5.17「大阪都構想」住民投票の総括の視点は何か


平成27(2015)年5月25日

 大阪都構想の住民投票は大接戦の上、反対派がかろうじて勝利した。僅差の勝利ではあったが、この政治的意義は大阪市の将来だけではなく、日本の今後のあり方を左右する重大な勝利であった。
 まず、この大阪都構想の住民投票の結果をどう総括するかであるが、5月23日(土)のウェークアップ現代で司会者の辛坊氏は、この投票結果は、「老人の既得権益を守るという行動が結果を左右した」と主張した。また彼は、「70歳代のみが反対多数であり、他の世代は全て賛成が多数であった」とも主張した。
多くの評論家達も、「若者は改革を望み、年寄りが福祉の後退を嫌い反対し、大阪都構想がつぶされた」と嘆いてみせるが、果たしてそれは真実か、出口調査の結果70歳代だけが反対が多数派であったことを根拠にこれらの発言がなされているが、「講釈師見てきたような嘘をつき」と言う言葉があるが、まさにこの評価がそうである。出口調査の信憑性がどの程度あるのか、きわめて怪しげな調査である。(注1)
 この辛坊氏は、反対派が多数を占めることが分かった際に、生活保護者の票が、この選挙を左右したとまで言ってのけた人物でもある。(注2)

注1:投票結果を大阪市の地図に落とすと明らかに、地域間で大きな違いが出てい
 る。票差は約10741票であったが、平野区だけで反対派が10887票を
 超えている。平野区は70歳代が異常に多いのか、彼らの主張のウソがすぐにわ
 かる

注2:辛坊氏によると、生活保護者にとって大阪都構想の実現できめ細かい行政が
 実現することは不都合であり、高齢者も長年無料だった市営バスや地下鉄を一
 部有料とされたことに大きな不満を抱いているという。辛坊氏は、こういった
 人たちが反対に回ったことで、大阪都構想は否決されたのではないかと推測し
 た。(18日放送の「朝生ワイド す・またん!」(読売テレビ))

 私はこの選挙は、世代間闘争ではなく、地域間闘争だと思っている。賛成派が勝利した地域と反対派が勝利した地域は、明らかに固まっている。(参考資料1)大阪都構想で北区とされていた中心部は全て賛成が多数を得ており、反対が多数を得たのは周辺区、及び南側の区である。(例外は旭区だけである。)ここにこそ最大の特徴があるのに、評論家達は口をそろえて、年代間の格差でこの問題を語り、政治的敗北を覆い隠そうとしている。

 ウェークアップ現代にひき続き放送された「朝パラ!」(関西ローカル番組)も、70歳代が自らの福祉の権利を守るため投票した。シルバーデモクラシー(注3)と小泉新次郎氏も指摘していると論評、さらにコメンテータ勝谷 誠彦氏は、「昔は『隠居』と言う制度があった。(「高齢者の投票権を奪えないが」と補足したが)年寄りが多くて社会的発言権があることを悪いという趣旨の発言を行った。(大阪都構想の敗北は、老人が既得権益を守る投票行動に出たという主張を行った。)

注3:有権者のうち、高齢者が占める割合が高いため、高齢者の意見が過剰に政治
  に反映されやすい状態を指す。「人口の割合に加えて、年齢別の投票率が高齢
  者の方が高く若者が低いため、必要以上に高齢者に有利な政策が多くなりがち
  なことに影響を与えている。」という主張。
   老人向けの施策が優先されるという批判に対して、「若者が投票にいかない
  のも問題」という反論があるが、それを否定し、そもそもそういう次元の問題
  ではなくなりつつある、このままいけば日本に恐ろしいことが起こる」と指摘
  し、そして、その事態を避けるためには1票に「軽重」をつけるしかないという
  ような議論まで出ている。若者の選挙離れをどのようにして克服するかを真剣
  に考えず、年寄り一票を2分の1票にするというような発想は、民主主義国のど
  こにもない。明らかに人権問題である。


あまりにも接近戦であったため、開票即報にもゴタゴタがあった。

 大阪都構想の住民投票の開票速報を見ていたが(フジテレビ系関西テレビで、宮根誠司キャスターが司会を務める情報番組「Mr サンデー」とNHKを切り替えながら見ていた)、ここでもおかしなことがあった。宮根屋氏の「Mr サンデー」では開票率97%の段階で、賛成派が多数を占めており反対派に対して0.7%位高い得票率がテレビで映し出されていた。
その段階で政治評論家の田崎 史郎氏が賛成派の勝利の原因を語り始めていた。「1週間前のマスコミの調査では10ポイント近く反対派が優っていたが、この1週間で賛成派が巻き返した。その主要な原因は、官邸側のテコ入れで、安倍さんが大阪都構想に理解を示し、菅氏が自民党と共産党が同じ街宣車に乗ったことを批判したことが、大きな効力を発揮した」と話し始めていた。
 しかし、この説明の最中、急に反対派勝利のテロップが流れ、開票率98%で賛成派が1万票上回っていると報じた。(22時35分)
 この同じ時間帯にNHKは、開票率81%。賛成は57万1395票、反対は56万5093票で、賛成票が6302票上回っていた。その後も開票率97%で賛成派が勝っている画面を延々と垂れ流していた。おそらく20分近く、NHKは賛成派の得票が多い報道をし続けた。(関西テレビの得票数・得票率は、見にくい表示であったが、NHKの得票数は画面下に大きく賛成票・反対票が書かれていた。)
 スポーツ新聞によると、NHKは宮根屋よりも1分前に反対派が勝利したというテロップを流したというが、私が見ている限りにおいては、MHKは宮根屋が反対派の多数が決定したと報じた5分後ぐらいに、NHKも反対派が勝利したというニュースを流し始めたが、画面下の開票速報はその後も賛成派が200票ぐらい多い数字を出し続けていた。
 NHKは午後10時55分(反対派勝利のテロップから20分後)にようやく反対票が、賛成票を逆転。この時点で賛成68万8729票。反対が68万8994票となった。(265票差)
 私は、NHKの集計が正しく、関西テレビは誤報であったとの操作が行われるのでは危惧したが、関西テレビが100%開票を伝え、10741票上回ったと報道し、安心した。


5,17大阪都構想反対派の勝利は、戦争にあこがれる安倍戦略を打ち破る上で大きな第一歩を築いた。

 ここからが本題であるが、大阪都構想の反対派の勝利は、今後の日本の政治にどのような影響を与えるかという視点からの総括が必要である。そもそも大阪都構想が憲法改正とどのような関係にあるかについては、1月21日関西テレビに出演した青山氏の爆弾発言が教えてくれた。私はこの人物は自信満々で右翼的な人物であり、発言の信憑性と言う点では今まで疑いを持って見ていたが、今回のその後の経過を見ていれば、彼の1月21日の発言はその後の政治動向を全て言い当てていた。

<すべては青山繁晴氏の5月17日までの官邸の戦略を暴露したことから始まる、>

 1月21日のフジ系列関テレで独立総合研究所青山繁晴が今回のイスラム国人質事件の解説を行う中で、彼は5月17日までの安倍官邸の狙いを系統的に話した。「今年の政局の最大の山は5.17だとある政府高官は言っている」と彼は5月17日が如何に重要かを説明した。
 この話の肝は、安倍さんの最大の課題である憲法改正は橋下維新の全面的支援を受けこそ成就するというものであった。安倍さんは現在自公政権を組んでいるが、公明党が党是である平和主義を持ち出し、歯止め論を持ち出すことにイラついており、維新を利用することにより、公明党を抑え込む戦略であるとも語った。与党として公明党が去っても強い味方の維新があるという事を見せつけることが、公明党を封じ込める最大の武器になることを安倍さんは期待していた。
 そのために、大阪都構想には賛成し、何としても維新を勝たせ、その見返りに戦争法案を全て成立させ、憲法改正へと一直線に進むのが、安倍内閣の戦略であった。
 この大阪都構想の住民投票で自民党も公明党も地元は反対であったが、東京の中央本部は両党とも賛成で動いた。公明党は、住民投票賛成へ中央本部からの圧力で方針転換を図ったし、自民党は官邸が率先して、大阪都構想の応援を行った。その中心は菅官房長官であり、安倍首相も「二重行政の弊害をなくす都構想に理解を示す姿勢を見せ」、秋波を送り続けた。
 これを受け、維新のビラに「大阪都構想に安倍総理・政府自民党は賛成です」安倍首相と菅官房長官の似顔絵を掲載したビラを配ったが、安倍首相が正式に抗議したという話は聞かない。(黙認していた)
維新が勝ったと誤った判断で、コメントを話し出した政治評論家の田崎史郎さんは こうした官邸の動きが勝利につながったと話し始めていた。つまり安倍戦略と大阪都構想は切っても切れない関係にあったのだ。(政治のプロはそう見ていた。)
このことを分かっている者は、憲法改正までの戦略の見直しが迫られているという評価をし始めているが、官邸は冷静を装い、「大して影響を受けない」ととぼけているが、相当な手詰まりになっている。そこで再度橋下の担ぎ出しを狙っている節がある。

憲法改正への動きの事の発端は「イスラム国」による人質事件である。

 青山氏は明らかにこれをチャンスと官邸は捉えているという趣旨で話をした。
再度話を戻すが、この1月21日の青山氏の話は、直接的には「イスラム国」にとらわれた人質問題について彼が解説するコーナーであったが、彼は5.17を終着点に、この「イスラム国」の人質事件も、安倍政権にとっては神から与えられた恵みみたいな発言をおもなった。
 今回の人質事件で官邸は絶対にテロリストと交渉を行わない、ビタ一文払わないことを、安倍さんの中東訪問の旅の前に確認している。昔ダッカ事件の際に福田元首相がテロと交渉して、「人の命は地球より重い」という迷言(?)を吐き、国内に収監されていた彼らの仲間を解放し、身代金まで提供してしまった。この行為の為に世界から日本は笑われ者になっている。今回はこの汚名を晴らす絶好チャンスだ。と彼は主張した。
 今回の日本政府の取った態度は、テロリストと闘う有志連合への仲間入りのための日本の意志表示であり世界との環境調整を図ると共に、平和ボケしている国民の意識の変化を勝ち取る「またとして無いチャンス」として位置付けている。安倍政権の取った行為は正しいというものであった。
 私は青山氏のこの主張こそが官邸の狙いであり、この安倍戦略と闘うことが重要であると一貫して主張してきたが、共産党は「イスラム国」問題では、この立場に立たず、安倍政権と同じく「イスラム国解体」(志位委員長)の立場を取ってしまい、安倍政権の狙いを国民に暴き出すことを避けた。さらに、池内議員のツイッターでの安倍氏批判を志位委員長が注意して削除するという醜態までさらしてしまった。
 さらに大阪都構想についても、そうして安倍政権の憲法改悪という一連の戦略の中で都構想問題が動いていることに着目せず、大阪都構想が実現すれば「プールの数が減る」というような低次元でこの問題の闘いを組織しようとした。(取り分けて前半戦は)
 この共産党の低次元の主張が、辛坊氏などに利用され、福祉の水準が下がることを嫌がった70歳代が改革をつぶしたなどとの批判が行な割れる基礎になっている。
インターネットでは、17日の22時34分の反対派勝利のニュースがテレビで流れたすぐ後に、以下のような投稿が啓示されている。

2015/05/17(日)22:34:16.50
 反対多数確定wwwwwwwwwwwwwwwwwww
2015/05/17(日)22:34:18.17
 西成強すぎwwwwww
2015/05/17(日)22:35:17.22
 生活保護民に左右される選挙wwwwwwwww
2015/05/17(日)22:35:16.32
 既得権益 年長者 VS 一般市民 若者
 この図式で五分五分ってぶっちゃけ一般市民側の大勝利やろ

 辛坊氏や政治評論家の人たちは、今回の住民の投票意思を正確に分析せず、反対派の勝利が決まって1〜2分間に投稿されたネトウヨの評価をそのまま語っているに過ぎない。(注4)

注4:大阪市の有権者に占める年代別人口比率
   20代    14.3% 若者を20代30代として31.1%:21.5%
   30代    16.8%
   40代    18.0% 40代まで拡大すると49.1%:21.5%  
   50代    13.4%
   60代    15、6%
   70代以上  21.5%   
      辛坊氏がいう70代以上の反乱なら78.1%:21.5% であり、シルバー民主主義が大阪都構想を潰したという評価は科学的でない。

共産党は大阪都構想の住民投票勝利の戦いをどのように総括したか


 共産党は、大阪都(5月24日付)は、「『大阪都』構想に終止符が打たれ、橋下氏の政界引退が明確になり、7年前の維新政治への総決算・退場の審判となりました。」
 「『維新の党』の野望を許さないことは、全国的にも重要な意義をもつたたかい」(3中総決定)と位置づけ、とくに憲法改正を見すえた首相官邸側と維新の『改憲タッグ』を打ち破る意義を鮮明にしてたたかいました。」(これこそが青山氏の主張の核心部分)
 「『市民が主人公』の大阪の地方政治の前進とともに、安倍政権の暴走政治と対決し、平和・民主主義・暮らしを守る国民的大闘争、とくに『戦争法案』を許さない共同のたたかいに全力をあげていきます。」と総括しています。
 この総括は、論理的であり、支持しますが、この間の共産党の活動がこのような総括通りの闘いになっていたかは極めて疑問があります。

大阪都構想反対に共産党はどのような主張をしてきたか

 先にも述べたが共産党は大阪都構想で勝利した総括文書で、大阪都構想は憲法改悪にもつながっておりその野望を打ち砕いた事は成果であったと評価しているが、この住民投票の期間中そのような視点で共産党は本当に闘ったのか見てみたい。
 私は、大阪都構想に対する共産党の闘い方を一貫して批判してきた。以下私の主張を列挙する。

平成27(2015)年3月8日 「たかじんのマネー」での共産党府会議員の主張は間違っている。
 ここでは、共産党の府会議員が橋下市長から褒め殺しにあい、コメンテータから大阪都構想の反対の本質論がほしいと言われたが、「プールの数が減る」という主張に終始し、これは「あかんわ」というコメンテータ二人のあきれ顔が映し出された。この状況を嘆いたのは私だけでなく、このテレビを見ていた友達も共産党の主張は全くわからなかったと評価した。

平成27(2015)年3月13日 共産党の「大阪都構想」批判の論点は完全に間違っている
 この記事では、先の府会議員が、「たかじんのマネ―」では自分の発言がカットされ真意が伝わっていないというビラがまかれたが、その内容は都構想の本質問題に言及した物でなく、都構想により住民サービスが低下するのはプールだけでなく、これだけあるという趣旨のビラであった。
 さらに橋下氏の肝いりで担ぎ出された中原教育長の辞職記事が、毎日新聞に比べてショボすぎるという批判を行っている。

平成27(2015)年3月22日 「大阪都構想」反対の共産党の戦い方の稚拙さは目に余る
 大阪都構想をどう戦うかで、第一は、大阪都構想の本質が暴けていない。第二に大阪都構想と憲法改悪は繋がっているという視点で闘うべき、第三は民主主義の問題と捉え戦うべき、第四は、二重行政解消の議論で闘いを挑む必要がある。等を整理して闘う必要があることを主張した。
 さらに藤井聡氏の発言「大阪都構想:知ってほしい7つ事実(2015年1月27日)」に注目し、今後の反対運動の核になる理論だと認め、共産党がこの理論の重要性を認識すべきだと主張してきた。

平成27(2015)年4月5日共産党のお人好しと、橋下市長の強かさ
 ここでは上西議員の徐名問題を取り上げ、橋下氏はこのピンチをチャンスに変える演出を行っているのに、共産党は上西議員の問題を通して維新に対する攻撃が何もできていない。(これは先に上げた、中原教育長の辞任の際も同じ)

平成27(2015)年4月15日 今回の選挙結果をどう見るか
           共産党は大阪維新の会と真っ向から戦ったか?
 地方選挙前半戦の選挙選で共産党は本当に維新と闘ったのかを検証。共産党は確かに躍進したかに見えるしかし維新も4年前より奮闘している。決して維新を叩き潰して共産党が躍進したのではない。議席は引き続き確保(高槻市)できたが、大阪都構想で維新を敗北に追い込む陣地は獲得できていないと批判している。さらに今回の選挙の特徴は、公明党が票数を1割程度減らしている(高槻市・吹田市・東大阪市・豊中市)これは、今回の選挙戦で撒いた公明党のビラが、詐欺的商法のようなビラであったことに注目。共産党のビラもこの裏返しではないかと批判。(利益誘導が前面に出たビラ)

 私は一貫して主張してきた事は、大阪都構想の本質を何点かにまとめ、分かりやすく説明することでしたが、共産党はその都度批判点を変え、分かりやすい大阪都構想批判を最後まで見ることが出来ませんでした。
 このような状況の中で、内閣官房参与で京都大学教授の藤井聡さんの主張を軸に展開すべきだと主張してきました。なぜかと言うと、藤井氏が出した「大阪都構想の知ってほしい7つの事実」が発表されるや否や、橋下氏が激怒し、藤井氏を一切テレビに出すなと在阪のテレビ局に圧力をかけた経過からして、最も橋下氏の嘘を暴いているのがこの文書だと思い、この文書を重視することを主張してきました。 
 さらに藤井氏を支持したもう一つの理由は、彼が安倍内閣の内閣官房参与であったからである。安倍氏と橋下はつるんでいる。それならこちらは内閣官房参与とつるむことに効果があると見ていた。戦いは同時に攪乱戦でもある。
 この視点が共産党には無い、上西問題でも共産党は上西議員を始めとする維新のお騒がせ人物(橋下氏の目玉政策である公募区長や校長のセクハラやパワハラが多数発生した事実等)を攻撃せず、紳士的に対応する態度は人の良さ丸出しである。
 これに対して「たかじんのマネー」という大阪ローカルの人気番組では、大阪都構想問題を取り上げ、橋下市長と共産党の府会議員団長の一騎打ちの放送を行いましたが、橋下氏は開口一番、この府会議員は立派な方だとほめまくりました。つまり共産党の批判は怖くないとの認識は明らかです。(これについては上記「『たかじんのマネー』での共産党の主張は間違っている」で詳しく述べている)
 藤井氏の扱いであるが、例えば赤旗が大阪都構想反対の本の紹介記事からも外されているのを見て、「馬鹿だな」と思っていましたが、投票日の数日前になると急に藤井氏の載っている本を取り上げ、5月10日号の大阪民主新報に至っては5・17「都」構想住民投票特別号と宣言し、1面の半ページを使って藤井聡さんの主張を写真入りで大きく報道している。(やっと彼の主張が有効だという事を認めた。)選挙直前の一番大事な日の新聞に共産党大阪府委員長の訴えでなく、藤井聡氏を担ぎ出したという事は、彼の「知ってほしい7つの事実」の指摘こそが市民を反対派に組織する上で効果があることを共産党が認めたことになる。(インターネットでの記事ではあるが藤井聡氏の大阪都構想批判の載った「新潮45」を維新が5000部買い占めたとの噂もある。・・・維新は藤井氏の主張が市民に知れることを恐れていた。)
 

最終版に共産党がまいたビラの内容は、大阪都構想と対決したものでなかった。

 最終版に我が家に入ったビラは2枚あります。1枚は、日本共産党大阪府委員会の出したビラで「1票を争う大激戦です!」「5月17日(日)「住民投票」の日」これが一番目立つ大見出し、さらに縦見出しで大阪市をなくし、くらしを壊す「都」構想ストップ!!」
「『反対』と書いて投票する方を広げに広げてください!!」写真は、自民・民主・共産の合同演説(10日)というビラです。何かふぬけなビラに仕上げっています。最大の見出しが5月17日(日)「住民投票」の日というビラは選挙管理委員会のビラのような気がします。(このビラは良く見ると、中見出しで『しんぶん赤旗』の読者の皆さんへと書かれているところから赤旗読者限定のビラと思われます。・・それでもパンチ不足で論点の無いビラです。)参照資料2
 次にもう一枚のビラ、これは「自民党・共産党合同街頭演説」5月10日(日)というビラです。(発行責任者はこれも日本共産党大阪不委員会)自民党と共産党の政治家4名の写真に載せ、「オール大阪」庶民の力で「大阪こわし」に反対!と書いたビラです。共産党が強調したいのは保守との共同です。まさに保守との共同が実現した姿を共産党は鼻高々に宣伝しています。「どんなもんじゃ、これが保守との共同だ」保守との共闘を批判する者に対して、これが実績だと見せつけている感じがします。しかしこれは橋下氏という平成の「天一坊」が現れ、当面の敵として一致出来ただけであり、「戦争法案」反対で、このような流れが実現するものではありません。(参照資料3)

戦争法案反対の戦いは、保守との共同では勝ち取ることはできない。

 共産党は、大阪都構想で自民党とタッグを組み橋下の野望を打ち破ることが出来た。この流れの中で戦争法案も廃案に持ち込もうというのはまさにお人好しです。自民党は腐っても鯛です。橋下維新の会が、大阪府議会・大阪市議会で第一党を占めることに腹がたっただけであり、彼らが戦争法案反対で共産党と手を組むはずはありません。
 戦争法案反対は明らかに与党と野党の戦いになります。如何に野党共闘を組んでいくかが重要になります。その際、思想的に近い集団から結束を強めて行くのが筋だと思います。社民・民主・維新の順で野党共闘を固めて行くことが大切です。
 巷では、自民党の元大物議員が、戦争法案反対を唱えています。その彼らの言動そのものは貴重ですが、だからといって保守との共闘が進むわけではありません。自民党の彼らの子分であった人達は、彼らの発言にシンパシーは感じても、彼らの下に馳せ参じることはないと思われます。
 自民党内での権力争いの中で、今古参幹部に同調した意見をはけば、それは自民党員として死を意味します。自民党の国会議員の多くは、国民の生命・財産よりも自らの権力の保身が最大限守るべき課題だからです。
 自民党と共産党の相乗りの姿をことさら強調する共産党には、戦争法案反対の主導権を握る資格がありません。