メッキが剥げた共産党「緊急申し入れ」日本共産党幹部会委員長 志位和夫



令和2(2020)年8月8日


 日本共産党の志位委員長が7月28日に安倍首相あてに届けた「新型コロナ対策のかんする緊急申し入れを」(以下「緊急申し入れ」という)を行った。私はこの間この「緊急申し入れ」には問題があると思いこのHPに2つの記事をあげてきた。
コロナ問題で共産党の間抜けさを暴露した赤旗日曜版(8月2日号)(8月1日)
新型コロナ対策にかんする緊急申し入れ」志位委員長に漂う共産党の弱点を暴く(8月7日)
 8月1日に指摘したのは、共産党の志位委員長と東京都医師会会長尾崎治夫氏が見開き2ページにそれぞれの主張が載せられていたが、尾崎会長の主張が完全に論理性があり迫力があった。志位氏の発言には問題が沢山あり私は尾崎氏が100点とすれば、志位氏は40点だと評価した。
 なぜ、赤旗に日曜版は誰が見ても尾崎氏に志位氏が負けているみじめな姿をさらしだしたのか疑問に思い記事を書いた。
 8月7日の私の投稿は、赤旗(8月6日付)尾崎会長が赤旗一面に現れて、自己の主張を展開された。私は日本共産党幹部会が「緊急申し入れ」という文書を出したのに、なぜその主張と違う尾崎会長を赤旗に登場させ自由にしゃべらすのかに疑問に思いそのことを指摘した。
 この文書を8月6日に書き終え、HPに公表しようと思っていたら、8月7日に赤旗日曜版8月9日・16日合併版が手に入った。これを見て驚いた。またも尾崎会長が一面に登場して自らの主張をしている。
 赤旗は志位委員長が発表した幹部会決議があるのになぜそちらを宣伝せず、尾崎会長の話ばかりを紹介するのかと思い、尾崎発言と共産党の「緊急申し入れの」違いを見極め8月7日にHPのその違いを載せた。

「緊急申し入れ」の弱点は何処にあるか、何点かにわたって批判した(8月7日)


 本日付(8月8日)赤旗はこの私の批判を見たかのように、私の批判点をほぼ隠ぺいした主張になっている。共産党は幹部会決定に弱点があったことを正式には認めていないが、今日の赤旗一面トップ記事を見れば、隠れて修正しているのが分かる。

共産党の主張(「緊急申し入れ」)の弱点として何を批判したしたのか


1.全体主義的な発想で、中国武漢方式の発想である。(没落した社会主義の思想が未だ見え隠れする)
 @感染者を「見つけ出し」「隔離」するという立場から書かれている。(権力的思考)、「感染力」
  のある人を見つけ出し隔離・保護し、感染拡大を抑止し(緊急申し入れ)
 A幹部会委員長 志位和夫というような権威主義丸出しである。
   緊急コロナ対策にかんする緊急申し入れ
   内閣総理大臣 安倍 晋三殿
       日本共産党幹部会委員長 志位和夫
2.感染震源地を摘発しそこに一網打尽に網をかけ、感染者を摘発するという発想で書かれている。「P
 CR等検査を文字通り大規模に実施し、陽性者を隔離・保護するとりくみを行う以外にない」(「緊
 急申し入れ」)
  (尾崎氏の主張は「PCR検査を行い、補償と一体の休業要請に踏み込むことが必要です」)
 (8月2日号赤旗日曜版)、また8月6日付赤旗では「PCR検査を迅速に行い、感染状況をつかみ陽
 性者は保護・隔離していくべきです」と述べています。
3.共産党は、PCR検査は治療のためにするのではなく、防疫のためにすると言い切っている。「検査
 の目的を個々の診断ではなく、「防疫」−感染拡大の抑止においてPCR検査を思い切って行うことが
 大切です」(8月2日号赤旗日曜版)防疫目的のため「見つけ出し」「隔離」するという展開になる
4.PCR検査の拡大が解決の道と言いながら、一方では「ただやみくもに検査を広げても解決できな
 い」と政府の主張をわざわざ持ち出している。(8月2日号赤旗日曜版)
5.非科学的な主張を行っている。
  赤旗日曜版(8月2日号は)幹部会決定の「緊急申し入れ」のポイントは「『感染力のある人』把
 握がカギ」と書いている。ここには治療の発想は無く摘発的発想である)さらにこの大見出しの
 説明で 「無症状者の中には「感染力のある人」と「感染力のない人」がいて、この「感染力のあ
 る人」隔離することが重要と書いています。(この作業が可能なのか否か、どのようにして見極める
 かに言及せず無責任なことを書いています。) 感染者「保護・治療」の視点が無く、すべては防疫
 の立場で見ています。
 これらの弱点を昨日指摘(HPにUP)しました。

8月8日付赤旗一面トップ記事を見て驚いた。「緊急申し入れ」の弱点を抑え込んでいる。

 
 本日付け赤旗は、一面トップで「感染震源地での集中的なPCR検査を」「東京・新宿 志位委員長が訴え」という記事を載せています。この志位発言は「緊急申し入れ」の弱点を覆い隠す演説になっています。
1.「見つけ出す」・「隔離」という言葉を使っていません。(街頭演説)
 「PCR検査を大規模に実施し、陽性者を保護する以外にありません。」(志位委員長)
2.「Go To トラベル」への批判をしっかり行っている。
3.「緊急申し入れ」の説明(街頭演説)
  陽性者を、保護・治療する体制を緊急につくる(志位委員長)
   この説明から隔離を外し、治療を入れています。「隔離・保護」から「保護・治療」に大きく
  舵を切っています。防疫中心で治療は関係ないから一歩前進です。
   この間私は「隔離・保護」ではなく「保護・隔離」だと主張してきましたが、8日付けの赤旗は「保護・治療」だと志位委員長が街頭演説したことを報道しています。この発言
 は、共産党の「隔離・保護」から2歩前進した発言ですが、なぜ変更したのかの説明はありません。(こっそり修正しています。)

ただし、「緊急申し入れの」目立つべき弱点は補正していますが、相変わらず従来の発言もしています。


1.「緊急申し入れ」は政府の従来の検査方針の抜本的な転換を「感染拡大の抑制のカギは、感染力のあ
 る無症状者を把握し、保護することにあります」
 @「見つけ出し」「隔離」から「把握し」「保護」は前進している。
 Aただ、感染力のある無症状者を把握し、というフレイズの中に、感染力のある無症状者と感染力の無
  い無症状者の選別という考えが隠されているようにも見えます。
2.PCR検査の拡大を求める「緊急申し入れ」のはずなのに
  他方、今すぐ国民全員を対象にした検査を行うことも不可能です。(志位委委員長7月28日記者
  会見での発言:赤旗日曜版8月2日号)
   なぜこんなバカなことをわざわざ書くのかと思いましたが、「感染震源地での集中的なPCR検査」
  という自らの主張の優位性を目立たすために、国民全体にはできないという断定をしてしまうという
   誤りを犯しているのです。

 ニューヨークでは国民全体を対象としています。いつでもどこでも何回でも無料できるようにしています。最初から国民全体にはできないという断定は、政府の主張を肩代わりして言っているようで不愉快です。

赤旗3面【総合】焦点・論点に新型コロナ 感染拡大 渋谷 賢治さんが登場(8月8日付)


 この記事は一面から引き継いで書かれています。キングス・カレッジ・ロンドン教授の渋谷さんに赤旗記者がインタビューしたものです。
 この記事の大きな見出しは「PCRは高精度、早急に検査網を広げ、無症状感染者の発見・保護の推進を」です。彼の発言を少し拾ってみます。
「感染対策のカギは、PCR検査の拡大に無症状感染者の発見と保護だということです。」これに対して赤旗記者は、ただ渋谷さんも「やみくもに国民全員に対して検査しろとは言っていませんね。」と敢えて共産党の主張が正しいという発言を誘導しています。
 これに対する渋谷氏の回答は「もちろん、コストの問題やキャパシティー(能力)の問題もありますし、誰が費用を負担するのかという課題があります。まずは必要性があるところにきちんと検査ができるようにするべきです。今はそれすらできていません。」と返されています。渋谷氏の回答はPCR検査が無駄だとは言っていません。それを行う条件が整備されていないと言っているだけです。
 赤旗記者の質問は卑怯です。誰も「やみくもに」やることを考えている人はいません。基本的には要望があれば行える体制を求めているだけです。現在のインフルエンザなどの予防注射でも国民全員に義務付けたりしていません。「やみくもに」行うという主張は誰もしていません。それをことさら強調して共産党の主張が正しいように誘導する質問は無駄な努力です。
 渋谷氏はこのようにも言われています。「初期には『PCR検査を拡大したら陽性者が殺到し医療崩壊が起こる』と専門家会議は言って検査を絞りました。しかし事態は逆で、無症状感染者から院内感染が起き、スタッフも感染し病因を閉鎖した。救急外来がストップし、たらい回しが起こった。その教訓を生かすべきです」
 また「検査抑制の議論は日本独特のもので私もびっくりしています。」とも発言されています。さらに「ニューヨークは経済活動の再開をしても、感染の抑え込みに成功しています。初期に対応が1か月以上遅れ感染爆発をおこしましたが、ロックダウン(都市閉鎖)で収束し始めたとき、PCR検査能力を大幅に増やし、無料でできるだけ多くの人に検査をしたことが大きかったです。」と言われています。
渋谷氏は、赤旗が期待する検査抑止論に迎合していません。

 ここまで書いて気が付いたのですが、共産党は麻生さんと同じで財政出動に対して消極的な態度をとっています。世間では感染拡大を防ぐためには、「夜の街」など特定の行動パターンが感染を広げていると認識し休業補償をして休んでいただいて感染を防ぐ案が有力ですが、この議論が共産党からは一切出てきません。同時にPCR検査でも全国民に普及させることも無駄だと断定し、ニューヨークの様に無料でいつでもできるような要望は行いません。(「やみくもにやる」ことは無駄だと牽制しています。)
 なぜ政府のコロナ対策での財政出動の消極的態度を応援するのか全く分かりません。これは消費税の減額についても同じです。コロナ禍の経済危機を消費税の減額を通して国民の生活を守るという視点が共産党にはありません。不思議でたまりません。

ついでに、本日8月9日・16日合併号の大阪民主新報はどう伝えたか


 大阪民主新報で、大阪の新型コロナ対策の科学的検証と府民的点検を呼びかけます。明るい民主大阪府政をつくる会・大阪市をよくする会が7月30日に発表した共同アピールが掲載されていました。
 ここでどのような表現がなされているか見てみたが、「軽症・無症状の陽性患者の隔離を確実に行えるよう宿泊療養施設を確保する」と書かれています。
 やはり共産党の方針の基本は「隔離」です。(党中央の変更(隔離→「保護・治療」)大阪は乗り遅れています。