日本共産党 最近おかしくないですか

「イスラム国」問題 しんぶん赤旗は矛盾だらけ


平成27年(2015)2月12日


原発問題で混乱を露呈

 赤旗は「イスラム国」問題で一貫した態度が取れず矛盾した記事を報道している。これは3.11東北地方太平洋沖地震直後の一斉地方選挙でも見られた現象です。
 共産党は3.11大震災の直後に戦われたいっせい地方選挙で、震災からの復興を最大の課題に掲げ命を守る政治を掲げながら、原発問題については「安全優先の原発政策」を掲げ戦ってしまった。その結果選挙は大敗したが、世田谷区長選で社民党の保坂氏が脱原発を掲げ当選した結果に驚き、5月1日のメーデー会場で志位委員長は唐突に「原発ゼロ」宣言を行った。しかし、この原発ゼロ宣言は、直ちに原発を廃止するというものではなく、段階的撤退論であった。
 この選挙戦では赤旗は各候補者の戦いを連日伝え、原発反対で戦っている候補者の戦いを伝えていた。ところが投票日前日(4月9日)共産党の原発政策は「安全優先の原発政策」だと原発容認を【主張】で行ってしまった。それ以降9月14日の「即時原発ゼロ」方針確定まで紆余曲折する。しかもこの時なぜ原発政策を変えたのかの中に「国民の世論が大きく変化し、「原発ゼロ」を目指す声は、国民の多数の声となっている。政府の「パブリックコメント」(意見公募)では8割が「即時原発ゼロ」を求めている。そうした状況を踏まえて、昨年の「提言」での提起をさらに一歩すすめ、「即時原発ゼロ」の提起をおこなうものである。と主張した。共産党が「前衛」でなく、「後衛」であり国民の戦うエネルギーに触発されて始めて決断した物であることを明らかにした。
 この政策転換はうまくいかず、それ以降も原発反対運動では主導権を取れないでいる。

マスコミの報道規制を一番守ったのが赤旗。(大本営発表を容認)

 今回の「イスラム国」問題でも、多くの国民は安倍首相のエジプトでの発言が、拘束されていた日本人の殺害につながったのでは思い始めている。さらに、この事件を利用して、安倍政権が押し進める「海外で戦争できる国」づくりは危険だとも見抜いてきている。
 事件当初は全ての大手マスコミが、安倍首相支持であり、今回の安倍氏の行った中東訪問を批判する者は非国民のような雰囲気が醸し出されていた。その雰囲気を最大限助長したのが志位委員長の池内沙織議員の安倍内閣批判のツイッターを批判し、取り消させた事件である。さらに後藤健二氏の殺害が事実だと認識された直後、志位委員長が出した「声明」は、「イスラム国」の「解体」であり、そこにはアメリカに対する批判も安倍政権に対する批判も一切ない、正にアメリカ主導の有志連合賛歌の「声明」であった。
 こうした共産党の「右傾化」に対して、元外交官の天木直人さんのブログで「敵とみなされた日本の衝撃と安倍首相の責任の大きさ」(2月2日)の中で、「志位和夫委員長もまた歴史に残る失態をおかした。」「安倍首相と志位和夫委員長はいいコンビである」と批判したが、一般マスコミは、あまり志位「声明」に注目していない。
 しかし、マスコミは少しずつ論調を変え始めているし、週刊誌も安倍政権批判を始めている。インターネットの世界は当初から安倍首相の企みを暴き、一貫して安倍内閣批判である。今日では国内の世論を形成していくのは大手マスコミだけでなく、インターエットの役割がますます重要になってきている。
 これは余談であるが、インターネットの世界では、従軍慰安婦問題では右翼側の論調が圧倒しているが、「イスラム国」問題では安倍批判の方が圧倒している。
 しんぶん赤旗は、原発問題の時と同じように、国民世論の動向に遅れをとり、赤旗は「イスラム国」殲滅派の論調であったが、国民の運動を伝える中で安倍政権批判を行っている。

国民の正しい運動は伝えるが、共産党の方針は右翼化(原発問題と同じ混乱)

 12日付赤旗4面に、「戦争進める首相イヤ」「名古屋の青年がパレード」という記事を載せている。その中で参加者の青年の言葉として「テロを口実に集団的自衛権行使容認の流れが進められ、本当に戦争する国になってしまう危機感がある。「社会保障に使うといって消費税を上げたのに回っていないぞ」と発言しました。という記事を載せている。この記事こそ赤旗が前面に掲げるべきであり、運動はこの方向でしか盛り上がらない。
 志位「声明」の基づいた大衆運動なんか考えられない。ヨルダンで「イスラム国」殲滅の熱狂的運動が起こっているが、日本でこの運動が組織されるとしたら日本の政治において右翼がその主導権を握る時だ。志位「声明」に沿った国民運動が如何にして構築されるのか共産党にお聞きしたい。
 志位「声明」にそった運動で唯一できるのは、地方議会での議決である。本日付赤旗でも、この青年の戦いのすぐ下に「『「イスラム国』のテロ行為を非難」という「さいたま市議会」の記事が載っている。提案者は共産党である。全会一致で決議されている。共産党はこれが成果だというつもりだろうが、この決議には先の若者が主張した「テロを口実に集団的自衛権行使容認の流れ」反対等の文言は全くない。
 文案は「非道、卑劣極まりないテロ行為を行った。これは、いかなる理由や目的によっても正当化されるものではない」というものである。この文案は安倍首相を支持するものであり、アメリカをはじめとする有志連合の軍事行動を容認する内容でしかない。
 共産党の池内沙織議員は、「『ゴンゴドウダン・ゴンゴドウダン』などと、壊れたテープレコーダーの様に繰り返し、国の内外で命を軽んじ続ける安倍政権」とツイッターで主張した。この立場こそが正しく(志位委員長に批判され取り消したが)、この市議会決議は安倍氏が主張する「ゴンゴドウダン」を主張したに過ぎない代物である。(自民党や公明党が賛成するのは当然である)
 赤旗が青年の運動を大きく取り上げ、このさいたま市議会の決議を青年の運動の下に小さく載せたのは、まだ最後の良心が残っているということだと私は見ているが・・・・

 私は今後国内世論がどのような形で修練されていくか分からないが、今回の事件で名古屋の青年が立ち上がったように全国でこのような運動が盛り上げれば、原発問題と同じく、共産党は方針を変えて、また大衆の後ろからついていき、いつの間にか共産党の主張は一貫していると主張しだすと思っている。その際の共産党の主張の根拠は小池副委員長の国会質疑とそれを取り上げたマスコミの主張をほじくり出し、共産党の主張は一貫していると主張する。(志位「声明」をこっそり隠し、池内議員に対する批判も忘れ)

アメリカ帝国主義支持に路線変更した共産党志位委員長「声明」

 しかし原発問題以上に、今回の問題は深刻である。私がこのHPで共産党は中国よりと言ったのに対した(言ってはいないが)共産党はアメリカ寄りと返して来た人がいたが、今回の「イスラム国」事件で共産党はアメリカ寄りであることを明確にした。それが本日付け、赤旗6面「対『イスラム国』」「『長期化』と米国」見出しで、さらに中見出しで「次期国防長官 空爆続け、地上軍舞台育成」、「資金・人的流入遮断」という記事である。この記事は、アメリカが如何にして「イスラム国」を殲滅しようとしているかの紹介記事であり、最後はオバマ氏の言葉で締めくくっている。その内容は有志連合に参加して共に戦おうとう記事である。
 以下最後のセンテンスだけ引用する。
 「同会合(安保理のオバマ大統領の主宰での首脳会合)で発言したオバマ氏は『この決議が示すのは、テロ組織へ参加しようとする人たちの問題に対処する上で軍事的な解決はないということだ』と指摘。『それぞれの加盟国の国内での具体的な行動、加盟国同士での具体的な行動』を『数日ではなく何年にもわたって』実践するように呼びかけました。」で括っている。(ワシントン=島田峰隆)
 志位「声明」は、「国連決議に基づいて解決」とあたかも中立を装っているが、この国連決議こそがアメリカの意図を貫いたものであることをこのレポートは暴露しながら支持している。
 「安保理会合開く」という見出しで「国連安全保障理事会は昨年9月、『イスラム国』の行動を避難し、その武装解除、解散を求める決議を全会一致で採択しました。決議は、外国人戦闘員の『イスラム国』への流入を防ぐ措置や、テロ組織への資金の流れを遮断することなどを加盟国に求めています。」
 さらに、安保理は同9月、オバマ大統領主宰で首脳会談を開き、米国政府が主導してまとめた決議を全会一致で採択しました。」と書いています。つまり「イスラム国」解体は米国主導で行われていることを報告しています。
 しかしこの記事は、米国主導の方針が、如何に問題があるかは全くふれていない。なぜなら志位「声明」はこの米国主導の国連での決議と瓜二つです(「資金・人的流入遮断」)。志位「声明」の方がより過激で「解体」という言葉を使っているが、志位「声明」は、日本共産党がアメリカ帝国主義の世界戦略を支持する立場表明を行ったのと同じことである。