令和3(2021)年12月30日


   この文書は12月17日で植田 与志雄さんの投稿があり、そのコメントとして書いた者です。しかし読んでみると植田氏の文書と波長が会っていなかったので没にし、投稿欄には植田氏の投稿に沿った文書を書き込みました。
 一回は没にしたのですが、せっかく書いた文書なのでここで復活させて頂きます。書き出しは植田氏対する返信になっていますが、内容は全体にアピールできる文書なので復活させました。読んでみてください。

民主集中制が共産党衰退の最大の原因

 
 投稿を読ませていただいて、私の考えていることとほぼ一致していると思います。まず結論から言いますと、貴方が指摘された「民主集中制によって閉ざされた指導部がつくられ、下部党員との接点を持たず『村』化しているのではないか。民主集中制の有害性を実感する。」ここに共産党衰弱の最大の「カギ」があると私も思っています。
 私の経験を少し語らしていただくと、地区党組織はものすごく衰退しています。(高槻で仕事を始めたのが昭和45年です。この当時共産党の議員は6名いました。その後悪いときは3名、実力は4名になっていました。今年8月10日一人の議員(男性/46歳)が議員辞職をされ3名になっています。)注1

注1:辞職の具体的理由は明らかにされていませんが、共産党議員団ホームページには、「健康上の理由で辞職
   願を議長に提出されました。市会議員として14年間皆様に支えられ議員活動をしてまいりましたが、これ以上
   続けることが困難と判断し、議員を辞めることになりました」と言う記事が書かれています。)

共産党は政党としての基本的体質を備えていません。


 政党ですから、政治家を育てなければなりません。例えば今の議員の内松下政経塾で育った政治家が、自民党にも旧民主党にも数多くいます。(注2)共産党はこの政治家を育てるシステムがありません。大衆運動からほとんど手を引き、強大な党建設は赤旗の部数と党員の数で図っています。(各種議員の数もあると思います。)

注2:松下政経塾、開塾40年 現職議員は33人(2020/3/30)産経新聞現職国会議員は33人(衆院24人、参院9
    人)民主党政権では野田義彦、前原誠司、玄葉光一郎(外相)、松原仁(国家公安委員長)、原口一博等(総
    務省)、長浜博行(環境相)に就任した。
    
  無理やり取ってもらった赤旗に、政党としての力量を伸ばす力はありません。 すべては、党の財政を維持するための仕事です。この仕事に全員が取り掛かり、議員と言えども、赤旗拡大で追い回され、政治的成長をしていくシステムがありません。
 現役時代、共産党の議席が増えれば市政は良くなると選挙戦で訴えてきましたが、当選後の議員がほとんど力を発揮できない姿を見て、「共産党の議員が増えれば世の中は変わる」というキャッチフレーズは『嘘』だと思っていました。」当選した議員は、議会内で全く力を発揮していません。行政側が持っている官僚の質より水準が低く、ほぼ何の役割も果たせていないのが現状でした。
 全てにおいて、一人前の政党としての力を持っていません。物事を自分の頭で考え、行動できる人が皆無になりつつあります。大阪では選挙のたびに「維新」が伸び、共産党が衰退していきます。公明党はしぶとく、地力がありますが、共産党にはもう地力がありません。   
 私が見ている共産党は、すでに政策能力は全くなく、なんでこんなに没落したのか分かりませんが、その原因は、「知的水準が全く欠如」したこと、次に宣伝力(体力)を失ったことです。(高齢者が増えたこともその一因ですが)政策が立てられずそれを実行する部隊が不足しています。(両手をもぎ取られた状況です)

政党はその存在を市民に見せつけなければなりません


 どの政党が強いのか、市民は敏感に感じ取っています。それぞれの人がそれなりにアンテナを持っており、どの政党がどのように活躍しているか評価しています。例えば街で祭りがあり、その場にどの政党が顔を出しているか、市民は全て見ています。辻元清美氏は今回落選しましたが、彼女は社民党時代から常に当選してきました。それは彼女は高槻市内で起こる様々な行事にすべて顔を出していました。(共産党は姿を全く見せません)
 また、街を歩けばすぐにわかります。街に共産党のポスターは一枚も見かけません。(共産党の事務所以外では)自民党、公明党、維新、立憲(辻元氏)のポスターは、少し歩けば見かけますが、共産党のポスターは見当たりません。ビラも赤旗に織り込みビラは入ってきますが、それ以外は入って来ません。政治的な宣伝活動が全くされていない共産党に票が入るはずがありません。これが今の共産党の姿です。
 共産党はこの町のどこにいるのか、それは強大な党建設を狙い、「赤旗拡大」や「党員拡大」に力を入れて頑張っているのだと思いますが、自己の政党の拡大だけを狙い、市民と共に戦わない政党って気持ち悪くないですか?
 公明党は「支持者」は全て自分の家にポスターを張り出しています。共産党は、党員がそれなりにいると思われますが、みんな身を隠しています。自分の家に共産党のポスターを張っている人をまず見かけません。こんな状況で勝てるわけがありません。
 ポスターを張り出していただける家をまず確保する必要があります。こんなことすらできないのが今の共産党の実態です。大げさに言えばすでに政治的には死んでいます。政権を担う政党と大上段に構えていますが、現状はわが町ではすでに死に体です。
  全国では、まだまだ力があるところもたくさんあると思いますが、大阪の中核都市である高槻市で共産党はすでに死に体になっています。これらの分析をしっかり行い、立て直し計画を立てるべきです。

共産党はすでに死に体になっているという根拠は?


 それは政治家を全く育てていない。共産党が育てているのは、赤旗の拡大をできる人です。政治家としての知的水準が全く欠如していることです。この知的水準を下げている最大の癌はこの民主集中制と組織原則です。この組織原則は思考考停止をしてしまい、上から言われることは全て正しい、感激したという発言です。あるいは私は「今回の選挙戦で10倍の力を出して戦います」というような発言が評価されることです。これは新興宗教の姿として見られる風景です。
 私が現役時代一番困ったのは、会議で煮詰めた議論をしようとしても、党幹部の話は素晴らしい之こそが真理だと持てはやす者がおり、この発言が出ればこれ以上議論はできません。これらの発言は、その場限りで、結果が出てからは総括がされません。もう何十年も前になりますが、宮本委員長が選挙戦の目標は「1千万票」と呼びかけたことがあります。この時会議が行われ、この新聞が持ち込まれ、「素晴らしい方針だ」と大騒ぎする者がいました。この段階で前回400万票だのに、どうして1000万を獲得するのか具体的議論がなされず、「素晴らしい」という発言がすべての発言を封じ込めます。
 会議を行っていてこの発言が出ることを恐れていましたが、常にこの発言をする者が2〜3人はいました。これで会議はぶっ潰しです。この「1000万」素晴らしいと叫んだ者が、選挙後400万票しか入らなかったのに何ら反省はなく、次の選挙でも同じことを語っています。この「上からの方針は全て正しい」という議論が共産党をつぶしていると見ています。
 もう一点の「足腰の退化」も活動する力を共産党は失っています。共産党の政治的発言を見たことがありません。すべての力量を「党建設=赤旗拡大」に使い、昔あった共産党系の活動が全く無くなっています。(労働組合の運動や民商など)
 

大阪で維新がアメーバーのように繁殖したのか


 それは、維新は大阪人の特色を捉え、「身を切る改革」というキャッチフレーズを浸透させたことです。今回の衆議院選挙後の、「文書交通費」問題で維新はこのキャッチフレーズの体現者だと言うことを見事に見せました。これが政治です。共産党はこの問題でどう考えているのか、情報発信が全くありません。聞こえてくるのは、政党助成金の廃止問題にすり替えて話をしています。
 大阪維新は、元々「大阪都構想」を一大政策として掲げました。この問題点を共産党は分析し、批判することが全くできませんでした。大阪府議がテレビ討論会で主張したのは、「プールの数が減る」だけでした。大阪民主新報も一面を前面使い「プールの数が減る」という主張を行いました。的外れの批判に終始し、大阪の共産党はすでに死に体だと思っています。なぜここまで劣化するのか、それは国民から遊離してしまったからです。
 

総選挙での共産党の政策「4つのチェンジ」は全くのピンボケです。


 共産党は階級政党です。基本的には労働者の政党であり、庶民の見方です。この視点を前面に出してこそ魅力があるのです。今回の選挙では、共産党は政権選択選挙を掲げ、階級対立的な政策を後ろに回し、「気候危機打開」や「ジェンダー平等」を前面に掲げました。まさに市民政党的なイメージを前面に出してきました。しかし、国民は階級社会で貧富の差が広がり、コロナ禍で生活が破たんした人も多くいます。この層に手を差し伸べるのが共産党の仕事であるはずなのに、共産党はこれを外し「気候危機打開」大きく舵を切りました。(注3)
 個人的な感想は「殿ご乱心」という次元です。共産党が共産党の看板を外して勝てるはずがありません。この指摘をする人は少ないですが、ある意味では共産党の路線返還を歓迎しており、この政策転換への指摘を誰もしないのかもしれません。私はこの路線は共産党衰退のとどめをなすものであり、れいわ新選組の山本太郎氏に共産党は追い抜かれるかもしれません。

注3:今日(12月20日)の毎日新聞に全国世論調査の記事が載っています。この記事で毎日新聞がどのような項
    目を調べたかいま政治的に争点になっているのは何かが分かります。以下列記します。
  ◆岸田内閣を支持しますか。
  ◆岸田政権の新型コロナウイルス対策を評価しますか。
  ◆オミクロン株の感染が拡大する不安を感じますか。
  ◆新型コロナウイルスのワクチン接種においてお尋ねします。
  ◆岸田政権は新型コロナの経済対策として10万円を現金を給付・・・・
  ◆最近、買い物や外食、旅行などの出費が増えましたか
  ◆年末年始に旅行や帰省を予定していますか。
  ◆角界議員に月額100万円が支給され文書通信交通滞在費の運用見直し
  ◆来年の北京五輪・パラリンピックについて「外交的ボイコット」を行うべきか
  ◆立憲民主に期待しますか
  ◆日本維新の会に期待しますか
  ◆どの政党を支持しますか
 という項目で世論調査をしています。ここで明らかのことは、やはり政治的にコロナ問題が最優先であり、その次に10万円の給付、「文書交通費」問題が大切だと思っている。
 ところが共産党は、「気候危機打開」「ジェンダー平等」を政治的争点だと見ている。このピンボケ差が気になる。
    

共産党が自公政権や維新への批判を辞める中、れいわ新選組の大石議員(新人)が維新狩りを始めた


 大阪維新は現在まで誰からも批判されずに、急速に支持を増やしてきた。共産党は大阪維新と全く対決してこなかった。インターネットに阿修羅という掲示板があり、そこで政治の論議が戦わされているが、12月13日「れいわ・大石あきこがNHK『日曜討論』吉村知事のコロナ失政を真っ向から批判!絡んできた維新・足立議員にもカウンターで一蹴(リテラ)」という記事が掲載されている。一部引用すると
 大石氏が『日曜討論』に出演するということで、自民党政権への急所を突く批判だけでなく、インチキな詐術パホーマンスでメディアを席巻している維新にも一矢を報いてくれるはずーそんな期待が高まっていたのである。
 大石議員の発言「大阪にいたっては、保健所の職員が過労死レベルの残業が1年単位で続いていまして、12月3日には職員の組合が労働局に訴えると、こういうニュースが出されておられるんですけどそういう事態になっています。なのに、吉村知事が持ち上げられているのは、異常だと思うんですね。この大阪、人口当たり死亡者数がワーストになっています。なので、岸田政権、いまこそ大阪の検証、各地の失敗事例の検証をして、第6波に臨んでいただきたいと思います」(中略)
 大石議員はNHKでこの大阪が死亡率ワースト1である事実を突きつけ、「吉村知事が持ち上げられているのは異常」と言い切ったのである。と書いている。
 12月14日付日刊ゲンダイも「日曜討論会」を取り上げ「元職員」「バクロ」「府政の闇」
「元府職員れいわ大石議員が暴露した」「大阪府の闇」「維新タジタジでトレンド入り」
 記事では、先と同じ大石議員の発言「吉村知事が持ち上げられているのは異常だ」に対して維新の足立議員が「大変、印象操作が強い」とこわばった表情で発言。続けて大石が「(保健所に)人を付けていくことが大切だ」というと、足立は「吉村知事が説明責任を果たしているので、ここでは以上とさせていただく」とタジタジだった。と書いている

 共産党が「維新」追い詰めた事例を見たことがない。(大阪の府会議員は最初から最後までプールの数が減るだけを主張していた。)だから維新は膨張してきた。共産党は維新との戦いに理論武装して戦わない限り、今後は「れいわ」の大石議員に期待が集まるであろう。