日本共産党第8回中央委員会総会決議案について

       党勢拡大運動を独自に設定しても、党勢は拡大できない!


平成25(2013)年9月27日


党勢拡大運動を独自に設定しても、党勢は拡大できない。

  まずざっと読んでみての感想は、8中総全体が「第26回大会成功・党勢拡大大運動の呼びかけになっている。」(8中総は91年記念公演と一体で捉える必要がある。そうしないと全く無内容な文書になる。)

 共産党の活動と言えば党勢拡大が最大のものだということが分かる。強大な党を建設することが、当面の目標である、日本における民主連合政府を樹立する上で有利に展開することは、当中央の言うとおりであろう。

  しかし、党勢の拡大のみをを求めても党は拡大できない。現在の党勢拡大方針は、生保レディーの保険の顧客獲得活動の次元(そんなに簡単に取れるわけでなく結局は親戚や知人に入ってもらう)になってしまっている、あるいは選挙戦での「マイ名簿」は公明党が推し進めてきた「フレンド作戦」(身内や友達から表を得る「F票」)と瓜二つである。

  公明党の「フレンド作戦」は昔から行っており、私の父が生きていた頃は選挙になると父の中学生の友達が他府県から菓子折りを持ってきて公明党への投票を依頼に来ていた。これはお恥ずかしいことですが、私の就職(市役所)の際、私の父はその方に、公明党の議員を使ってプッシュするように頼んでいた。 

 このように票を頼んだ相手の家庭の様々な問題事に見返りとしてはたらいてくれる。(実際に公明党の市会議員が働きかけたか、またその効果があったか等については全く把握できていないが・・・役所に入ってから公明党の議員から私に対する働きかけは一切なく、票欲しさに適当に答えておき、実際には何もしなかったのではと思っているが・・・さらに言い訳的に述べておくと、別の市役所にも受かっていた。)

 私は市役所に40年間勤めていたが、議員控え室にいつも市民が来ているのは公明党だけだった。我々職員が呼ばれ、この市民要望をなんとか解決できないかと接触してくるのも9割型は公明党の市会議員であった。公明党の「フレンド作戦」をうわべだけ真似しても票には結びつかない。彼らは頼んだ人に対して、「こまめに面倒を見る」のがセットになっている。

  この公明党の「フレンド作戦」の正確さは、目を見張るものがある。大阪の衛星都市の選挙結果を見ていると、例えば5名当選とすれば、3位から7位まで並んで当選するという芸当を彼らは成功させて見せる。まさに神業である。

 それに反して共産党は正確な票読みができず、読んだ票と実際の得票数には大きな開きがある。もう少しそのいい加減さを語ると、例えば、公明党は最終的に票読みの点検をして、弱い候補者に票を回して、ほぼ同数に揃えていると思われる。(まさに組織政党である)これに対して共産党は当選者の順位がバラバラだ。上位当選者の票を数百票まわせばもう一人当選できるのにというのが多々ある。(議員個人のセクト主義で回さない)こんなところでも公明党に大きく遅れをとっている。

  話がだいぶそれたが、私が一番いいたかったことは、共産党が公明の真似をした選挙戦術を行っても勝利は勝ち取れないということである。公明党が成功させているのだから、この選挙戦術にそれなりの利点があるのだろうが、それぞれの政党の持っている役割と選挙戦術は関連があり、その戦い方は自ずと違ってくる。

  例えば自民党は、組織ぐるみの選挙を行うが、大企業や医師会、農協、宗教団体等団体に働きかけて組織票を獲得している。民主党も連合等の組織が大きな基盤になっている。公明党は創価学会という磐石な支持基盤があり、それに「フレンド作戦」をかましている。それなら共産党は何処に(誰に)依拠すべきなのか。それは、時の権力側に属さない、名もない市民に依拠して戦うべきで、国民の中にはこの階層が最大の勢力でもある。

  現状で言えば、原発に反対している国民、憲法改悪に反対している国民、消費税値上げに反対している国民、TPP交渉に反対している国民、200万円以下の賃金の押さえ込まれている非正規労働者、や生活保護以下の水準におい込まれて母子家庭の人たち等々、共産党の活躍を求めている国民は国民全体の多数を占めている。(注1)ここに依拠して闘うことを最初に明確にせず、マイ名簿(身内や友人)に依拠して闘うという方針は、没階級的方針であり、このような手法で共産党の躍進が勝ち取れることは絶対にありえない。まず、この確認が大切だと思う。

 注1:8中総(2)「大運動」の政治的意義、515万国民の期待にこたえた活動で、「安倍政権は参議院選挙
     後、消費税大増税、社会保障の大改悪、雇用のルール破壊、原発推進、TPP推進、憲法改定と集団的自衛
     権の行使、米軍基地の強化など、あらゆる分野で危険な暴走をはじめている。これらは、どの問題をとってみ
     ても、国民の暮らしと平和・民主主義を破壊し、国のあり方の根本を覆すような危険な暴走である。」

  「同時に、これの「暴走リスト」はどれ一つとっても、国民多数の民意に背くものである。暴走の一歩一歩が国民との矛盾を広げ、破綻を深刻なものにせざるをえない。」と主張している。

 「(注1)の主張は、正しいが、見出しはおかしい。「515万国民の期待にこたえた活動」というのはセクト主義である。すべての国民の期待に応えてでなければならない。

8中総では、「大運動」が前面に出て、参議院の選挙総括がおざなりになっている。

 参議院選挙の総括の視点は
  @長期低落傾向を脱し、最も高揚期の1998年の参議院選挙の獲得票数の8195078票の62.90%に当たる
       5154055票を獲得した。

  Aこの5154055票をどう評価するかが大切であり、第三期高揚期と捉えることは、安易であり、今後のさらなる
      得票数の増加を勝ち取る方針が曖昧になる、

    Bこの5154055票は、2005年の衆議院選挙で獲得した4919187に最も近く共産党の長期低落傾向の中でも良く
      善戦した闘いに類似している。その点から言えば、反転攻勢の手がかりを掴んだと捉えるべきだ

    Cこの勝利を支えた原動力は何か、それは自民党政権が原発を容認し、消費税増税や憲法改正、集団的自
      衛権の行使等、国民生活の破壊をより一層推し進めようとしていることに対する、国民の怒りが生み出され
      ているからである。

    D共産党がこの間奮わなかったのは、2大政党制の議論の中で埋没し、さらには第3極も日本維新の会やみ
       んなの党に奪われ、その存在価値が見えにくくなっていたが、民主党がコケ、大阪維新の会が石原慎太郎
       と合流し、さらに橋下市長の従軍慰安婦発言もあり、急速にその魅力を失うという政治情勢の中で戦われた
       ことが大きかった。

     Eこのような状況下で、共産党が唱えた自共対決路線が、国民に一定信頼された中で勝利した。このような視
       点で総括すべきであるが、共産党は、

 「(2)選挙戦の政治的教訓について」で、参議院選挙の政治線では、「自民党と対決、抜本的対案示す」を掲げ日本の政治の「四つの転換」―国民の所得を増やして景気回復、原発ゼロの日本、憲法を守り生かす、アメリカいいなり」をただすーを訴えういた。としている。

 さらに「安倍内閣の政治姿勢に対して、不安感、危機感をもつ国民が広がる中で、「自共対決」を鮮明に打ち出したことが、評価を頂いたとかんがえる。」としている。

 私は、実際の戦いがそうなっていたかには、一定の疑問があるが、この総括の視点は基本的には正しいと見ている。しかしこのあとの、「マイ名簿」のとりくみ、後援会や党支持者に協力を訴える「折入って作戦」が、大きな力を発揮した。とくに「マイ名簿」に基づき、選挙ハガキを活用した活動は、つぎのような諸点で選挙活動の新たな境地を開いた。という総括は、全く違うと思っている。

 そもそも今日までの共産党の選挙戦における勝利の方程式は、赤旗拡大を行えば一読者あたり2票から3票の票が入る。だから選挙運動というのは「赤旗拡大だ」みたいな運動方針自体間違っていると見ているが、さらに「マイ名簿」路線はその誤りをさらに進化させていったと見ている。

自共対決とマイ名簿路線の整合性はどこにあるのか

 参議院選挙の総括で、「自民党と対決抜本的対案を示す」という内容と、「マイ名簿」という手法とが全く「つろく」していないことに最大の欠陥がある。

 自共対決路線は、政治的対決で勝利を勝ち取ろうという方針である。そのためにどれだけの運動を組織できたか、いろいろな大衆運動の中で共産党がどれだけ先頭に立って闘えたかが勝利の保証のはずである。昔共産党は「護民官」という言葉を使ったことがあるが、やはり大衆の要求実現の先頭でいかに戦ったか、その中で仲間を増やし、支持者を増やしてきたかが問われるべきである。

 ところが8中総は、自共対決で勝利したと言いながら、実際は「マイ名簿」で勝利したと締めくくっている。

 「マイ名簿」路線は、身内や知人に働きかけて選挙の票を獲得する手法である。ここには政治的課題で組織するというよりも、つながり、義理人情に訴えて票をいただくという方針である。このやり方を全面的に否定しないが、このやり方では政治情勢を変えることはできない。(例えば私が共産党で頑張っていた頃、両親は共産党で頑張ることは反対だったが、選挙では共産党に入れてくれた。・・・だから全面的には否定しないが、このやり方では世の中は変わらない。)

共産党の後援会組織は今回の選挙で動いたのか

   8中総の総括の中で、前回選挙比、赤旗は、日曜版はといろいろ指標が出てくるが、後援会員がどれぐらい活躍したのか全く触れていない。(衆議院選挙の総括で、後援会に働きかけたが4割〜5割台前後だったと記憶している)(注2)

注2:私の6中総の総括で以下のようにかいた。
   6中総で志位委員長が挙げた驚くべき数字(しかし、これが実力だ)
   =具体的にあげると=

    ★1千万人との対話を提起したが、投票日まで達成できなかった。
      (1千万人と話しても350万にしかならないとは情けない話だ。)

    ★赤旗の拡大は成功せず、前回総選挙比で、日刊紙で89.7%、日曜版で86.7%であった。

    ★選挙戦に参加した党員は6割台であった。

    ★読者への支持・協力依頼は7割台から8割台、後援会員への支持・協力依頼は4割台から5割台でした。

 選挙戦では一般的に党員に依拠し闘うものであるが、その次に依拠するべきは後援会員である。(ここまではすべての党が一致している)その次に依拠するのが共産党の場合赤旗読者であると思われる。ところが、共産党の後援会は機能していない。

  私は、共産党は何故選挙に勝てないのか第二弾でこの問題を取り上げている。以下参考に引用する

参考;共産党は何故選挙に勝てないのか第2弾引用

3.議員と後援会の関係(他党派と共産党の違い)
 議員と後援会の関係で言えば、共産党は、昔は他党派と同様に後援会組織を議員単位で組織していたが、現在は共産党の後援会であり、議員ごとの後援会は組織していない。ここに自民党や民主党と大きな違いがある。自民党や民主党は、国会議員になりたい者の集まりである。(「自分党」である。)そのために自分で努力し、後援会員を増やし(注4)、政治的力量を蓄え、その地域での顔になるように常に努力している。それぞれの国会議員は多くの私設秘書軍団を持ち、常々地域の中に入り、一年中選挙運動をしている。

注4:他党は、議員と後援会員の人間的つながりを重視している。バスで温泉旅行に行ったり、ゴルフ大会やカラ
   オケ大会を行なったり、議員の人柄を理解してもらい支持を広げ、確実なものにしている。(考えてみれば昔か
   ら共産党の後援会に入っていて、議員個人と旅行したり、話したりしたことは一回もない。この辺が他党派と違
   う ところだ。)

 今回の選挙総括を見ると、共産党は後援会を完全に見限り、「マイ名簿」重視に変えている。

後援会方式と「マイ名簿」方式の違い

 後援会は議員本人と後援会員の親睦を深め、その中で議員の人柄や政治心情を知ってもらい、選挙の際には馳せ参じて応援団として働く。他党派の議員後援会を見ていると、後援会の中で責任者や機関紙担当や出納担当などを決め自主的に運営されている。選挙にはこうした議員自身の後援会員(応援団)が必要である。

 マイ名簿と決定的な違いは、マイ名簿は基本的には、義理と人情の世界であり、その選挙を戦っている候補者とマイ名簿登録者に何らつながりがない。あくまで一人の党員とその周りの生活者である。党組織としてそれらの者を把握できないし、つながりは政治的接点でなく赤旗の事例を借りれば、接点は「ヘラブナ釣り」である。

 この「ヘラブナ釣り」の会員30名を共産党の講演会に組織替えすることはよっぽど力量がないとできない。結局はその党員と何人かが個々のつながりで票を入れてくれるに過ぎない。(一般的に投票率は50%ぐらいだから、30名中15名は投票に行っていないと考えられる。別に投票したい人がいないので、あなたがそれほど言うなら入れてあげると答える人がいることは十分想定される)それはそれで貴重な一票かも知れないが、選挙戦を闘い、世の中を変える運動とは違うと思っている。

 やはり個人後援会を組織し、候補者その人が好きだ、その人のために頑張るという仲間を増やしていく活動が重要である。せっかく後援会を組織しながら、実際の選挙戦でその5割にも働きかけていない後援会とは一体何なのか疑問に思う。(「マイ名簿」に目を奪われ後援会をコロッと忘れている。)




テキスト ボックス: →

 選挙戦では、他党派が行っている後援会活動の方が効果的。個々の有権者が議員と直接につながっている。マイ名簿は個々の党員の財産であり(個々の党員が介在しており)、支持者を選挙戦の指導者が直接把握できない。また「マイ名簿」に登録された者同士のつながりが全くない。(運動論ではない)

今回の8中総で私が注目した点

 共産党は、昔は2本足の活動という主張を行い、大衆運動と赤旗拡大は車の両輪だと主張してきた。その中で議論になったのが「卵が先か鶏が先かの論争」である。私などは、まず大衆に依拠して闘い、その中で活動家を育て、拡大していこうという立場を一貫してとってきた。現に私は学生時代から勘定すれば15人ぐらい党員を拡大している。このやり方に自信があった。しかし党機関の幹部はこの主張は日和見主義だと常に攻撃し、党勢拡大は、大衆運動の発展とは無関係であり、独自に系統的に力を入れていくことが重要だと言って、結局は大衆運動を軽視し、「赤旗拡大に活動に重点を置け」と常に圧力をかけてくる。 

 支部党会議でも職場の情勢よりも、対象者は誰かに時間が割かれる。この手法が破綻し長期低落傾向にあるというのが私の現在の党に対する見方である。

 今回の8中総は、この間の表現と少し違うセンテンスがある。

  例えば、四、党活動の総合的前進と一体に「党勢拡大運動」の成功をという大見出しを掲げ、(1)安倍政権の暴走とたたかう国民運動を発展させることと一体にという中見出しで、「第一は、安倍政権の暴走とたたかう国民運動を、あらゆる分野で発展させる先頭にたって奮闘することと一体に、党勢拡大をすすめることである。という立場で「党勢拡大運動」を提起している文面が現れ、今までと違うと感じた。(少なくても一本足の活動でなく、二本足の活動路線である。)

  ただ、(2)国民に溶け込み結びつく力を強め「大運動」成功の生きた力にという「中見出し」も「二本足の立場か」と思ったが、この中身は「マイ名簿」論一色でありがっかりした。

 さらに、(3)日本共産党を丸ごと理解していただく「集い」を活動の軸にで、日本共産党を丸ごと理解していただくために新たな取り組みを行い、それと一体に党勢拡大をすすめることである。と書かれているが、これも拡大を目的とした運動であり、この間の一本足活動(赤旗拡大至上主義)の延長線上の議論である。赤旗拡大という私利私欲を離れて、国民の立場に立った「護民官」としての活動が評価されれば、自ずから赤旗の拡大や、選挙の票につながる。この立場にたたない限り、当拡大だけを目的とした活動は足元を見られ、本来の支持は広まらない。これがこの間の長期低落傾向の答えであった。

 今回の参議院選挙で躍進するというまたとないチャンスをいただきながら、相変わらず赤旗拡大に全面的に突入していく共産党の姿は国民から支持されないことをそろそろ気がつくべきである。

 この文書の前に書いた茨城県議会補選筑西選挙区の勝利は画期的なものであった。」で書いている途中で8中総が出たため、急遽追加して記載した分がある。これを「再録」という形でここに載せておく。8中総の問題点の特徴を指摘したものである。

共産党の8中総との関連で見てみる(再録)

  この文書をほぼ書き上げていた時に8中総が出て、この文書そのものが情勢ボケになってしまったが、8中総については改めて書くとして、この文書の最後に少しだけ言及する。

 この8中総で共産党は赤旗が増えれば、票が増えるという原則がインチキだということを自ら白状している。また「マイ名簿」方針が躍進の原動力だと言いながらこれも事実でないことを自ら白状している。非常に面白い文書になっている。

  まず、赤旗と選挙の票数の関係であるが、「(3)宣伝・組織活動の教訓について」で、「前回選挙時に比べ赤旗は日刊紙で89.5%、日曜版で86.7%、対話数は82.3%、支持拡大も94.9%にとどまり、掲げた目標の関係でも投票日前日までに行った支持拡大の総数は、78.5%にとどまったが、これらの組織活動の弱点も、自力の弱点を反映したものである。」と書いているが、これはもし敗北したときの言い訳の総括内容である。この指摘は何を表しているのか、これらの指標と選挙の獲得票数には何ら関係がないことを証明しているに過ぎないのである。

  さらに「(3)「大運動」の政治的意義A―“第三の躍進”を本格的な流れにするために」で、「今回の参議院選挙での比例区の515万票は、日曜版読者一人あたりでみると5.0票になる。これは、それ以前の数回の国政選挙での比例代表の得票数が、日曜版読者あたり一人あたりでみると、2票台〜3票台であったことと比較して高い(参議院で見て2001年が2.7票、04年が2.9票、07年が3.5票、10年が3.0票)。こうした得票と党勢との広大なギャップを前向きに埋めるとりくみをなくして、次の選挙でのひきつづく躍進の保障はありえない。」
 これもこの赤旗部数と選挙の獲得票数の関連から、まだまだ我々の周りに支持者はいる。この人たちに赤旗の読者になってもらおうというしてきは理解できないこともないが、赤旗部数と選挙の獲得目標に関連があるという今までの選挙方針が全く「嘘」だということが暴露されたと捉えるべきである。

  さらに今回の躍進の保証を支えたものとして「マイ名簿」を評価しているが、「(3)宣伝・組織活動の教訓について」「「マイ名簿」にもとづいて、党員の全国的な結びつき、つながりを視野に入れた活動にとりくんだ、「全国は一つ」で比例代表選挙に勝利する組織的保証となった。」と総括しているが、ところが一方では、「マイ名簿」を生かした活動は大きな教訓を作った。この活動に踏み出した支部と党員は一部にとどまっており、教訓を全党のものとし、発展させていくことが大切である。と総括している。

 「マイ名簿」で勝ったと総括しながらその運動が一部の支部と一部の党員しか実践されなかったということは、勝利の原因がここにないことは明らかである。

  勝利の原因を科学的に明らかにせず、次回選挙で「赤旗拡大」と「マイ名簿」で勝てると思って指導の柱をそこに据えるなら、必ず大きなしっぺ返しを喰らうであろう。

  もはや常識が全く通用しない党になってしまった。最初の話に戻るが、茨城市筑西地区の県会議員の勝利を、赤旗拡大とマイ名簿から説明(証明)していただきたい。それができないのならこの話は全て嘘だということが分かる。

  選挙戦の勝利は、情勢の中で語るべきだし、情勢を切り拓いたものだけが勝利できる。敵と味方に力関係・争点を見抜き、効果的な政治宣伝を繰り広げ、大衆を組織できたものが勝利する。

  ときの総理大臣が「たった一言の失言」をしただけでも、選挙情勢は大きく変わる。これらを見抜き、素早く対応できる党のみが勝利する。

  運動員の数や、赤旗の部数、票読み活動なども影響を与えるが、選挙戦術としてはそう大きな要素を占めていない。今回の参議院選挙の勝利がそのことを証明している。

最後に

 余計なお世話かもかも知れないが、さざなみ通信に、共産党の愛知県委員会の勤務員として10代から40代まで10年ほど過ごされ、その後機関を罷免され2012年82歳で亡くなられた方の、当中央に対する相当長文の意見書が掲載されています。

  これは奥様が故人の意志として世間に公開されたものです。これを読むとこの老活動家が、命をかけた訴えと見受けられ、その誠実な性格が良く分かります。しかし当中央はこのように誠実に活動され現場の持っている状況を科学的に分析され報告される意見より、「当中央の言うとおりだ」という意見を重視し、結局は党内の正確な状況や、党員の気分感情を把握せず、無内容な方針を出し続けています。このようなことがまかり通るのは、民主集中制という組織原則の持っている欠陥に基づくものです。この見直しに着手しない限り、第三期高揚期なるものは手に入れることはできないだろうと私は思っている。