森友学園第2弾:証人喚問における籠池氏の強かさと、官邸のお粗末さ


平成29(2017)年3月25日

 証人喚問は籠池氏の方が一枚上手で、自民党の姑息な意図は打ち破られた!

  今回の籠池氏の証人喚問(23日)いろいろ新たな問題が発覚し、政権与党はますます追い込まれることになった。この原因は、参院予算委員会が行った現地調査で、籠池氏が安倍晋三首相側から100万円の寄付を受けたとの趣旨の説明をしたため、自民党の竹下亘国対委員長「総理に対する侮辱だ。(籠池氏に直接)たださなきゃいけない」と異常反応し、これまで野党からの参考人招致を求められていたが拒否していた自民党が、一転して学校法人「森友学園」の籠池(かごいけ)泰典理事長の証人喚問を決定した。

   この証人喚問は、きわめて動機不純であり、民間人の証人喚問を拒否してきた経過からしても、極めておかしな決定であった。

   しかしこの証人喚問は、政府自民党や官邸の思惑に反し、籠池氏が処罰されるどころか、籠池氏の見事な反撃で、政府与党に対する国民の疑惑はますます深まった。

  この点については、テレビや新聞で相当正確に報道されているので、ほとんどの人が、森友学園問題で、安倍晋三夫婦がかかわっているという認識を持たれたと思う。

  そこで、私が注目した一点だけについてここで書いてみたい。

内閣総理大臣夫人付の職員のFAX回答こそが、喚問の最大の成果である。

   籠池氏は、午前中参議院の証人喚問冒頭発言で、FAXの問題について言及した。その内容は「昭恵夫人に助けて頂こうと携帯に電話し、留守電にメッセージを残した。内閣総理大臣夫人付の谷査恵子さんから『なかなか難しい』との返事を頂いた。」と安倍首相夫人のかかわりを証言した。

  その発言に対して、詳しく内容を求められた際(誰の質問かは忘れたが)に、籠池氏はそのFAXを現在所持していると答え、現物を探したが、持参した書類の中には見つからず、「近くにはあるのですが」今手元にはありませんと答えた。

  民進党の福山氏は、質問に際し、籠池氏が主張した谷査恵子という人が実在の人物であることを、今すでに確認したことをふまえ、質問すると発言し、籠池氏の主張は真実性が高いことを補完する発言をした。

籠池氏が書類(FAX)は探したが見つからないは、計算された芝居か?

  私の注目点は、籠池氏がFAXを探したが見つからず、今ここにはないが、午後の衆議院議員の喚問には出せるという状況を演出した。これは巧妙に仕掛けられた芝居か、偶然かということである。

  官邸は「焦った」、午後の衆議院での証人喚問の際に、籠池氏からこの資料が出されると、相当激震が走る。その激震を緩和するため、自ら議員や記者団等にそのFAX原本のコピ―を配布して、この問題の影響を小さくしようとした。

  しかし、証人喚問を決定したのも、今回の焦ってFAXを配ったことも全くの藪蛇である。問題をさらに拡大してしまった。

  まず、焦って出した証拠は、FAXの原本を慌ててそのまままコピーし、個人情報まで出してしまったことである。

 消し忘れたのは籠池氏のFAX番号、及び谷小査恵子氏の携帯電話番号とメールアドレスである。

   次に最も問題なのは、この間の森友関連の書類は全て廃棄したはずであるのに、この書類が菅義韋官房長官から公表されたことである。この一件をもってしても、政府側は嘘をついていることは、まるわかりである。FAXの内容は、昭恵氏による関与への疑問を膨らませるものである。

  本日付(3月25日)毎日新聞も、一面トップで「夫人付職員個人で作成」という大見出しを掲げているが、これは政府の言い分をそのまな主張したように見せながら、こんな「不当な判断」が世間で通用しますか?と読者に問いかけたものと私は見る。

  この官邸の「焦り」を引き出したのは、「籠池氏の資料(FAX)は手元無い、昼からなら出せるという芝居である」籠池氏側の綿密な計算があったのでないかと私は見ている。

 情報操作の同じような事例が、自民党の西田昌司参院議員が24日、昭恵氏と籠池夫人の携帯メールの内容を明らかにしているが、この際にも、昭恵夫人の携帯が一時水没したとの言い訳を加えて発表している。籠池側からメール一覧が発表された際に、政府側発表のメール一覧に操作が加えられていたことが発覚することを恐れた予防線である。

 この携帯メールのやり取りも籠池側はうまく対応している。昭恵氏は、「私は寄付をした覚えもないし、講演料をもらった記憶もない」と主張し、その主張に賛同を求めているが、それには答えていない。籠池側はこのメールを安倍首相側からの「脅かし・押しつけ」とみている。だから「言質」をとられないように対応している。

  なぜ昭恵氏は、もらっていないと主張しないのか、「記憶がない」と主張し同意を求めるのか、嘘を押し付けるのは心苦しい、記憶がないという曖昧さで逃げ切る手伝いを求めているように見える。

 全ての経過書類は処分した。「明かなウソ」を許してはならない。

   今後の谷氏の証言に注目度が集まる。

  すべては政府側が情報操作をしている。今後とも追及されて不利だと思ったら自らに有利な情報を小出しにしてくる可能性がある。さらには政府にとっては今一番危険な存在は、谷査恵子氏の存在である。彼女が証人喚問に出廷し、「昭恵夫人からの命令で、財務省の国有財産審理室長(田村嘉啓)に照会した」と答えられればすべては終わりである。

  ちなみにこの田村嘉啓氏は、籠池氏がくい打ちを行うため、9メートルまで掘ったところその先にゴミがあったと東京まで上京し苦情を申し入れ、賃料の減額を申し入れした際に面談した相手でもある。(田村氏は、「総理マター」という意識はあったハズである。)

  谷査恵子氏の今後の処遇が注目点でもある。籠池氏と同じようにトカゲの尻尾切になるのか注目している。もし、彼女が個人で財務省に問い合わせして、昭恵夫人の名前を利用していたのなら、明らかに職務権限の逸脱であり、処分対象になる。谷氏に対する今後の対応がこの問題の本質を暴き出す。政府の今後の対応が注目される。