選挙戦の総括は、「正しい数値」で行わなければならない。



令和3(2021)年11月25日


 しんぶん赤旗日曜版(11月7日付)は4面で「32選挙区で自民党土俵際」という見出しで、野党一本化1万票以内で借敗した32選挙区という記事を載せています。その中で党派別得票数・率という選挙結果の表を載せています。しかしこの表は何かおかしな匂いがします。



 上記の表を載せている。この票は何がおかしいのか17年の衆院比例の得票率を足しても81.3%にしかならない。今回の衆議院選挙は100%に近いが100ではない)こういうグラフは足し算の合計は100%でなければならない。なぜ100%にならないのか、(一つは小数第2位を四捨五入している)それと17年当時ここに記載されていない政党が5つもある。それらの政党の票数を足さないと正しい%は出ない
 この衆院選挙にはこの表以外の政党は
 希望の党    9677524票・・・・・この大きな数字を統計からはずしている。
 日本の心     85552票
 幸福実現党    292084票 
 新党大地         226552票
 支持政党なし   125019票
   合計    10406731票・・・・・・この票数は全得票数の約2割弱を占めます。
これらを加えて政党間の力量を論じないと意味がない。正しい表は以下のようになる。




 この票は黄色の枠に、先に取り残された5つの政党を一つにまとめて、計上して、全体像を把握しようとしている。この5党の内、希望の党は9,677,524票も獲得しており、これを無視して議論しようとすることはありえない。
この票を生かす(5党を完全無視する)としても、その場合はこうなる



 このような表にならないとおかしい。5党を無視しながら5党の票数を入れたパーセンテージになっている。5党を一切無視すれば、例えば共産党の支持率は9.71%なる。

 この5党の内の希望の党は小池百合子が指導権を握った党であった。旧民進党は解党して全てが希望の党に入る話ができていた。小池氏が調子に乗って民進党の議員を全て引き受けるのではなく、リベラルな議員は排除しますと演説してしまった。
 これで今回の再編運動はつぶれて民進党はガタガタになるのではと思われたが、小池氏に排除される想定の人間が立ち上がった、その時の枝野氏の演説は冴えていた。
 選挙結果は枝野氏が代表を務める立憲民主党が、11492115票獲得し野党第一党に躍り出た。同時に小池氏がトップである希望の党も善戦し、9677524票獲得した。2党を合わせると21169639票であり、このように政治的動きが出た場合、マスコミで毎日のように報道すれば、民進党という票田が割れても2倍化するというマジックが実現することが分かった。民主党の前々回の選挙獲得票数は9775712票であり、2017年衆院選挙は、立憲民主の獲得票数が11,084,890、であり、これは前々回選挙の1.13倍の票を獲得している。)希望の党の票を足せば完全に2倍化である。
 政治はこのような驚くべき変化が起こる。こうした政治の揺れ動きを隠すため。赤旗では2017年の軌跡(奇蹟)を覆い隠しているのかも知れない。
  こうした政治のダイナミックさを捉えられず、赤旗拡大だけしか選挙政策を持たない共産党に未来はない。このままでは赤旗の破産とともに共産党はじり貧になるだろう。
 「批判だけならだれでもできる」と言われそうなので私の提案をしておきます。それは政党助成金をもらうべきだと思っています。これは国会で決められ各政党に配分されているのに、お金の問題で清潔だと頑張れば票が入るという勘違いの上に立った共産党の対応で党そのものを弱体化している。
 今回の文書交通費の問題で国民が受け入れられなかったのは、それがどう見ても常識に反した行動だったからである。コロナ禍で生活が破壊され、食べ物の無料提供に行列をして生きている人がいるのに、国会議員は1日で100万円ももらえるということは信じられないことだった。ここに怒りがあった。
 一方政党助成金は、政党の活動を保証するため支給されるお金であって何もやましいことがない。変な正義感で 突っ張って、そのことが共産党の支持に本当に向いているのか冷静な判断が必要である
 地方の共産党組織は(大阪の中核都市でさえ)疲弊しポスターを張ることもビラをまくこともできていない。お金がないために共産党の政治主張ができないのなら、正に民主主義に反する。今回の選挙でも我が家に入った共産党のビラは赤旗に織り込まれた一枚だけだった。街には維新のポスター、公明党のポスターは張めぐらされている。共産党の情報発信はなんもない。これではアンフェア―である。なんの情報も共産党からは発信されていない。そのすべての原因はお金が無いのではと思っている。
 もう行き詰っている。政党助成金をもらって党建設を見直すべきです。街を歩いていて、公明党や維新のビラが多く張り出されているが、そのポスターはみんな統一されている。多くの国民が維新や公明党の主張を聞き及んでいる。共産党の主張は全く分からない。共産党の事務所に長い間貼ってあったポスターは「HOPE」であった。なんのことかさっぱりわからない。この「HOPE」で共産党の支持は本当に増えたのか、しかも現在はもう貼っていない。維新は必ず「身を切る改革」という言葉を入れている。公明党は、弱者救済に力を入れているのは公明党ですと書いている。この公明党のポスターの浸透度と「HOPE」の浸透度など考えた事があるのですか。(維新や公明党は現生利益を前面に出している。ポピュリズムである。共産党は地球の未来を考えた「気候危機打開」である。未来の人類の生き方に迫る学者の論議である。)
 最後に全くの余談であるが、赤旗に志位委員長が出版した本の宣伝が載っている。その本の題名は「パンでミックと日本共産党の真価」「志位和夫 Shii Kazuo」書かれている。更に本の表紙の下には「JPC99th」「anniversary」と書かれている。まさに学者気取りである。私は「気候危機打開」を前面に掲げた共産党を「欧米化」と揶揄したが、この本の表紙からも「欧米気取り」が伺われる。失礼ですが共産党にこの「anniversary」を理解できる人が何割いるでしょうか、正に国民大衆から遠のいていく共産党が見えます。(蛇足ですが、私はこの英語が分からず辞書を引きました。)何故本の表紙に英語を使う必要があるのですか?全く理解ができません。
 ポスターも「HOPE」でした。共産党は「欧米化」しています。そこにどんな価値があるのか共産党幹部にしっかりとした説明を求めます。私は、共産党は二つの敵にアメリカ帝国主義を上げていましたが、それを放棄し、アメリカと仲良くなりたいというメッセージを送っているものと感じます。
 あんなわけのわからない「HOPE」というポスターに価値があると理解している共産党幹部の頭の構造が知りたいです。もう「しっちゃかめっちゃか」のような気がします。

共産党の事務所に貼られていたポスター

 今日このポスターを見て新たな発見をしました。(「HOPE」というポスターに違和感を持っていた)


 新たな発見は、左の「減らない年金」というポスターにも異常性を感じます。共産党の年金ポスターなら、「年金を減らすな」「老後の生活の保障を」「軍拡に走るのではなく、国民生活の充実を!」というような視点から年金問題を取り上げるべきでしょう。
 「減らない年金」なら最低限の安心が受け取れます。国民の要求は年金の充実ですが、これ以上年金が減額されたら生きていけないという不安だと思います。その時に「減らない年金」というポスターを見て、「エ!年金は減らないのか?」と思うだけで、混乱させるだけです。ポスターは標語だけで相手にその意思が伝わるようにしなければなりません。「HOPE」も「減らない年金」も何が主張したいのか分かりません。
 「年金は減らないから老後は「HOPE」希望がある」と読むのですか?