総選挙後の混乱が未だ収束できていない共産党(赤旗から見えてくる事態)


令和3(2021)年12月10日


 今日、我が家には、しんぶん赤旗、大阪民主新報、赤旗日曜版、毎日新聞が届いたそれらを読み比べてみるといろいろ見えてくる。
 今回の総選挙で共産党が負けた最大の原因は、共産党の選挙戦の政策「4つのチェンジ」だと見ている。この「四つのチェンジ」の本質は、階級対立という共産党の最大の課題を放棄し、国民みんなの幸せという『普通の政党』への脱皮を図ろうとしている。
 この発想がなぜ出てくるのか、それは政権の一角を狙いたいという野心があるように見える。
 選挙を戦うに当たっては、それぞれの政党間の力量(力関係)をしっかり把握しておく必要がある。共産党はその前提条件を見誤り、立憲民主党と共闘することによりそれを実現できると夢見た。市民を仲立ちにして野党共闘を推し進め、一定の成果を上げた。
 

 野党共闘は失敗だったのか?


 マスコミ等が騒いでいる野党共闘は失敗であったという見方は誤っている。野党共闘は大きな成果を上げた。特に立憲民主党は大きな実利を得た。しかし、共産党は議席を減らすという結果を招いた。その面から見れば失敗ともいえる。しかし野党共闘を組んだ市民や立憲民主党や社民党などの政党がどのような総括をしているのかが重要である。今回共産党は議席を減らしたが、この野党共闘が今後とも発展していくのであれば、成功と言える。
 しかし、世間では失敗だと盛んに宣伝されている。一番得した立憲民主党までが、前向きの総括ができていない。馬鹿な政党だと思う。だがなぜこの野党共闘が追い込まれてきているのかは、政権を取った場合は、共産党が閣外協力を行うという約束事項が攻撃の的になり、立憲が揺れ動いている。共産党から見れば協力しているのだから、政権の一角を担わせよという要求は当たり前かもしれないが、我々一国民とすれば、共産党は国民の利益を守るために活躍されることを望んでいるだけで、政権内にその力を持つことを必ずしも求めていない。

共産党は政権獲得病になっている。政権を取るための政策に力を入れ、国民目線から遠ざかっている。


 共産党は政権を握る側にスタンスを置くにしたがって、階級的な立場を放棄させられていく、つまり普通の政党になりつまらなくなる。この共産党のつまらなさを感じたのがこの総選挙であった。共産党は、コロナ禍で国民の生活は困窮し、格差社会がさらに広がり、国民があがいているのに、国民の命と健康を守るというキャッチフレーズを放り投げ、「気候危機打開」、「ジェンダー平等」へ選挙戦の争点に舵を切ってしまった。
 共産党が望むのは、格差社会が広がり困窮しているのに、それよりも「環境破壊」や「ジェンダー平等」が重要な課題だとぶち上げてしまった。これは政治的崩壊であり共産党が共産党でなくなる宣言でもあったと私は理解している。
 12月12に付赤旗日曜版に政治ジャーナリスト鈴木哲夫さんの「総選挙での挑戦は失敗ではなかった」という記事を一面トップに載せている。この記事は更に6面に続いている。その6面に面白いことが書かれている。それを引用したい
 「深層伝えて」という見出しで、「今の共産党は、独自のイデオロギーは持ちながらも、極めて現実的で柔軟な政策と行動で、共闘路線に舵を切りました。内部では侃々諤々あったはずですが、自公に勝つためにはこれしかないと大きな決断だったと思います。
 そんな共産党に過去のレッテルを張って見ているメディアが多い気がします。野党共闘の深層をきちんと国民に伝えていくことがメディの責務だと考えています。と書かれています。
 この記事の最大の注目点は、「共産党は舵を切った、内部では侃々諤々があったはずですが」と行を共産党が認めたということです。この記事は、聞き手・山田倫夫貴社と書かれています。鈴木氏がこう語ったかもしれませんが、聞き手が上手く修正することも可能です。それがそのまま載ったことが重要です。
 であるならば、どのような論議がなされたのか、聞きたくなります。こんな重要なことが共産党は隠蔽されている。これが問題なのです。
 今日のしんぶん赤旗2面には、共産党広報部長毎日新聞に抗議という記事を載せています。これは、毎日新聞6日付山田孝雄特別編集委員「山田孝雄氏」の『風知草』に抗議したものです。
 私はこの記事「風知草」が面白いと思って、「共産党の事を知りたいのであれば『風知草』読めばよくわかる」とこのHPに書きましたが、共産党は「風知草」に対してとんでもなく怒っています。昨日の新聞で大々的に批判していました。
 この「風知草」では山田氏が、4中総は志位医長の報告、結語はユーチュブで公表されていますが、66人の発言者の声が聞こえてこない。山田氏の「反対者はいないのですか?」という問いに対して、志位委員長は「ない」と言い切りました。
 鈴木氏の共産党は現実主義に舵を切った。その中では喧々諤々の議論があった。という評価と全く違います。この鈴木氏発言は、マスコミ一般で語られたのではなく、赤旗記者に語られ、それが記事となったものです。
 国民は政治家一人一人の発言が知りたいのです。立憲民主の代表者選挙は4人の理候補者が自由に発言しています。政党の「見える化」を行わない限り、政策をいくら変えても普通の政党にはなりえません。

今日の新聞を見ていて共産党の「政治的ブレ」が見えてきます。


 その前に11月30日付けで前新潟知事米山氏のツイッター発言事件を書きました。米山氏は、「共産党の『4つのチェンジ」の『ジェンダー平等』『気候変動』は今後の争点として出し続けてもいいが、但し、『ジェンダー平等や気候変動』は1番の課題ではない。出す順番としては@経済A福祉Bジェンダー、気候変動だと思う」とツイッターで発言されたら、炎上したとのことでした。
 共産党の判断は絶対に正しいと、思い込む人もいます。しかし今日の新聞(赤旗)等を見れば米山発言が正しいことは明白です。
 少し各新聞を引用してみます。

1.しんぶん赤旗(12月10日)
 【総合】志位委員長の代表質問
 命・暮らし守れ 焦眉の課題で提案
 @コロナ対策
    病床削除やめ拡充を
 A補正予算案 生活・営業
    生活救う手立てこそ
 B補正予算 大企業と軍事費
    バラマキやめ暮らしへ
 C気候危機
    石炭火発 合意と矛盾
 D選択的夫婦別姓
    改正案採択を直ちに

の順番である。米山氏のツイッターでの発言が正しい。騒いだやつ出てこい!と言いたい。

2.日曜版(12月12日版)
トップ記事j
  @総選挙での挑戦は失敗ではなかった(鈴木哲夫さん)
  A『生活できない』『命が危機』
    灯油高騰

3.大阪民主新報(12月12日版)
 トップ記事
 =日本共産党 来夏の参院勝利へ街宣=
  @暮らしに希望を取り戻す
  A改憲阻止して平和を守る
 ※これらの見出しを見ればホットします。
    民主新報の記事から、気候変動の記事はほぼありません。
   ちなみに1面の見出しを全て書き出すと
  Bたつみ候補の議席奪還をめざす。
    ・新自由主義を大本から転換
    ・消費税減税の実現へ全力で
    ・広範な国民と共に歩む政党
    ・共産頑張れのメッセージを
   C改憲・軍拡より暮らし応援・コロナ対策を
    ・太平洋戦争80年で宣伝
   D憲法改悪を許さない
    ・臨時国会開会 市民団体が宣伝
 となっています。「気候危機打開」の占拠から脱皮しています。これが共産党の機関紙です。
 
4.毎日新聞
 @凍る森さまよう命(ポーランド国境)
   ベラルーシ中東何面に越境強いる
 A全額現金の指針 補正成立後
   官房副長官 10万円給付巡り

 全般的に「気候変動の記事」は激減し「化石」になりつつあります。