総選挙総括第一弾(沖縄県民の戦いから学ぶべき)


 平成26(2014)年12月15日


今回の選挙戦の意義は、沖縄での基地反対派の完全勝利である。

 開票結果得票数等の具体的資料がまだ手に入っていないので、今回の選挙の大雑把な感想を述べる。
 今回の選挙戦の最大の意義は沖縄で反自民(反基地)統一連合(オール沖縄)が完勝したことにあると思う。自民党安倍政権が291議席を取り、公明党が35議席獲得し、与党の絶対的優位は変わらないが、沖縄の勝利は戦い方如何で、戦争勢力に対して、平和勢力が一致団結すれば、勝利できることを沖縄は我々に示してくれた。これが今回の選挙の最大の意義であり、教訓である。
 共産党は沖縄では正しい戦いを組織した。それは沖縄県民の意思がそうであったから、共産党もそれに応えたのだろうと思われるが、共産党の一点共闘路線からしても、この決断は正しい決断であった。
 しかし、共産党は沖縄以外では他の政党との共闘は求めなかった。それ以上にどう考えても絶対に勝利しない、更には候補者自身にもやる気のない選挙区で候補者を乱立し、与党の絶対多数に結果的に協力したような側面がある。

我が大阪10区は、選挙戦の争点を誤り、選挙のたびにじり貧になっていく

 私は大阪10区という限られた状況を見て判断しているので、全国的には全く違うのかも知れない。しかし全国一律の方針で戦えば、こうした事例もあることも知ってほしい。
 大阪10区は、辻本清美(民主)、大熊和英(自民)、松波健太(維新)、浅沼和仁(共産)が出馬したが、共産党は今回の選挙で大阪維新の会に審判を下すと言いながら、民主党との共闘を求めない。選挙結果は辻本清美が勝ったから良かったが、共産党が候補者を立てたために維新が勝利していれば最悪であった。
 大阪10区の結果は

名  前
党派
得票数
得票率
備   考
 当
    辻元 清美
民主
61、752
34.36
元:社民党
大熊 和英
自民
53、160
29、58

松波 健太
維新
50、516
28、10

浅沼 和仁
共産
14、318
7、07
岩盤の基礎票



179、746
100.01


 なぜ、全国的には共産党が躍進したのに、大阪10区は躍進出来なかったのか。私の体験談に過ぎないが、選挙期間中この候補者を見たのは一度きりである。駅頭でだらっと手を下げビラを持っているが渡す気があるのかないのか全く分からない。それに比べれば、辻本清美には外出中に3回も会ったし、また家にいていても辻本清美の声がマイクから聞こえてくる。駅頭の立ち方も全く違い、獲物を獲得するようなギラギラした目でこちらに近づき強引に握手してくる。この候補者の決意の違いが、誰の目で見ても分かる。
 これは、前にも書いたが、辻本は当選したあくる日からまた選挙運動を行っている。ありとあらゆる地域の会合に顔を出す。いつ東京に行っているのかと思うほど。ところが現地に住んでいる共産党の候補者は全く顔を出さない。なぜなら彼は選挙が終われば、候補者でなく党専従になる。こんな戦い方では絶対に勝てない。

共産党の消費税反対は8%容認がその前提にある。

 以上は私の愚痴であり、話の本質から外れるが、今回の共産党は議席数では大きく前進したが、選挙戦の戦い方、安倍政権と切り結ぶという点では沖縄を除いて最低の戦い方であった。安倍政権は、今回の選挙戦を「大義なき選挙」というイメージで戦ったが、これこそが彼らの最大の戦略である。彼が今回の選挙で狙っていたのは、「戦争できる国」づくりを狙い、憲法改正に必要な三分の2を与党で獲得することにあった。
 共産党はこの本質を見抜かず、消費税の10%値上げ反対を最大の争点として戦ったが、これは国民の多くが生活に直結する課題として思っている気分感情ではあるが、これに迎合し、安倍政権が仕掛けた争点で戦わず、彼が争点を隠すために仕掛けた土俵(消費税)で戦ってしまった。
 しかも、消費税反対ならわかるが、10%値上げ阻止という政策を掲げてしまった。この政策が間違いであることは、赤旗に投票日数日前に出た公明党の消費税政策の批判記事の中にあった。
 共産党は公明党の軽減税率の導入は、消費税8%を認め、後の値上げ分2%にだけ軽減税率の適応を求めるものであり、消費税8%を容認している。と公明党を批判した。しかし、共産党の政策は消費税反対でなく10%値上げ反対であるから、これこそ8%の消費税を容認した議論である。まさに目糞鼻糞を笑う次元の批判でしかない。
 この訳の分からない「消費税10%反対」を最大の課題に掲げ、「原発反対」や、「戦争できる国づくり」など、日本の国のあり方を戦わなければならないのにそれを争点からはずしてしまった。(これについては大阪の候補者18名の分析で明らかにしている。)
 大阪10区の候補者もビラは1枚しか受け取っていないが、消費税10%反対だけのビラであった。

国民の民度が一番高いのは沖縄県民(戦争できる国の最前線)

 安倍内閣は、今後集団的自衛権の具体的法制度制定過程で、共産党が反対を唱えても、「この件についてはすでに先の衆議院選挙で私は十分説明し、国民の理解を得た」と主張してくると思われる。その時点で反対しても後の祭りである。
 選挙は戦いであり、争点を自ら設定した者が勝つ。沖縄では「戦争できる国」づくりが基地問題を通して最大の課題であった。だから全区で勝利した。
 しかし、沖縄以外では、消費税反対で戦ってしまった。これは安倍氏が仕掛けた罠であった。敵が仕掛けて土俵で戦えば必ず負ける。これが今度の選挙戦の総括の最も重要な柱である。
 この私の意見に対して、「共産党は議席を倍増した」、「躍進した大勝利」だと総括する立場から批判が行われるであろう。しかし選挙の総括は確かに共産党の議席が増えたか減ったかも重要であるが、「日本が戦争できる国」へ、また一歩安倍政権が基盤を固めたことを見逃してはならない。今回の選挙線の課題は、共産党の躍進も大事であるが、平和を求める勢力を大きく伸ばしていくことも重要な課題である。沖縄はそのことを示した。沖縄以外もそれに続くべきである。共産党は1点共闘を掲げるなら、憲法改悪反対の一点共闘を推し進め、改憲勢力を3分の2の議席から追い落とすことに最大の力を割かなければならない。
 現在このことを分かっているのは、沖縄県民だけである。