つの指標であるとは思いますが、共産党の地力の評価は、共産党が各種団体の中で中心的に人物として戦えているか、国民との信頼関係が深まっているかを中心に見ていく必要があります。昔は民医連、民商、生協、あるいは労働組合、歌声活動様々な分野で共産党の活動家がいました。今はそれらの活動の中で戦っている党員がどんどん減り、共産党の党員は、新聞の拡大中心の運動に成り下がっています。(先日も不幸なことに、赤旗の配達中に町会議員の方が亡くなられています。)
 話は飛びますが、戦国時代いろんな戦いがありました。その際、戦士が多い方が必ず勝ちましたか?戦いは人数で決まるものではありません。戦う戦術の優れた方が勝利するのです。「党員の数が減った、赤旗が減った、だから負けた。」この総括を行っている限り、延々と党員の拡大と赤旗拡大が共産党員の仕事になります。

共産党がなぜ選挙で勝てないのか


 それは共産党という政党が、自由と民主主義を標榜する現在社会では受け入れられない組織原則を持っているからです。このことが、共産党が国民に魅力ある政党として認知されない最大の原因です。私は子どもの頃から社会主義にあこがれていました。今でも覚えていますが中央公論と言う雑誌(親父が読んでいました)を読んだ際、社会主義社会と資本主義社会の比較表があり、全ての値で社会主義が優れている、遠くない時代に社会主義が優勢になるという記事を見て、社会主義に憧れました。立命館大学に入って政治社会の勉強は、京大の先生が教えていましたが、その先生も必ず社会主義が資本主義に勝つという話を毎回の講義で学んでいました。
 しかしベルリンの壁が壊された際に、東ドイツの車のボンネットが段ボールだったと聞いて社会主義優位論の間違いに初めて気づきました。その際、初めて分かったのは計画経済の合理性と金儲けの資本主義とでは、金儲け主義の方が技術の発展がすごいことに気づきました。
 その当時日本のワープロは半年たったら値段が半値になる。次から次へと技術発展が行われ、無駄なようでも発展があることを知りました。社会主義国は計画経済でモデルチェンジ等がなされておらず、同じものを計画に基づいて延々と作っていたのです。(競争社会の持つ魅力を感じました)
 日本共産党は、ロシアも中国も社会主義ではないと主張しますが、社会主義だと語った国がすべて崩壊していく姿は、社会主義に何か欠陥があるのではと言う視点で政治を見直さない限り、日本共産党は日本での成長を成し遂げることができないと見ていますその一番の弱点は組織原則です。共産党の大会では誰も提案された議題に反対しない、党のトップは延々と同じ人がやっている。選挙で負けても責任を取らない。これら崩壊した社会主義と同じ組織形態(原則)を持っていては日本の政党として国民からの認知をしてもらうことは難しいと思います。
 一般的に欧米では、自由と民主主義と言う言葉を使います。民主主義は多数決でものを決めることが基本的なルールですが、少数意見も大切にするのも民主主義の利点です。
 全ての人が同じ、反対意見、少数意見を見せない政党は、日本国民のなかで受け入れは難しいと思っています。反対派、少数意見の尊重こそ国民の求めるものです。日本国内では、共産党は自由と・民主主義を求めていますが、党内では、少数意見を認めない現状では、国民はついてこないと思います。

選挙戦の勝敗は何で決まるのか!(共産党が絶対に認めない真実)


 話が大きくそれましたが、選挙戦で国民が何を求めているのか、その要求・要望に応える政党に票は入ります。どの党に何人の党員がいるか、機関紙はあるのかそんな事を国民は求めていません。国民は何を判断基準にしているか?これを見極める事が大切です。
 第一に政党としての魅力にあります。(共産党の組織原則は、国民から見れば、社会主義的原則の導入に見えます。)
 第二に選挙で勝つには、まず候補者です。政治家として十分な能力を持っているかが問われます。この事例は既に何回も出しており恐縮ですが、大学時代共産党は京都2区で田畑シゲジ(その当時同志社大学の総長の兄or弟)と言う候補者を立てました。この候補は、顔は髭だらけで、服装のセンスは全くなく演説も絶叫型でした。一言で言えば戦前の闘志というイメージの候補者でした。その当時定数は5議席ぐらいあったと思いますが、いつも次点(5万票前後)で落選していました。そして共産党が候補者を寺前巌に差し換えて選挙戦が戦われました。寺前巌は背が高く背広がものすごく似合う立派な紳士でした。なんと寺前巌氏は12万票ほど獲得し、圧倒的な1位当選でした(50年以上前の古い話で記憶に誤りがあるかもしれません)私はびっくりしました。選挙の勝敗は候補者の「玉の良さ」で勝敗を左右するという確信を持ちました。
 第三は、その人は何をしてくれるのか(つまり政策)に国民は関心を持ちます。今の共産党を見た場合、確かに当選されている方は、相当優れた方で、国民の要望を受けて戦っておられます。しかし、わが高槻を見た場合、国会議員に相応しい人物はいません。府会議員に相応しい人物もいません。市会議員も他党派から見れば政治力で差があります。市の職員であれば市会議員との接触が多くあります。共産党の市会議員から、「さすが」と思った事は一度もありません。議員団にはいつも問題を抱えた議員がいます。
 つまり選挙で勝つためには、人物が大きく影響しています。この視点が共産党には欠落しています。党はあっても個人という人格はありません。ある時、市会議員の選挙ポスターで立候補者のポスターは、顔が違うだけであとは全部同じと言うのを貼りだしまた。金太郎あめみたいにどこを切っても同じ顔、人間としての魅力を全く訴えていません。
 第四は、政策です。昨年の衆議院選挙では、「4つのチェンジ」と言う分けの分からない政策で失敗し惨敗しました。(政策能力の不足・・国民が求めている物に波長を併せていない独りよがりの政策)
1.新自由主義の転換  2.気候危機打開の政治  3.ジェンダー平等を  4.9条に基づく平和外交
 政策は、理念の戦いで無く、国民が何を求めているかに応えねばならない。今までの選挙で大きな票が動いたのは、例えば社会党の土井たか子の「ダメなものはダメだ」、小泉首相の「自民党をぶっ壊す」あるいは「郵政の民営化」とう国民の気分感情を受け入れた者が勝利している。
 参議院選挙に向けても、政策が全く定まりません。「平和と護憲」で戦うのか、「気候変動危機打開・ジェンダー平等」で戦うのかこんな単純なことで迷っています。維新の「文書・交通費」の100万円支給はおかしい等々である。
 志位委員長の発言には、必ず「気候危機打開」・「ジェンダー平等」が入ります。(注1)本日付け赤旗(5/10)に「全国都道府県委員長会議への報告」5月9日参議院選挙闘争本部長 小池 晃氏の報告が1面トップと4ページに全文載っていますが、「ウクライナ侵略への立場と日本共産党の安全保障論」は報告の一番ですが、4面全部に報告分が掲載されていますが、「気候危機打開」・「ジェンダー平等」と言う言葉は一切ありません。なぜか共産党は先の衆議院選挙では大きく舵を切り、「気候危機打開」「ジェンダー平等」を打ち出しました。しかし参議院選挙を迎えた2か月前に、また舵を大きく切りなおしました。(共産党らしい政策に)
これらの政策がコロコロ変わるのは、末端の共産党員は混乱します。高槻(富田地区)の共産党のポスターは、未だに「気候変動危機打開」・「ジェンダー平等」のポスターを主としたポスターが貼られています。おそらく、全国でもそのような現象がみられると思われます。(注2)
注1:昨年の衆議院選挙後赤旗(10/24)は全頁気候変動危機打開で埋まっていた。さらに「BSテレ東」の放送内
   容(赤旗2/21)では「志位委員長が縦横に語る」と言うテレビで、司会者が「最近うれしい出来事があったらし
   いけど、何ですか?」と聞かれ、「太陽パネルで電気を作って農業しています」話を持ち出しています。
    この記事のおかしさは、「若い女性が沢山参加しており、一緒に記念撮影を撮った」ということを強調してい
   ます。なにかおかしな記事です。(注意2)
注2:共産党はどこに向かっているのか? 漂流し始めている。(参照)

共産党の参議院選挙勝利に向けての方針のピンボケさ、数字で書けばすぐにわかる。


 ここからが本題ですが、共産党の言う赤旗拡大と党員拡大が選挙勝利の道と言うが、科学的な根拠を共産党は出すべきです
 共産党員の数と赤旗紙の数が選挙の勝敗を左右するという共産党の政策の最大の誤りは、敵(自公)と戦うのではなく、自己の党内での戦いが選挙戦の雌雄を決するとしていることです。選挙戦と言う敵との戦いより味方の力量ばかりにこだわった選挙戦術では勝利は得られません。以下簡単な事例を見てみたい
 例えば共産党の全国の票数が4,000,000票として、共産党員が300,000万人いるとして考えてみると、400万票は、党員1人当たり13.33票獲得している事になる。赤旗を読んでいる国民が1,000,000万人いるとして、赤旗1部で選挙の票は4票獲得できる。(100万部*4=400万票)獲得していることいなります。
 そうすると参議院選挙で獲得票数が6,500,000票とすれば、400万票の1.625倍であるので、党員も1.62倍増やさないと選挙で勝利できない。30万人の1.62倍は48万6千人になる。現在30万人とすれば、18万6千人党員を増やさなければ、選挙で勝てないという推論が生まれる。一方赤旗から見れば400万票を100万部で支えている。650万票にするには、250万票の上乗せを行わなければならず、1部で4票獲得できるであれば250万票/4票=62万5千部が必要になる。
 何が言いたいのか、党員や赤旗の部数が選挙戦を制するのであれば、選挙の獲得目標数を650万票とすれば、党員拡大は18万6千人、赤旗は62万5千部増やす必要がある。こんな数値は絶対達成できない。共産党の選挙戦術は数字から見れば破綻している。しかし絶望的かと言えば違う、選挙はどうすれば勝てるかを真剣に考えれば、今の赤旗や党員の拡大に頼らない選挙方法がある。それは維新の戦い方から学ぶべきである。
 つまり選挙の票は党員の数や赤旗の部数と何ら相関関係はありません。赤旗は一時期選挙戦が行われると必ず「この選挙で赤旗が何部伸びた」かを書いていましたが現在は書いていません。共産党自身が、相関関係がない事に気づき、取り下げたのだと思います。

大阪維新は選挙のたびになぜ上昇するのか、その手法を見てみたい。(共産党と違う選挙戦術)


 例えば大阪維新の会は選挙ごとにその得票数を伸ばしています。先日行われた河内長野市の選挙では、共産党は約5%弱後退しましたが、逆に維新は10%増やしています。この10%伸びの原因は何か、これを解析しない限り共産党は得票数を減らし続けます。維新の勝利は、@この政党はどのような政党かのイメージ戦略で成功している。Aキャッチコピーの「身を切る改革」という標語が浸透している。さらにB候補者に魅力がある。(働き盛りの候補者が多い)C政策が市民生活に密着している。D情報の発信力が違う。私が見てざっとこのような視点が生まれます。共産党は赤旗の読者が増えたか減ったかだけで選挙を評価している。この手法から脱皮しない限り延々と党は衰退すると見ています。

共産党の選挙戦術(中央委員会選挙対策局)の文書をもう少し見ておきたい。


 共産党は中間地方選挙区で勝った事例も報告しています。ここに共産党の考えが凝縮しています。以下この文書を拾い読みします。
 「部分的ですが、中間地方選挙でも、党勢拡大を力に勝利を勝ち取った経験も生まれています。栃木県の那河川町は、前回の405票から577票、141%(この間全国最高)に伸ばして勝利しました。毎週の支部会議を軸に、議員と党員が組みをつくり、国政選挙で対話して反応の良いところを一貫して訪問を続けて「赤旗」読者拡大を追求いまし、前回比141%に伸ばしています。党勢拡大の上げ潮の流れを作り出して、それを土台に選挙戦では、電話も含め1600人と対話し500件の支持を広げました。」
千葉・南房総市では、前回の1078票から1397票に伸ばし衆院比例票から1397票129%に伸ばしました。党勢は根幹の党員102%に前進し、日刊紙は100%を維持してたたかっています。」
 二つの事例を掲げていますが、中間選挙の数が確か50幾つだったと記憶していますが、その内37議席を失った中で、2か所の小さな選挙で勝ったからそれが教訓になるという発想に全く同意出来ません。この2か所が勝った理由はもっと様々な方向から分析することが必要です。一個目の栃木県の那河川町は、そのようにも見えますが、非常に小さい市であり、そこの住人全体を把握できるような市です。そこでの選挙では全戸訪問などが成果を上げると思います。2番目の千葉・南房総市では、この表現から赤旗は増えていないように読めます。赤旗が増えないのに選挙で勝ったのは、その理由が他にあると思います。それを正確に把握することが大事です。
 誠に申し訳ありませんが、全体としての流れを把握すべきであり、50幾つの選挙を行えば、いくつか勝つことが出るのは当たり前だと思います。このような事例を持ち出し,赤旗拡大が選挙戦勝利のカギだという主張は語るに落ちたというほどみじめです。