平成最悪の西日本豪雨災害に対する赤旗の報道姿勢に疑問


平成30(2018)年7月11日


死傷者125人、行方不明89人(毎日7/10朝刊)の災害に際して赤旗の報道姿勢は?


 赤旗は一面トップで豪雨死111人に被害拡大と大きな見出しで報道しているが、一面トップの半分は、「6野党・会派」「政府は最優先で対応を」菅官房長官「しっかり受け止める」という記事を載せている。
 どうしてこの記事が1面トップなのか全く分からない。体制翼賛会のような記事である。この災害に際し「6野党・会派」で申込を行い、その要望を政府も「しっかりと受け止める」との記事は、与野党全ての政党が同じ思いだという主張である。(この赤旗の弱点は、たまたま今回失敗したのでなく、赤旗の基本的思想である。前回書いた「断末魔に陥った安倍政権に手を差し伸べる新聞赤旗」参照
 確かに災害に与党も野党も無く、全党が一致して取り組むことが大事ではあるが、野党は与党が本当に国民のことを思い必死で解決に向けて努力しているか否かを注意深く見ていかなければならない。

毎日新聞は、今回の大災害に対する政府与党を批判する記事を載せている。

 毎日新聞2面は「政府 危機意識足りず」という大見出しで大きな記事を載せている。その内容は、気象庁が5日記録的な大雨の「おそれ」を予報。この日の夜に、首相と自民党幹部らは、東京・赤坂の議員宿舎で同党議員の懇親会「赤坂自民亭」に参加していた。だが被害は6日未明から深刻化。同日、5府県が自衛隊に災害派遣を要請し、首相官邸や防衛相の対応は7日から連絡室が、対策室、非常災害対策本部と次々に格上げされた。と書いている。
 また野党からは「災害の入り口で首相らは懇親会。危機意識があるのか」(国民民主党会派・舟山康江参院国対委員長)と初動を疑問視する声が噴出し、与党幹部も「緩んでいる」と不満を漏らす。と書いている。これがジャーナリズムの基本的対応だと思われる。(注1)

注1:この記事は昨日の赤旗、および毎日新聞を見て朝方に書いたが、夜の報道ステーション、あるいは
   NEW23でも安倍内閣の取り組みを相当批判していた。赤旗がこれを批判しないで、政府が「しっ
   かりと受け止める」と言ったと1面トップで扱う異常さに、現在の共産党のだらしなさを感じる。

 赤旗は政党本位に考え、共産党が申しいれた事実(6野党・会派で)を重視し、写真入り記事で志位さんもその中にいることを示し、被害者に寄り添うという観点より自らの政党の活動の宣伝の場にしてしまっている。(そのことが国民に見抜かれていることを赤旗は気づいていない。)
 赤旗が書くべき紙面構成は、被害者に寄り添い、どのような被害があったのか事実の報道に力を入れ、その復旧に対する取り組みや、政治がなすべきことを明確にして、政府のだらしなさを追求する記事構成にすべきであった。

 赤旗は、上記政府に対する提灯記事のほか、一面に「共産党が救援募金訴え」

「志位委員長」「被害者支援を最優先に」という記事を書いているが、これも手前味噌で見苦しい。
 毎日新聞は、「激甚災害、早期指定へ」と政治がなすべき課題を明確にしているが、赤旗は、6野党・会派で政府に申し入れし(志位委員長)したことと、共産党が独自に、志位委員長が中心にカンパ活動を行ったことを訴えている。こんな宣伝のやり方は、旧社会主義国や現在の北朝鮮と同じ志向の宣伝方式である。
 この記事からは、本当に被害者に寄り添った記事というより、志位委員長が如何に偉大か、あるいは共産党が如何に戦っているかに主眼が置かれている。

昨日の赤旗に日本共産党創立96周年記念講演会の案内ビラが織り込まれていた。


 確かに共産党にとっては重大な記念行事とは思われるが、ここでは自重し、災害関連の取り組みを優先すべきであった。(安倍内閣への批判も災害より自らの懇親会を優先したことが批判されている。確かに「懇親会」と「96周年記念講演」では次元は全く違うが、政治において何を優先するかでは、国民の苦しみと共に戦う姿勢が必要であり、今日的状況ではやはり災害復旧が第一義的課題である。)
 先の大阪北部の地震に際しては、「震災にあわれた皆様に心からお見舞い申し上げます」というビラで、浜田高槻市長への共産党の「要望書」を載せ、避難所一覧や、ブルーシートや土嚢の配布などこまめな対応を紹介している。さらに第2弾では、「一部損壊の住宅改修の補助制度大阪府もつくれ!」というビラを入れ、さらに第三弾は第一弾のビラを踏襲しながら、情報の内容をさらに増やし改善したビラを配布している。これら3枚のビラは市民の立場にたったビラであり、被害を受けた者は、役所での罹災証明をもらい、どこに手続きすれば良いかなど役に立つビラであった。まさに被害者に寄り添った活動で、さすが共産党だな、きめ細かい活動をしているなと思ったが、今回は、市民感情を逆なでするようなビラである。
 なぜこれだけの大きな災害があったのに、市民の立場に立った赤旗の記事の編集ができないのか、地元の共産党もなぜ地震の際には奮闘したのに、今回は創立96周年記念講演のビラなのか、この行為は地震の際の奮闘を台無しにし、結局は自分の政党の打ち出しに最も力を入れているのだと見破られてしまう。
 なぜ多くの市民が災害で受けた悲しみや、復旧に向けてどうすれば良いのか見出せない中で、「日本共産党の創立96周年をお祝いしましょう」と言うようなビラを配るのか、その無神経さにあきれ返る。
 日程を変るか、内部だけで祝うか、その辺の臨機応変な対応ができないのが共産党である。まだまだ国民政党としては遠い存在である。