府会議員宮原たけし氏のビラ「週刊宮原たけし」から見てくるもの


平成30(2018)年11月25日


府会議員報告「宮原レポート」(月刊)から「週間宮原たけし」への改革は成功しているか?

 府会議員宮原氏は最近「週刊宮原たけし」というビラを配布しています。これまでは宮原レポートというビラを配っていましたが、これは月単位の配布でした。これを週間にグレイドアップしたのは、来年4月に戦われる府会議員選挙を目指したものと思われます。
 この間の「週刊宮原たけし」は主に地震や台風の被害問題に対する宮原氏の活動や被害に遭った市民の方への救済処置についてきめ細かく情報提供を行い役に立つビラに仕上がっていました。
 彼がこの自然災害問題で結構活躍していることがアピールされていました。ところが本日(24日)赤旗に折り込まれて来た「週刊宮原たけし」は宮原議員の思い込みで紙面が出来あげっており、何を主張しているのか全く分からないものになっています。

このビラ(「週間宮原たけし」)は共産党大阪府委員会の意見を代表しているのか?


 このビラを見ると大阪の共産党の政治的水準の低さが浮かび上がっています。同時にこのビラの制作過程で党の幹部が関わっておらず、宮原氏一人の考えで作られていると思われます。
 高槻市の市委員会は、府会議員の宮原氏のビラを見て、ここは分かりにくいという問題意識がないのか、あるいはあっても、宮原氏の権力が絶対であり、誰も意見ができない現状にあると思われます。
 私なら突っ込みどころ満載のビラです。党内民主主義が欠落していることがこのビラから浮かび上がってきます。
 このビラは何が問題なのか、文字を大きくして分かりやすくした。しかし逆に分かりにくくなっています。(以下具体的に指摘していきます。)

大型開発(カジノと夢洲)と府民の生活改善の対比はこのビラで描き切れているか?

 まず宮原氏は何を考えてこのビラを作ったのか、それは「カジノと夢洲開発より 子ども、高齢者、防災を」と書いているので、カジノや夢洲(万博)よりも、府民の生活を守る事が大切だと主張したいのだと思います。
 そこで彼がやった手法は、府民の生活を守るために4点の政策課題を掲げ、それぞれの必要経費を算出しています。(注1)さらにそれに対して大阪府が推し進めているのは、カジノのための開発であり、その費用を事業ごとに書き出し対比しています。そして結論は「大阪府の予算の1%、270億円でも要求は実現します」と書いています。

注1:4つの生活改善施策
  ●就学前の医療費無料化          約 8億円(1年間) 
        (現在 1回500円)
  ●中学校3年までの35人以下の学級      約80億円(年間)
  ●特別養護老人ホーム1000床         約37億円(年間)
  ●河川の本格的改善と土砂など撤去を2倍に   約49億円(年間)
 
 府民の生活を破壊するカジノや万博(これについては書いていないが)反対と府民の要求実現の数字があまりにもかけ離れ、たったの大阪府の予算の1%で実現するなら、両方やれば良いのでは思ってしまいます。カジノや万博をやめれば府民の要求が実現するという対置ではなく、対立軸に挙げたカジノと府民要求との金額比較でもなく、結論は「予算の!%で実現する。」という主張です。それぐらいなら、共産党の主張で実現できないのかと思います。共産党や野党が束になってかかっても、府の予算の1%にも影響を与えることができないのか、その無力さに逆に驚きます。
 より具体的に見て行けば、4つの施策を上げ、それぞれの必要経費を上げていますがそれを足すと165億にしかなりません。しかしビラの結論は270億円で要求は実現すると書いています。(まずバラバラに数字を書き、その合計を書かないやり方は分かりにくいです)
 次に大型開発(JR桜島線延長:約1700億、淀川左岸線延長工事:約4000億円、なにわ筋線:約3300億円、京阪中之島新選延伸:3500億円、地下鉄中央線延伸:約540億円+輸送力増強100億円)の方ですが、1兆3140億円になります。桁ちがいの数字の対決です。(ただしこれは今後10年間の必要経費です。)そこでこれを10で割っても年間1314億です。
 府民生活を守るというのであれば、この1314億をどう使えば府民の生活がどう豊かになるかを語らないと、270億必要と言いながら、165億分しか描けていません。これは、大阪府の未来が全く描けていない予算要求になります。これでは府民に対する説得ある予算組み替え要求にはなっていません。 
 
より詳しく問題点を見ていきますと
1.4つの政策が書かれていますが、修学前の医療費無料化 約8億円(1年間)と書かれていますが、他
  の3つは(年間)と書いています。この違いは何か
2.他にも財源が(自由に使える積み立金の取り崩し、毎年50億円(10年後に 1000億円残る)、借金返
  しの積み立て100億円(年)で十分(毎年170億円)と書いています。この書き方では、毎年後170億
  円は使えると読むのか、70億円使えると読むのか分かりません。もし170億円なら、上記50億円と足
  せば、220億円が捻出でき、府が考えている大型開発を辞めずに、府民要求は実現(ビラに書かれた4
  項目)の実現はできます。
3.そもそも「カジノと夢洲開発より子ども、高齢者、防災」という図式にも違和感を禁じえません。府
  民生活という括りをしてから子どもや高齢者を取り上げるのは分かりますが、子どもや老人だけでは
  なく、働いている大人を全て抜いてしまうのは何か変です。例えば中小零細企業の経営が成り立つよ
  うにとか、非正規労働者の働く環境の改善など多くの課題があります。それともう一点、これら社会
  的弱者の問題と防災を同次元で語るのもどうかと思います。河川の改修等は誰でも一致する課題で
  す。
4.これこそが最大の問題かも知れません。配布したタイミングの悪さです。
   このビラが私の家に配布されたのは23日でした。23日深夜に2025年の万博開催が大阪に決まった日
  でもあります。(ビラの発行は21日ですが)このビラには万博について全く触れられていません。ビ
  ラの中で開発計画の地図があり、その中に万博用地という記載があるだけです。万博開催が決まれば
  さらに莫大な費用が必要なのにそれに一切触れていません。今日(25日)の毎日新聞は大阪万博開催
  に向け、夢洲整備に140億円の補正予算案を議会に提出予定という記事を載せています。さらに会場
  建設費1250億円(国、大阪府、市、経済界で等分負担)とも書かれています。なぜ万博開催に一切触
  れないビラにしたのかも疑問が残ります。
 
 カジノや万博のための大型開発が府民生活を苦しめていると言いながら、その証明が全く出来ていないビラに仕上がっています。宮原氏はこのビラを読めば府民の方はカジノ反対に立ち上がってくれると思ってこれを書いていますが、全く証明になっていないことに気づいていません。その事を指摘あるいは指導するする力が共産党の内部に存在しないことが明白に分かります。党内民主主義の欠如の表れです。

資料1:「週間宮原たけし」