日本共産党第26回大会決議案批判(第4回)


平成25(2013)年11月30日

 
 決議案批判第4弾である。決議案の章ごとに批判を書いているので重複していたり、論理の一貫性に欠けるかもしれないが、すべて書ききってからもう一度点検したいと思っています。その点を了解の上で読んでください。


目標は最低目標を掲げるのでなく最高目標を掲げるべき

(21)来るべき国政選挙で党躍進をかちとる意義と目標について
  「“第3の躍進”を本格的な流れにするためには、どの自治体・行政区でも「10%以上の得票率」を獲得できる党へと接近し、「21世紀の早い時期に民主連合政府を樹立する」という目標への展望を開くものとなる。」と書いているが、私は最低限の目標として10%を掲げることは正しいが、先進県では例えば20%を目標にするとかもっと最大値の目標設定を行うべきである。そうでないと10%を超えたところは安心し、それ以上の目標獲得に向けて力を発揮することができない。

民主連合政府を実現するための必須条件は何かを示すべき

  民主連合政権を実現するためには、最低限共産党の得票数が何%必要であり、また議員定数の何割を占めることが最低限必要かの一定の目安を語るべきである。そうでないと社会党(社民党)のように連合を組む中で政党が没落することも考えられる。
  選挙の獲得目標が「650万票、10%以上」で、比例区優先では心持たない。政権を取る政党は小選挙区制選挙で勝ち抜く議員を相当数持たない限り実現しない。当面の目標として「650万票、10%以上」、比例区優先は成り立っても、長期的には選挙区選挙で勝つ体制づくりをしなければならない。そのために必要なことは赤旗拡大ではなく、政治家を育てることである。
  松下政経塾が大量の政治家を育てている。この経験に学び共産党も政治家を育てない限り選挙には勝てない。先の衆議院選挙大阪10区の候補者は、その肩書きが「党専従」であった。(注1)このような戦い方では絶対に勝てない。同じ選挙区の辻本清美は、選挙が終わっても引き続き地元に入っている。地元のありとあらゆる行事に参加している。(例えば、地域の公民館のお祭りでも顔を出している。)それに対して同じ選挙区の共産党の候補者であったA氏は選挙が終わると市民の前に一切顔を出さない。(この戦い方の違いを学ばない限り選挙区選挙で勝利はできない)

注1:選挙戦で肩書きが「党専従」で勝てると思っているところに共産党の甘さがある。この肩書きを見て票を入
   れようと思う人はいない。国民の生活と全く関係の無い肩書きである。(最も最初から勝つことを考えていない
   のかも知れない。ささやかな抵抗かも?)

共産党が躍進するためには、共産党に対する忌避意識の克服の戦いが必要である

 私は、日本の政党のなかで公明党と共産党は、国民のなかでここだけは得票したくない政党のトップに位置づけられていることに注目している。(いわゆる忌避意識だ)。共産党はこの忌避意識がどこから来ているのかを分析し、それの克服を行わない限り共産党の得票率は伸びないと見ている。現状では公明党は最大頑張っても30%の枠は突破できない、共産党は25%の壁を突破できないと思っている。(東京都議会選挙の総括参照)
  どこかでモデル県とかモデル市を作り、25%以上の獲得を達成させる運動に取り組み、(当面は20%でも良い)なぜ25%の壁が突破できないのか、その分析を行うべきだと思っている。

忌避意識の原因は「反共攻撃」にあるのでは無く、共産党の体質の中にある

 例えば公明党は特定の宗教団体がバックにいる、この宗教団体を好まない者は公明党アレルギーがある。このことは当然だと公明党支持者以外の人は思っている。
 共産党も、社会主義社会(共産党は社会主義を目指している国と言っているが)これらの国の問題点を国民はよく知っており、日本も共産党が権力を取れば、「これらの国々と同じ運営が行われる」と考え拒否している。
 共産党は最近、これらの国は社会主義国ではなく社会主義を目指している国であって、経済力が弱いためこの事業が必ずしも成功するとは限らない。しかし日本は高度に発達した資本主義国であり、その成果をすべて受け継ぐから、日本の社会主義は、生活は豊かになり、自由や民主主義が保証された社会になると宣伝している。
  しかし、この共産党の主張は社会的に受け入れられているであろうか、多くの人は、今の中国等を見て、社会主義日本はあのような国になるのではと思っている。
  共産党は、これは「反共攻撃」が行われているから、国民は真実が見えなくなっていると説明するが、はたして国民はそんなに馬鹿であろうか。私は違うと思っている。
  なぜ、国民が中国と同じ国になると思うのか、その最大の原因は共産党の体質にある。開かれた国民政党に脱皮できず、現在社会主義を目指していると言われる国々の政党(共産党)と同じ組織原則(民主集中制)を引いているからである。
  この組織は軍隊と同じ組織原則であり、暴力革命を想定した組織原則であって、現在の共産党が議会を通じた革命を目指す限りにおいては、この組織形態を変えない限り国民から信頼されない。
  この民主集中制という組織形態は、組織として非効率的であり、上部組織からの命令だけが動脈として働き、下部からの意見が重視されず、組織の活性化が行われず、たとえ能力のあっても意見の異なる者は登用されていかず、サラリーマン社会でいう「ヒラメ職員」の集まりになる。幹部に取ってはこれほど便利な組織はない、しかしそのためにこの組織形態は必ず腐敗する。中国の共産党幹部の腐敗・堕落の蔓延を見れば明らかだ。
  この私の指摘に対してまたもや「反共攻撃」と反発すると思われるが、そうではなく批判される実態が共産党にあることを気づくべきだ。
  例えば、私は3.11直後に行われた一斉地方選挙に対して、共産党に様々な提案を行った。その主要な問題は「安全優先の原子力政策」という主張は、関西電力のスローガンと同じであり、何ら原発推進派と闘っていない。共産党は「原発反対」を掲げるべきだ。また大坂ダブル選挙では、大阪維新の会と真正面から闘うべきであって、共産党の掲げた「安心・安全・やさしい大阪」は維新と全く切り結んでいない。このスローガンは、警察の安全協会のスローガンと全く変わらないと批判してきた。(15通の「意見書」参照)
 共産党は、これら私の提言(批判)に対して全く答えず無視し続けた。私は大阪府委員会に15通の「意見書」をだし、回答できなくても、この書類を受け取ったという返事が欲しいと再三お願いしたがそれも無視した。(これが本当に国民開かれた政党と言えるのか、疑問である)このすがたこそが、社会主義を目指している国の共産党とオーバラップして見えるのである。
  私ごとで恐縮だが、私はこの共産党の態度を見て、このサイトを立ち上げた、共産党が私に謝るまで、この共産党の態度を追求していく。共産党がこの一連の経過を検証し、誤りがあったと認めれば、共産党は国民政党として脱皮したことになるが、おそらくそれはないと思っている。ただそのことを行わなければ今後の発展が無いと気がつけば事態は変わると思うが、今の共産党にはそれは望めない。(国民はこのことを知っており共産党だけは支持できなと判断していると私は思っている。)

民主集中制は、ヒラメ社員の集まりで、脱個性、個々の党員の能力が伸びない

 共産党に個性がない、人間味が見られない、その弱点を高槻市の共産党幹部は3.11後の一斉地方選挙で堂々と我々に見せてくれた。市会議員5人の立候補者のポスターは全て同じデザイン、同じ文言、違うのは顔写真だけであった。(党の指示に従う忠実な下僕というイメージ)。公明党はこのような馬鹿な真似はしていない。彼らの方が近代政党として進化している。
 共産党の政策は一つなのだから同じでなぜ悪いと思っているところに、共産党の政治音痴なところがある。同じ政党でも、「私はこの分野の専門家ですよ」という押し出しが必要なのである。昔は中選挙区制であったから、一選挙区で自民党の候補者は複数当選したが、選挙民は同じ自民党でも、自分にあった候補者を選んでいる。「市会議員選挙は複数の当選者が出る。ここで完全な地域割を行い、選挙を闘うのだから、個性は全く必要ない。」というのが共産党の主張だと思うが、投票する側は政党で選ぶものと人物で選ぶものがほぼ半々に存在する。共産党の戦い方は人物で選ぶものを最初から対象にしていない、他の政党に比べ、二分の一の市場(選挙民)で戦っている。負けるのは当たり前である。市会議員に立候補する以上、「自分の主張」がなければならない。私は党の方針に沿って党の決定通り手を挙げます。(これではロボット(投票マシーン)と変わり無い)私(候補者)は、この問題を市会議員になったら積極的に取り組みたいという訴えのできない限り魅力がない。

共産党は10%の壁が乗り越えられないのは、選挙戦術が誤っているから

  共産党が10%壁をなかなか越えられない、これは赤旗の拡大が進まないからではなく、選挙戦術が根本的に間違っているからである。
  大雑把に上げると、人(候補者)と人(選挙民)のつながり、という概念が全くない。選挙民は自分たちの政治家を育てるという意識がある。同時にあの先生に世話になっているという意識もある。私の話は常に卑近な話を出して説明する傾向があるが、最近の事例で言えば、中国でカバンの中に麻薬を入れていて捕まった議員がいるが、テレビで地元の声を流していたが、「あの先生は私たちのためによくやってくれる」という評価が流されていた。つまり地元住民にこう思われるようにならないと選挙は勝てないのである。
  共産党の選挙の最大の誤りは、候補者本人が戦うのでなく、周りの党員が赤旗を増やしビラをまき、支持者の拡大をしているが、候補者と国民の繋がりは薄く、国民の前にその人の人物像を示しきれていないのである。

とんでもない議員が現れたが、彼は大きな問題を引き出した

  これも卑近な事例であるが、最近共産党の市会議員がカンパを強制されるから、生活ができないと共産党に離党届と会派離脱届けを出した議員がいる。これも党は貴方の議員という資格は党が勝ち取ったもの、貴方の能力で勝ち取ったものではない。だからさだめられたカンパを出すべきだと主張している。しかも最後の殺し文句が「党の議員としての役割を果たしてほしい」である。ここに共産党の議員に対する考え方の誤りが如実に示されている。「議員は党の為に働くのではなく、国民(市民)の為にはたらくのである」(議員を党の道具のように捉える考え方は国民の支持を得られない。)注2

注2:2013年11月14日読売新聞によると、相模原市会議員団(4人)の大田氏が「年間約300万円も上納させられ、
   子どもができて生活が厳しいので決断した」と伝えている。(年収は1090万)。それに対する共産党の菅野副
   委員長は、「個人ではなく党として取り組んだ選挙で当選した以上、党の議員としての役目を果たしてほし
   い。」と答えている。

後援会を個人後援会にせず、党の後援会にすることが最大の誤り

  党の後援会は赤旗の読者会で十分である。(赤旗読者の集まりを行えば良い)選挙には選挙戦という独自の戦いがある。候補者を前面に立てない共産党の戦い方では選挙戦は全く不利である。(共産党は嫌いだが、この人は好きという支持者も大切。個人の魅力・活躍を前面に出すべき。ところが残念なことに現状では政治家が育たず魅力のある人間が乏しい。よって個人の魅力を前面に出せない・・・悪循環である)
その弱点が一番出ているのが、後援会活動である。候補者個人の後援会でなく、共産党の後援会である。この仕組みを変えない限り、候補者と国民の繋がりは前進しない。
 次に、候補者のやる気を示せていない。これもポスター全て一緒というのは、候補者が自分のポスターに何ら関与していないということだ。さらにビラも候補者独自のビラがなく、全て共産党のビラである。例えば他の政党の候補者のビラは、「私はこれを解決します。」「私にこれをやらせて下さい。」と主語(候補者)がビラの中に存在している。
 一般国民から見て、あの人を議会に送らなければという意識が湧いてこない、べつに同じことを言っているのだから、この人を議会に送る必要がないと判断されてしまう。共産党が躍進するためには選挙戦術の根本的見直しが必要である。

民主連合政府を作る為には、「忌避意識」の克服が必須条件

  共産党が躍進できない根本的原因は、忌避意識の中にある。この忌避意識の中身は「反共攻撃」にあるにではなく、共産党の持っている政党としての体質の中にある。なぜ共産党と公明党が嫌われるのか、それは「党の方針がどこで決まるか」というところに最大の問題がある。
  多くの国民がソ連や中国の共産党と日本の共産党が同じだと思うのはその政党の組織原則が同じだからである。(名前が同じだからではない)この問題を放置したまま共産党が25%の壁を越えることはできないと思っている。共産党にとっては党の組織原則「民主集中制」を放棄するのは、武装解除に等しく、絶対に譲れないところではあるが、私は共産党が党の組織原則である「民主集中制」を放棄しない限り、民主連合政府は実現できないと思っている。
  統一戦線を組む相手の政党が、共産党の決定が一部党官僚によって決まるスタイルなら連合を組まないと思っている。
  一部党官僚によって決まるといえば、まさに「反共攻撃」と言われるであろうが、現在の中国問題の位置づけ「社会主義を目指している国」と本当に思っている党員はすくないであろう。タカジンのそこまで言って委員会で、小池副委員長は秘密保護法案の危険性を説明したが、レギュラーパネリストの金美齢氏が、「中国の方がもっとひどい(国民を弾圧している)」とツッコミを入れた際、小池氏は「中国がダメなことは皆さん共通認識があるだろう、私たちもあの国を評価していない。だから中国を例に出して攻撃するのは、やめてくれ」という趣旨のことを、含み笑いをしながら主張した。(共産党もそのことは分かっていると)
 中国問題は、不破さんの個人的思いが強いように思われる。(中国が不破さんの研究成果を評価してくれる・・・さかのぼって言えばルーマニアも宮本委員長の個人的思いが強かったように思える)こんなことをしている限り、共産党は25%の壁は絶対に越えられない。

「選挙革命」の核は何か?「革命」という言葉は劇的な変化を表す

(23)結びつきを活かして選挙戦をたたかう方針―「選挙革命」を発展させる
  ここでは常に「マイ名簿」が出てくるが、マイ名簿を通じた選挙戦は、共産党の主軸にはなりえない。これは所詮落ち穂拾い的運動である。共産党の勝利を保証する最大の鍵は、「二つの敵」と戦う中で勝ち取られる。原発反対運動や秘密保護法反対の高まりに見られるように国民は安倍内閣が推し進める「戦争ができる国づくり」に必ずしも共鳴していない。戦争を求める国民より、平和を求める国民が圧倒的に多いのは明らかである。
  問題は。共産党がこれら反動勢力の国家戦力に有効な戦いを組織出来ていないところにある。赤旗拡大の指令は出すが、秘密保護法反対の戦いは、相当遅れてしまった。何回も述べているが、我が高槻の市会議員団の配ったビラは9月から10月にかけて消費税値上げ反対ビラ5枚連続であり、秘密保護法は全くの無関心であった。府会議員が配ったビラも、秘密保護法案の審議が最高の山場に来ている時に少人数学級のビラであった。
  この政治的な全くのピンとハズレが、大衆運動も組織できない共産党になってしまっている。このことが共産との発展を妨げている最大の原因である。共産党が勝利する保証は、共産党が「悪政」と真正面から戦った時のみである。この原則を放棄し、「マイ名簿」なる党員の個人的つながりに求める「選挙革命」の方針は、共産党をダメにする最大の誤った方針である。この方針では10%の壁は絶対に破れない。所詮は党員の周りにいる人に無理やり支持を訴え、人間的関わりから、票を入れてもらうという、非常に不確かな支持でしか共産党が成立しない、砂上の楼閣作りである。
  共産党の目指す方向性、民主連合政府を通じて社会主義社会を作るという「コアな支持者」を増やす努力抜きに、民主連合政府などはできても、一気に吹き飛ばされてしまう。これが歴史の教訓である。(村山政権後の社会党の歴史を見ればよくわかる。)

以下第5回に続く