小池劇場の終焉を暗示する葛飾区議会選挙結果


平成29(2017)年11月18日


東京都葛飾区議選挙の結果が面白い


 東京葛飾区の区会議員選挙結果は、今後の各政党の未来を示しているように見える。直近に行われた衆議院選挙と比較すれば、それぞれの政党の今後の栄枯盛衰が見えてくる。
 何といっても最大の特徴は、都民ファーストの凋落であろう。希望の党を都民ファーストと同じ政党と仮定すれば、希望の党は衆議院選挙では17.44%の得票率を上げながら、葛飾区の選挙では5.98%で敗北している。この5.98%は、衆議院選挙時の3分の1の得票率であり、一夜にして政治勢力を失った。
 さらに言えば東京都議会選挙では、葛飾区から出た米川大二郎氏は51,241票を獲得したが今回の区議会選挙では5人で9,502票でしかなかった。(図1参照)

図1:都議会選挙での 葛飾区の 政党の力関係


 このことは、小池百合子の総理大臣への夢は全く幻として消え、今や東京都知事を全うできるかどうかも分からない状況である。
 こうした状況を、以下の表に基づき区議会選挙が明らかにしたことについて分析したい。


※衆議院の票数は東京都全体の得票数

 まず図2を元に衆議院選挙と葛飾区議会選挙の関係を見てみたい
 葛飾区の選挙戦の最大の関心事は、都民ファーストが惨敗してことである。もともと7名の候補者を立てようとしていたが、その内二人は小池氏から音喜多氏に走り、見事当選したらしい。残りの5人は都民ファーストで戦ったが、4名が落選。勝利したのはたったの一人であった。この人はもともと2009年11月 葛飾区議会議員に初当選しており、2013年11月 葛飾区議会議員選挙において次々点であり、89票差で落選し民主党から再度挑戦する予定であったが、都民ファーストに転身した人物である。都民ファーストの風だのみだけの他の4人の候補者と違い自分で地盤を持っていた候補者である。
 この見事当選した うてな英明氏は2965票獲得したが、他の風頼みの候補者は、最高で1863票、最小得票者は1425票であった。ちなみに次点者の得票数2175票であり、この落選4人組は当選には到底及ばない票であった。
 都民ファーストの凋落ぶりが著しい。先の衆議院選挙では、全国で1千万近い票を獲得し、腐っても鯛であることを示したが、今回は選挙前に候補者には逃げられ(二人)、残った候補者(五人)も一人を除いて惨敗である。数字で見ていくと今回の区議選で都民ファーストの獲得票数は9,502票であり、ここ票数は共産党の19,502の半分以下であり、衆議院選挙の希望が東京都で獲得した票数1,039,647票、17.77%を基本に考えれば、今回の9502票は、得票率で5.98%であり、衆議院の得票率との比較を行えば、34.28%しか得票していない。まさしく都民ファースト・希望の党の凋落を示している。
 強いのは自民党である。自民党は先の衆議院選挙をかすかに上回る得票率を稼いでいる。他の公明党や共産党の方がいい数字を出しているのになぜ自民党を褒めるのかおかしいと思われる方もおられると思いますが、区会議員レベルになると無所属議員が多く、今回の選挙でも9人の無所属議員が当選している。この中にも自民党系がいるのではないかと思われる。(図3で公明党の前回区議選の比較では公明党も凋落している)
 次に公明党であるが、公明党は区議会選挙では衆議院選挙に比べ176%位の票を獲得している。私は東京の選挙区情勢をよく知らないが、先の衆議院選挙の公明党の票数が異常に少なかったのではと思っている。衆議院選挙の得票数は、共産党の得票数とほぼ同じ程度しかとっていない。
 この原因は何か、ここからは全くの予断と偏見になるが、東京は12区に元太田国交省を立てており共産党の池内沙織議員と一騎打ちであったため、この当選に全力を集中したのか、あるいは「平和と福祉の党」が売り物であるのに、そのメッキが剥げてきて支持者が立憲民主に一定流れたのか、はたまた公明党は選挙には準備期間が6ヶ月はかかる。抜き打ち的選挙をやられたら公明党は持たないと、かねがね言っていたと聞く。これが今回影響したのか、公明党の今回の衆議院選挙での獲得票数は697万人で在り過去最悪の票数になっている。最大は、2005年の衆議院選挙で獲得した898万票である。
 ただ、今回の葛飾区会議員選挙で公明党は18.99%の得票率を上げ候補者9人全員の当選を果たしており、すぐさま党勢の停滞を克服しているかに見える。これは統一選挙でなく、特定の選挙であり、他の区の公明党も動員した一大選挙を行ったと思われる。
 これに対して共産党はどうか、共産党は6人の候補者を立てたが、当選は5名に留まっている。次点が2175票であり、この落選者が2166票であるからそれなりに善戦している。
 得票率は12.27%であり、衆議院選挙比でも118%の得票を獲得している。共産党の現在の実力にふさわしい成果だと思われる。
 その他の政党では民進党は2名を擁立し当選させているが、立憲民主党が衆議院選挙で大躍進したにも関わらず、区会議員選線を戦う余力がまだないと見える。衆議院選挙の2割ぐらいしか票数を獲得できていない。
 社民党は、すでに候補者が立てられない状況にまで追い込まれている。これは55年体制に縛られ、それ以降の変化においてきぼりを喰らっているように見える。それと共産党は過激な行動は、反共攻撃の餌食になると常に警戒してきたが、社会党はそうした警戒心が無く、共産党のセクト主義に対抗して、暴力的な学生運動や、利権あさりを運動の基本とした解放同盟などを支持し鷹揚な態度をとることが多くの国民から信頼されると思っていたが、不純分子が多く紛れ込み、政党が乗っ取られたような様相を示し、壊滅していった。この党のそうした甘さが崩壊をもたらした。(表面的には自・社・さ政権が崩壊を決定的にしたが・・・)この党に未来はないと思われる。
 その他幸福実現党や、日本の心にも未来はなく、候補者すら立てられない。幸福の科学は会員数は沢山いるように発表されているが、選挙の票数から見れば弱小集団でしかない。
衆議院選挙で東京で獲得したのは15,872票でしかない。公明党に遠く及ばない。
 日本の心は右翼的政党と思われるが、欧米に比べ日本では右翼が政治的に力を持つことは難しいように思われる。右翼が現状の活動方針を取る限り、絶対に成功しないと思われる。
 ただ自民党内にその力を伸ばしていくことは可能であり、自民党が右翼に乗っ取られ右翼政党が第1党に踊だす危険は常にある。



 最後の前回区議会選挙と今回選挙の比較を行い、それぞれの政党間の力関係がどのような変化をもたらしてきているかを確認していきたい。
 この票から分かることは、公明党が9人当選し、図2では衆議院選挙の票の175%を獲得しており大躍進したように見えたが、公明党は前回11名の当選者を出していたにも関わらず今回は9名の立候補で全員当選させている、戦う前から自ら敗北路線を取っている。得票率から言うと前回は23.32%であったが今回は18.99%に落としている。4.33%も後退し前回の8割に留まっている。この後退は相当深刻な数字ではないかと思われる。
 強いのはやはり自民党であり、前回の29.23%を30.82%までわずかではあるが上げている。共産党は票数では1,035票伸ばしたが、得票率では得票率では97%で若干落としている、
 その他目立つのは、みんなの党がすでに消滅している。民進党の落ち込みが大きい。立憲民主党の躍進が全く影響していない。前回比6割程度の政党に凋落している。
 一点だけ余談であるが、NHKから国民を守る党の立花孝志氏が当選している事に注目している。この方は大阪府泉大津市出身で元NHKの職員であり、NHKの告発を主な目的として、「NHKから国民を守る会」という党の責任者で全国を走り回っている。千葉県船橋市の市議会議員選挙で当選したが、その1年半後に行われた都知事選挙で敗北、さらには2017年1月の大阪府茨木市議会議員選挙出馬・落選したが、5月に行われた尼崎市議会選挙では、党員の竹原 正二氏を当選させている。 この方は森友・加計学園疑惑問題の追及も熱心であり、とりわけ森友学園問題では、松井知事及び部落解放同盟の関与を追及している。
 この彼が東京でどのような主張を行い当選したのかは分からないが、大阪の茨木市では、1531票で落選(最下位当選者は2024票)なのに、なぜ葛飾区では2954票獲得したのか不思議である。東京都民はNHKに対する反発が大きいのか、それとも森友・加計学園問題に反応したのか興味がある。