東京・中野区議会 共産党議員の辞職について


平成26(2014)年7月21日


  18日赤旗は、東京中野区の、金子洋(ひろみ)区議(52歳)が。ツイッターで「死ね」などと不適切な発言を行い、議員辞職をしたという不可思議な内容の記事を掲載した。

何が問題発言か? 議員辞職しなければならない内容はなにか?

◆赤旗の主張によれば
 この区議会議員は、ツイッター上で暴言を発信したことから、辞職にいたりました。その暴言とは、具体的には、集団的自衛権問題でのやりとりのなかで、「(集団的自衛権を行使すれば)他国との信頼関係は強まるし、働いていないヒキニートのゴミ屑が国の為に働けるんだぜ」などという相手にたいして「おまえこそ人間の屑だ。死ね!」と述べたものです。
これが全国に拡散し、都議会での野次・暴言問題での日本共産党都議団の追及などと対比する形で、日本共産党が批判を受けていました。党として調査のうえ、議員本人に辞職を求めていました。
 この赤旗の主張を読む限りでは、この議員がなぜ辞職を行わなければならないのか明確な理論付が行われていない。

今回の議員辞職は、東京都議会の「人権侵害やじ」との関連で処理?

この共産党の決定は、先に書いた東京都の人権侵害やじのうやむや解決と一体の判断であり、おそらくこれ以上都議会でセクハラやじを共産党が追求するなら、この区会議員の発言を真正面から攻撃すると自民党に驚かされ、共産党は白旗を揚げ、東京都議会の人権侵害やじはこれ以上追求しない、中野区議は辞職させるので、これ以上共産党への攻撃をやめて欲しいということで屈服したと思われる。

問題発言は「死ね!」ではなく、「ヒキニート」を「ゴミ屑」と呼んだこと

  共産党の中野区の区議の発言は、議論としては非常に稚拙で不適切な発言ではあるが、議員辞任に該当するような案件かといえば違うと思われる。(ただこれは共産党の発表した文書からの判断)私のこの視点で共産党の今回の処置を徹底的に批判しようと思っていたが、この区議の生に発言を入手し、この発言なら微妙だなと思い始めている。
 この区議の発言の何が問題かをまず整理してみたい。この区議は以下のように発言している

赤旗新聞では
 その暴言とは、具体的には、集団的自衛権問題でのやりとりのなかで、「(集団的自衛権を行使すれば)他国との信頼関係は強まるし、働いていないヒキニートのゴミ屑が国の為に働けるんだぜ」などという相手にたいして「おまえこそ人間の屑だ。死ね!」と述べたものです。

すでに削除された、ツイッターでは
 「そう言いながら、自分は行かないで、「ヒキニート」みたいな「ゴミ屑」に行かせようとしているのだろう!おまえこそ人間の屑だ。死ね!何も罪のない民間人を殺す前に、お前が死ね!達者でな!さようなら!生きていたら、また会おうね。」と発言している。

 私は赤旗が主張する区議の発言内容が正確であれば、問題のある発言ではあるが、議員辞職する必要は基本的にないと思っている。この議員の発言は極めて稚拙ではある。これは子供の喧嘩でよく出てくる「アホいうものがアホや」の発言の一種であり、単に言い返しただけであり、この議員の発言によって、最初の発言者が傷つくという性格のものでは全くない。もし最初の発言者が傷つくのであれば、それは自分の発言が人を傷つけていることを理解し、今後このような発言をしないと考えるのが通常の常識である。

金子議員の真意はどこにあったのか

 この発言者は、金子氏に対して「働いてないヒキニート(ひきこもりニート)のゴミ屑が国の為に働けるんだぜ?」というコメントを送りつけている。つまり「引きニート」を「ゴミ屑」と語り「国の為に働けるんだぜ?」という意味は、「こんな奴は死んでもかまわない」と発言していると思われる。これに対して、金子氏が、「弱者を切り捨てて戦場にいかせろ」と言っている彼の発言に腹を立てて、「何も罪のない民間人を殺す前に、お前が死ね!」と相手側に返したことが問題になっている。
  相手側から極めて不見識な発言がなされ、これに冷静に対応すべきところを、感情的になって、「お前が『死ね』」と言われたからと言って、この発言で「人権侵害を受けた」とか「傷ついた」等の主張をする資格はない。これを認めれば悪質な者が弱者に対して悪辣な言葉を投げかけた場合、それに反撃するため、どのような言葉を主張したらよいのか思いつかない場合、苦し紛れに、お前のほうが「死ね」と言ったら、その時点で「アウト」というのは、おかしすぎる。(注1)

注1:この区議会議員が言った「おまえこそ死ね!」という発言は常識的に考えて相手側が物理
   的に死ぬことを求めたのではなく、「このような人権侵害発言をもうやめろ!」という意味であ
  る。
   このやりとりを報道した小倉智昭 17日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)で、小倉アナは
   「金子議員の気持ちわかりますよ。弱者を切り捨てて戦場にいかせろって言っているわけでし
   ょ」と、一般ユーザーの書き込みを否定するとともに、金子氏の考えに一定の理解を示したが
   これが常識的なみかたと思われる。

議員辞職に該当する発言か否かは区議会及び有権者が決めること

  赤旗の主張通りの発言なら、不適切な発言であり、全く思慮を書いた発言ではあるが、この発言に至った自分の思いや感情を説明することによって、有権者がそれを受け止めてくれれば、議員辞職する必要のない発言である。
 しかしこの議員の発言は、ツイッターがすでに見られなくなっているので真実は分からないが、そのコピーがインタネット上には掲載されている。
 その内容は上記の通りであるが、赤旗掲載と決定的に違うのは、「そう言いながら、自分は行かないで、『ヒキニート』みたいな『ゴミ屑』に行かせようとしているのだろう!」という部分である。
 最初の投稿者が、これらの人たちは「ゴミ屑」みたいな人間と言ったが、それを受けその立場を不用意に肯定した上で語っていることが、この区会議員の発言の問題点の中心である。「死ね!」と言われて、お前が「死ね!」は、たかだか子供の喧嘩の次元の話である。しかし「ヒキニート」みたいな「ゴミ屑」という評価は、明らかに共産党の方針に逸脱している。こここそが問題であり、これも相手に乗せられ不用意に発言したとも言えるが、「半分アウト」だと思っている。

そもそも議員辞職はどのような場合行われるのか

  自主的に議員辞職しなければならない問題とはどのような場合を指すのか、各政党によって判断が違う。自民党の場合、これは自民党として議員に迫る問題でなく、各議員が自分で責任をもって判断される問題だと常に主張している。これは自民党という政党が権力政党であり、国民を舐めているからだとも言えるが、議員と選挙民の関係と議員とその所属政党の関係のどちらを重視するのかの判断の違いでもある。
 今回の事例では、東京都議会で自民党は「人権侵害やじ」を飛ばした議員を会派から離脱させるだけで、議員辞職を求めなかった。これに対して共産党は中野区の「ツイッター発言」が、一般区民に知られていない間に、この議員に詰め腹を切らせた。お見事という対応の速さである。
しかし、国民はこれに本当に拍手喝采するであろうか。私は違うと思っている。議員の議員としての身分は、選挙民に選ばれて保証されているのである。この議員の不祥事を、どのような罰にするかは選挙民がその権限を第一義的に持っていると考える必要がある。(区議会の判断や選挙民の判断が重要である。)
 今回の場合も事実経過を選挙民の前にすべて明らかにし、その上での判断を仰ぐべきである。この議員が日頃どのような活動を行っているのか、こんご期待できるのか選挙民にまず問うことが必要である。

共産党は各級議員を自分の政党の「駒」としてみている

 共産党の大きな勘違いは、議員の資格を保証しているのは選挙民でなく、共産党である。と思っていることにある。共産党が議員にしてやっている、だからなにか不祥事を起こし、それが共産党に不利だと思ったら、その議員をすぐに切ってしまい、追求が共産党に及ぶことを避けようとする。
 この共産党の行為を自民党に比べたらずっと「清潔で潔い」、これで国民の支持が得られると思うのは共産党の独りよがりであり、国民の気分感情に合ってない。
 選挙民から見れば、「言葉は稚拙であったが、彼は社会的弱者の立場に立って、安倍内閣の戦争への道に反対する立場から発言した」という人もいると思う。ただ表現はまずかったが、反省して頂ければ、今後共応援したいという者もいると思われる。私が票を入れた議員を共産党の都合で簡単に切られたらたまったものではない。我々有権者がそれを判断する。我々に相談して欲しいという声があることを共産党は気づいていない。(議員後援会が個人後援会でないことも欠陥だ)

議員の出処進退は議員自身が決めること。(案外正しいのでは)

 自民党の無責任に見える発言「出処進退は個々の議員が決めるもの」が議会制民主主義制度を導入している状況下の議員と国民のあり方として正しいのではないかと思われる。国会議員でも地方議会でも一度当選した議席を党の都合で議席を剥ぎ取るということは、たいていの場合恨みが残り、共産党に対する反対勢力に追いやって行くのではないか。
 
  議員不祥事の有名な事件は、筆坂議員のセクハラ疑惑問題である。これで彼も議員を辞職したが、結局は納得していない。その後は共産党に対して敵対的な行動をとっている。古くは須藤五郎参議院議員が、部分的核拡散禁止条約賛成の発言をした祭、当時の宮本委員長が「役者がセリフを間違えた」と表現したが、個々の議員の主体性を認めず、各級議員をすべて共産党の駒としか見ていない思想性の表れである。
 どこかの宗教団体のボスが宗教団体に忠実であれば、「デェイジン」にしてやると発言したことがあるが、これと似通った考え方である。

区民の利益が優先されるべきであり、党の利益優先は国民の信頼を失う。

 政党は、自らの議員に対して他党派等の無責任な批判に対して、基本的には守るべきであるし、辞めさす場合、その理由をキチッと開示し、その本人が納得することが前提ではないか。
 今回の場合も、この議員の発言が赤旗の通りであるのなら、議員辞職の必要性はないと思われる。そうではなく、「ヒキニート」は「ゴミ屑」と発言していた場合は、十分反省し、その地域の支持者等と十分話し合い、どうしても理解が得られない場合、辞職も仕方がないのかと思われる。
 しかし共産党は党として議員を増やし、国民生活の改善に尽くすと約束したのだから、その約束をどのようにして守るのかを選挙民に説明しなければならない。この区の選挙民の利益より、この議員が党に在籍すれば党が打撃を受けるから首にしたでは、選挙民の納得は得られないであろう。(注2)

注2:18日赤旗:これが全国に拡散し、都議会での野次・暴言問題での日本共産党都議団の追
   及などと対比する形で、日本共産党が批判を受けていました。党として調査のうえ、議員本
   人に辞職を求めていました。