共産党の選挙戦の争点ビラ「北朝鮮にきびしく抗議する」の頓珍漢さを抗議する


平成29(2017)年9月23日




共産党の選挙戦の争点ビラ「北朝鮮にきびしく抗議する」の頓珍漢さを抗議する

 赤旗の折り込みで選挙戦に臨む共産党のビラが手に入った。最大の訴える課題は北朝鮮問題を取り上げている。このビラは表面と裏面があるが、どちらが表面かは分からないが、
片方は1面北朝鮮一色で編集されている。もう片面は「『加計・森友』疑惑にフタする解散とは!」「9条改憲への批判、都議選の歴史的大敗」「追い込まれた安倍政権を倒すチャンス」と二つの課題を書いている。そういう意味ではどちらが表面で、どちらが裏面化は分からないが、共産党が今回の選挙で最も力を入れているのは「北朝鮮の脅威」だと読み取れる。

「北朝鮮の脅威論」に惑わされる共産党

 私はこのビラを見て、「高槻市の共産党はまたやってしまったな」と思ったが、このビラをよく見ると「しんぶん赤旗 ●2017年9月号外 発行●日本共産党中央委員会」と書いている。とうとう党中央も選挙戦の争点が何かわからなくなっている。
 今回の選挙戦の争点は、自民党側は「北朝鮮の脅威」を前面に出し戦おうとしている。一方野党側は「『森友・加計』疑惑隠し」だと追及しようとしている。この争点が与野党の最大の争点になっている。
 共産党は、自民党が北朝鮮の脅威を煽っているため、国民の中にも北朝鮮の脅威は浸透している。さらには共産党は北朝鮮の味方だと宣伝されれば、選挙戦で不利になるから、共産党も北朝鮮の脅威を語り、北朝朝鮮の脅威については共産党もきびしく戦っているという姿勢を前面に出し、北朝鮮脅威派を共産党の味方に変えようと考えていると思われるがこれほど馬鹿な政策はない。(参考1)

参考1:志位委員長が北朝鮮の「ロケット」発射中止を求める声明を発表(3/22)
                               平成24年4月2日

 今回と同じ戦い方をしたのが平成24年12月に戦われた衆議院議員選挙での戦い方であった。例えば、赤旗24年10月10付赤旗に「『「領土』でも『原発』でも党の立場が広まっている。」と書いている。(参考2、参考3)

参考2:「尖閣列島問題」を選挙戦の争点とする共産党のおろかさ 平成24年9月22日
参考3:共産党の尖閣列島問題の方針を切る!           平成24年10月10日

共産党のビラは「北朝鮮にきびしく抗議するを最大限の活字の大きさで書いている。
 共産党は北朝鮮の脅威を語るのではなく、アメリカや安倍首相が脅威を煽っていることを批判すべきである。
 共産党のビラの誤りは、「たび重なる 核実験・ミサイル発射」「北朝鮮にきびしく抗議する」と書いているが、この「きびしく抗議する」を相当大きな文字で書いている。ここがポイントですよと国民に訴えている。(是非ビラを見ていただきたい。
 このビラでは確かに「安倍政権は、米・朝直接対話実現に努力すべき」という正当な
主張も行っていますが、「きびしく抗議する」と字体の大きさが全く違い、さらには対話を求めるとは書いていますが、アメリカや日本が「圧力」を前面に出していることを抗議していません。ここが今の共産党の限界です。

脅威論を煽っても共産党は「圧力」なく「対話」を求めている・・・共産党の主張?

 そうではなく、共産党は、北朝鮮の脅威を煽るアメリカや安倍政権に抗議して、そのうえで対話の重要性を語るべきです。脅威を煽るのはアメリカや安倍政権に負けていないが、解決方法は「対話」重視しています。このような方針で選挙に勝てるはずがありません。
 安倍政権は「北朝鮮の脅威」を神風と信じてこの選挙戦を挑んでいるのです。そこで共産党も「脅威論ではアメリカや安倍首相に負けていない」という論陣の貼り方は、敵に有利に働いても味方に優位には働きません。
 この共産党の方針の馬鹿らしさは「尖閣列島問題」ですでに検証済みです。平成24年の衆議院選挙では、高槻市の共産党のビラは尖閣列島一色でしたが、見事に惨敗しました。敵の土俵の中で戦っても選挙戦は勝利しません。
 今回の選挙戦の争点は、森友・加計学園問題疑惑を前面に掲げ、政治(行政)がゆがめられている。民主主義の危機だ。安倍内閣を打倒することが、政治を国民の手に取り戻すことになる。という宣伝が重要です。

共産党は本当に民主集中制が機能しているのか?

 悪評高い民主集中制ですが、私はこの間赤旗を読んでいて本当に民主集中制は機能しているのか疑問に思うことが沢山あります。しんぶん赤旗は本当に党中央の指導の範囲で行動しているのか極めて疑問です。

★森友学園疑惑
 「森友・加計学園疑惑」では、ほとんどの記事がポイントを外しています。森友問題では、籠池氏の詐欺の追及にポイントを置いた記事が連日掲載され、問題の本質である土地のタダ同然の払い下げの追及を怠っています。近畿財務局の8億円値下げに対する関りがすでに録音テープで世間に公開され、8億円値下げの主犯は近畿財務局側が仕組んだ事件だということが明確になりつつあります。インターネットでは、今回の解散劇は、大阪地検特捜部がこれを立証する恐れがあり、それを握りつぶすための解散だという情報すら出回っています。
 この時点で赤旗は、辰巳孝太郎議員がごみが無いことを立証した(3月ごろ)の事件を鬼の首でも取ったような記事を最近書いています。(すでにこれは誰でも知っている古い情報です。)
 値下げはゴミ問題ではなく、ゴミがあったことにしようと近畿財務局と籠池側(藤原工業や中道組等)が相談して決めたのです。なぜ近畿財務局がそのような対応をしたのか、それは安倍夫妻の意思(谷査恵子・・在イタリア日本大使館1等書記官の活躍)だと思ったからです。
 ここまではすでに公になっていますが、近畿財務局の関わった役人が自分の利益を得るためにやったかの立証が難しく、背任事件としての立件が難しいとの段階まで来ていることは公然の秘密です。(今頃ゴミがあったかなかったに時間を戻すのは馬鹿げています。)

★加計学園疑惑 
 加計学園疑惑の問題も、設計図が出た段階で、議論は加計学園の交付金詐欺が明確になった(森友同様)と言われています。さらには「世界に冠たる獣医学部を作る」と言っているのに、学舎は倉庫に毛が生えた程度の建物であり、これらの授業が行える物理的保証がないことが暴露されたことです。
 今の問題点は、今治市と愛媛県及び加計学園の職員が官邸に入ってこの問題で打ち合わせをした事実が明らかなのに、誰が会ったかが一切明らかにされていません。さらにもう一件、 加計学園の獣医学部新設をめぐり、政府のワーキンググループのヒアリングに加計学園 関係者が同席しながら「議事要旨」には記載されていなかったことを受けて載されず、当日の議事内容が改ざんされていることが加計学園問題の争点です。
 赤旗は、設計図が出た際、「なぜワインセラーがある」という見出しで記事を書き、「公金詐欺の疑い」や「石破4条件をクリアしていない教育内容」という問題の中心点の批判を行っていません。

赤旗は、北朝鮮の脅威は書くが、森友・加計学園疑惑は、本質を突かない記事ばかり。

 これら突っ込みどころ満載の森友・加計学園疑惑の追及の手を緩め、「北朝鮮脅威」を前面にだす赤旗やビラは本当に中央の管理下にあるのか疑問に感じています。
 国会議員はもう少し政治をきちっちと把握しているのに、記者たちの水準が低くこのような記事になっているのではと疑いを持っています。

 例えば9月24日付大阪民主新報に「宮本岳志の国会レポート」では、「安倍政権退場へ歴史的チャンス」という記事を載せています。その中で「『森友』『加計』の疑惑にフタをしたままの冒頭解散は許しがたい党利党略だ。」「森友問題に近畿財務局と森友学園の「口裏合わせ」を示す新たな音源が暴露され、・・・」と書いています。赤旗はなぜこれを大々的に取り上げないのですか?
 また本日付(9/23)赤旗では、「五つの大問題 野党と市民の共闘がカギ」と書いて、
1.こんな安倍政治 退場!! 相次ぐ国政私物化・憲法破壊」と書いています。
2.「北朝鮮問題 外交解決で 憲法違反の戦争法は廃止に」と書いています。
「3.」以下は省略(3.は消費税、4.は9条改憲、5.核兵器廃絶)

 なぜこのような趣旨でビラが作られないのでしょうか?極めて疑問に感じます。党の正式決定は中央委員会がかかわるが、赤旗の編集権やビラの作成などは現場任せなのか、それとも正式な決定と、ビラなど大衆が読む物は大衆の意識に迎合しているのか分かりません。

 しかし、今回配られた選挙戦に向けての第1号のビラは、党の決定から外れたビラになっていると見ています。北朝鮮の脅威を最大限に書いたこのビラでは戦えません。

資料1:しんぶん赤旗 ●2017年9月号外 発行●日本共産党中央委員会のビラ