自分の立ち位置が分からなくなった共産党

        共産党は一体誰の味方なのか?


                                                                                                            平成24(2012)年11月18日

 今日(11月18日)赤旗に大阪10区の候補者(A氏)のビラが入っていた。中身を見てびっくりした。1週間前に駅頭でもらったビラとほぼ同じであった。(内容は微妙に違うがこの分析は後でやりたい)

<共産党に求められているのは命を守る政治>

 前から言っているが、この大阪10区の予定候補者のビラはいつも問題がある。それは独自に作ることができず、常に他のビラの焼き直しで配布している。選挙戦で自分の主張もできない者を立てるとは共産党も落ちぶれたものである。

 さらにこの候補者のビラの特徴は、原発問題に触れず、尖閣列島を前面に押し出しているところにも特徴がある。よほど志位委員長の中国大使に対する申し入れが気に入ったらしい。

 彼(及び高槻市の共産党)は完全に勘違いしている。国民が共産党に求めているのは、命を守る政治であり国民生活の向上である。外交問題での活躍ではない。少数政党である共産党が、外交問題を解決する力がないことはすべての国民の共通認識である。

<共産党の優位性は何処にあるのか>

 共産党は他の政党とどこが違うのか、国会議員は少数であっても、地方議員は何千人とおり、全国に党支部があり多くの党員を抱え、国民の生活と向き合い、最も国民の要求を実現する立場で頑張っているところにある。共産党はこれらの大衆を組織して戦いを構築し、歴史を動かしてきた実績がある。ここに共産党が他の政党にない、優れた特徴がある。

 しかし最近の党中央幹部は、こうした共産党の良さを忘れ、国民大衆との結びつきを弱め、赤旗という新聞を介して国民とつながろうとしている。しかし、ここには金銭問題がかかわり、折角共産党を信頼しようと思っていたが、結局は赤旗拡大の対象者でしかなかったのかと、引いていく場面も見られる。

 赤旗拡大は、党員拡大は党員の不眠不休の戦いに支えられている。しかし拡大できない(目標に到達しない。むしろじり貧である)この段階で指導者は、鞭を入れるだけでなく、なぜ拡大出来ないのかを見直す必要がある。(参考資料1文末に)

 その最大の原因は、大衆運動から党員を引き上げ、党の活動を党勢拡大一本にしてしまったことが最大の間違いである。原発反対11.11全国いっせい行動を呼びかけながら、何ら取り組まなかった(取り組めなかった)のが、今の共産党の実態である。参考資料2:11.11全国いっせい行動の呼びかけはなんだったのか?) 

 話を選挙に戻そう。今回の選挙の最大の争点は「原発問題」である。これは世論がそうかどうかではなく、積極的に争点をそこへ持っていく必要がある。(注1)

 なぜなら共産党も主張しているように国民の7割〜8割が原発反対なのだから、そこへ争点を持ち込み、原発反対運動の先頭に立てばおのずから信頼が集まり,共産党は躍進する。(注2)

 しかし現在の共産党の選挙方針は、残念ながら、消費税が第一の争点であり、二番目に原発が出てくる。(17日テレビでは、穀田議員は3つの争点を述べたが原発はなかった)高槻市の共産党のビラにも原発はない。

 共産党は11・11原発反対全国いっせい行動で大きなうねりを作りだし、原発反対の世論の中心に立つべきであった。しかし、共産党は掛け声だけでこの運動を全く取り組まなかった。(少なくとも大阪では)極端なことを言えば、今回の選挙で共産党の敗北はこれで決まったと私は思っている。(選挙後の総括は、党中央はこの事態を予想し、赤旗拡大を1年以上前から訴えたが、全党に十分浸透せず、結果として負けたという総括がなされる予定であるが・・・。)

注1:この土曜日・日曜日橋下市長はテレビに出まくっていた。その際、彼は今までの政治家は自治体の首長経験
      がないから国民本位の政治ができない。石原氏も私も自治体の首長出身だから政治が判ると無理やり新た
      な争点を設定していた。これが政治であり戦(イクサ)である。

注2:今回の選挙で原発を第一の争点に据えている政党は多い。社民党、民主党、国民生活、みどりの風など、自
      民党以外のほぼ全ての政党が原発を争点に挙げている。

<共産党は自分の立ち位置が分かっていない。>

 国民が求めているのは、共産党は「権力と真っ向から戦う政党」だと認識されている。戦うことが期待されているのだ。ところが共産党は、中国大使と会ったとか、財界の人と懇談会を行い評価されたというような記事をせっせと書いている。どこのだれが、共産党の外交を期待しているのか、共産党はその判断をどこで行っているのか明らかにすべきだ。

 とりわけて、共産党は尖閣列島問題で、「理を持って話せば解決する」という主張を行っているが、日本人の多くが、中国の大国主義的侵略性を見抜き、今後の日本の将来について中国の脅威を感じている。共産党は、中国が話せばわかる相手だという判断を、何を根拠に語っているのかを示すべきだ。現状では

 何の根拠もなく、ノー天気に、中国に対して領土問題で紛争のあることを認め、歴史的事実を話せば、解決すると主張しているように見える。共産党の政治音痴・外交音痴な姿勢は、国民に絶対に受けいれられない。

 高槻市の共産党のビラには、その根拠に「話し合いではアメリカとも一致、日本政府に提言」あるいは、米倉弘昌経団連会長が「領土問題は存在しない」という対応について「非常に理解しがたい」とアメリカや財界トップの発言を引用して、尖閣列島問題の共産党の主張の正当性を訴えている。

 これほど馬鹿げた主張はない、共産党はかっては、アメリカ帝国主義と日本独占主義を二つの敵と綱領に定めていた。最近ではそれを廃止し、二つの害悪というような表現をしているが、その二つはアメリカと財界であったはずである。なぜ最も日本国民の敵であるべきアメリカや財界が言っているから日本共産党の尖閣列島問題の主張は正しいという結論になるのか、全く理解できない。

 アメリカは、すでに極東アジアでの外交の中心を日本ではなく中国においており、中国を刺激することを避けているだけである。財界は経済優先(自分たちの利益優先)で問題を捉えているにすぎない。今回の反日暴動の最中ユニクロは、「尖閣列島(釣魚島)は中国の物です」というメッセージを店頭に掲げ被害を避けたのと同じ発想である。(注3)

注3:文化大革命の最中、財界は経済的利益を優先し、毛沢東礼賛に走ったことは、共産党は百も承知のはずで
      ある。財界はあくまで国益よりも自分の利益を優先する生き物である。

<2枚のビラの共通点と相違点>

 話が前後して申し訳ないが、この文書の主題である2枚のビラの内容に触れておきたい。

 1枚目のビラ(1週間ほど前に駅頭でもらった)このビラの発行者は、発行日2012年11月7日NO.5 日本共産党高槻・島本委員会となっている。

  内容は、表面が消費税ストップで、裏面が「尖閣・竹島・全千島 みんな日本の領土」となっている。原発の「げ」の字もない。

  まず表面であるが、消費税の中に維新の消費税に対応する記事があるが、その内容は「消費税は11%橋本維新の会」「消費税の地方税化」と「地方交付税の廃止を主張。」「10月30日には「税率を11%引き上げ」と表明」と書き、そのあとに小学校の警備員配置の大阪府補助廃止など全く違うことを書いている。これでは維新の消費税に対する政策を批判したことになっていない。

  次に裏面だが、「「領土問題ない」では解決しません」と中見出しをあげ、先に述べた、アメリカや、財界の意見(後押し)を載せている。領土問題を重視したビラに仕上がっている。

   2枚目のビラ(今日の赤旗に折り込み)このビラの発行者は、発行日2012年11月号外「高槻島本民報」日本共産党高槻・島本地区委員会となっている。そして「日本共産党高槻・島本地区委員会の訴えをご紹介します」とこのビラの目的が書かれている。 

 内容は、先の1枚目のビラと瓜二つである。表面は消費税ストップ、裏面は「中国政府に、尖閣列島は日本の領土と申し入れ」と見出しを掲げている。

 まず表面は、1枚目のビラと同じく、「消費税11%」「橋本維新の会では困ります」「大阪府会議員 M」と今度は、府会議員主張に変わり、消費税の地方税化に触れていない。さらにこのビラで初めて分かったことがある。この候補者「A氏」が立命館大学卒であることだ。府会議員選挙では「M氏」が京大卒だと最初から主張していたが、「A氏」の場合は初めて立命だと分かった。(共産党の東大・京大エリート主義の表れである。)

 裏面は、同じ尖閣列島の記事だが、一枚目のビラはルーク公使にオバマ大統領への書簡の写しを渡す志位委員長(10月29日)米国大使館という写真であったが、2枚目のビラは、程栄華中国大使と会談する志位委員長(9月21日)の写真となっている。見出しは「日本共産党」「中国政府に、尖閣列島は日本の領土と申し入れ」「「領土問題はない」では解決しない」「尖閣・竹島・全千島」みんな日本の領土」というものになっている。一枚目のビラにある共産党の主張の正しさを、アメリカや財界の発言で裏付けるという手法は、2枚目では引っ込めている。(少しは、恥ずかしいとおもったのかも?)

<この2枚のビラに原発問題がなく、尖閣列島問題を重視>

  この2枚のビラはそっくりだが、内容は微妙に違う。しかし、はっきりしていることは、選挙戦の争点は、原発問題でなく、消費税反対と尖閣列島と捉えている。この主張(確信)は変わっていない。尖閣列島問題は石原氏が仕掛けた罠だ。これに気付かない共産党のお人よし差にはあきれ返る。(参照資料3:共産党の尖閣列島問題の方針を切る)

  現在の共産党のダメさを高槻共産党のビラを見ていれば増幅して現れるので分かりやすい。現在の政治状況で原発問題を取り上げない者は必ず敗北する。さらに尖閣列島問題で中国の理性に期待するような議論は、国民には理解されない。とりわけてその議論の正しさをアメリカや財界に求める共産党の姿勢は、

 国民の信頼を失い、共産党の立ち位置を揺るがすものである。

 党の立ち位置をはっきりと描けない党に国民の支持は絶対に集まらない。これは政治を戦うものの常識である。

参考資料1:2012年4月10日 私は日本共産党を離党しました。という文書を出された 吉野川市議会議員
              高木 純氏の声明

 私の問題意識は、この高木 純と共通部分が多い。以下少し抜粋する。

★機関誌拡大について述べます。
  私自身も党の町会議員として、また徳島県委員として機関紙拡大に取り組みました。結果、130%拡大には成功しました。「その成果を教訓として」などと機関の会議で発言を求められますが、実際は、生活相談を受けたことへの見返りとか、党員の顔のつながりで、選挙期間中だけ頼み込んで購読して貰ったものであります。もちろん、そのこと自体否定するものではありませんが、残念ながら、赤旗の魅力を語って、あるいは党の姿を語って新聞購読に結びつけたとは言いがたいものであります。つまり、平たく言えば、義理と人情で「とって貰った」のです。

★党員拡大について
  大会後、私の支部では四人の「集団入党」も含め、六人の入党者を迎えました。この点についても、機関の会議で発言を求められました。私は、これらの入党者が、全て生活相談に乗った人たちであることを述べました。中には、「生き死に関わる」相談を受けた方もいました。機関紙拡大のところでも述べたように、この党員拡大を否定する物ではありません。

 昨今入党者があっても活動家が増えていません。全国的に同じ傾向だと思いますが、党活動家の高齢化が目立ち、若年層の活動家が見あたりません。高齢者の入党は生活相談などと相まって多いのではないのでしょうか。

★結論
 機関紙にしても、義理人情では増えるが、新聞の魅力や、党に惹かれた増え方はないと考えますし、党員拡大にしても、社会で活躍している方が、党に加わることなど考えもしない。私はそう思ってならないのです。 私は、党勢拡大は党員が頑張らないからできないのではなく、党そのものが垣根を作っているからだと思っています。
 私は党勢の拡大の遅れは、党員の奮闘が足りないのではなく、奮闘する以前に「障害」があると考えています。

 以上、星印の見出しは私が挿入。勝手に引用していますので、できれば原文に当たってください(日本共産党離党:http://juntuusinn.sakura.ne.jp/imadokizennbunn.html)

 参考資料3:1枚目のビラ

 参考資料4:2枚目のビラ