共産党の参院選に向けた政治課題は何なのか、相変わらず揺れ動いている。



令和4(2022)年5月4日

共産党は「気候変動危機」と「ジェンダー平等」の課題を持て余してしいる。中心的課題か、理念問題か



 共産党という政党がこんなに馬鹿だったのかと思い知らされている。選挙戦を戦うに当たっては与党と対決した政治的課題をしっかり確立して戦うべきである。今共産党員に選挙の戦いの軸は何かを聞けば答えられないと思われる、
 共産党は去年の衆院選挙戦で「気候変動危機打開」「ジェンダー平等」を最優先課題として、与党と対決(?)して戦った。これを一番実証できるのは、赤旗10月24日版の紙面である。どのページをめくっても、気候変動が出てくる。びっくりさせた新聞記事構成であった。
 私事で申し訳ないが、8月5日に腹部大動脈瘤が見つかり、9月20日に入院して10月7日に退院した。その後は家でリハビリしながら過ごしたが、衆議院選挙の動きは全くカバーできなかった。退院はしたが、何か気力が湧かず、何もせずに過ごしていた。10月24日の赤旗を見てビックリした。赤旗の紙面の記事が「気候危機打開」で全ページ占拠されている。これはいったい何事かとやっと気力がよみがえり、11月5日から共産党の選挙戦術の誤りを毎日のように書くようになった、おそらく25本程度書いたと思う。
 その第一弾が、11月5日の「共産党は何故選挙で敗北したのか?」です。その主張のカギは選挙戦の論争のカギを「気候変動危機打開」と「ジェンダー平等」に持ってきたことによる敗北だと指摘した。ところが今日までに一般のマスコミでこの批判が全く無い。みんな呆けているのか、共産党が間違いに気づかないように皆で黙っていて、共産党を陥れようとしているのではないかと疑いたくなるほど誰も取り上げない。(摩訶不思議な世界である。)

選挙戦の争点は「気候変動危機打開」や「ジェンダー平等」ではない。米山隆一(前新潟県知事)


 前にも述べたが、私と同じ主張をした者が一人いることが分かった。それは前新潟県知事であった米山隆一氏で(現衆議院議員)ある。彼はツイッターで「『ジェンダー平等』や『気候変動』を出し続けていいと思います。ただし、出す順番としては@経済A福祉Bジェンダー・気候変動だと思います。Bを一番にだすと『余裕のある人の趣味』に見られてしまうので、また、@Aについても『人に優しい経済』。『人に優しい福祉に改革する』という打ち出しだと思います」と発言された。
 ところが、この米山氏の発言がリベラルな人々から激しい怒りを買い、大炎上したという報告が現代ビジネスに掲載された。その際の現在ビジネスは米山発言をどうとらえたか、「乖離してゆくSNSと有権者」という見出しでこう書いた「米山氏の考察のとおり『ジェンダー平等』の優先度は低かった、低いどころか、ほとんど関心が埒外にあったと言っても過言でない。」この後の文書がすごい、私と同じ考え方である。彼はこう言い切った。「この衆院選は、「『ジェンダー平等や環境問題が一大論点になる史上初の選挙だ』と投開票の日まで本気で信じていたのなら、すでに相当に偏った認知フレームのなかで生きていることを疑った方がよい。実社会においては、そんな『一大論点』など存在していなかったからだ。」 この指摘痛快である。まさに彼の言うとおりである。

気候変動危機打開やジェンダー平等が最も重要な課題という認識は、党中央の一致した意見か、それとも志位委員長の暴走か、非常に興味がある。


 なぜこの事にこだわり続けるのか、それは、共産党は先の衆議院選挙の争点を誤ったとの総括を行わず、じわじわと気候変動・ジェンダーフリーから手を抜こうとしている。それを証明するのが今日(5/3付)の赤旗である。全頁を見たが、「気候変動」や「ジェンダーフリー」はどこにも書かれていない。明らかにコソット変更を企てている。
 この問題を私がしつこく追及するのかは、党内民主主義の弱点を明らかにした事象だと思っている。志位委員長は、気候変動・ジェンダー平等を前面に掲げて戦おうとしているが周りは必ずしもこれを正しいと見ていないのではないか。この問題を党内でどれぐらい論議をしたのか、そこには反対意見が出なかったのか、非常に気になる。(注1)

注1:現在手元に共産党のビラを3枚持っている。一枚は大門みきし氏のビラ、あと2枚はたつみコータロー氏のビラ
   である。まず大門氏のビラは「憲法9条を守り政権交代の足がかりを」です。中味は「新自由主義転換」
   「やさしく強い経済に」さらに抜群の提案力政治動かす。その内容は@コロナ:持続化給付金 実現 A税
   制:財源示し不公平ただす B消費者:悪徳商法 徹底追及 Cカジノ:反対運動 励ますであり、「気候変動」や
   「ジェンダー平等」に全く触れていません。
    2枚目はたつみコウタロー氏のビラで、表側は、ロシアのウクライナ 侵略中止・撤退を!です。裏面は
   「やさしく強い経済」@政治の責任による賃金引上げ、A社会保障と教育予算の充実、B富裕層・大企業への
   応分の負担と消費税5%減税、C気候危機打開、Dジェンダー平等、次の項で、賃上げと社会保障の充実
   で本当の経済成長を、さらに次の項で今やるべきはカジノではまくコロナ対策というビラです。
     3枚目もたつみコウタロウーのビラは、表面は、大きな字体で「物価高騰」からくらしを守る日本共産党の提
   案、下半分でロシアの侵略許さない。国際世論で包囲し、侵略を即時中止させよう。9条いかした外交で
   平和を築く、また裏面で大阪カジノ(とばく場)誘致は中止!!とすべてカジノで埋めています。
     このビラの評価は、3枚とも優れたものに仕上がっています。大門氏のビラには「気候変動」や「ジェンダ
   ー平等」は一切出てきません。辰巳氏のビラは、2枚目のビラに「気候危機打開」「ジェンダー平等」が出て
   きますが、3枚目のビラには全く出てきません。辰巳氏のビラに気候危機等が取り上げられていますが、これ
    は「やさしく強い経済」への中の5つの課題の4案目、5番目に掲げています
      しかし共産党は先の衆議院選挙で4つのチェンジで希望ある日本を」という位置づけで@新自由主義の転
    換、A気候変動打開の政治、Bジェンダー平等の日本、C9条に基づく平和外交です。と基本政策の
    核として「気候危機打開」と「ジェンダー平等」を掲げました。その後1月9日の赤旗の挿入画では1.気候危
    機打開、2.社会保障の充実を。3.ジェンダー平等を、4.人間らしい働き方をと変質させています。
          これは「気候危機打開」を1番に持っていき、「平和の課題を外した」ことに最大の誤りがあります。
     要するに共産党の参議院選挙の争点は未だに定まっていません。赤旗から読み取れるのは、最近はロシ
      アのウクライナ侵略中止・撤退を!をメインスローガンにするのではと思っています。(我が市の共産党
        の事務所のポスターは依然として「気候危機打開」と「ジェンダー平等」が中心に置かれていますが・・・)
        そうした点から見れば、参議院選挙の候補者は、「気候危機打開」や「ジェンダー平等を」中心に考えていな
         いのは明らかです。「気候危機打開」はなぜか志位さん一人で頑張っているように見えます。

気候変動危機打開・ジェンダー平等で戦うという危うさは、民主集中制という組織運営の弱点をさらし出している。

 
 共産党がいくら頑張っても躍進しない。それに反して維新は選挙ごとに躍進している。この不可思議さになぜ気付かないのか。不思議でたまらない。大阪から共産党は見放されつつあり、維新は府民の30%支持を得ようとしている。その典型が4月24日に行われた河内長野市の市議会選挙結果である。
 共産党は5名(現有議席)を狙ったが2名が落選し当選者は3名になってしまった。これは単なる選挙戦術の誤りではなく、維新に支持者を奪われていっていることが明らかに見えた結果である。維新の得票率は27.51%であり共産党は16.81%である。確かに共産党も善戦している。しかし4年前の票数と比べた場合、維新は17.08%から27.51%、共産党は前回20.89%から今回16.81%に減らしている。維新は票数を10.43%伸ばしている。共産党は4.08%減らしている。これが大阪の実態である。なぜこうなっていくのか研究を一切してない。負けたという総括を一切行わず、常に屁理屈で勝った総括するから共産党の躍進は絶対に起こらない。戦い方によっては、4年間で10%の躍進が確保できる。これを維新は示してくれている。ここから学という考え方を共産党は全く思いつかない。選挙戦の勝敗は赤旗の部数で決まるというバカげた公式を守って戦っている限り共産党の躍進は実現しない。

維新は選挙毎に躍進し、共産党は逆に後退する、その原因は何か?


 現状で思いつくことを幾つか書くとなぜ維新に負けるのか、それは国民の要求との間合いの問題である。共産党は赤旗の購読を市民に迫っている。これは市民側から見れば、毎月3500円というお金がそこに吸い取られていくことに耐えがたい抵抗感があるのである。情報はスマホで十分知ることが出来る。赤旗を必要とはしていないのである。
 維新は身を切る改革という旗印を掲げ、自分たちのもらう歳費減らして「あなた方に少しでもお金が回るようにする」この打ち出し方が大阪では一番効果がある。このことが第一の課題である。
 第二番目の課題は魅力のある候補者がいない。政治家を系統的に育てていない。選挙の票は政党を支持して投票する者と、人間を見て投票するものとがいる。共産党はこの人間を見て投票する者の票をほとんど獲得できていないのです。投票者の50%は人物評価をして投票していると思われる。市会議員なら市会議員という人格が必要である。そういうオーラみたいなものが全く感じられない。共産党の票は他の候補者に比べ個人的信頼の票がほとんどない。国政選挙の経歴に「党の職員」と書いて戦っている。誰がそんな人に票を入れるのか、全く言い方は悪いが、国民を馬鹿にしているのかと言いたくなる。
 第三番目の課題は党の活動を赤旗拡大に凝縮してしまったことである。党活動の柱を赤旗拡大に最大の力を入れた事が、強大な党建設を逆に衰退させている。共産党衰退の癌は赤旗拡大にあると思っている。党員の中には様々な人材がおり、その人の力量を高めていく必要がある。共産党に長く在籍すれば、社会人としての人格が育っていく。自分が成長していくことが分かる。それらのシステムが準備されていない。共産党に長くいればいるほど、疲労困憊で人間性が欠如していくこんな組織形態から脱却するべきである。何が言いたいのか、赤旗拡大にすべての力量を発揮することが求められ、それぞれの持っている可能性をつぶしている。
 私は自治体の職員であったから、多くの共産党員の中で生活してきた。私は共産党の幹部の振る舞いにどうしても受けいれることが出来ず、脱退したが、その際私が思ったことは、これだけの仲間の中で育ったのに、やめてしまうと私一人が孤立し、人間としての人格が欠如した者になるのを恐れたが、これは私の偏見かもしれないが、他の党員はどんどん力を失い、社会的に上手く生きられず力を落とすのを見て、今の共産党の人材養成にはものすごい弱点があると見ている。(注2)
 人物評価は赤旗の部数拡大に限られそれぞれの能力を見失っている。育てていない。極端に言えば人をつぶしていく組織だと思う、私が遭遇した事例を一つ出すと、共産党の控室に行って、自分の課の課題を説明して時に共産党の他の議員が入ってきて、机の上にあったイチゴを爪楊枝で刺して帰っていった。子供みたいな行いである、人間性と人格を育てることに失敗している。
 またある時、議会での質問があると通告してきたので、共産党の控室に行くと何を質問するのかその議員は分からず、党からの指示がまだないので答えられないと電話を抱えて待っている姿の惨めさを見た。その時その部屋には7〜8人がその質問を聞くために課長級の人が待っていた。私の課の次長は気が短い人であったので、もうええはと席を立った。あくる日議会であった際、質問は何もありません、と声を掛けて来た。
 共産党には申し訳ないが、市役所内での共産党の議員の振る舞いは、明らかに他党に比べれば落ちる。公明党の議員の方が政治家としての風格がある。
 このような行動が、共産党という党のあり方を疑わせる結果につながっている。沢山の課長級を待たせておきながら、自分が明日何を質問するのかもわかっていない。この現状は、市会議員の能力に疑いを持つと同時に、民主集中制の組織原則の粗が見える。上からの支持が無ければ何もできない。魅力のない政党だとわかる。
 話を突拍子もない所に飛ばせば、ロシアのプーチンの姿が見てくる。すべてはプーチン一人が決め、軍隊のトップは自分では何も判断でできず、上からの指示だけで動いている。こうした組織形態(民主集中制)の弱点が浮かび上がる。

注2:私は共産党から離党したが、その理由を今まで誰にも話したことが無かったが、今回腹部大動脈瘤という病
   気と遭遇し、余命がいくらあるか分からないが、もう共産党を離党して45年以上たち、時効だと思われるので
   説明する。
     私は組合の青年部の役員であった。そこで多数決で決められた課題を私が実行しようとした際、共産党か
   らストップがかかった。「その集会には参加したらダメだ!拒否しろ」と、私は「これは組合で決められたもので
   あり参加する」と答えたが、仕事中に府会議員から電話が掛かってきて、「その集会には絶対参加する
   な」強圧的な指示があった。私はしぶしぶその指導に従ったが、それ以降の私の組合内での活動に大き
   な支障をきたした。命令をした府会議員は自分が命令をしておきながら、私がその後どうなったかとの配慮等
   は全くなかった。
    私は共産党員でも、組合で民主的に決まったことは、党の方針が反対でも組合の決定が優先すると
   今でも思っている。共産党は過去にも1964年の4.17ゼネストの際に、「これはアメリカ帝国主義の挑発だ」と
    言って労働組合の運動に介入してつぶした歴史があるが、私は党の決定より、自己の存在する組合の決
   定に従うべきだと判断した。
    この私の組合に対する反乱は、全職場での討議をされ、私は時の人であり「裏切り者」の烙印が押された。
   その後の仕事に大きな支障をきたした。

  話はまたまた飛ぶが、こうした共産党の弱点を国民は知っており、共産党が地方自治体を握る事はありえない。共産党が独自に立派な人材を育て、自由と民主主義の概念を理解し組織運営が出来ない限り共産党が議会で多数を握ることは実現しない。
 すべての問題を赤旗拡大に変えてしまう党運営は、労働運動など全く理解しない議員が発生し、ただ上位下達の組織方針で指導してくる。赤旗至上主義は百害あって一利なしで、共産党をシロアリのように食いつぶしている。(注3)

注3:共産党の中間幹部は、赤旗拡大の指導しかできない人たちである。私が現役の時、共産党の機関にビラの
   点検を依頼した際、「国民春闘」という文言を入れていたがこれは何かと追及されたことが有る。またある時は
   解放同盟との切り結ぶビラを書いた際、地区の担当者が私に言った事は、解放同盟との戦いは、暴力との戦
   いであり、そんなことを分かっているのかと説教した者がいた。私から見れば点検できる力が無いため、暴力
   的対決だぞ、それが分かっているかと逃げたと思った。こんな人たちが幹部であり、指導権を持っている組織
   の怖さを感じていた。
     現在Fでも年間のほとんどが拡大の強化月間であり、末端の党員は常に追いかけられている。赤旗拡大は
   ブラック企業のように鞭を叩くだけの指導である。権力を握れば、いくらでも指導できる。この組織形態をやめ
   ない限り共産党は伸びないと思っている。