2020年東京オリンピック開催をどう捉えるかは政治的に大きな課題
         これに目を背ける者は政治的に敗北する!


平成25(2013)年9月12日


1.オリンピックをどう評価するかは極めて難しい問題

 オリンピックをどう評価するかは、すでに投稿常連者の弥生さんから投稿をいただきました。まずこれを紹介したいと思います。(2013/09/10 22:57:03)

以下弥生さんの投稿文
 「ご無沙汰でした。オリンピックが決まってびっくりしたのは、後続がしゃしゃり出てきて、いよいよ改憲後の予行演習かと見まごうたからであるし、安倍が「汚染水は完全にコントロールできてる。政府が責任をもってやる」などと出来もしないことを大見得を切ったことです。

 さらに赤旗が、「アスリートの努力」と賛意を表したこともです。政府と独占企業は、オリンピックを政治利用しないなどといいますが、そんなことはありません。これから始まる大企業への膨大なばらまき、ナショナリズムの煽動、自国中心主義排外主義の煽動は、完全にフクシマを後景にします。

 日中戦争を日本有利としてはこうぼうとします。ナチス「民族の祭典」はヒットラーの晴れ舞台でした。ナチズムの権化でした。現情勢下でのオリンピックが安倍麻生石原橋下らナチス迎合のウルトラタカ派によって最大限利用されることは火を見るより明らかですね。原発推進を安倍成長戦略としている中では、フクシマのもみ消し、下層人民無視の消費税上げ、社会保障切り下げ、解釈改憲は空母浸水、秘密保護法成立としてどしどし進行させていきます。こうした構造をちゃんと見れば、安倍政府に疑問を持たないアスリートなどが特別視される必要は全くないと思います。

 選挙の票を考えればオリンピックで騒ぐ人も必要かもしれないけれど、悲惨な貧困層・労働者にはより過酷な未来が来るのは、明らかです。誰の立場に立つかが問題でしょう。ある日茶色の朝になってるのを気付いてももう遅い。」

 という非常に鋭い指摘をいただきました。(文字化けしているものがあるかもしれませんがそのまま引用しています)

2.オリンピックはスポーツの祭典であり平和を求めるもの(公式見解)

 私はこの弥生さんの見方に異論を唱える者ではありません。まさにオリンピックはこのような性格を持っていると思っています。
 しかし共産党としてこの立場で戦うべきか、それとも弥生さんのいう「選挙の票を考えればオリンピックで騒ぐ人も必要かも知れない」が、という弥生さんの見方、これは邪道だと指摘されていると思いますが、「選挙の票欲しさ」という表現は少し問題がありますが、オリンピックについては、この立場を前面に出しつつ、問題点を指摘することが必要だと考えています。

 私のサイトの有力な支持者である弥生さんに反論を加えるのは心苦しいですが、

 私は共産党の推し進める多数者革命を支持します。多数者革命の立場に立つのであれば、2020年オリンピック開催に期待する多くの国民に敢えて水をぶっかけるような政策は取るべきでなく、まず多くの国民の気分感情に寄り添いながら、その問題点を指摘していく手法の方が、よりこの問題点を浮かび上がらせることが出来ると思っています。(国民政党である共産党はこの手法を使うべきだと思っています。)

 この間「スポーツの力」という言葉が盛んに言われています。また今回の招致活動には一流のアスリートが多く携わっています。取り分けてプレゼンテーションでのパラリンピックの陸上女子の選手である佐藤真海選手の「私がここにいるのは、スポーツによって救われたからです」との話しかけは、非常に好感が持てました。私は「この彼女の発言が素敵だな」という感性が重要だと思っています。

 そもそもオリンピックは、「反動勢力が政治的に利用しようとしている物であり」と言うような理屈を前面にだし、彼女は反動勢力に利用されているだけだというような皮相な見方をする必要はないと思っています。彼女の訴えを素直に受け止められる感性が私は人間として重要だと思っています。と同時にオリンピックを政治的に利用しようとしている人の企みを見極める眼力(能力)も必要だと思っています。これと真正面から戦う事も重要です。

3.赤旗は東京五輪開催をどう伝えたか

 このオリンピック開催決定を共産党は、どう伝えたか、私はこの点に注目しています。共産党は石原都政に反対し、東京オリンピック招致に反対してきた経過から、開催決定に対して、積極的に評価できず、赤旗紙面も曖昧なつくりになってしまいました。

 私は一紙で間に合う新聞というふれ込みでこの新聞を売っている以上、国民の最も関心のある記事を、赤旗一面に持ってくるべきだと考えています。

 まず、開催決定を赤旗は、どのように伝えたかを見ていきます。この場合私は一紙で間に合う新聞という視点から見ていきます。 9月10日赤旗一面トップの記事は、茨城県議補選筑西選挙区の記事でした。この選挙は自共対決を制し勝利するという画期的な勝利を掴んでいます。しかし多くの国民はこの記事より、2020年東京五輪開催の記事を求めていたと思われます。

 毎日新聞では前日の夕刊に相当大きな文字で2020年東京五輪開催を伝えています。まず新聞としてどのニュースに価値があるかの判断を共産党の立場から優先順位を決定するのであれば、政党の機関紙であって、一紙で間に合う新聞にはなれません。

 まずニュースとしての価値は平等に判断して、その後それに対する共産党の判断をしっかり加えることが重要だと思っています。赤旗は、東京五輪の記事を一面の左隅に追いやり、しかも東京五輪に対して反対か賛成かを述べず、「IOC総会の決定を尊重」と「市田書記局長が会見」という記事を載せています。非常に無責任な態度を取っています。この態度表明では、東京五輪賛成の立場の国民も反対の立場の国民からも支持されない、極めて政治的音痴な発言だとみています。

(以下の文書はあとから挿入)

  この文書の全てを書いてから、「赤旗の東京五輪2020という主張」があることに気付きました。この主張の書き出し部分は、赤旗の主張か一般紙の主張か分からないノー天気なものになっています。(弥生さんの怒りはここにあるのだなと思いました。)以下引用します。

 2020年の夏に東京にオリンピック・パラリンピックがやってきます。引き寄せたのはアスリート(競技者)の力です。

  開催都市を決める最後のプレゼンテーションでの訴えは力強く、心に響きました。「スポーツが夢、勇気、きづなを与えてくれた」「大震災の被災者とチームが一丸となれた」スポーツで得た貴重な体験と思いが込められていました。

現実と向き合い連帯し(中見出し)

 社会の現実と向き合い、連帯し、けん引役となる―この間、国民とアスリートとのあいだに太く築かれてきた心情です。そこに手ごたえをおぼえた多くの国際オリンピック委員(IOC)委員が明日のオリンピック”を東京に託したのでないでしょうか。

  56年ぶり2回目となるオリンピック東京開催です。国の総力でやり遂げた1回目の1964年大会と大きく違うのは、スポーツが国民生活に溶け込み、世界を知るアスリートたちが躍動していることです。国民とアスリートこそ「東京2020」の担い手です。(後略)

と書いています。

  弥生さんの「さらに赤旗が、「アスリートの努力」と賛意を表したこともです。」という指摘、十分理解できていませんでしたが、この主張は正にそうなっています。

  私は、アスリートの爽やかさは、「爽やかさ」として評価すれば良いとの立場を取っていますが、この「アスリートの努力」が東京オリンピックの招致を決めたカギであるとの赤旗の主張は、商業主義に走っているオリンピックをあまりにもノー天気に見ています。

  赤旗のこの主張は一般紙と主張と何ら変わりなく、それなら一面でもっと大々的にオリンピック報道すれば良いのでは、と突っ込みたくなります。一面の市田書記局次長の「IOC総会の決定を尊重」とこの主張の立場は180%違います。一体共産党はどうなっているのかと思います。東京五輪に対する、この腰の定まらない態度こそが問題だと捉えています。

 注:お断り、すべての文書をこの「赤旗の主張」を読む前に書いたので、全体として齟齬を来たしているかも知  れません。この文書は最後のここに入れました。

4.今後の7年間の情勢は五輪とともにある

 私は東京五輪の開催が2020年に決まったという事は、今後の7年間の政治情勢がこの問題と深く関わりながら進展していくと思っています。(まず最初に消費税の増税決定にも影響を与えると見ています)そこには、五輪というナショナリズムを利用し、弥生さんの言われるような危険性も含んでいますが、もともと共産党自身がこうしたナショナリズムを掻き立てるような行動をしています。たとえば共産党のポスターには富士山が良く出てきます。TPP反対のポスターも富士山でした。(なぜポスターに労働者の闘いの姿が無いのか疑問に思っています)昨年末の衆議院選挙では、尖閣列島の問題が政策の大きな柱にもなっていました。このことを扇動しながら、オリンピックにはナショナリズムを煽っているという批判は、私は間違っているとみています。多くの国民は素直にスポーツに対する魅力を感じ、その勝利に酔っていますが、それが則右傾化につながるという事ではないと思います。

 当然、仕掛ける側はそういう意図を持っていると思いますが、国民大衆は必ずしもそう単純なものではなく、その策動に対して、適切な批判を系統的に行っていけばその危機は回避されるものだと思っています。物事の本質を見抜く目があり、それらに意識的に対抗していけば、敵側の企みが必ずしも成功するとは思われません。

 現在のシリア情勢を見ても、アメリカやイギリス、フランス等がシリアに対する直接攻撃を狙っていましたが、それぞれの国民がその企みを阻止しつつあります。

5.マスコミの報道もオリンピック偏重はあっても必ずしも一辺倒ではありません

  2020年のオリンピックの東京開催が決まった時の街の声でも、被災者の声を必ず拾っています。その中で、「私たちの住んでいる日本と、オリンピックに沸いている日本と日本が二つあるみたい」という辛辣な意見や、「汚染水問題が全く解決していない、震災復興がまず大切」という現地の声を流しています。今これを書きながら、朝日テレビのモーニングアイを見ていますが、そこでも「そもそも総研」で日本における最大の課題は、汚染水の問題だと特集を組んでいます。

  ヒットラーが行った国威発揚のためのオリンピックと東京のオリンピックが必ずしも同じものにはならないと思います。(支配者側の意図がそうであれ、民主主義社会が成熟しており、それを行わせない力も大きなものがあります)これらの敵と味方の力関係を正確に分析し、有効な反撃を効果的に打つことが重要です。

  ヒットラーのオリンピックと同じだという指摘は勇ましく見えますが、逆にその指摘が鋭すぎて、国民の支持は得られないと思います。批判する側は、オリンピックの政治的利用の最たるものとしてヒットラーのオリンピック利用を頭に据えながら、日本における政治的利用が具体的にどのような形で現れるかを監視し、効果的な反撃を行うことが重要だと思います。

6.話題がそれますが、高槻の実態を報告します

  私が出勤時、(10日火曜日駅前で)共産党の宣伝部隊がいました。私はビラを受け取りましたが、そのビラは消費税値上げ反対のビラでした。しかもこのビラは1週間前の火曜日にもらったビラと同じものです。2020年東京五輪の招致が決まり、共産党はこれに対してどういう意見を持っているかを配布すべきです。一般紙は東京五輪決定に対して号外を配布しています。(9日は新聞休刊日でした)もし赤旗が一般紙と対等に戦う事を考えているのであれば、東京五輪決定に対して号外をまくぐらいの行動に出れば注目されます。(これぐらいの芸当ができないのかと思っています。)

  五輪招致で沸いている時、先週もまいた同じビラを撒く(「市民をなめているのか」と私は言いたい)こんなことをしていたら支持が増えることはありません。重要な事件・ニュースに対応できる政治力を身に着ける必要があります。(市田書記局長の談話が、「IOC総会の決定を尊重」というわけの分からない内容であったため現場は対応できない)朝の駅前の行動を単なるノルマの様な形で処理を行っているため、どの政治課題を訴えるかとの打ち合わせも無く、そこらへんにあるビラを担いできて行動する(恥知らずの行動になっている)前回衆議院選挙では、尖閣列島の同じビラが何回もまかれました。この反省が未だなされていません。

 7.東京五輪に背を向けた者は政治的には敗北する

 私は東京五輪から逃げれば負けると思っています。東京五輪との関係で積極的な発言が必要になっています。 例えば安倍首相はプレゼンテーションでとんでもないウソをつきました。この点については国際公約でもあるから、「ウソをついた、ウソをついた」と叫ぶのでなく、汚染水の処理を完全やるように追い詰めることが大切です。
 さらには、震災復興とオリンピックを同時に成功させると公言しているのですから、これもその立場で追い詰めていくべきです。五輪決定を伝える赤旗(10日付け)は、党都議団 大山幹事長の談話で、「今必要なことは「何よりも深刻さを増す都民のくらしや福祉。雇用。中小企業などの施策を充実させることです」と語っていますが、その内容は、オリンピックと対置した形でこれらの諸課題を述べていますが、オリンピックの成功は、こうした諸課題の実現を図る中で勝ち取られなければならないという主張を行うべきであると思います。

  オリンピックは2020年東京でやることは国際公約です。これを今更やめることはできない。であるならば、いかにすれば国民のためのオリンピックになるのか積極的な追及が必要です。
 この立場を取らず、批判だけを行っていたら、政治的には大きく敗北するであろうと私は見ています。

8.(開催決定を載せた)同日付け赤旗に「平和の思想主張もっと」という記事が載っています。

私は、この首都大学東京教授 桝本 直文さん主張に賛成です。彼は、「私が注目してきたのは、東京オリンピックのレガシー(遺産)です。東京オリンピックを契機にはじまったママさんバレーや、開催の前年にできたスポーツ少年団、さらに歩け歩け運動、これらの草の根スポーツの遺産が面々と続いています。」(中略)

 「東京オリンピックの前年の1963年に平和都市宣言をしています。平和な世界をつくろうというのは、日本のオリンピックの思想です。今はこういうことが必要だともっと主張していくべきだと思います」(中略)

  「さらにIOC委員におこなったプレゼンテーションで約束した、発展途上国へのサポート、この2本柱をもっと大々的に継続的に進めていく必要があります。」(中略)

  「今後、会場とか交通など社会的基盤の整備が進められていくでしょうが、パラリンピックもおこなわれるわけですから、バリアフリー化をさらに進めていくことが必要です。パラリンピアンにも優しい東京にしていくことが求められます。」と主張されています。

 こうした立場に立って、2020年東京オリンピックの成功の課題を明確にして、参加していくことが重要です。
オリンピックに背を向けて政治的勝利は勝ち取れません。