しんぶん赤旗と日曜版の紙面の違いに驚く、日曜版の方が政治的に鋭い(第2弾)


令和2(2020)年6月12日


 私は令和元(2019)年5月26日に上記の見出しで記事を書いたが(注1)6月14日付赤旗日曜版にもそれは伺われる。それは一面に「医療経営崩壊」「どう防ぐ?」「コロナで減収月1億円」「第2派に備え支援強化早く」という現場の状況を伝え、その下に「経産省と電通癒着」「11年前からズブズブ」という記事を載せている。さらには沖縄県議選「共産党7氏全員当選」と見出しだけ載せている(記事は2面に)
 この記事で私が一番評価するのは、「経産省と電通 癒着」「11年前からズブズブ」という記事だ。安倍政権の腐敗を暴くには、この視点が重要であるが、赤旗本紙はこの追及が極めて弱い

注1緑の字体で書いた分はリンクが張られているとい印しです。

 赤旗本紙(6月12日付)は1面右下に「パーティーで面会認める」「前田中企長官」「給付金委託団体幹部と」という記事を書いていますが、その追及は極めて甘い記事になっています。なぜならこの記事の最後の締めは「経産省秘書課は本紙の取材にパーティーで『前田氏も飲食代を払っている』として法律上問題はないとし、同氏の処分を否定しました。」結んでいる。
 この赤旗の記事に、ものすごい違和感を禁じ得ない。この記事の大事なところは、飲食代の話ではない。しかも前川氏主宰のパーティーだから、彼がそれなりの負担をしていたことは推測される。問題は経産省の委託先(平川健司氏)が前川氏と面識があり、そのことが不可思議な入札に影響があったのではというのがポイントである。この持続化給付金業務の入札に当たって経産省による公告前に、「サービスデザイン協議会」(平川健司業務執行理事)へヒアリングが3回も行われていた。この事前ヒアリングには電通も同席していた。競争相手の「デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社」にも2回ヒアリングしたというが、「協議会・電通」とはいずれも対面だったのに対して「デトロイト」の30日のヒアリングは電話のみであった。
 入札結果は「サービスデザイン協議会」が受託したが、公開された経過資料では「デトロイト」が「A」評価で、「サービスデザイン協議会」は「C」評価であった。このことから前川氏と平川氏の関係から不正な入札が行われたのではないかという疑惑があるのである。

赤旗本紙はこの件に関して全くピント外れの記事を書いているが、日曜版は核心をついている。

 先にも書いたが、日曜版の見出しは「経産省と電通 癒着」「11年前からズブズブ」と今回の不正入札の核心を突いた見出しを掲げている。日曜版は今回の事例だけでなく「エコポイント事業も電通などの企業連合が事務局を委託。当時電通側の中心にいたのが、今回の給付金事業を取り仕切る、「サ推協」の平川健司業務執行理事です。前田氏は経産省側で、エコポイントの申請サイト・管理システムの担当でした。11年前から給付事業のキーマンが2人がそろっていたのです。とこの不透明な入札のからくりを見事に暴いています。
 さらにこの記事の最後がすごく、「サ推協」は16年の設立以降、持続化給付金を含む14件計約1600億円経産省から受託。その契約金額の約9割にあたる事業は、前田氏が幹部を務めていた部署からでした。
・・・この記事で止めています。この2名は密接な関係があるのです。そのことを見事に暴いています。・・これが赤旗の本来の役割です。
 ところが、赤旗本紙は全く間抜けです。この二人の癒着(ズブズブの関係を暴くことが大切なのに、何ら明らかにできず、前田氏が飲食代を自分で払っていたという経産省秘書課長の発言で締めくくっています。何の意味もない記事に仕上げています。(私は関西人ですから言葉はきついですが、この記事に対して馬鹿、アホ、間抜けと言いたいです。)

次に日曜版の2面です。「揺るがぬ 新基地ノー」「沖縄県議選」という記事があります。


 この記事はさらに二つの見出しを掲げています。「オール沖縄過半数確保」、「共産党過去最多7議席」と書いています。
 この同じ沖縄県議選を赤旗はどう報道したでしょうか? 私は6月8日付けのHPの記事「『共産党7氏全員当選』の見出しに違和感あり!!」という記事を書きました。その内容は、「7氏全員当選」と「基地よりコロナ対策」という見出しは、この選挙の性格を見誤り、とんでもない記事だと批判しました。
 批判点は、2点です。
 一点目は、反基地は共同の戦いであったはずなのに共産党の勝利だけ伝える利己主義的立場です。
 二点目は、勝因は「基地よりコロナ」とした点です。
       「"基地よりコロナ対策"の訴えに共感がひろがりました」と書いた点です。
 とんでもない赤旗記事でした。これは翌日修正されました。この点については「1日で赤旗の編集方針が変わる。これって本当に大丈夫ですか?」で書きました。赤旗本紙は揺らいでいます。日曜版は、外していません。


第二次補正予算案での戦いの柱は何処にあるのか?

 これも赤旗と日曜版には視点の違いがあります。赤旗は二次補正予算を「不十分さはあるが賛成できる」「しかし10兆円が予備費をそのまま賛成できない。」小池書記局長(6月9日赤旗)としています。
 そのため持続化給付金を巡る政府と電通や竹中平蔵氏の動きを暴露することに消極的です。それよりも志位委員長の国会での発言を何回も何ページも使って報道しています。
 ちなみに11日の赤旗は1面をほとんど志位発言に使い3面【総合】も全ぺーじ志位発言です。さらに12日の赤旗は、4面、5面、6面ぶち抜きで志位氏の国会での質問を載せています。共産党の国会議員は沢山おりみんなそれぞれ優れた追及を行っています。それらの発言を伝える文字数は少なく十分伝わっていません。
 私はこの赤旗の記事には二つの大きな弱点があると見ています。その一つは中国の習近平や北朝鮮の金正恩氏の様な神格化につながる危険性があるということです。社会主義国に共通する弱点を引きずっていることです。
 二つ目は、現在第二次補正予算の論議をしている中で、政府側の問題点がいくつも明らかになってきています。今日発売の週刊ポストの記事見出しでは、「嘘つき総理と」「泥棒政権」を撃つ、安倍が吐いた「コロナ会見を総点検する」「虚言」「詭弁」「責任逃れ」という記事を載せています。
 週刊誌がこのような見出しを使うのは、やはり国民の感情はこのようなものだと思います。ここでは「泥棒政権」と書かれていますが、国会でも「Go Toキャンペーン」を「強盗キャンペーン」と言った国会議員がいます。この発言に国民は拍手していると思います。
 ところが共産党はなぜか第二次補正予算には「不十分さはあるが賛成できる」といち早く発表し、追及を退け、勝手に提案型の国会論議に変えています。志位委員長の10万人の教師を増やすなどは夢物語りです。こんな議論なら安倍首相も国会論議を嫌がりません。答弁は「コロナ後を見据えて、検討していきたい」極めて簡単な答弁です。
 志位委員長の発言は論理的で素晴らしい内容ですが、今これを言うのか私は疑問があります。この時点では安倍政権打倒へ向けて追及を行うべきだと思っています。

追記:今日の毎日新聞朝刊23面【社会】に「づぼらや 9月へ閉店」大阪・老舗ふぐ店 コロナ休業、
   経営難という記事が出ています。大阪の庶民なら誰もが知っている店です。この会社のCMソング
   も誰も口ずさむことができます。ふぐ鍋「てっちり」を庶民相手に低価格で提供してきました。親
   しみのある店です。このような店がコロナ被害で倒産を防ぐのが政治の力です。志位さんの発言は
   理想論であり、今の政府の休業補償政策などを徹底させる努力が必要です。