共産党の尖閣列島問題の方針を切る!

     尖閣列島問題は石原慎太郎氏の仕掛けた罠

       これに簡単に引っかかる共産党の愚かさ・・・



1.尖閣列島問題は、石原慎太郎氏が仕掛けた罠


はじめに

  来るべき選挙に向けてすでに戦いは始まっている。ここで何を訴えるかで、それぞれの政党の真価が問われる。自民党は、阿倍新総裁が「美しい国・日本を掲げ断固として日本領土・国益・国民を守る」と訴えている。民主党は、何をメインに据えようとしているのか、現状では把握できない。「原発ゼロを2030年代に目指す」がメインかと思われたが、閣議決定もできず、腰砕けを露呈している。3党合意である「社会保障と税の一体改革」で戦うつもりかも知れない。公明党は、何を掲げようがすでに支持者は抑えており(維新との棲みわけも終わっている)揺るがない勢力を保持している。 維新の会も「船中(維新)八策」を掲げて戦うというが、抽象的で分かりにくい。(全国では無理でも大阪での優位は揺るがないと思われる。)維新も原発反対が見え隠れするが、これで戦うという決断ができていない。(財界との関係が切れない。)生活が第一は、名前の通り国民生活に関連する問題、この間の3党合意の「社会保障と税の一体改革」を批判することが予想される。(原発反対を掲げるかもしれない。)
 そこで共産党は何で戦おうとしているのか、共産党は自民党と最も対極にある政党であるべきなのに、自民党と尖閣列島問題で対決し(同じ土俵で)勝利を得ようとしている。(注1)この共産党の姿を見て、ここまで共産党は落ちぶれたのかとただ驚くばかりである。

 共産党の勘違いは、自民党が尖閣で行くなら、その尖閣で真っ向から戦えば共産党に勝機が訪れると考えるノー天気さである。

注1:この文書は10月9日に書き上げていた。10日の赤旗見てびっくりした私の指摘(尖閣がメイン)が立証された。
   10月10日付け赤旗:「領土」でも「原発」でも党の立場に共感が広がっている。共産党は来るべき総選挙で尖
   閣列島をメインで戦う姿勢を見せていると私は一貫して批判してきたが(これはあくまでの私の憶測であっ
   た)、ついに正体を現した。10月10日付け赤旗8面【党活動】欄は大きな見出しで

 「領土」でも「原発」でも党の立場に共感が広がっている。
 総選挙勝利へ対話と党勢拡大の高揚のなかで5中総(14日〜)を


  共産党は、今まで「消費税反対」が一番で、2番が「領土問題」、3番が「原発」だと私は認識してきた。しかしこの党内向けスローガン(10日付赤旗)は、明らかに「領土」問題を一番に掲げ、2番に「原発」で、「消費税」問題が抜け落ちている。

<来るべき総選挙の争点は原発反対か否かの戦いがメインである>

 政府の調査でも原発に反対する国民は50%超えていると発表されている。現在の日本での政治状況は、原発反対か、賛成かで国論が二分されており、それぞれ政党はこの国民の声を吸収するなかで戦いを組織すべきである。

 一九七〇年代、共産党は、革新統一戦線を訴え国民の多数を組織する戦いを進め、京都(蜷川府政1950年から1978年)をはじめ、東京(美濃部都政1967〜1979)、大阪(黒田府政1971年から1979年)沖縄(1968年〜1976年)と革新自治体を次々生み出し、日本における統一戦線運動が成功するかに見えたが、社共共闘が権力側からのさまざまな攻撃を受け、「社公合意」で社会党は日本共産党排除の政権構想へと歩みだし、革新統一戦線という運動は分裂していくという悲劇を生み、後退を余儀なくされた。

 このような状況を踏まえ、共産党は1981年5月26日「全国革新懇」を発足させ、政党間の統一ではではない、平和・民主主義・生活向上の3つの共同目標にもとづく政治革新と、その国民多数派の形成をめざして無党派層を巻き込んだ革新統一戦線運動を組織した。

 その後共産党は1986年5月19日に、それまでの民主連合政府よりも緊急性をもつものとして「非核5項目」を掲げ非核の政府という政府構想を打ち出したが、運動は思ったようには広がりを持たなかった。(これは原水爆禁止運動がやはり分裂しており(その原因は共産党にあるように思われるが)、その根底が崩れていた)。

 さらに、その後2004年6月には、九条の会が護憲派の知識人・文化人での呼びかけで結成され、日本各地に数千を超える会が結成されたが、日本の政治情勢を揺るがすような勢力にはならなかった。

 このような状況の中、共産党は革新統一の流れを組むこれらの運動に限界を感じ、保守との共同の中に活路を見出そうとする。 こうした共産党の態度は、2010年1月に行われた第25回大会で決定された路線に基づいている。共産党はここで、保守党との共同によって政権に奪取する方針を確立した。(注2)
保守との共同のためには、日米基軸の政治と根本的に対立する主張は表舞台から消え、二つの異常や、二つ害悪になり(驚くべき記事ばかり参照)戦うべき敵が曖昧になった。一斉地方選挙での原子力政策「安全優先の原子力政策」がこの保守との共同の帰結であったのではと私は思っている。

注2:新しい条件をくみつくした国民的共同と統一戦線の展望について
         従来の保守の人びとを含め、新たな共同の条件が劇的に広がりつつある

<選挙戦の争点は何を基軸に決めるべきか>

 来るべき総選挙もこの原発反対問題を最大限の争点を掲げるべきだが、共産党の腰は未だ定まらない。いつの間にか熱病にうなされたかのように「尖閣列島問題」で騒ぎだし、これを前面に立てて選挙を戦おうとしている。

 一般的に、選挙戦の争点は、何を基軸に決めるべきか、それは小沢氏が主張する「国民生活が第一である」が当たっている。この視点から政策を決めるなら、当然、国民の命と生活を脅かす最大の癌は、現状では原発問題である。次に、経済の浮揚や雇用対策や消費税やオスプレイ問題などである。国民生活に直接関係のない尖閣列島の問題を前面に掲げて戦おうとするのは、共産党が国民から遠く離れた書生の論議をしている政党に写る。

 自民党阿倍総裁は、尖閣列島を前面に押し立て選挙を戦うであろう。それは争点が原発だったら不利だからである。(争点隠しである。これは戦略的にやっている。)また右翼は常に国家的ナショナリズムをあおることが、その本質でもある。それにあおられて同じ争点で戦おうとする共産党は、国民から遊離した根なし草政党になってしまう。悲しい限りだ。

 これは保守との共同の行きつく先であり、同時に共産党の完全に国民から見放される道である。

<3.11以降の政治情勢の把握ができていない。>

 3.11の震災に伴う原発のメルトダウンで、日本の政治情勢は大きく変わった。全国津々浦々で、原発反対の運動が巻き起こり、国民が立ち上がるという現象が安保闘争以来の盛り上がりを見せている。日本における政治改革は、この国民大衆の立ち上がりの中に存在する。この戦いをさらに盛り上げ強固なものにするならば、その運動の力は、必ず日本の社会を変える運動へと転化していく。

  ところが共産党は、この国民大衆の盛り上がりを正しく評価できず、この戦いに依拠することもできず、どちらかというと、自らの主導権にこだわり、今後この戦いを分裂させる方向で動く危険性すらある。今回のさよなら原発派の運動がなぜこれだけ盛り上がったのか、それは政党間の主導権争いでいや気がさしていた国民大衆が自ら主導権を握ったからである。今後この運動と同連帯して戦うことができるかで共産党の将来が決まる。ここで主導権を握り返そうと画策すれが、運動は衰退し、共産党は二度と大衆運動を組織できなくなるであろう。

<原発で主導権を握れない共産党は尖閣に目を付けた>

  共産党中央はエリート集団である。おそらくどの政党よりも高学歴者が多くエリートであり、人の上にいないと納得できない官僚集団である。現在の共産党の主張を見ていると、学校の勉強で常に一番をとって喜んでいる馬鹿な奴によく似ている。尖閣列島問題に対する共産党の政策がどの政党の方針よりも一番すぐれている。だからこれで選挙を戦えば勝利するという思考だ。この一番すぐれている根拠は、自民党がほめてくれた、財界がほめてくれた、だから共産党の政策が一番正しいのだというものである。(ほめてくれたの中に国民がないのが気にかかる・・・この価値判断が現在の共産党)

 こんな素直で政治の素人のボンクラ集団、自民党や財界から見れば、赤子の手をひねるようなものである。共産党が出した政策を、少しほめておけば、豚もおだてりゃ木に登るように有頂天になり、喜んで尻尾を振って寄ってくる。こんな簡単なことはない。このような戦略にはまってしまっているのが現在の共産党の姿である。

2.共産党の尖閣列島の方針はどこが間違っているのか

  共産党は自ら出した尖閣列島の方針が一番正しく、これで選挙を戦えば勝てると思っているが、そもそも共産党の尖閣列島の方針は間違っている。全く中国寄りの国益を失う方針である。この方針を国民は支持しない。以下何が間違っているか明らかにしたい。

<共産党の尖閣列島の政策は、話せばわかるが基本になっている>

  共産党が天下を取ったかのように連日一面をにぎわしている尖閣列島の方針の特徴は、「日本政府は「領土問題は存在しない」と主張しているが、「領土をめぐる紛争があることを認めて中国と十分話し合い解決しろ」というものである。この主張の決定的な誤りは、中国が日本の主張を十分理解していないから、今尖閣列島問題で紛糾していると捉えていることである。中国を社会主義国として捉え、話せばわかる国家だと捉えているところに最大の誤りがある。

 共産党はソ連崩壊後、ソ連は社会主義と無縁の存在であり、崩壊したことをむしろ喜んでいる。と言ったが、このときのソ連より中国はもっと性質が悪い。

  この国と話し合って物事が解決すると判断するのは、共産党だけであろう。ただ米倉経団連会長も同じ主張をしていると共産党は主張すると思うが、文化大革命の時を思い返してほしい。あの時、共産党以外の日本のすべての政治勢力が中国の文化大革命例礼賛を行い毛沢東万歳と叫び土下座外交を続けた。このとき中国の文化大革命を批判したのは、日本共産党、サンケイ新聞、中島嶺雄氏だけであった。

 財界がいかにいい加減かは、文化大革命の時点で実証済みである。

<中国はなぜ尖閣列島問題を重視しているのか>

 共産党は、「中国は国連が尖閣列島周辺に石油など海底資源が多くあることを発表していらい、彼らは尖閣列島の所有権をいいだした。」と主張しているが、これは歴史的経過としては正しいが、現在の中国は、資源問題より、軍事的にこの地域の支配権の獲得を狙っている。それが中国の言う「核心的利益」である。

 中国の論議は、「自分の物は自分の物、人の物でのほしいもの自分の物」という思想で動いている。歴史的経過の問題を話せば中国が納得するというのは全くの幻想であり、彼らはどんなことをしてもこの地域を自分のものにしようとしている。

  さらに共産党は。自らの議論の正しさの根拠に、アメリカのアーミテージ元米国国務副長官のインタビューで「アメリカからみれば尖閣列島の領有権は今も係争中」との言葉を引用している。テレビのTVタックルでも穀田氏がアーミテージの言質を引用したした際、民主党の原口議員は、共産党がアメリカの主張を根拠にいうのはおかしいと一蹴した。

 アメリカは、中国が尖閣を奪取しようとしているのは、軍事的動機だということを認識している。この間のアメリカの航空母艦の配置や、F35戦闘機の嘉手納基地の配備の決定などを見れば明らかである。(注3)

  中国はロシアの未完成空母「ワリヤーグ」を購入し、海軍力の増強を図っており、中国周辺の海域をすべて自分の手中におさめようとしている。(注4)この中国の狙いを浮かび上がらさずに、相手が話せばわかる相手であるような幻想をふりまくのは、国益を失うものである。

注3;毎日新聞10月4日(木)「米2空母 西大西洋に」「合同展開、中国をけん制」という記事を載せている。「オバ
      マ米政権は日中双方に平和的な問題解決を求めているが、中国が東シナ海、南シナ海を含む西太平洋に
      排他的な海洋支配を確立することに強い警戒心を抱いている。
        また、4日(木)夕刊には、「F35嘉手納配置表明」(米国防副長官)「F35嘉手納配備は軍備拡張を続ける
      中国軍を念頭に置いた措置とみられる。」と書いている。

注4:中国の軍拡がすさまじい勢いで進んでいる。9月25日には、国内初の空母「遼寧」を披露。就役式には胡錦
     濤国家主席、温家宝首相ら中国指導部がそろって出席、国家的悲願を祝った。

<共産党の弱点は、中国を未だ社会主義国だと見ている>

  共産党は中国を社会主義国だと認識し、社会主義であるならマルクス・レーニン主義の本旨に基づき、国土拡大の野心はないものと理解している(?)中国は日本の主張を十分理解していないから、この問題で騒いでいるが、日本が理を持って十分説明すれば、納得するとみている。何というお人よしか、相手は全くそんなことは考えていない。国連の演説でも、日本が尖閣列島を盗んだと発言した。中国の立場は、「盗人猛々しいという態度であり」一歩も譲らない。

  今回の反日デモがもたらした状況を見る限り、中国のたくらみは、中国の内部事情があり、必ずしも成功しない。彼らの反日デモは「造反有理」の思想が根底にあり、「愛国無罪」という言葉を使えば、堂々と合法的にデモができる。反日を掲げながら、政府に対する怒りを結集し、反政府闘争に発展させる狙いを持っている。横断幕にはっきりと、「自由・人権」が書かれていたし、毛沢東の肖像画が乱立していた。これは紅衛兵的運動を彷彿させる。中国は、日本との対立をあおり、デモを激化させれば、自らの政権が危ないことに今回気がついていると思われる。相手は必ずしも強くない、この辺を考えて対応すべきである。

<「領土をめぐる紛争問題がある」ことを認めることは正しいか>

  この共産党の主張は誤っている。「盗人にも三分の理」という言葉があるが、この問題に関する限り中国には何ら理はない。中国の主張は軍拡路線のなか海軍力の増強を狙っており、そのために必要な地域だということだけである。

  この中国の主張になんら理がないことを共産党は誰よりも明確に主張したと主張しながら、「領土問題で紛争があることを認めよう」という主張に論理的一貫性が全くない。これを認めれば、中国は次に、沖縄も自分たちの物と言い始める。極端にいえば、日本列島そのものも中国の大陸棚だと言いかねない国である。(現に言い始めている。)どんないちゃもんでも、つけられたら紛争があるという論理を認めたら際限なく日本は後退する。尖閣列島問題はどう考えての中国に1分の理もなく、大国になった中国が落ち目になった日本をねじ伏せるという思想でしかない。

  日本はここで踏ん張り、反日感情が、中国政府に向かうことは中国にとっても不利益なことであることを相手に教えるべきである。これぐらいのことをしないと中国のやりたい放題である。

  この問題を考える上でまず中国は隣接する国すべてと紛争を起こしている。一番驚いたのはベトナムと武力闘争まで行った歴史がある。我々が若いころ教わった社会主義社会は領土拡大の野心はないという思想が現実に完全に打ち破られた。これが中国の本質である。(注5)

注5:中国が主張している領土問題は、尖閣諸島だけでなく、海上では、南沙諸島(ベトナム、フィリピン、マレーシ
       ア、ブルネイ)、西沙諸島(ベトナム)、中沙諸島(フィリピン)、東沙諸島(台湾)などと争っています。
     また陸上でも、ソ連、インド、ベトナムなどと争っています。取り分けて、1984年に中国軍がベトナム側に砲
        撃し、3度の大きな両運の衝突があった中華人民共和国(中国)とベトナムの国境問題による紛争は記憶に
        あたらしい事件だ。中国の不法占拠は1989年5月まで続き、その後撤退している。

<中国の狙い(当面の所獲得目標)は何か>

  中国は4000年の歴史を強調するが、やはり長いスパンで尖閣列島問題を考えている。最低30年ぐらいのスパンで、尖閣列島を日本から奪い取る戦略である。その第一段階として彼らが狙っているのは、尖閣列島をめぐって「日本と中国に紛争があること」を国際社会に認識させようとしている。

  だから共産党の主張する「領土問題があることを認めて外交交渉に入る」という主張は、中国は大歓迎である。そもそも今回の騒ぎの獲得目標がこれだからである。

  今現在中国が直接武力で侵入することは考えられない。(これは軍事力のバランスを見ている。アメリカが空母を配置し、F35戦闘機を嘉手納に配置する(予定)状況下では中国に勝ち目はない。)また武力で中国が尖閣諸島を奪った場合の国際世論の批判を中国も考えている。

  彼らは、今は取れないが、将来は必ず取る、その足掛かりとして尖閣列島問題ををめぐって、日本と中国に争いがあることを、国際社会に認知さすことが、第一の獲得目標である。この言質を中国に与えたら、中国は一気に攻め上がってくる。「話せばわかる」ようなお人よし国家では、中国は決してない。

<共産党の果たすべき役割>

  共産党が中国と友党というのであれば、もし日本において共産党を含む政権ができた場合、中国は、尖閣列島問題で日本を脅かすことは一切ない。道理に基づき話し合い、日本の主張に理がある場合、中国は尖閣列島問題から手を引くという趣旨の共同コミュニュケを発表することである。共産党がこれに成功した場合に限って尖閣列島問題は、選挙戦の争点になる。

  現状で尖閣列島問題を争点にするのは、自民党に塩を送るような戦術であり、また中国に通じて国益を失うものとして、日本の政治勢力の中では生き残れない汚点になるであろう。こんなことも分からず選挙戦に突入しようとしている共産党の戦術は、悲喜劇でしかない。一斉地方選挙の「安全優先の原子力政策」がとんでもない政策であったが、今回の「尖閣列島問題の政策は」共産党の頓珍漢な政策の第2弾であり、大きな打撃を被るであろう。

  なぜ、このような誤りが起こるのか、それは敵と味方の区分が分からなくなり誰に依拠して戦うのかが見えなくなった共産党の政治的堕落の象徴である。「民主集中制」という組織原則は、のぼり盛りの時は都合のよい組織原則だが、落ち始めた場合、誰も止める物がおらず、一気にまっさかさまに転落していくと思われる。歯車は逆回転を始めている。国民から見放されるのは、時間の問題だ。