大阪ダブル選挙の結果は「国民連合政府」の提案を吹っ飛ばす程の激震であった。


平成25(2015)年11月29日


共産党は選挙戦術で大きな誤りを起こした。その総括が全くなされていない。

 大阪ダブル選挙は、「オール大阪」候補であった栗原貴子候補が維新の松井一郎氏にダブルスコアーで敗北するという歴史的な大敗北を期した。
 これに慌てた、日本共産党高槻島本地区常任委員会は「2大選挙(大阪府知事、大阪市長)で、敗北しました」という声明を2015年11月25日付け高槻・島本民報上で発表した。
  私はこの声明を見て、失礼ながら「吹き出した」、共産党はよほど慌てたなと思った。共産党の選挙総括で「敗北」を認めたのは、おそらく始めてであろう。(共産党の辞書には「敗北」という言葉はない。)この間の赤旗をひっくり返して共産党のダブル選挙の正式な総括を探したが、まとまった物は見つからなかった。(ここまでは先の記事でも書いた)
昨日、大阪民主新報(11月29日付)が配達されてきた。ここに大阪府委員会、明るい民主府政をつくる会の正式な総括文書が載っていた。まず驚いたのは、この二つの声明は、11月23日付で発表されている。高槻・島本地区常任委員会の声明は、25日付けであり、この二つの声明を読了後に出されたものであると思うが、その内容は、似ても似つかない全く別の声明になっている。(共産党もタガが緩み、上意下達でなくなったのか、それとも民主的な党運営が行われているのか、あるいは、地区常任委員会は大阪府委員会の声明も読まずに、出したのか、それとも府委員会の声明の趣旨を理解できずに、高槻・島本地区常任委員会の声明を出したのかは分からない。)
 以下高槻・島本地区常任委員会と如何に違うのか、大阪府委員会等の声明の要旨を引用したい。
 ●日本共産党大阪府常任委員会(2015年11月23日)
   まず選挙結果について「健闘しましたが、激戦を制することができませんでした」「わが党の
奮闘が『オール大阪』の勢力を励まし、信頼と共同を広げる大きな力になったことに誇りと確信
を持ってすすみましょう。」
   「選挙結果は、『維新政治』の継続を許すものになりましたが、府民・市民の利益と相容れな
い『維新政治』の矛盾の深刻化は避けられません。」
   「『維新政治』の危険性と合わせて真の大阪の改革の方向を訴えて、直面する参議院選挙
での躍進に全力をつくす決意です」

 というような声明を出しています。いつもと大体同じ「定番の声明」です。決して「敗北」などという弱音(敗北主義的思想)は見せていません。

●明るい民主大阪府をつくる会事務局長 前田 博史
               大阪をよくする会事務局長 福井 朗
                                                        2015年11月23日(声明)
    「くりはら貴子知事候補、柳本あきら市長候補のいずれもが敗北するという厳しく残念な結果
  になりました」「『ウソ』と『金権』『独裁』を持ちこむ民主主義破戒という『異質の危機』に終止符
  を打とうと『オール大阪』の共同の幅が広がりました。」
     「選挙の結果は、大阪の深刻なゆきづまり打開を願い、なお『維新』と『大阪都』構想に幻
  想を抱く府民が残されているということを示しています。」「橋下氏による・・・『身を切る改革』
  という名の詐欺的手法は、これらに乗じたものでした。」
      「今回きづかれたオール大阪を、さらに大きく広げるために力を尽くします。」

  私はこの二つの「声明」では「明るい会」の声明の方が好きです。「敗北」を認め、維新政治のどこに問題があるかを的確に批判し、今後とも頑張るという決意は爽やかです。
 大阪ダブル選挙での共産党の戦い方の最大の疑問は、「さよなら維新」であり、そのポスターを見ても可愛い子(イラスト)が喜んで手を振っています。このポスターを見て維新に対して「怒りも何も湧きません」何も訴える力のないポスターです。「維新と戦う」と共産党は言うけれど、「維新の何と戦うのか」一貫して明らかにできませんでした。この二つの声明を見ても、「明るい会」側は、維新の「嘘とペテン」あるいは「金権」「独裁」と戦うと戦う目標を明らかにしています。その具体化を行い府民に訴える必要があったのに、共産党がやったことは、「栗原さんや柳本さんの当選で府政・市政を変えようと」、候補者の押し出しを最優先していました。ここに共産党の選挙戦術の最大の誤りがあったと見ています。
  今日、11月29日付赤旗に京都市長選挙の記事が載っています。そこに候補者の決意が載っています。その内容は「『日本を絶対に戦争する国にさせない。憲法を守りたいとの思いで立候補を決意した』と強調。戦争法の具体化に命がけで反対し、平和憲法を守り生かすこと、原発再稼働を許さないと述べました。」と書かれています。
大阪ダブル選挙では全くなかった視点です。この辺が共産党の支持者を逃がした原因ではと思います。

共産党の歴史的敗北がどの程度ひどいか、数字で持って明らかにしたい。

 今回の選挙戦で、保守との共同を選んだ共産党は、昔、社・共共闘で、社会党という看板を借りて大きく成長した歴史がある。社・共共闘が発展すればするほど共産党は大きくなり、相対的に社会党は沈んでいった。社会党はそのことに気づき、「庇を貸して母屋を取られる」と言って、社・共共闘から社公民へと舵を切っていた。(そう単純な話ではないが、そういう側面もある)
 今回は、自民党という大看板を借りてさらに躍進を狙ったのが今回の大阪ダブル選挙であったが、社・共共闘とは全く違った結果が出た。社・共共闘の場合は、社会党の基礎票と共産党の基礎票を上回る無党派人々の共感が大きく寄せられ、1+1=2でなく3にも4にもなるということを実践的に明らかにされてきた。
 しかし、今回の選挙結果は自民党と共産党の共闘は、それぞれの基礎票を減らし、足し算どころが引き算になることを証明した。ここが今回の大阪ダブル選挙の最大の教訓である。以下具体的数字で見ていきたい。

1.大阪府知事選挙開票結果(大阪市と堺市を除く・・・前回との比較)  


栗原貴子
松井一郎
その他

今回
前回(梅田)
前回(前田)
今回
前回
今回
前回

得票数
得票率
得票数
  率
得票数
  率
得票数
  率
得票数
  率
得票数
  率
得票数
  率
吹田市
44597
33.69
18463
12.31
51105
34.07
83514
63.08
77921
51.95
4279
3.23
2515
1.68
摂津市
7963
30.07
3166
10.38
9302
30.50
17839
67.36
17258
56.58
681
2.57
777
2.55
豊中市
44948
32.96
12508
7.77
61906
38.47
87898
64.45
83503
51.90
3529
2.59
2988
1.86
茨木市
28509
31.12
9480
8.70
36815
33.79
60353
65.88
60571
55.59
27.50
3.09
2095
1.92
箕面市
14988
36.70
3466
6.17
23116
41.13
32502
66.57
28788
51.24
1333
2.73
822
1.46
池田市
13358
37.15
2862
5.75
28695
57.69
22613
66.18
17704
35。60
1006
2.68
476
お。96
豊能町
3199
31.52
716
5.82
5259
42.72
6684
65.85
6124
49.75
267
2.63
210
1.71
能勢町
1765
41.85
350
6.65
3076
58.45
2354
55.82
1761
33.46
98
2.32
76
1.44
高槻市
40766
31.81
12899
8.75
50356
34.16
84217
65.71
80542
54.64
3177
2.48
3610
2.45
島本町
4108
33.45
1404
10.07
4913
35.24
7781
63.53
7387
52.98
379
3.09
238
1.71
枚方市
44072
31.48
14378
9.15
50470
32.24
92588
66.13
88346
56.42
3354
2.40
3370
2.15
交野市
10393
33.38
2859
8.73
11840
36.17
18351
62.48
17531
53.55
628
2.14
596
1.55
守口市
13929
28.42
4785
8.33
17216
29.97
34067
69.51
34499
60.07
1016
2.07
935
1.63
門真市
10572
37.24
3886
8.74
13143
29.58
27460
76.76
26003
58.52
775
2.00
1405
3.16
寝屋川
24871
30.27
8887
9.56
29153
31.37
55176
67.14
52073
56.04
2131
2.59
2808
3.02
大東市
11406
28.97
3996
8.68
14083
30.58
26929
68.39
26978
58.59
1038
2.64
991
2.15
四條畷
5195
29.64
1799
8.51
6359
30.10
11893
67.85
12532
59.31
441
2.52
438
2.97
東大阪
45598
30.52
18224
10.54
48792
28.21
100153
67.03
101575
58.72
3675
2.45
4392
2.54
八尾市
27141
29.51
9678
9.19
29049
27.59
62634
68.10
64410
61.17
2193
2.38
2165
2.06
柏原市
7512
30.27
2505
8.84
8259
29.15
16651
67.09
16916
58.71
656
2.64
648
2.29
松原市
13279
32.46
5140
16.89
13827
29.29
26760
65.41
26910
57.00
874
2.14
1333
2.82
藤井寺
7467
32.43
2351
8.96
8962
34.15
15036
65.30
14381
54.79
522
2.27
552
2.10
羽曳野
13630
33.13
4807
10.03
15571
32.50
26449
64.29
26413
55.13
1059
2.57
1120
2.34
富田林
13890
34.21
4727
10.12
16169
34.60
25694
63.29
24667
52.79
1019
2.51
1164
2.49
河内長
12803
30.77
4648
9.43
14625
29.66
27954
67.18
26918
58.66
855
2.05
1110
2.25
狭山市
6753
32.47
2129
8.93
7655
32.12
13661
65.68
13547
56,84
386
1.86
594
2.11
太子町
1746
34.23
553
9.24
1958
32.73
3248
63.67
3353
56.04
107
2.10
119
1.99
河南町
2011
32.79
626
8.96
2341
33.52
3971
64,75
3862
55.30
151
2.46
155
2.22
赤坂村
925
35.98
322
10.96
1034
35.19
1595
62.04
1508
51.33
51
1.98
74
2.52
高石市
6330
28.89
1890
7.38
7827
30.55
15026
68.58
15462
59.96
555
2.53
541
2.11
和泉市
21053
30.26
5203
7.68
20445
30.20
46623
67,00
40069
59.18
1907
2.74
1989
2.94
泉大津
6775
28.21
2851
10.26
7476
26.91
16721
69.62
16819
60.58
522
2.17
640
2.30
忠岡町
1668
28.57
799
11.76
1463
27.41
4050
69.36
4015
59.08
121
2.07
119
1.75
岸和田
18557
30.76
7982
11.50
18828
27.13
40588
67.28
40736
58.69
1184
1.96
1864
2.69
貝塚市
7998
28.26
2468
7..98
8876
28.70
19811
70.00
18854
60.97
493
1.74
725
2.34
泉佐野
7971
27.27
2333
6.81
9060
26.44
20600
70.47
21985
64.15
660
2.26
894
2.61
熊取町
4625
29.88
1566
8.84
5484
36.94
10487
67.75
10362
58.47
366
2.36
310
1.75
田尻町
1324
32.04
459
11.28
1165
26.64
2662
64.42
2236
54.97
146
2.53
208
5.11
泉南町
3789
29.32
1997
8.83
6410
28.33
13523
68.50
13675
60.44
430
2.18
543
2.40
阪南町
5988
29.55
1606
7.04
6719
29.44
13860
68.40
13900
60.99
414
2.04
598
2.62
岬町
2368
31.56
620
7.40
2640
31.51
4982
66.54
4918
58.71
142
1.90
199
2.38
合計
568435
31.25
191388
9.16
681836
32.56
1204957
66.25
1168912
55.97
45371
2.49
46226
2.21

 この結果を、少し編集して、自・共の共闘が成果を見てみたい。


栗原貴子
倉田+梅田



反維新票@
栗原ー@
栗原ー倉田



今回
前回(梅田)
前回(倉田)




得票数
得票率
得票数
  率
得票数
  率
票数
票数  
票数





吹田市
44597
33.69
18463
12.31
51105
34.07
69568
ー24971
ー6508





摂津市
7963
30.07
3166
10.38
9302
30.50
12468
ー4505
ー1339





豊中市
44948
32.96
12508
7.77
61906
38.47
74414
ー29466
ー16958





茨木市
28509
31.12
9480
8.70
36815
33.79
46295
ー17786
ー8306





箕面市
14988
36.70
3466
6.17
23116
41.13
26576
ー11588
ー8122





池田市
13358
37.15
2862
5.75
28695
57.69
31557
ー17599
ー14737





豊能町
3199
31.52
716
5.82
5259
42.72
5975
ー2776
ー2060





能勢町
1765
41.85
350
6.65
3076
58.45
3426
ー1661
ー1311





高槻市
40766
31.81
12899
8.75
50356
34.16
63255
ー22489
ー9590





島本町
4108
33.45
1404
10.07
4913
35.24
6317
ー2209
ー805





枚方市
44072
31.48
14378
9.15
50470
32.24
64848
ー20776
ー6398





交野市
10393
33.38
2859
8.73
11840
36.17
14699
ー4306
ー1447





守口市
13929
28.42
4785
8.33
17216
29.97
22001
ー8072
ー3287





門真市
10572
37.24
3886
8.74
13143
29.58
17029
ー6457
ー2571





寝屋川
24871
30.27
8887
9.56
29153
31.37
38040
ー13169
ー4282





大東市
11406
28.97
3996
8.68
14083
30.58
18079
ー6673
ー2677





四條畷
5195
29.64
1799
8.51
6359
30.10
8158
ー2963
ー1164





東大阪
45598
30.52
18224
10.54
48792
28.21
67016
ー21418
ー3194





八尾市
27141
29.51
9678
9.19
29049
27.59
38727
ー11586
ー1908





柏原市
7512
30.27
2505
8.84
8259
29.15
10764
ー3252
ー747





松原市
13279
32.46
5140
16.89
13827
29.29
18967
ー5688
ー548





藤井寺
7467
32.43
2351
8.96
8962
34.15
11313
ー3846
ー1495





羽曳野
13630
33.13
4807
10.03
15571
32.50
20378
ー6748
ー1941





富田林
13890
34.21
4727
10.12
16169
34.60
20896
ー7006
ー2279





河内長
12803
30.77
4648
9.43
14625
29.66
19273
ー6470
ー1822





狭山市
6753
32.47
2129
8.93
7655
32.12
9784
ー3031
ー902





太子町
1746
34.23
553
9.24
1958
32.73
2511
ー765
ー212





河南町
2011
32.79
626
8.96
2341
33.52
2967
ー956
ー330





赤坂村
925
35.98
322
10.96
1034
35.19
1356
ー431
ー109





高石市
6330
28.89
1890
7.38
7827
30.55
9717
ー3387
ー1497





和泉市
21053
30.26
5203
7.68
20445
30.20
25648
ー4595
608





泉大津
6775
28.21
2851
10.26
7476
26.91
10327
ー3552
ー701





忠岡町
1668
28.57
799
11.76
1463
27.41
2662
ー994
ー195





岸和田
18557
30.76
7982
11.50
18828
27.13
26810
ー8253
ー271





貝塚市
7998
28.26
2468
7..98
8876
28.70
11344
ー3346
ー878





泉佐野
7971
27.27
2333
6.81
9060
26.44
11393
ー3422
ー1089





熊取町
4625
29.88
1566
8.84
5484
36.94
7050
ー2425
ー859





田尻町
1324
32.04
459
11.28
1165
26.64
1624
ー300
159





泉南町
3789
29.32
1997
8.83
6410
28.33
8407
ー2618
ー621





阪南町
5988
29.55
1606
7.04
6719
29.44
8325
ー2337
ー731





岬町
2368
31.56
620
7.40
2640
31.51
3260
ー897
ー277





合計
568435
31.25
191388
9.16
681836
32.56
873224
ー304789
ー113401






   この表を見れば明らかな様に、オール大阪の栗原候補は、4年前の倉田候補(民主党支援・自民党支持)の票数にも及ばず(マイナス113401票)倉田候補と梅田候補(共産党推薦)を足せばマイナス304789票も後退しているのである。(これは大阪府下全域でなく、衛星都市41市町村に限った数字である)
 このことは何を意味しているのか、自民党と共産党の共闘は、共産党が期待したような相乗効果は現れず、逆にマイナスになるということを示してしまった。
 より具体的に見れば、倉田候補と梅田候補たした数字よりも今回の栗原候補が優った市町村は、和泉市(608票)と田尻町(159票)しかない。
 
 例えば、高槻市を例に取れば、
高槻市
40766
31.81
12899
8.75
50356
34.16
63255
ー22489
ー9590
 前回の選挙では倉田氏が50356票取り、梅田候補が12899票取っている。前回の倉田候補はは自+民であったが今回の栗原候補は自+民+共が共闘したのだから、前回の獲得(票反維新の合計)63255票より多くの票を獲得するつもりであったが、実際には前回の反維新票より22489票もマイナスになってしまった。栗原氏の得票40766票は前回の倉田氏の50356票に比べても9590票マイナスになっている。
   このことは何を意味しているのか、自・共の共闘(正式には「勝手連的支援」であったが、共産党は自民党批判を封印して実質共闘へと走ってしまった。)というおかしさを有権者は受け付けなかった。自民党にも共産党にもプラにならなかった事を選挙結果は現している。
  この結果は共産党が提唱している「国民連合政府」の提案が、そう簡単に成果を上げない可能性があることを示した。確かに「国民連合政府」は野党共闘であるから、その成果は違うかもしれないが、民主党等は自民党よりも保守的な議員も多く、今回の結果を見て共産党との共闘に尻込みする議員が増えるのではないかと思われる。
  現にインターネット等の議論を見ていると、「共産党は組織政党であるから、自派の票をまとめその票を差し出してくれたら良いのだが、前面に出られてしまうと、逆に票が逃げてしまう」という論議がなされている。

共産党の「国民連合政権」成否の鍵は、北海道5区の補欠選挙である。

 今回大阪ダブル選挙は、自・共の共闘が、国民から支持を受けないことを証明した。次に戦われる北海道5区の町村議員死去に伴う補選(来年4月24日に投開票)になると思われる。これで成果がでなければ、この「国民連合政府」完全に政治的に死滅するであろう。自民党は、町村前議員の娘婿を擁立することを決めている。共産党は、既に決まった候補者を降ろしても、野党共闘の選挙として戦う事を民主党に働きかけているらしい。(注1)

注1:毎日新聞 2015年11月26日 19時50分
   共産党の志位和夫委員長は26日の記者会見で、来年4月24日に投開票される衆院北海道
  5区の補欠選挙で、民主党などと選挙協力できる場合、共産党候補の立候補を取り下げる考
  えを示した。
 
 ●北海道5区の選挙は、2014年の衆議院選挙の結果は
    当選★町村 信孝氏 自民             131,394票(50.9%)
        ★勝部 賢志氏 民主(党同幹事長)    94,975 票(36.8%)
        ★鈴木 龍次氏 共産新(党道委員)    31,523 票(12.2%)
 となっている。
  民主と共産を合わせれば、126498票であり、ほぼ町村前議員と拮抗している。知名度抜群の町村氏に対して、もう少しの数である。これが、野党5党が推薦で1本化すれば、まだ知名度の無い町村氏娘婿の候補に対しても、十分勝てる可能性がある。もともと、北海道は民主党が強く、野党が強い地域であり勝ち目は十分ある。
  この選挙で野党統一候補が勝てれば、来年夏の参議院選挙で、野党統一候補を立てて、自公政権に立ち向かう「国民連合政権」の具体化が進むであろう。しかしその前提は、大阪ダブル選挙での敗北の総括をしっかり行う事が前提となる。
共産党はおそらく、社・共共闘のイメージしかなく、保守との共同での選挙戦のイメージを持っていなかったのではと思われる。どうすれば相乗効果が出るかの科学的分析無しに、闇雲に栗原候補や柳本候補をあたかも共産党の候補者のようなビラを出し、押し出しをはかる事が、選挙戦を有利に展開できると見ていたと思われる。
しかし。この手法は全く逆にはたらいた、自民党支持の保守的な人は、共産党が前面に出ていることに嫌気を感じ、同じ保守である維新を選んでしまった。共産党の支持者も、共産党を信じて支持してきたのに、なんで自民党候補を担ぐのか、どうしても気持ちが整理できず、棄権をしたり、他候補に入れた人が相当いる。(マスコミの出口調査では維新の支持者は97%維新の候補者に投票したのに、共産党の支持者は栗原候補者に74%しか投票しなかった。)
これは保守との共同が成功しなかった事を現している。

共産党高槻・島本民報は「敗北」を認めたが言い訳を行っている

 高槻・島本民報には、「なお、高槻市と島本町の得票率は大阪の衛星都市より、少し高い数字でした」とあたかも高槻・島本地区は、大阪ダブル選挙は「敗北」したが、我々は頑張ったという趣旨を書いているが、これは大きな誤りである。共産党単独の候補の得票数が増えた時は威張れるが、自民党の候補者が得た得票数が他の衛星都市より少しばかり多いからと言って自慢するのは全くの筋違いである。(この点はすでに批判したが、選挙結果の数字が出たので数字でその誤りを証明する。)
  栗原氏の得票順位 
  倉田氏(自・民支持)の
    得票順位
 梅田市(共産推薦)の
    得票順位  
順位
市町村名
得票率
順位
市町村名
得票率
順位
市町村名
得票率
能勢町
41.85%
能勢町
58.45%
吹田市
13.31%
池田市
37.15%
池田市
57.69%
忠岡町
11.76%
千早赤坂村
35.98%
豊能町
42.72%
岸和田市
11.50%
交野市
35.38%
箕面市
41.31%
田尻町
11.28%
太子町
34.23%
豊中市
38.47%
千早赤阪
10.96%
富田林市
34、21%
交野市
36.17%
松原市
10.86%
吹田市
33.69%
島本町
35.24%
東大阪市
10.54%
島本町
33.49%
千早赤阪村
35.19%
摂津市
10.34%
羽曳野市
33.31%
富田林市
34.60%
泉大津市
10.26%
10
豊中市
32.96%
10
高槻市
34.16%
10
富田林市
10.12%
11
河南町
32.96%
11
藤井寺市
34.15%
11
島本町
10.07%
12
大阪狭山市
32.47%
12
吹田市
34.07%
12
羽曳野市
10.03%
13
松原市
32.46%
13
茨木市
33.79%
13
寝屋川市
9.56%
14
藤井寺市
32.43%
14
河南町
33.52%
14
河内長野
9.43%
15
田尻町
32.04%
15
太子町
32、73%
15
太子町
9.24%
16
高槻市
31.81%
16
羽曳野市
32.50%
16
八尾市
9.19%
17
岬町
32.04%
17
枚方市
32.24%
17
枚方市
9.18%
18
豊能町
31.52%
18
大阪狭山市
32.12%
18
河南町
8.96%
19
枚方市
31、48%
19
岬町
31.51%
19
藤井寺市
8.96%
20
茨木市
31.12%
20
寝屋川市
31.37%
20
大阪狭山
8.93%
21
河内長野市
30.77%
21
熊取町
30.94%
21
柏原市
8.84%
22
岸和田市
30.76%
22
大東市
30.58%
22
熊取町
8、84%
23
箕面市
30.70%
23
高石市
30.55%
23
泉南市
8.83%
24
東大阪市
30.52%
24
摂津市
30.50%
24
高槻市
8.75%
25
柏原市
30、27%
25
和泉市
30.20%
25
門真市
8.74%
26
寝屋川市
30.27%
26
四條畷市
30.10%
26
交野市
8.73%
27
和泉市
30.26%
27
守口市
29.97%
27
茨木市
8.70%
28
摂津市
30.07%
28
河内長野市
29.96%
28
大東市
8.68%
29
熊取町
29.88%
29
門真市
29.58%
29
四條畷市
8.51%
30
四條畷市
29、64%
30
阪南町
29.44%
30
守口市
8.33%
31
阪南市
29.55%
31
松原市
29.29%
31
貝塚市
7.98%
32
八尾市
29.51%
32
柏原市
29.15%
32
豊中市
7.77%
33
泉南市
29、32%
33
貝塚市
28.70%
33
和泉市
7.68%
34
大東市
28.97%
34
田尻町
28.64%
34
岬町
7.40%
35
高石市
28、89%
35
泉南市
28.33%
35
高石市
7.30%
36
忠岡町
28.57%
36
東大阪市
28.21%
36
阪南市
7.04%
37
守口市
28.42%
37
八尾市
27.59%
37
泉佐野市
6.81%
38
貝塚市
28.26%
38
忠岡町
27.41%
38
能勢町
6.65%
39
泉大津市
28.21%
39
岸和田市
27.13%
39
箕面市
6.17%
40
泉佐野市
27.27%
40
泉大津市
26.91%
40
豊能町
5.82%
41
門真市
27.24%
41
泉佐野市
26.44%
41
池田市
5.75%

 この表を見てもらえば明らかであるが、前回選挙で、梅田候補(共産党推薦)の得票が最下位であった池田市(5.75%)が今回の栗原氏の得票で2位にあたる投票率(37.15%)を得ている。同じく前回後ろから4番目の能勢町(6.65%)は今回1位(41.85%)である。
 ところが、倉田氏(民主支援・自民党支持)の得票率の順位と比較すると、能勢町(58.45%)で一位であり、池田市は57.69%で二位である。今回の栗原候補の得票率順と一致している。
  高槻。島本民報は、「栗原候補の高槻市での得票率が今回16位(31.81%)だから健闘した。なぜなら前回の梅田候補は24位(8.75%)だったから」と主張するが、橋下市長ばりの嘘であり、これは倉田候補の力が10位(34.16%)によるところが大きい。
 注目すべきは、「高槻市は健闘した」というが、16位(31.81%)は、前回の倉田候補10位(34.16%)にも劣っており、「共産党の票はどこへ消えたのか」を心配すべきである。結果は明らかに保守との共同路線が失敗したことを示している。
 府会議員の選挙戦のビラが、「栗原候補になれば、府政改革ができ、市民の生活が楽になる」というような宣伝が、橋下氏以上の詭弁であると市民は見抜いたのである。この総括をしっかり行わない限り、大阪では共産党は絶対に勝てないと私は見ている。

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