共産党はどこに向かっているのか? 漂流し始めている。



令和4(2022)年2月23日


共産党は自らの立ち位置を見失い始めている


 先の衆議院選挙で共産党は、「四つのチェンジで希望のある日本を」と訴えた。この訴えは成功せず、政権交代選挙と叫んでいたのに、前回衆議院選挙から後退する結果になった。議席数では12名から10名に後退した。得票数も前回の4,404,081〜4,166,076に後退し、得票率も7.9%から7.2%に後退した。
 この結果はどこから見ても敗北である。共産党はこれを認めず、市民との連携し野党共闘を強め、政権選択選挙にまで追い込んだために、自公政権が危機感を持って巻き返して来た結果である。これは敗北ではなく勝利だ(追い込んだ)と総括してしまった。
 私は今回の選挙は敗北選挙であり、共産党は昔言っていた「健全な野党」方針を放棄し、政権にすり寄る選挙をしたことに最大の敗北の理由があると見ています。選挙が終わると与党側は一斉に野党共闘が敗北の原因だと攻撃を始めた。連合の会長もこの立場をとっている。
 立憲民主はこの攻撃に耐えきれず、共産党との共闘に消極的になっている。国会内の出来事だが、共産党を外して維新を入れた野党共闘の体制づくりへ舵を切ろうか戸惑っている。この件は共産党の抗議で謝ったそうであるが、明らかに共産党を入れた野党共闘には腰が引けている。
 共産党は自らの戦いの歴史をしっかりと見ていく必要がある。共産党が勢力を伸ばしてきたのは、戦いを通じて国民の支持を得て来た、健全な野党は、時の政権の悪政に真っ向から戦いを挑まない限り勝利はありえません。
 共産党は「敵」を明確にして戦ってきたのに、最近は「敵」を明確にせず選挙戦を戦おうとしている。この路線が選挙を敗北に導いている。
 もう少し具体的に見ていくと、共産党は二つの「敵」ということを明確にしていた。それは「アメリカ帝国主義」と「日本独占資本主義」と綱領にしっかり書き込みこれらとの戦いを明確にして戦ってきて国民の支持を得て来た。
 最近の共産党は、この二つの敵を捨て去り、先の選挙では「四つのチェンジ」という政策を掲げた。この四つには、1.新自由主義の転換、2.気候危機打開3.ジェンダー平等の日本、4.9条に基づく平和外交である。この四つの選び方に大きな疑問がある。
 階級的視点を全く放棄したものである。「気候危機打開の政治」はいったい誰が敵なのか全く分からない。この綺麗ごとの裏には、国家間の対立があり、それぞれの国が脱炭素率等を掲げ競っているが、この裏には原発の導入を狙った者や、日本の自動車産業潰しの策略もある。注1

注1:車をガソリンから電気に変えたら脱酸素になるというのは詭弁であり、電気自動車の電機は何からつくられる
   のか、石炭であれば脱炭素に貢献しない。恐らく原発が取って代わろうとしている。
    余談ではあるが、災害等で電線が切れた場合、あるいは雪の中で車が動かなくなった場合、ガソリンの補給
   は容易だが電機は復旧するまで使えない。雪の中で立ち往生するだろう。まだまだ絵にかいた餅のようなもの
   を、政治の最大の課題と掲げるのは、政治家として全くの失政である。

共産党の「敵」隠しはここまで来たのかという記事が赤旗に載った。


 2月21日付けの赤旗に「BSテレ東」「志位委員長が縦横に語る」という記事が一面トップにでている。この記事は2面3面にも続いて掲載されている。この記事が如何に異様か、赤旗から拾い読みをしてみたい。赤旗2面に志位委員長の発言として、彼の発言を書き起こしている。それを見ていきたい。
 見出しは「ソーラーシェアリング、若者が気候危機で行動」で司会者が「最近うれしい出来事があったらしいですけど、何ですか。」と志位さんに振っているそうすると

うれしい出来事があった。・・・この発言の趣旨はどこにあったのか?


 志位氏は「最近小田原にソーラーシェアリングをやっている方がいて、太陽パネルで電気を作って農業をしています。耕作放棄地だったところをよみがえらせ、素晴らしい価値を生み出しています。」「そこにうかがったのですけど、耕作放棄地をミカン畑にする取り組みに、若い女性のボランティアの方がいっぱい参加しているのですよ。一緒に記念撮影したんですけど、若い方がいまの気候危機を"何とかしないといけない"自分で"何かしたい"と行動していると思って、とてもうれしい思いでした」という志位氏の発言を最初に載せています。

この記事から志位委員長の問題意識が読めてきます。


 一つ目の大きな問題は、志位委員長は共産党として「気候危機打開」を最大の課題にしたい思いが明確にあります。この件でもわざわざ最初に、このふりをしてほしいと頼んで望んでいます。そこで調子よくしゃべっていますが、この発言には極めて問題があると見ています。

気候危機打開が共産党の一丁目1番地か、


 志位氏はこの間の演説でも必ず「気候危機打開」を一番に掲げていますが、全党がこれを一番に押し出しているかは疑問です。赤旗を見ても10月24日の記事はどのページも「気候危機打開」では異常でした。選挙後1週間ばかりも気候危機打開一色になっていました。
 ところが大阪では「気候危機打開」をほとんど聞きません。この日(2/21)私の家には大門みきしのカラー版の立派なビラが入りましたが「憲法9条を守り抜き政権交代の足がかりを」と書かれていましたが「気候危機」には一切触れていません。
 もう1枚「街の灯」という地域新聞が入っていましたがここにも「気候危機打開」の言葉はありません。見出しは以下のようなものです。
  1.2年連続の年金削減 暮らし直撃の追い打ちは止めて
  2.物価上昇の収束収まる気配なし(収束収まるの表現は?ですが)
  3.75歳以上の医療費2倍化などやっている場合ではない
  4.自公政治に代わる政治を
と書かれています。これが共産党が主張すべき普通の宣伝物です。 
 

若い女性がいっぱい、一緒に記念撮影した(志位委員長)


 二つ目の大きな問題は、「気候危機打開」に関連があるか無いかという視点で無くてもこの記事は異常です。政党の委員長が、一軒の農家の仕事を見てテレビ放送で褒めまくる。この状態は異常です。これが成功するか否かはもう少し見ていかないと何とも言えません。例えばこの日の赤旗(2/21)には、"平和でこそ商売繁盛"札幌 命とくらし守れと総決起という記事がありますが、私ならこれを取り上げます。平和と暮らしを結び付けた素晴らしい戦いです。これを評価せず一軒の農家が太陽光パネルで電気を作って農業をしていることに「感動した」は異常です。(個人の感情は自由ですが、政党の代表が言う言葉ですか?)
 さらにこの記事がおかしいのは、そこの若い女性のボランティアがいっぱいいたと書かれていますが、共産党の一押しが「気候危機打開」、2番目が「ジェンダーフリー」であることから考えて、「若い女性」という言葉は引っかかります。なぜ「性」や「歳」を強調するのですか?ここでは「若者」で良かったのでは?それと「いっぱい参加」というあいまいな言葉を使っています。いっぱいとは何人ですか?10数人を指すのか、100人を指すのか分かりません。
 さらに気になるのは「一緒に記念撮影をした」という言葉です。何かそこら辺のおじさんが若い女性がいっぱい居て、その方たちと一緒に写真を撮ったことが「うれしい出来事」と読めてしまいます。(下衆の勘繰りですが)
 

バカみたい!(大竹しのぶの名言)


 志位委員長は「うれしい出来事」で何を伝えたかったのですか?疑問が残ります。安倍首相が〇〇娘といって官邸に入れ喜んでいる姿が思い出されます。
 明石家さんまの言葉の中に「生きてるだけで丸儲け」という言葉がありますが、彼が言うには、その言葉を発した際に、大竹しのぶさんに「バカみたい」と言われたとテレビでよく紹介されていますが、私はこのテレビでの志位発言はまさに「バカみたい」と見ます。
 なぜこのインタビューの最初にこの言葉「うれしいことがあった」の後に「若い女性と記念写真を撮った」という言葉を発したのか、共産党ならなぜこのインタビューで政権批判から入らないのか、批判を忘れた共産党は「バカみたいです」
 こんなリップサービスをしても票にはなりません。「批判を押さえ」「俗人のように見せる」この努力はまさに「バカみたい」です。