『前衛』10月号の広告が赤旗に掲載されているが、その政治的ノーテンキさにあきれ返る



平成29(2017)年9月10日


 『前衛』10月号で、一番強調されている見出しは「辺野古から問う法治主義破壊と平和・地方自治の憲法原理(座談会)出席者小林 毅(沖縄大学客員教授)、徳田博人(琉球大学教授)、赤嶺政賢 共産党衆議院議員
その他、順次書いていくと
 ★追い詰められている安倍政権・対峙する野党共闘     中野晃一
  市民のたたかいで転換をはかる     
 ★安倍政治に代わる選択肢を               渡辺 治 
   −−安倍改憲を阻む共同から野党連合政権めざす共同へ
 ◎アベノミクス都市再生のいま                       岩見良太郎
◎人口減少を口実とした大型開発の復活                中山 徹

 ★大型量販・流通のための「市場」づくりねらう      小倉正行
  卸売市場法改正問題
 ★国連特別報告者への対応にみる日本政府の非常識     佐藤一郎
 ★アベノミクスの危険な矢「シムズ理論」         山田博文
   −−財政政策でインフレ起こし政府債務を解消

 と魅力のない見出しが延々と続く。まじめだが地味な見出しだ。

ちなみに月刊誌、とりわけ右翼側といわれている雑誌は何を取り上げているか
【月間日本】H
 ★安倍君 もういい加減になさい!        村上正邦・中村慶一郎
 ★森友・加計問題を暴く             郷原信郎・菅野完
 ★文民統制を揺るがす日報問題          佐藤優・柳澤協二
 ★東アジアの新たな地平を開け
という見出しを掲げている。おもしろそうだと思える。 

【文藝春秋】10月号
 ★NHK解説委員の直言 失速への転換は2015年だった  岩田明子
   安倍総理の「驕りの証明」
 ★改憲は賛成、原発は反対、経済政策は?
   「小池国政新党」我らが目指す姿  若狭 勝 長嶋 昭久
 ★米軍は核を使いたがっている     丹羽宇一郎/川上高司/宮本 悟
というような見出しを掲げている。これも面白そうだ。

【正論】10月号
 ★日本は北朝鮮と戦わないのか 大方言 百田尚樹×八木秀次
 ★統合幕僚長 河野克俊 独占インタビュー
 ★弁護士 北村晴男が改憲を語る
 ★若狭勝独白保守2大政党政治を
 ★朝日新聞が独裁者を生む日   モーリー。ロバートソン
というような見出しを掲げている。これも面白そうだ。
                
 この保守側の雑誌の見出しを見れば、それぞれの雑誌が何を主張したいのかが良く分かるが、『前衛』だけは全体像が見えてこない。唯一読めるのは、アベノミクスの批判に相当ページ数を割いているが、現在の政治の最前線での戦いの接点は、果たしてアベノミクスが成功か失敗かだろうか。すでにアベノミクスは失敗だとの共通認識は相当広がっており、自民党の中にもアベノミクスは失敗だったという集団が出来つつある。(注1)

注1:2017年5月17日 - 自民党内の反安倍勢力が「水面上」に出てきた―. 村上誠一郎議員や野田毅議員
   など 安倍首相に批判的なスタンスをとる実力派のベテラン議員が中心となった勉強会が、今日、
   発足した。国会議員約60人が参加した。
   また、この間必死になって擁護して支えていた安倍政権のブレーンがこの期になって次々と失敗
   を認てしまう発言を行なっている。   
    竹中「トリクルダウンなんかありえない」    
    黒田「マネタリーベースと物価上昇に相関関係なし」    
    麻生「今の世の中は金が無いのではなく需要が無い」    
    高橋洋一「アベノミクスついに沈没」

 このような情勢の日本産党の『前衛』は、今頃アベノミクスが破たんしたことを証明する特集を組んでいる。本当のこれが現在の国会での争点か、右翼側の雑誌が何を言っているのかを見れば、争点がすぐに浮かび上ってくる。

右翼雑誌は何を主張しているのか、わかりやすい。ここで三冊上げたがこの三冊で右翼側の関心がどこにあるのかよくわかる。
 例えば【月間日本】H(注2)は、★安倍君 もういい加減になさい!(村上正邦・中村慶一郎) ★森友・加計問題を暴く(郷原信郎・菅野完)【文藝春秋】10月号は、★NHK解説委員の直言 失速への転換は2015年だった。安倍総理の「驕りの証明」(岩田明子)★改憲は賛成、原発は反対、経済政策は?「小池国政新党」我らが目指す姿(若狭 勝 長嶋 昭久)【正論】10月号は★日本は北朝鮮と戦わないのか(大方言 百田尚樹×八木秀次)★統合幕僚長 河野克俊 独占インタビュー、★弁護士 北村晴男が改憲を語る。などそれぞれの雑誌が言いたいことを主張している。

注2:月刊日本 月刊日本は、ケイアンドケイプレス発行の論壇誌。1997年4月創刊。 アール・エフ・ラ
   ジオ日本で報道部長、取締役論説室長を務めた南丘喜八郎が主幹となり「わが国の真の自立と再
   生」をキャッチフレーズに創刊した保守系雑誌。

 ただこの三誌の内二誌が従来の保守の論調と違うことに注目が注がれている。それは安倍氏を骨まで愛するのではなく、従来の真正保守の道を踏み外し始めていると批判を始めたことである。
 例えば【月間日本】Hは、★安倍君 もういい加減になさい!(村上正邦・中村慶一郎)★森友・加計問題を暴く(郷原信郎・菅野完)この二つの記事は安倍首相批判記事である。また【文藝春秋】10月号は、★NHK解説委員の直言 失速への転換は2015年だった。安倍総理の「驕りの証明」(岩田明子)の記事も明らかに安倍首相批判記事である。

 この記事の内「★森友・加計問題を暴く(郷原信郎・菅野完)」については、『前衛』に掲載されてもおかしくない記事である。
 他の★安倍君 もういい加減になさい!(村上正邦・中村慶一郎)とNHK解説委員の直言 失速への転換は2015年だった。安倍総理の「驕りの証明」(岩田明子)の記事は、保守誌でありながら安倍批判記事である、しかも身内からの批判記事である。
 村上正邦氏は,元参議院議員(4期)、労働大臣を歴任。福岡県嘉穂郡出身。在職中は参議院自民党において多大な影響力を持ち、「タカ派」「参院のドン」と呼ばれていた人物である。中村慶一郎氏は、有名な政治評論家、元新聞記者。内閣総理大臣秘書官(三木内閣)、内閣官房参与、国民新党顧問を務めた人物である。
 面白いのは、NHKの解説委員長岩田明子氏である。公式な肩書は、ジャーナリスト。NHK政治部記者兼解説委員となっているが、加計孝太郎の仲間であり、準強姦容疑で逮捕寸前だった安倍総理ベッタリ記者こと山口敬之・元TBSワシントン支局長の仲間でもある。
 
 ◎山口敬之と一緒に並んでいる写真が多く流出している。



 この安倍友のNHKの解説委員長岩田明子まで、安倍批判を始めた。これは安倍友では、まずいと思ったのか、それとも真正保守かは分からないが、安倍友から逃げ出しを図ろうとしているのかも・・・・。

保守派の大重鎮・西尾幹二氏「鬼気迫る安倍批判」の真意

                             NEWSポストセブン 2017年8月28日

〈憲法改正をやるやると言っては出したり引っ込めたりしてきた首相に国民はすでに手抜きと保身、臆病風、闘争心の欠如を見ている。外国人も見ている。それなのに憲法改正は結局、やれそうもないという最近の党内の新たな空気の変化と首相の及び腰は、国民に対する裏切りともいうべき一大問題になり始めている〉
 保身、臆病風、及び腰、裏切り……激しい言葉が並んだ痛烈な安倍批判を書いたのは、保守論客として知られる西尾幹二氏で、掲載されたのは産経新聞(8月18日付)である。

  保守本流の代表的な学者である西尾幹二氏は痛烈に安倍批判に転じた。これに呼応して上記日本における保守理論の支柱である【月間日本】や【文藝春秋】も安倍政権を批判し始めた。NHK論説委員の岩田明子氏もこれに乗りおくれまいとして、文芸春秋に安倍批判を載せたと思われる。


共産党の『前衛』は、政治状況に関係なく孤高を守っている。(週刊誌と比較)


 ちなみに週刊誌に目を向けると、【週刊ポスト】(9月15日号)は、「安倍『ひとりぼっちの総理執務室』」また「北朝鮮ミサイル『Jアラートがならなくて・・・』」、【サンデー毎日】(9月12日号)は、「金正恩の狂気を止める『最高の解決法』小泉が語る日本の役割」【Newsweek】は、「北朝鮮問題と『核使用』容認論」「それでもトランプ」、【FLASH】は、「河野外相緊急激白『北の暴挙、外務省24時』、【週刊現代】(9月16日号)は「北朝鮮危機 朝鮮労働党幹部が本誌だけに語る『北のミサイルの照準は横須賀基地を向いている』、「平城に行って『金正恩委員長万歳!』と叫んだ 大物国会議員」というような記事を載せている。
 月刊誌が安倍首相の問題点や森友・加計学園問題を取り上げている点から見れば、週刊誌は、北朝鮮問題が主流である。「危機感を煽る」事が週刊誌の売り上げに貢献するのかも分からない。

 ただこの月刊誌が取り上げた問題、安倍政権批判、森友・加計学園疑惑批判、さらには週刊誌が大きく取り上げている北朝鮮問題、これこそが共産党の機関紙『前衛』にも取り上げるべき課題である。
 今この情勢下で呑気に「アベノミクスは果たして成功しているのか?」など論議しているのは1周遅れの議論に見えるが、共産党の幹部にはこれがなぜ分からないのか疑問に思えてしょうがない。 

最後に『前衛』にどういう記事を望むかを書いてみたい。


 今日(10日)毎日新聞を読んでいて、『前衛』が書くべき記事はこういう記事だなというヒントを得た。例えば2面の時代の風 増田寛也 元総務省が「政治主導と官僚道」という記事を書いている。その出だしを引用すると「政と官の関係はどうあるべきか。学校法人加計学園の獣医学部新設問題では『政治の介入で行政がゆがめられた』とか『官僚の委縮と政権への迎合は、内閣人事局の設置で官邸が官庁の幹部人事を掌握したからだ』との批判がある」という書き出しで始まっている。興味ある文書だ。
 次に【社説】で「戦略特区めぐる文書管理」「まるで不透明化の勧めだ」と政府の文書管理見直しを意欲的に批判している。これも加計学園問題から端を発した問題だ。
 さらに「みんなの広場」「まず保有国が核廃絶を」という投稿がある。私は北の『核』問題を語るときに、この視点が重要だと思われる。今の共産党はこの視点を失い、北朝鮮パッシングの先陣争そいを行っている。一歩引いたところから批判すべきだ。
 もう一つ「みんなの広場」に「国家非常時に対応できるか」という投稿があるが、危機を煽るだけでなく、国民生活をどう守るかの課題を突き付けている。
 本日(10日)赤旗にも深めてほしい記事がある。6面【国際】「FLASH」でミャンマー西部で武力衝突が発生し、イスラム系ロヒンギャ難民が増加している。という記事を【ワシントン=時事】という記事を載せているが、この問題をもっと知りたい。正確な情報を知りたい。
 さらに、14面【社会・総合】で、「官邸が質問封じ」「記者の追及に異例の文書注意=vという記事を載せた。この記事も『前衛』で深堀する値打ちのある記事だと思っている。
 ちょっと見ただけでも、『前衛』が取り上げるべき情勢にかみ合った課題はいくらでもある。なぜこうした編集方針が確立できないのか、能力がないのか、書いてくれる学者が見つからないのか、それとも意識的に外しているのか共産党の真意が分からない。